1.糖尿病教育指導の専門家が必要な理由―糖尿病専門医の絶対数の少なさと日本での患者数の急増に加え,社会の要請としての医療費コスト削減。2.日本糖尿病療養指導士とは何か,この制度の目的,認定機関―糖尿病の治療と教育の専門的知識を持った国家資格を得て医療行為を行う者。目的は医療従事者における糖尿病ケアに関する知識,技術の水準を一定にし,認定医とパートナーシップによる治療サービスが可能な人を増やすこと。認定するのは日本糖尿病学会と糖尿病協会の合意に基づく認定機構(第三セクター)。3.日本以外の制度との関係,米国糖尿病教育士―米国で1972年より検討が始まり1985年より開始され,医師も受験し認定を受けなければならない資格が出来た,このシステムを日本に導入する機運が高まった。同年,前琉球大学三村悟郎教授らによってこの資格の教科書の翻訳がなされた。4.理学療法士からみた日本糖尿病療養指導士―インスリン注射を行うことは医療法上許されていない。しかし全般を知ることで指導はできるという点で受験資格が与えられ,活躍が期待される。中でも運動療法,足のケア,運動器官機能の過用症候群の予防などは専門的な領域となろう。5.将来性―医療費削減に有効であるとなれば社会の要請によって日本の公的な医療保険制度と何らかの関係が生じる可能性もあろう。
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