理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
31 巻 , 5 号
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原著
  • 橋本 祥行, 前川 茜, 屋敷 法子, 尾崎 翼, 永渕 希, 井上 沙理奈, 加辺 憲人, 久保 晃
    2016 年 31 巻 5 号 p. 635-639
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕観察にて評価可能な病棟歩行自立アセスメントシートの導入効果を検討することとした.〔対象と方法〕平成24年4月から平成26年3月までに船橋市立リハビリテーション病院を退院した脳卒中患者のうち入院中に歩行自立となった181例を対象とした.カルテより後方視的に抽出された基本情報,運動機能,高次脳機能,行動・ADLを病棟歩行自立判定後の転倒の有無による群間で比較した.〔結果〕病棟歩行自立判定後に21例(11.6%)の転倒が発生した.全ての調査項目で2群間に有意差は認められなかった.〔結語〕歩行自立判定後の転倒率および傷害の状況から,アセスメントシートの導入は実用性を有するといえる.
  • 佐藤 俊彦, 福井 勉
    2016 年 31 巻 5 号 p. 641-644
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕踵骨の内側,外側に楔状板を挿入した際の足部形態の変化を3次元的に明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は健常成人26名52肢とした.三次元足型計測装置(INFOOT)を使用して静止立位の足型の計測を行った.踵骨の内外側に5°,10°,15°の傾斜の楔状板を用い,楔状板上での足型の計測を行い,楔状板なしの足型との違いを検討した.〔結果〕10°以上の楔状板により踵骨は有意に角度変化した.また,内外果,中足部,前足部傾斜角度は踵骨と相反する角度変化を示した.〔結語〕踵部の変化で後足部と前足部で代償し合い,足底面を地面に接地させる可能性があることがわかった.
  • 久我 宜正, 小林 孝彰, 尾山 勝正, 井上 茂樹, 平上 二九三, 齋藤 圭介
    2016 年 31 巻 5 号 p. 645-649
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕パーキンソン病(PD)患者における移動能力の3年間の予後とその関連要因を検討することとした.〔対象と方法〕2008年からの5年間に神経内科を受診したPD患者120名とした.後方視的に3年間のデータを記録した.集団を発症後5年未満,5年以上に群分けし,3年後の移動能力の維持の可否を従属変数とする二項ロジスティック回帰分析を行ない関連要因を検討した.〔結果〕振戦を除くPD症状と,移動能力は3年間での有意な低下を示し,移動能力予後に対して,発症後5年未満の群ではPD症状に加えて既往・合併症と認知症罹患の有無が,5年以上の群では年齢・発症後期間と認知症罹患の有無が有意な関連性を示した.〔結語〕PD患者の移動能力予後の実態と関連要因は,自立生活を目指した理学療法プログラム立案の手掛かりになり得る.
  • 山本 裕晃, 中村 朋博, 吉塚 久記, 森田 正治
    2016 年 31 巻 5 号 p. 651-654
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕両脚運動後の筋疲労の程度と回復特性について,利き足と非利き足で差がみられるのか否かを明らかにし,運動処方の一助とすることとした.〔対象と方法〕対象は健常成人11名とした.自転車エルゴメータ駆動後600秒における外側広筋の血中酸素動態をNIRSにより評価し,疲労の程度を意味するtotal-Hb(ΔHbts)について,利き足と非利き足の推移と左右差を分析した.〔結果〕利き足と非利き足を問わずΔHbtsの推移には有意差を認めなかったが,左右差においてはΔHb360sで利き足が有意に高く,ΔHb240s以降で有意ではないものの高くなる傾向を示した.〔結語〕理学療法の両脚運動課題では,筋活動ならびに筋疲労における利き足の優位性を考慮することが有用となる可能性がある.
  • 小枝 周平, 澄川 幸志, 佐藤 ちひろ, 佐藤 速太, 齋藤 峻, 白坂 真妃, 小山内 隆生
    2016 年 31 巻 5 号 p. 655-660
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕遅発性筋痛(DOMS)に対する超音波療法の温熱刺激が運動時の疼痛やつっぱり感,疲労感などの不快感,運動面の改善につながるかを経時的・即時的な視点で検討した.〔対象と方法〕対象は健常な大学生14名とした.ランダム化クロスオーバー比較試験を行い,超音波照射条件ではDOMS誘発運動後2・4・8日目に連続波の超音波を10分間照射した.超音波照射前後には運動時の疼痛,つっぱり感,疲労感,肘関節運動角度を測定した.〔結果〕超音波照射条件では運動後2日目の超音波照射後にのみ照射前と比べて運動時のつっぱり感や疲労感に有意な改善が認められた.〔結語〕超音波療法の温熱刺激は,DOMSが現れた際に運動時の不快感を一時的に軽減させるのに有効である可能性が示唆された.
  • 春田 みどり, 水田 洋平, 伊藤 隆安, 太田 進, 内山 靖
    2016 年 31 巻 5 号 p. 661-666
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕内側型変形性膝関節症患者における身体アライメントの特徴を明らかにし,アライメントと身体機能との関連性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕内側型変形性膝関節症患者25名と対照群とする健常高齢者20名とした.身体アライメント,関節可動域,筋力,5 m歩行時間,片脚立位時間を群間で比較した.〔結果〕内側型変形性膝関節症患者の身体アライメントは頭部前方突出,腰椎屈曲,骨盤後傾,体幹前傾,膝関節内反位で,腰椎屈曲と体幹前傾には背筋力低下との関連性がみられた.〔結語〕内側型変形性膝関節症患者でみられる体幹アライメントの変化は,体幹アライメントと身体機能との相互の関連性を示している.
  • 亀井 実, 浅川 康吉
    2016 年 31 巻 5 号 p. 667-671
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕介護職員の作業関連性腰痛が介護動作に及ぼす影響について検討した.〔対象と方法〕障害者支援施設9施設の介護職員246名.基本属性,経験年数,作業関連性腰痛の有無,腰痛対策の有無と実施内容,介護動作の実行状況について質問紙調査を実施した.仕事での腰痛の有無で2群に分け群間比較をした.〔結果〕作業関連性腰痛を有する者は147名(59.8%)であった.作業関連性腰痛を有する者はそれを有さない者に比べて年齢が有意に高く,腰痛対策を実施していた.介護動作は,群間に有意差はみられなかった.〔結語〕作業関連性腰痛は介護動作に影響を与えない可能性が示唆された.
  • 幸田 仁志, 甲斐 義浩, 安彦 鉄平, 大杉 紘徳, 村田 伸
    2016 年 31 巻 5 号 p. 673-676
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者における機能的挙上筋力および最大等尺性外転筋力と,骨格筋量,筋厚,握力との関連性をそれぞれ分析し,機能的挙上筋力測定の妥当性を検討した.〔対象と方法〕地域在住健常高齢者22名のうち,肩関節痛および運動障害を有するものを除外した左右40肩を対象とした.機能的挙上筋力,等尺性外転筋力,全身骨格筋量,全身体脂肪量,三角筋厚,および握力を測定し,ピアソンの相関係数を求めて各々の測定値の関連性を分析した.〔結果〕高齢者の機能的挙上筋力は,全身骨格筋量,握力,全身体脂肪量との間に有意な正相関を認めた.一方,等尺性外転筋力は,全身骨格筋量,三角筋厚,握力との間に有意な相関は認められなかった.〔結語〕高齢者における肩関節挙上筋力評価として,我々が考案した機能的挙上筋力測定の妥当性が示された.
  • 玉地 雅浩, 佐伯 武士, 青山 宏樹
    2016 年 31 巻 5 号 p. 677-681
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕飲水および摂食が安静椅座位の姿勢調節に及ぼす影響を調べた.〔対象と方法〕健常成人10人.500 mlの飲水前後および360 mlの栄養補助食品の摂食前後の重心動揺と設定した各ランドマークの位置変化を測定した.〔結果〕飲水前後で比較した場合,総軌跡長,外周面積,矩形面積に有意差が認められた.また三次元動作解析装置による測定では骨盤が静止しているのに対してC7およびTh7が飲水後に前方に有意に移動した.一方,摂食後は有意な位置変化は認められなかった.〔結語〕摂食後と比較して飲水後の胃と他の臓器の位置関係の変化や胃自体の形の変化が大きかったことによるものだと考えられた.
  • 小向 佳奈子, 藤本 修平, 杉田 翔, 今 法子
    2016 年 31 巻 5 号 p. 683-688
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕クリニカルクラークシップ(CCS)は推奨されている医学教育手法である.理学療法教育でも取り入れられているが,その方法が統一されているかは不明である.本研究は,先行研究で行われているCCSの内容を把握することとした.〔対象と方法〕研究デザインは系統的レビューとし,PRISMA声明に準じ実施した.データベースから,学生を対象としたCCSに関する論文を検索し,CCSの内容や方法の記述を抽出した後,内容分析を行った.〔結果〕検索の結果,538件の論文が抽出され,対象論文は8件であった.CCSの内容は,「実習生の診療への参加」に関する記述が多く含まれた.〔結語〕CCSにおいて,「実習生の診療への参加」を重要視する必要性が示唆された.
  • 杉田 翔, 藤本 修平, 今 法子, 小向 佳奈子
    2016 年 31 巻 5 号 p. 689-695
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中者の介護者における介護負担感に関連する要因について,過去の研究から統合的な見解を得ることとした.〔対象と方法〕2つの電子データベースから,脳卒中者の介護者における介護負担感に関連する要因を検討した文献を抽出し,系統的レビューによってその内容を評価した.〔結果〕対象7文献から,介護負担感に関連する要因として,介護者の精神状態が悪化していること,ソーシャルサポートが乏しいことがあげられた.日常生活動作能力と介護負担感の関連性について,一定した見解は得られなかった.〔結語〕介護者の精神状態が悪化していることや,ソーシャルサポートが乏しいことは介護者の介護負担感を強くする要因となりうる.
  • 池田 拓郎, 岡 真一郎, 中原 雅美, 松田 憲亮, 秋吉 賢和, 小野 陽平, 川原 亜実, 髙橋 侑希
    2016 年 31 巻 5 号 p. 697-700
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕経皮電気刺激中に暗算を遂行した時の体性感覚の初期反応に及ぼす影響を検討することとした.〔対象と方法〕対象は健常若年成人12名とした.全員右利きであった.左もしくは右の正中神経に対する経皮電気刺激中に連続7減算の暗算を遂行した時としない時での体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potentials;SEP)を誘発電位検査装置によって記録した.SEPは,初期成分(N 20,P 25,N 33およびP 45)の潜時と振幅を計測した.〔結果〕左正中神経刺激での右体性感覚野上のN 33の潜時が暗算によって遅延を示した.〔結語〕右半球での暗算と体性感覚の情報処理が同時に行われた結果,右一次体性感覚野が干渉による抑制を受けたのではないのかと推察される.
  • 小野田 公, 霍 明
    2016 年 31 巻 5 号 p. 701-704
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕開発した関節位置覚測定アプリケーション(以下アプリ)「The sense of position」の信頼性と妥当性を検証することを目的とした.また,最適な測定回数を設定することとした.〔対象〕信頼性では肘関節に既往がない若年健常成人10名を対象とした.また,妥当性の検討では肘関節に既往がない若年健常成人2名とした. 検者は,理学療法士男性1名とした.〔方法〕アプリにて右肘関節の関節位置覚を測定し,信頼性はテスト—再テスト法による級内相関係数,妥当性についてはデジタル画像から測定値をピアソンの相関係数を求めて検討した.また,回数設定は各回数の平均値から級内相関係数を求めて検討した.〔結果〕アプリでの肘関節の関節位置覚はICC=0.85であり,高い再現性がみられた.デジタル画像での測定値との間には強い相関がみられた.また,測定回数5回以上で高い信頼性がみられた.〔結語〕開発したアプリは,若年健常者で高い信頼性と高い妥当性を得た.開発したアプリにより肘関節の関節位置覚を評価することができ,臨床現場や他の分野で応用できる可能性が示唆された.
  • 山田 南欧美, 岡本 正吾, 山田 陽滋, 磯貝 香, 宮本 靖義, 河上 敬介
    2016 年 31 巻 5 号 p. 705-710
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕拡張した主成分分析を用いた脳卒中片麻痺患者の内反尖足に対する足部ストレッチング手技の分析方法の開発.〔対象と方法〕理学療法士6名および脳卒中片麻痺患者3名.ストレッチング手技を定量化するため,力覚センサと三次元動作解析装置を用いて踵部に加わる力とモーメントおよび足部の角度を計測し,拡張した主成分分析を適応した.〔結果〕第1主成分は内がえしを校正しながら足部を背屈位へ導く共通した手技を,第2主成分は踵部に加わる内外転・回内外モーメントと背屈角度の個人差を,第3主成分は踵を押し引きする力の個人差を示した.〔結語〕我々が開発した分析方法を用いて,複雑なストレッチング手技を統計的に分析できる可能性が示された.
  • 飯田 修平, 渡辺 達也, 川北 大, 藤田 拓也, 池田 喜久子, 青木 主税
    2016 年 31 巻 5 号 p. 711-714
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Robotics Knee Orthosis(RKO)での練習の効果をABA型シングルケーススタディーにて検討した.〔対象と方法〕回復期の脳血管障害片麻痺患者5名を対象とし,通常練習期をA期,介入期をB期としたABA期にて,各期10日間の計30日間実施した.評価項目は10 m歩行時間(各期で5回,計15回評価),バランス能力,重複歩距離,歩幅・片脚支持期の所要時間の左右比(A1期前・後・B期後・A2期後の計4回評価)とした.〔結果〕A期に比べ,B期において各評価項目での向上がみられた.〔結語〕RKOを使用した練習において,効果がある可能性が示唆された.
  • 糸数 昌史, 久保 晃, 谷口 敬道, 小阪 淳
    2016 年 31 巻 5 号 p. 715-717
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕バーチャル教材を用いた解剖学演習を実施し,解剖学に対する学生の興味と苦手意識の変化を調査すること.〔対象と方法〕理学療法学科2年生100名.バーチャル教材を用いた演習後に,授業評価と解剖学に関するアンケート調査を実施した.併せて苦手科目としての解剖学の状況を前年度と比較した.〔結果〕バーチャル教材は学生の興味を喚起し,解剖学を苦手とする学生が有意に減少した.〔結語〕解剖学実習にバーチャル教材を用いることで,学生の解剖学への苦手意識を解消することができた.
  • 粟谷 健礼, 森北 育宏, 篠原 純司, 森 誠護, 辰見 康剛, 永田 聡典
    2016 年 31 巻 5 号 p. 719-722
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ハンドヘルドダイナモメーターを用いた肩関節最大外転位での伸展筋力測定法において,盲検化された筋力測定未経験者の同一セッション検者内信頼性を検討することとした.〔対象と方法〕被験者を健常男性大学生14名,検者を筋力測定経験のない大学生2名とした.測定肢位は伏臥位での肩関節最大外転位,肘関節伸展位,前腕中間位とした.〔結果〕両検者ともICC1,3 は利き手側,非利き手側ともに0.9以上(almost perfect)を示した.〔結語〕本法は,経験や検者の影響を受けない,簡便かつ信頼性の高い方法である.
  • 清水 陽介
    2016 年 31 巻 5 号 p. 723-727
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕股関節外転筋力と10 m最大歩行速度(以下10MWS),歩行自立度の関連性,歩行自立のためのカットオフ値を算出することとした.〔対象と方法〕対象は,片麻痺患者31例とした.方法は,10MWSと歩行自立度を算出し,Hand-Held Dynamometerを使用し,股関節外転筋力を測定した.〔結果〕10MWSと麻痺側股関節外転筋力(r=0.74)には有意な相関が認められた.歩行自立度に影響のある因子として,麻痺側股関節外転筋力のみが抽出され(オッズ比11.917,オッズ比95%信頼区間2.18971-65.146),歩行自立のためのカットオフ値は,0.230 kgf/kgであった.〔結語〕麻痺側股関節外転筋力は,歩行速度,歩行自立度に対する重要な因子である可能性が高い.
  • 城野 靖朋, 辻下 守弘
    2016 年 31 巻 5 号 p. 729-732
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕三次元複数物体追跡課題(3D-MOT)のトレーニング効果を検証した.〔対象と方法〕地域在住高齢者25名とした.トレーニング課題を3D-MOTとする介入群と対照群の間でのMini Mental State Examination,Trail Making Test part A(TMT-A),5 m歩行,Timed Up and Go Test(TUG),およびFunctional Reach Testの変化を比較した.〔結果〕介入群ではTMT-Aが介入後に有意に短くなった.介入群においてTMT-AとTUGの変化比率の間に有意な正の相関が認められた.〔結語〕3D-MOTは注意機能および動的バランス能力の向上が期待され,したがって地域在住高齢者の転倒予防に有効な課題である.
  • 渡邉 大貴, 後藤 亮平, 田中 直樹, 金森 毅繁, 柳 久子
    2016 年 31 巻 5 号 p. 733-742
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕回復期脳卒中片麻痺患者におけるロボットスーツHAL®を用いた歩行練習の適応症例およびQOLと気分や感情に対する効果について検証すること.〔対象と方法〕脳卒中片麻痺患者24名を2群に無作為に割り付け,HAL®群はHAL®を使用した歩行練習,コントロール群は平地歩行練習を週3回合計12回実施し,開始時と終了時に各評価を実施した.〔結果〕介入後,HAL®群の方が有意に歩行自立度が向上した.一方で,12名中4名は終了時評価においても介助歩行であり,HAL®の適応とはなりにくい症例であった.〔結語〕HAL®を使用した歩行練習は,脳卒中片麻痺患者の歩行自立度を向上させる可能性が示唆された.しかし,重度片麻痺や複数の高次脳機能障害を呈する症例は,HAL®の適応とはなりにくい可能性があると思われた.
  • 石坂 勇人, 水嶋 優太, 秋山 純和, 千田 雅之
    2016 年 31 巻 5 号 p. 743-750
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕肺がん切除後の離床に影響する合併症発生率と術式別に身体活動量(PA)の回復過程を検討する.〔対象と方法〕肺がん切除術を施行した71例の合併症を検討した.合併症が生じなかった症例44名を開胸群27名,VATS群11名,拡大手術群6名に分けた.呼吸機能,生化学データ,術中所見,胸腔ドレーン留置日数を調査し,術後2~7病日のPA(歩数,消費エネルギー,活動時間)を比較した.〔結果〕合併症は心房細動が最多であった.拡大手術群は開胸群,VATS群よりも術中出血量が多く,手術時間と麻酔時間が長かった.拡大手術群のPAは,開胸群とVATS群よりも術後4~6病日に低下した.〔結語〕拡大手術は身体侵襲が大きいことから,他の術式よりも周術期におけるPAの改善が遅延すると考えられた.
  • 津田 泰路, 加嶋 憲作, 山﨑 裕司, 河邑 貢, 大菊 覚, 馬渕 勝, 篠原 勉
    2016 年 31 巻 5 号 p. 751-753
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕等尺性膝伸展筋力が片脚立位保持時間に及ぼす影響を明らかにすること.〔対象と方法〕高齢入院患者323名を対象とした.等尺性膝伸展筋力を0.20 kgf/kgから0.60 kgf/kgまで0.10 kgf/kg毎に区分し,片脚立位時間を比較した.〔結果〕左右脚共に等尺性膝伸展筋力が低いほど片脚立位時間は低値を示した.左右脚ともに0.40 kgf/kg未満の筋力区分と,その他全ての筋力区分との間に片脚立位時間の有意差が認められた.一方,0.50 kgf/kgを上回る筋力区分では片脚立位時間に有意差は認められなかった.〔結語〕等尺性膝伸展筋力と片脚立位時間には密接な関連があり,等尺性膝伸展筋力0.40 kgf/kgを下回る場合,筋力が片脚立位時間に与える影響が大きいものと考えられた.
  • 佐藤 勇太, 小野 武也, 石倉 英樹, 相原 一貴, 松本 智博, 田坂 厚志, 梅井 凡子, 積山 和加子, 沖 貞明
    2016 年 31 巻 5 号 p. 755-758
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,関節固定および関節固定と後肢懸垂を同時に実施した場合のそれぞれの骨格筋と皮膚の伸張性の変化を調査することとした.〔対象と方法〕対象はWistar系ラットとし,固定群と固定懸垂群に分けた.実験開始前と1週間後,右足関節背屈角度を測定した.1週間後,右ヒラメ筋と右足関節後部の皮膚の伸張性を評価した.〔結果〕1週間後において,足関節背屈角度の減少は両群に生じており,固定懸垂群の方が固定群と比較して著明であった.ヒラメ筋の伸張性は,固定懸垂群の方が固定群と比較して低下値を示した.皮膚の伸張性は両群間で有意差がなかった.〔結語〕関節固定と後肢懸垂によって発生した関節拘縮は,関節固定のみを実施した場合と比較して,骨格筋の伸張性が低下することで増悪することが明らかとなった.
  • 相馬 正之, 村田 伸, 岩瀬 弘明, 村田 潤, 上城 憲司, 久保 温子, 江渡 文
    2016 年 31 巻 5 号 p. 759-763
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)に影響を及ぼす要因を明らかにするため,地域在住高齢者を対象に運動機能評価に関する検査を行い,CS-30との関連を検討した.〔対象と方法〕地域在住高齢者71名を対象とした.測定項目は,CS-30,長座体前屈,握力,上体起こし,大腿四頭筋筋力,開眼片足立ち保持時間,10 m障害物歩行,最大歩行速度,TUG,FRT,FSSTとした.〔結果〕重回帰分析によってCS-30に影響を及ぼす因子として抽出された項目はTUG,FSSTの2項目であった.〔結語〕今回の知見より,地域在住高齢者のCS-30遂行能力を高めるためには,TUGやFSSTなどの動的バランス機能を高めることの重要性が示された.
  • 中村 豪志
    2016 年 31 巻 5 号 p. 765-769
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕介護老人保健施設における在宅復帰の要因を明らかにすることとした.〔対象と方法〕全国老人保健施設協会に加入している九州・沖縄の介護老人保健施設(542施設)の施設ケアマネジャーとした.郵送による自記式質問紙調査を行った.〔結果〕有効回答は147通だった(回収率27.1%).在宅復帰支援に関する要素は,3因子から構成されていることが分かった.在宅強化型老健は,それ以外の老健と比較して利用者に対するADL支援と家族介護者に対する情報提供支援の実践度が高かった.〔結語〕老健からの在宅復帰には利用者に対するADL支援とともに,家族介護者に対する教育的支援が重要な要因である.
  • 及川 真人, 久保 晃
    2016 年 31 巻 5 号 p. 771-774
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕都市部在住脳卒中片麻痺者の生活空間の広狭を判別する要因を明らかにすることである.〔対象と方法〕発症後180日以上経過し,外来に通院している脳卒中片麻痺者115名とした.Life-space Assessmentによる最大自立範囲が16 km圏内以上の者を広範囲活動群,800 m圏内以下の者を狭範囲活動群とし,これらの群に対し身体評価を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った.また,判別因子についてカットオフ値を算出した.〔結果〕判別因子は増加法において6分間歩行が,減少法において10 m歩行時間が選択された.カットオフ値はそれぞれ213.5 m,13.9秒となった.〔結論〕生活空間の広狭は,歩行評価から判別可能である.
  • 津嶋 勇一, 吉岡 準平, 藤田 和樹, 水野 勝則
    2016 年 31 巻 5 号 p. 775-778
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕端座位で上肢挙上を保持する背筋トレーニングは立位よりも骨盤後傾を伴いやすい.今回,骨盤傾斜角度が上肢挙上時の背筋活動に及ぼす影響について検討した.〔対象と方法〕整形外科的疾患の既往が無い健常男性10名とした.測定肢位は端座位とし,上肢90°挙上位を保持させた.測定条件は骨盤前傾5°,後傾5°,後傾15°とし,右側の僧帽筋上部,中部,下部線維,腰部脊柱起立筋,多裂筋の筋電図を導出した.〔結果〕骨盤後傾によって多裂筋活動の減少,僧帽筋活動の増加が認められた.〔結語〕上肢挙上による背筋トレーニングを端座位で行う場合は,骨盤前傾位で実施することで僧帽筋の過活動が起こらず,選択的な多裂筋活動の増加が期待できる.
  • 濱田 浩樹, 橋元 孝典, 大見 治, 田之上 公士, 小倉 愛子, 塚脇 大樹, 石塚 隆二, 佐川 佳南枝, 益満 美寿
    2016 年 31 巻 5 号 p. 779-784
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,臨床実習を目前に控えた学生の臨床実習に対するイメージ形成プロセスをモデル化することである.〔対象と方法〕対象は,長期実習開始前の理学療法学科・作業療法学科学生12名.方法は,1 人60 分程度の半構造化インタビューを実施し,面接終了後に逐語録を作成した.インタビューデータの分析には質的研究法の一つであるM-GTAを用いた.〔結果〕学生は臨床実習に対する〈不安感〉と〈期待感〉の間で揺れ動き,特に〈不安感〉が強いことが示唆された.〔結語〕学生が臨床実習を自身の成長の場として認識していくためには,臨床実習に対する大きな〈期待感〉を持つことが重要であり,今回示したモデルを活用したSVによる臨床実習指導法の工夫が必要であると考えられる.
症例研究
  • 北村 拓也, 佐藤 成登志, 郷津 良太, 星 翔哉, 渡辺 慶
    2016 年 31 巻 5 号 p. 785-789
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕腰椎変性後弯症と診断された1症例(70歳代女性)に対する3ヵ月間の介入が身体機能およびQOLに与える影響を検討した.〔対象と方法〕介入方法は,週1回の外来理学療法,冊子を用いた教育およびホームエクササイズの指導とし,3ヵ月間実施した.介入効果を検証するために,筋力や歩行能力,アライメント,筋厚,筋輝度,およびQOL評価尺度としてJOABPEQを評価した.〔結果〕筋力やJOABPEQでは改善を示さなかったが,6分間歩行距離では200 mから435 mとなり,体幹伸展保持時間が15秒から35秒となった.多裂筋のエコー所見では,疼痛側筋厚が1.89 cmから2.28 cmとなり,筋輝度が55.4 pixelから50.0 pixelとなった.〔結語〕本研究における3ヵ月間の介入では瞬発的な筋力やQOLの改善には至らなかったが,筋持久力や連続歩行距離などの向上が得られ,介入の有用性が示唆された.
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