理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
22 巻, 4 号
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研究論文
  • 山野 薫, 大平 高正, 薬師寺 里江, 都甲 純, 井上 博文, 秋山 純和
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 433-437
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    骨関節,脳血管,循環器などの各疾患で理学療法依頼のあった47人を対象に,血圧脈波検査装置を用い,Cardio Ankle Vascular Index(CAVI)を測定し検討した。CAVIは,四肢の動脈硬化傾向を示すものであり,高血圧,狭心症,糖尿病の3疾患のうち,2つ以上の疾患に罹患している群とそれ以外の群で有意差を認め,狭心症既往の有無でも有意差を認めた。このことは,重篤な末梢循環障害や冠動脈疾患へ発展する可能性を示しており,運動療法を実施する上で注意が必要なことを意味している。運動療法前に血圧脈波検査を施行することは,運動負荷における有益な一情報と考えられた。
  • 奥 壽 郎, 与那嶺 司, 榎本 康子, 小川 憲治, 小幡 かつ子, 吉田 瞳, 内野 滋雄
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 439-443
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    東京都品川区介護予防事業「身近でリハビリ」の介護予防効果を男性24名・女性42名,平均年齢77.4歳の要介護高齢者66名を対象に検討した。開始時,終了時の順に,握力(kg)は18.1から20.9,開眼片足立ち時間(秒)は9.7から16.0,ファンクショナルリーチ(cm)は19.6から25.4,長座位体前屈は(cm)20.3から24.8,10m歩行時間(秒)は16.2から13.6,老研式活動能力指標(点)は8.6から9.7ですべての項目で有意に向上がみられた。この要因として画一的な集団運動に加え,参加者のニーズに合わせた個別運動を取り入れており,体力全般に効果を及ぼしたものと考えられる。
  • 小原 謙一, 伊勢 眞樹, 江口 淳子, 石浦 佑一, 植田 幸一
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 445-448
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,形状と底屈制御機構の異なる装具・継手が歩行中に発生する足関節モーメントを明らかにすることである。対象は,下肢関節可動域に制限の無い52歳男性で,局所麻酔剤により人工的に一時的な腓骨神経麻痺を生じさせた。装具は,Tamarack継手(L85)付きP-AFO(T85)と油圧制御継手付きP-AFO(GSD),および継手の無い靴べら式P-AFO(SHB)を使用し,これらと健常歩行および下垂足(DF)歩行を比較した。その結果,立脚初期では,SHBおよびT85は健常歩行と比較して大きなモーメントを発生し,GSDはDFと同程度であったことより,GSDは補助モーメントをほとんど発生していないと考えた。これらの結果は,継手の機能を最大限に発揮させるためには,足板が踵部からMP関節部までを覆うことで反力によるモーメントを足継手に伝えることが重要であることを示唆していた。
  • 崎田 正博, 高杉 紳一郎, 河野 一郎, 熊谷 秋三
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 449-455
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    足底感覚と下腿筋固有受容覚のどちらが立位姿勢制御に寄与するか,足底と下腿冷却により検討した。対象は健常男性12名(年齢:21.3±2.9歳,身長:170.8±6.2 cm,体重65.3±6.0 kg)。冷却部位は足底と下腿とした。冷却後皮膚温条件は,冷却前(コントロール),冷却後3分以内および冷却後皮膚温20 ℃以上(筋紡錘のみ不活性設定)とした。外乱は足底板前方移動と後方移動とし,COGとCOP初期最大偏位(cm),初期最大偏位時間(ms)及びTA(前方移動),Sol(後方移動)の筋反応潜時(RT)を抽出した。結果は,TA,SolのRTは冷却の影響はなく,COGとCOPの初期最大偏位時間は,条件Α(足底冷却,皮膚温20 ℃以上,足底板後方移動)がコントロールと比較して有意に遅延した。条件B(足底冷却,皮膚温20 ℃以上,足底板前方移動)では,コントロールと比較して有意な遅延はなかった。この結果から,足部後方外乱では下腿筋固有受容器からの求心性信号よりも足底および足底筋筋紡錘求心性信号が反射性の姿勢回復反応に寄与し,前方外乱では足底や下腿からの求心性信号の寄与は低いと示唆された。
  • 関口 雄介, 洲崎 俊男, 横川 正美, 三秋 泰一, 立野 勝彦, 藤井 博之
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 457-460
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    足関節背屈角度(以下,DFROM)測定の信頼性を高める対策としてハンドヘルドダイナモメーター(以下,HHD)を用いたDFROM計測を検討した。対象は足関節に整形外科的疾患の既往歴がなく,発症後3ヶ月以上経過した脳血管障害患者10名(平均年齢69.3歳)であった。DFROM測定は足底の中足骨骨頭部にHHDを用いて背屈方向へ圧をかけ,その時のDFROMをデジタルカメラで撮影して行った。実測値は約100 Nの圧時のDFROMとし,予測値は3種類の回帰式を作成し,圧100 NにおけるDFROMを回帰式より求めた。実測値と3種類の予測値ともにICC(1.1)は0.99で「優秀」であった。信頼性が高かった先行研究と本研究との共通点はDFROM測定時に一定した背屈方向への圧を与えていたことであった。
  • 竹内 弥彦, 下村 義弘, 岩永 光一, 勝浦 哲夫
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 461-465
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究では身体に生じる加速度値から得られるゼロクロスポイント(ZCP)数を指標とし,高齢者の動的バランス評価における加速度計の有用性を検討した。対象はクロスオーバーステップ動作が可能な健常高齢者9名と健常若年者11名とした。分離型Force plateの床反力値から,ステップ動作における静止立位期と片脚立位期を区分し,各期の動揺量とZCP数について高齢群と若年群で比較した。結果,片脚立位期のZCPでは若年群に比較し高齢群で有意に低値を示した(p<0.01)。結論として,本研究で用いたZCP数を指標とすることで,動的バランスにおける高齢者の姿勢調節の特性をより詳細に評価できる可能性が示唆された。
  • 倉松 由子, 前田 真治, 潮見 泰藏
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 467-472
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    療養高齢者の垂直位の認識をしらべるために,6ヵ月以上の長期療養高齢者を対象に,健常高齢者および健常若年者を対照群として,座位で上体が自分でまっすぐな状態(垂直位)にあると判断した角度と実際の垂直位との前後方向の角度のずれ(誤差)を調べた。そしてずれの原因を探るため,臥床時間や起居移動能力のレベルとの関係を検討した。その結果,長期療養高齢者の垂直位の知覚は健常高齢者および健常若年者に比べてばらつきが大きくどちらかというと後方に偏位する傾向があり,その判断のための視覚の使われ方に違いがあることがわかった。さらに,起居移動能力のレベルが高くなる療養者ほど,角度のずれの幅が小さくなって正しい値に収束していくという傾向がみられた。このことから,課題のための最適な知覚手がかりを探索して運動に結びつけること,および自らの意思により意識的に垂直位を体験することが長期療養高齢者のリハビリテーションにおいて考慮すべきであると示唆された。
  • ─下肢骨関節疾患患者における検討─
    山田 実, 河内 崇, 古川 裕之, 東野 江里, 上原 稔章, 小野 玲, 平田 総一郎
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 473-477
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    Ramachandranらが行った幻肢の研究のように,整形外科的疾患であっても脳機能が変化するという報告は幾つか存在する。我々は,左前頭葉機能低下との関連性が報告されている「抑うつ状態」が右側罹患患者と左側罹患患者で異なるのかを検討した。対象は下肢骨関節疾患患者136名であり,Self-rating Depression Scale(SDS)によって抑うつ状態を調査した。罹患側がSDSの得点に及ぼす影響を検討するために,SDSを従属変数に,罹患側,高血圧,高脂血症,糖尿病,疼痛,年齢などを独立変数に投入した重回帰分析を行った。結果,SDSに最も影響を及ぼしていたのは罹患側であり,右側罹患患者では左側罹患患者よりも有意にSDSの得点が高かった。右側罹患患者では,右側からの疼痛や関節運動異常などの情報が視床を介して左前頭葉機能を低下させ抑うつ状態に至ったと考えられた。このように考察すれば,他の脳機能も低下している可能性があり,今後の検討課題としていきたい。
  • 竹井 和人, 村田 伸, 甲斐 義浩
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 479-482
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,足趾で地面を押す力(足趾圧力)を測定できる足趾圧力測定器と,その測定器の信頼性について検討した。本測定器は,従来の足把持力測定器より大幅に小型軽量化を可能とした。また足趾圧力を計測することにより,足趾の可動性が低下した障害者や高齢者でも測定できる構造とした。測定は健常成人男性10名(平均年齢20.3±2.6歳)を対象に行ったが,対象者の足趾圧力は平均20.8±5.0 kgであった。また,測定値の再現性は,級内相関係数が0.990であり,臨床場面での使用に十分耐えうる再現性を有することが確認された。
  • ―最終可動域角度・痛みの程度を中心に―
    川井 謙太朗, 佐藤 信一
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 483-487
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    「A法:各患者の快適挙上運動軌跡を確認し,その運動軌跡を目安に行うROM訓練」と「B法:最終域まで,一定の水平内転角度での挙上(ROM訓練)」を同一患者に施行し,最終可動域角度・最終域での痛みの違いについて比較検討することを目的とした。肩関節周囲炎の診断を受けた患者30名を対象とした。診断日より平均64.7±28.5日経過した患者であった。本研究より,A法の方が最終可動域角度は大きく,最終域での痛みは少ないという結果となった。本研究結果より,肩関節周囲炎の患者にROM訓練を施行する際,患者ごとの快適挙上運動軌跡を事前に確認してから行うことが有用であることが示唆された。
  • 坂光 徹彦, 浦辺 幸夫, 山本 圭彦
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 489-494
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    臨床上高齢者の脊柱後彎変形,いわゆる円背は多くみられ,バランス能力や歩行能力にも影響を与えていると考えられるが,変形の程度がどのようにバランス能力や歩行能力に影響を与えているかを報告したものは見当たらない。本研究では平均年齢79.2歳の高齢者28名(男性5名,女性23名)を対象に,Spinal Mouseを用いた脊柱アライメントとバランス能力(開眼片脚立位時間)および歩行能力(10 m歩行時間,3分間歩行距離)を測定した結果,各々に有意な相関関係を認め,「体幹が前傾する」ほど,そして「背中が丸くなる」ほど,バランス能力や歩行能力が低下することが確認されたことから姿勢を含めた評価を行う必要性が示唆された。
  • 甲斐 義浩, 村田 伸, 中村 定明, 前田 雄一, 松本 嘉美, 三宮 貴彦
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 495-498
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,変形性膝関節症(膝OA)高齢者14名と健常高齢者14名の足把持力および片足立ち保持時間を測定し,その測定値を比較することによって,疾患(膝OA)の有無による影響を検討した。分析の結果,膝OA群,健常群ともに足把持力と片足立ち保持時間との間に有意な正相関が認められた。また,膝OA群と健常群の比較では足把持力,体重比足把持力,片足立ち保持時間に有意な差が認められ,OA群の測定値が有意に低値を示した。今回の結果より,足把持力と片足立ち保持時間は,関節疾患の有無にかかわらず関連性があることが確認された。また,膝OA高齢者では,足把持力が低下することにより,転倒の危険性が高まる可能性が示唆された。
  • ―性差および年代別の比較―
    村田 伸, 大山 美智江, 大田尾 浩, 村田 潤, 豊田 謙二, 藤野 英巳, 弓岡 光徳, 武田 功
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 499-503
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,65歳以上の地域在住高齢者189名を対象に,足把持力ならびに握力と大腿四頭筋筋力をあわせて測定し,足把持力の性差や年代別の特徴を比較検討した。その結果,足把持力は性差が認められ,女性の足把持力は男性の約65%に過ぎないこと,また女性の足把持力は,加齢に伴い徐々に弱化が認められるが,とくに80歳以上でその低下が著しいことが見出された。これらの知見から,転倒との関連が指摘されている足把持力の評価やそれを向上させるためのトレーニングは,高齢者でもとくに80歳以上の高齢者に重要であることが示唆された。
  • ─地域在住高齢者を対象とした前向き研究─
    山田 実, 上原 稔章
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 505-509
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究では二重課題(DT)条件下での歩行時間によって転倒を予測することが可能であるのかを検討した。地域在住高齢者46名に対し,何も課題を与えない10 m自由歩行と100から順次2を引くという計算を行いながらの10 m歩行(DT歩行)を行い,その変化量(Δ歩行時間)を求めた。測定後6ヶ月間で転倒した高齢者は16名(34.8%)であった。転倒群と非転倒群で自由歩行時間には差を認めなかったが,DT歩行時間では転倒群で延長しており,さらにΔ歩行時間でも転倒群で有意に増大していた。Δ歩行時間による転倒有無の判別分析では,38.8%というカットオフ値を求めることが可能となり,Δ歩行時間によって転倒リスクのある高齢者を比較的容易にスクリーニングできる可能性が示唆された。
  • 久保 晃, 近藤 真理子, 吉松 竜貴, 岩部 信子, 並木 良子, 原 毅, 小泉 陽子, 中島 由香里
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 511-514
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,経口摂取が可能な高齢慢性期入院症例101例(男性40例,女性61例,年齢82±11歳)を対象に,FIMに基づく食事自立度と性を要因として,アルブミン等の生化学所見と体重,年齢を二元配置分散分析と多重比較で検討することである。食事自立度では総コレステロール(p<0.01),アルブミン(p<0.001),体重(p<0.005)に有意差を認めた。特にアルブミンは食事自立度の低下に伴い有意(p<0.05)に低値を示したことから,自立度の低い症例への栄養サポートに配慮が必要であることが示唆された。性差では女性は男性に比べ高齢(p<0.005),低アルブミン(p<0.05),低体重(p<0.0001)であり,栄養状態への留意がより必要と考えられる。
  • 松田 梢, 内山 靖
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 515-520
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    「痙縮筋に対する筋力増強運動」についての理学療法士の認識と実態を調査した。対象は,全国の理学療法士428人で,有効回答者数は221人(回収率51.6%)であった。「痙縮筋に対する筋力増強運動」について,現在,肯定的な認識を有するものが175人(79.2%)であった。しかし,実際の施行については,肯定的な認識を有するもののうち49人(22.2%)が消極的であった。実施しない理由は,「痙縮を増悪させる,回復を阻害する」が最も多かった。本邦においては,「痙縮筋に対する筋力増強運動」の必要性の認識は高いものの,十分なエビデンスが示されておらず,共通認識には至っていないことから,実際の施行には消極的である実態が明らかとなった。
  • 竹内 弥彦, 安達 さくら, 下村 義弘, 岩永 光一, 勝浦 哲夫
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 521-525
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,後方へのステップ反応時におけるCOPの加速度値とその制御に関わる筋力との関係から,高齢者の後方ステップ反応特性について検討を加えることである。対象は後方へのステップ動作が可能な健常高齢者10名と健常若年者13名とした。分離型フォースプレートからステップ動作時の足圧中心加速度を計測し,さらにハンドヘルドダイナモメータにより抗重力筋の筋力を求めた。重回帰分析の結果,足圧中心加速度の有意な説明変数として,高齢群では長腓骨筋力と大腿四頭筋力が検出され,若年群では中殿筋力が検出された。本研究の結果から,足圧中心加速度と筋力の関係において高齢群と若年群の違いが示されるとともに,高齢群の後方ステップ反応に関与する筋力が同定された。
  • 島谷 康司, 後藤 真希子, 金井 秀作, 長谷川 正哉, 大塚 彰, 沖 貞明
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 527-532
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,部分荷重学習時・重量識別課題時に足底のどの領域で知覚探索が行われているのかを検証することである。対象は健常成人男子11名,女子10名であった。F-scanを用い下肢部分荷重学習と重量識別課題の足底圧中心と足底接触圧ピークを計測した。下肢部分荷重学習では体重の1/2・1/3の2条件を,重量識別課題では座位・立位でおもりを足部の前方,後方に置く4条件で計測した。結果,知覚探索する範囲に違いは認められなかったが,立位の重量識別課題で,知覚探索するエリアにバラつきが認められた。下肢関節の自由度を保ち母指や中足骨部に足底圧をかけることにより,部分荷重技術の向上が得られるのではないかと考えられる。
  • ─既存の国際指標による検証─
    樋口 大輔, 新谷 和文, 内山 靖
    原稿種別: 研究論文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 533-539
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    頚髄症に対する理学療法評価項目とその判定基準を提示することを目的とした。頚髄症者55人を対象に,代表的な評価指標の中から下位項目ごとの度数分布を示し,下位項目間の関連性を検証した。その結果,手指巧緻運動障害および歩行障害は,自立度のみではなく,動作の円滑性や困難度を含めた機能・能力を評価することが適切であった。また,感覚障害は体幹の感覚障害の有無や日常生活活動への影響を考慮することが必要であることが示された。膀胱直腸障害は,排尿の開始遅延や頻尿の有無をまず聴取すべきである。今後は,これらの評価項目に基づき,頚髄症に対する効果的な理学療法を実践していくための障害構造および介入課題の検証を進める必要がある。
症例報告
  • 沖田 学, 森岡 周, 宮本 謙三, 八木 文雄
    原稿種別: 症例報告
    2007 年 22 巻 4 号 p. 541-545
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    立位姿勢バランスの維持に問題を有する脳腫瘍の症例へ足部機能に焦点を当てた運動療法を施行し,改善が認められたので報告する。この運動療法とは,重心の変化を知覚し制御する役割を担う足部の能力に対して,足部の変化を制御しながら変化を知覚して判断する認知過程を通じて運動学習していく認知運動課題である。この課題として,縦軸もしくは横軸の不安定板を水平保持させながら,両端のいずれかに配置した重量負荷の位置を判断させた。これを左右足に1日各10回施行し,正判断数を記録した。また,開眼・閉眼下における立位姿勢動揺を3,4日ごとに計測した。課題の進行に伴い立位重心動揺が減少したことから,視覚性外部情報ではなく,内部の感覚情報を手掛かりとして重心偏位を認知することにより,効果的で精密な立位姿勢バランス制御の達成が可能になることが示唆された。
解説
特集
  • 高倉 保幸, 高橋 佳恵, 陶山 哲夫
    原稿種別: 特 集
    2007 年 22 巻 4 号 p. 553-557
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    脳血管障害例に対する病巣に応じた運動学習の進め方を概説する。具体的には,病巣が,a. 4野~放線冠にある場合,b. 内方レベル以下の下位にある場合,c. 網様体にある場合,d. 辺縁系にある場合,e. 頭頂葉あるいは側頭葉,後頭葉にある場合,f. 前頭葉にある場合などに分けて説明する。
  • 大西 秀明, 相馬 俊雄, 大山 峰生, 大石 誠, 亀山 茂樹, 黒川 幸雄
    原稿種別: 特 集
    2007 年 22 巻 4 号 p. 559-564
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    自発運動を行うことにより,運動開始より1.5秒くらい前から「運動準備磁界」が記録される。運動開始直前には「運動磁界」,運動直後に「運動誘発脳磁界」の第一成分,第二成分,第三成分が認められる。これらの波形を総合して「運動関連脳磁界」という。運動関連脳磁界の各波形成分の意義については未だ明確でないことが多く,これらの各成分の意義や電流発生源を明確にし,運動制御や運動学習に応用することを我々の研究テーマとしている。本セミナーでは脳磁界反応についての簡単な説明と,今まで行ってきた脳磁図に関する3つの研究を紹介するとともに,脳磁図研究に至るまでの経緯等についても可能なかぎり説明していきたい。
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