理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
33 巻 , 4 号
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原著
  • 世古 俊明, 隈元 庸夫, 小川 峻一, 伊藤 俊輔, 三浦 紗世, 松田 涼, 信太 雅洋, 伊藤 俊一
    2018 年 33 巻 4 号 p. 551-554
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕徒手筋力計で得られた膝伸展筋力に関して,下腿長による補正の必要性を検討した.〔対象と方法〕中高齢者の地域一般住民108名(男性21名,女性87名)を対象とした.測定項目は膝伸展筋力,最大歩行速度,起立テスト,2ステップテストとした.膝伸展筋力は筋力値体重比(N/kg)とトルク値体重比(Nm/kg)を算出し,両者の再現性と相関および,パフォーマンス能力との関連を性別で検討した.〔結果〕男女ともに筋力値体重比とトルク値体重比は,高い再現性と相関を認めた.また男女における両測定値は,各パフォーマンステストとの相関関係に乖離を認めなかった.〔結語〕中高齢者に対する徒手筋力計での膝伸展筋力測定は,下腿長の影響を受けづらく,測定値の用途に留意しながら非補正値での検討が可能と思われる.
  • 岸本 智也, 河村 顕治, 中嶋 正明, 森下 元賀
    2018 年 33 巻 4 号 p. 555-559
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕立位矢状面アライメントとバランス能力との関係を検討すること.〔対象と方法〕対象は高齢女性26名とした.立位矢状面アライメントに関して,脊柱は仙骨傾斜角,胸椎・腰椎後弯角,脊柱前傾角,下肢は股関節・膝関節屈曲角,足関節底屈角を測定した.また,バランス能力に関して,タンデム立位時間とTimed Up & Go test(TUG)を測定した.〔結果〕腰椎後弯角,脊柱前傾角,股関節屈曲角,膝関節屈曲角はTUGと正の相関を認め,腰椎後弯角,股関節屈曲角,膝関節屈曲角はタンデム立位時間と負の相関を認めた.〔結語〕高齢女性において,腰椎後弯角,脊柱前傾角,股関節屈曲角,膝関節屈曲角が増加するほど,バランス能力が低下する可能性が示唆された.
  • 澄川 皓恵, 照井 佳乃, 菅野 絢子, 松井 優作, 上村 佐知子, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
    2018 年 33 巻 4 号 p. 561-567
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕新規3軸加速度計DynaPort MoveMonitor(DMM)の姿勢・動作判定の妥当性を検討することを目的とした.〔対象と方法〕健常大学生26名を対象とし,DMMにてCycling(自転車運動)が正しく判定される時間の割合を求めた.Sitting(座位),Standing(立位),Walking(歩行),Stair Walking(階段昇降)について感度の算出,およびBland-Altman分析を行った.〔結果〕自転車運動の正しく判定される割合は約3割であった.歩行と階段昇降の感度は各々80%以上であり,座位と立位を合わせた静的動作としての感度が88.5%だった.〔結語〕DMMにより自転車運動時間の約3割が正しく判定され,座位と立位は合わせて結果を判断する必要性が示唆された.
  • 齋藤 真紀子, 佐竹 將宏
    2018 年 33 巻 4 号 p. 569-576
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕筋腱温存法とDall法のTHA術式で身体機能と体幹,骨盤傾斜角度の経時的変化を比較検討した.〔対象と方法〕MIS群7例9股,Dall群14例14股を対象にROM,筋力,10 m歩行時間,HHS,歩容を術前,術後1週,2週,4週で評価し,比較対照は健常群10例10股とし経時的推移を分析した.〔結果〕術後4週でMIS群は股関節伸展,外転筋力が回復しDall群は外転筋力が遅延した.MIS群の体幹,骨盤傾斜は改善しDall群の骨盤傾斜は残存した.両術群は健常群より有意なROM制限,筋力低下,体幹傾斜がみられた.〔結語〕Dall群に比べMIS群の筋力回復や歩容改善が早かった。THA術式の相違は術後の経過に影響があり,早期から長期的に継続できるような運動内容で指導する必要がある.
  • 池田 翔一, 加賀美 蘭, 藤田 大輔, 山本 泰宏
    2018 年 33 巻 4 号 p. 577-580
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は運動負荷試験によって得られる無酸素性代謝閾値と自覚的運動強度が,ポールの種類によって異なるのかについて明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は男女10名とした.方法はトレッドミル式ランプ負荷法でウォーキング,ポール①(ストラップなし,ラバーチップ丸),ポール②(ストラップあり,ラバーチップ斜め)をそれぞれ行った.〔結果〕ウォーキングとポール①,ポール②のATとRPEの比較において,ウォーキングと比較したポール②のATが有意に上昇した.RPEはウォーキングとポール②に有意差は認められなかった.〔結語〕ポールの形状の違いがATに影響することが示唆された.したがって,ポール②は効果的な運動療法の補助具として活用できると考えられる.
  • 藤田 大輔, 久保 裕介
    2018 年 33 巻 4 号 p. 581-585
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は異なる歩行速度において一段階運動負荷試験の酸素摂取量の時定数(τVO2)の介入効果の基準となる最小可検変化量(MDC)を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は健常成人男性10名とし,4.5 km/hと6.0 km/hによる異なる歩行速度条件を設け,それぞれの速度条件における一段階運動負荷試験を2回ずつ行い,各速度条件においてVO2のMDCを求めた.〔結果〕4.5 km/hのMDCは14.7秒,6.0 km/hは4.9秒であった.〔結語〕6.0 km/hによって得られたτVO22のMDCは4.5 km/hよりも測定誤差が少なく,介入による変化量と近似していた.そのため,6.0 km/hに設定した一段階運動負荷試験におけるτVO2が4.9秒以上変化した場合,介入効果と判断できることが示唆された.
  • 吉村 修, 二宮 省悟, 楠元 正順, 吉田 勇一, 濵田 輝一
    2018 年 33 巻 4 号 p. 587-590
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕より良い理学療法士教育の構築を目指して,臨床実習指導者(以下,指導者)が考える指導者の理想像および臨床経験年数での理想像の違いの有無の把握を目的とした.〔対象と方法〕42施設の理学療法士を対象とし,任意に回答要請し,質問紙調査を行った.〔結果〕上位5番目までの頻出語が「学生」,「指導」,「できる」,「実習」,「能力」であった.「臨床の楽しさを伝える」,「能力に合わせた学生指導ができる」,「患者のことを一緒に考える」の3つのクラスターに分類された.臨床経験年数での違いは,「学生」,「考える」,「楽しい」,「合わせる」,「一緒」の5語で差を認めた.〔結語〕指導者の理想像を検討して理解することは,より良い理学療法士教育に役立ち,理学療法士の質の向上に必要であると考える.
  • 越智 亮, 福本 将久, 高見 亮介, 大古 拓史, 林 尊弘, 山田 和政
    2018 年 33 巻 4 号 p. 591-596
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕角度可変足プレートとひずみゲージで構成された運搬可能な特別制作受動トルク測定器(CPTI)で測定した下腿三頭筋の筋腱複合体スティフネスの基準関連妥当性と再現性を,等速性筋力測定器のデータと比較して検証すること.〔対象と方法〕健常若年者14名が参加した.CPTIで4つの背屈角度におけるトルクを記録し,得られた角度―トルク曲線の傾きをスティフネスとした.両機器とも3回計測した.〔結果〕級内相関係数(ICC)(1, 3)は,CPTIが0.81,等速性筋力測定器が0.86だった.CPTIのスティフネスは等速性筋力測定器よりも有意に低かった.両機器の間に加算誤差を認めた.〔結語〕CPTIは3回の計測で等速性筋力測定器と同等の再現性を有していたが,スティフネスは低く表されることが示された.
  • 今井 舞, 前田 眞治, 小暮 英輔, 近藤 智
    2018 年 33 巻 4 号 p. 597-603
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕靴べら型プラスチック製短下肢装具(SHB)の破損位置や外力の作用する点間の距離や,亀裂面の観察から,破損の特徴を導くこと.〔対象と方法〕実際に患者が装着し破損した6例のSHBを計測・観察した.〔結果〕破損は45°接線より上方に位置し上方(装具2,6)と下方(それ以外)破損に分けられると推測された.実測値を用いた2次式による亀裂部の傾きは82~90°で観察と一致した.繰り返しの力によると推測される凹凸の破面が5~15 mmみられ,瞬時に亀裂が生じたと考えられる平滑な面が観察された.〔結語〕破損SHB計測から底屈時の上方亀裂,背屈時の下方亀裂が推測され,82~90°の亀裂破面は凹凸不整破面形成後,平滑面へ移行するのが特徴と考えられた.
  • 矢部 広樹, 塚本 美月, 竹内 詩保美, 伊藤 沙夜香, 大見 関, 塩﨑 みどり
    2018 年 33 巻 4 号 p. 605-609
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕大腸がん患者の周術期における体重減少に影響する要因を検討した.〔対象と方法〕大腸がん患者57例を対象に,手術前と術後10日目の体重,Short Physical Performance Battery(SPPB),6分間歩行距離,握力,骨格筋指数,体脂肪率を,手術後の離床経過として端座位獲得日,病棟歩行開始日を,栄養摂取状況として術後10日間における食事開始日,総エネルギー摂取量,エネルギー充足率を測定し,体重減少率との相関関係を検討した.〔結果〕体重減少率は骨格筋指数(r=-0.62)と体脂肪率(r=0.33)の変化量と有意な相関関係を認めた.その他の項目とは有意な相関関係を認めなかった.〔結語〕大腸がん患者において,体重減少の防止には骨格筋の維持と脂肪の燃焼が関連する可能性が示された.
  • 山田 英司, 福田 航, 片岡 悠介, 池野 祐太郎, 川上 翔平, 青芝 貴夫, 村本 浩章, 清水 亮介, 須崎 裕司, 酒井 淳子, ...
    2018 年 33 巻 4 号 p. 611-617
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕健常高齢者とgradeIIの変形性膝関節症患者(GII群)を対象として,3次元動作解析装置による歩行分析を施行し,gradeII患者の立脚期の関節可動域の変化の特徴を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕50名の健常高齢者と44名のGII群の,膝関節外反モーメントの比較,骨盤,股関節,膝関節,足関節の矢状面と前額面の関節運動の比較を行った.〔結果〕GII群では立脚中期に膝関節外反モーメントが有意に大きかった.立脚期中の膝関節屈曲可動域はGII群で有意に大きい部分を多く認め,股関節や足関節の可動域にも有意差を認めた.前額面では,荷重応答期の足関節内反角度に有意差を認めた.〔結語〕重症度の低い変形性膝関節症でも健常高齢者と関節角度の変化が異なっていることが明らかとなった.
  • 檜山 宏太, 石山 優太, 小沼 亮太, 齋藤 彩花, 殿村 由樹, 貞清 香織, 石坂 正大
    2018 年 33 巻 4 号 p. 619-622
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕円背姿勢が家庭用体組成計における体組成成分の測定値に及ぼす影響を明らかにする.〔対象と方法〕健常男性40名とした.家庭用体組成計を用いて同一被験者で通常測定(通常条件),円背指数19.4 ± 2.0の擬似円背装置を用いた円背姿勢で身長入力測定(円背条件),円背姿勢でその姿勢で身長を測定した(円背身長条件)の3条件で身体組成を測定した.〔結果〕通常条件と円背条件では,すべての値において有意差はみられなかった.円背身長条件は他の条件と比較し,全筋肉量,四肢骨格筋量が有意に低値を示し,SMI,体脂肪率は有意に高い値を示した.〔結語〕家庭用体組成計においても,円背による身長低下は体組成成分の測定値を変化させることが明らかになった.
  • 後藤 和也, 山本 達郎, 柏崎 ももこ, 三浦 夏穂, 久保 晃
    2018 年 33 巻 4 号 p. 623-629
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕要支援高齢者の歩数を縦断的に測定し,経時的な変化を介護度の違いを含めて明らかにすること.〔対象と方法〕3軸式加速度計付き歩数計を使用し,要支援1(10名)と2(8名)の1年間の歩数を測定した.〔結果〕両群ともに1年間において歩数は有意に減少し,特に夏期に減少する傾向にあった.介護度別では,要支援2で歩数が有意に少なく,要支援1で歩数の変化率が著しかった.日常生活動作は支援1,2とも維持されていたが歩数は減少し,減少率は介護度により異なった.〔結語〕要支援高齢者に対する理学療法を施行するにあたり,歩数を一つの評価項目として捉えることは重要であり,介護度の違いによる特徴を反映する可能性があることが示唆された.
  • 松田 雅弘, 大山 隆人, 田上 未来, 新田 收, 楠本 泰士, 栗原 靖, 越田 専太郎, 橋本 俊彦
    2018 年 33 巻 4 号 p. 631-636
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕子どもの運動不足により,運動器疾患を罹患しやすい子どもが増加している.千葉県内スポーツフェアで現状を把握することを目的とした.〔対象と方法〕子ども336名に運動項目7項目の測定とアンケートを実施した.〔結果〕運動項目で不可の割合が多かったのは腹筋運動,からだ挙げ,四つ這いバランス,体前屈であった.運動習慣は69.6%が毎日~ほぼ毎日運動していた.現在または過去の運動器の疼痛は16.4%,37.2%,日常的によく転倒する子が26.1%であった.過去の運動器の疼痛はしゃがみ込み,腹筋運動,転倒との間に,転倒のしやすさはからだ挙げ,つま先立ち,片脚立ちの間に有意差があった.〔結語〕基本的な運動機能が低下している子どもが多く,その運動項目と運動器の疼痛や転倒のしやすさが関連していることが考えられる.
  • 松田 雅弘, 倉山 太一, 栗原 靖, 田上 未来, 楠本 泰士, 新田 收
    2018 年 33 巻 4 号 p. 637-641
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕傾斜の違いによる立位姿勢制御について,重心動揺計を用いて検証した.〔対象〕健常大学生15名(平均年齢21.0歳)とした.〔方法〕重心動揺計測は,水平条件とつま先を上方・下方に8°傾斜させた条件にて,静的重心動揺計測を開脚立位で30秒間測定した.また,前後左右に最大限重心を移動し,10秒間立位保持させた際の安定的限界閾値(Index of Postural Stability:IPS)を求めた.〔結果〕水平条件に比べ,上方・下方傾斜条件の重心動揺が有意に大きい項目が多かったが,IPSに有意差はなかった.〔結語〕健常成人の傾斜条件では,重心動揺面積は増大したが,IPSが変化しなかったことが示唆された.
  • 高橋 慧朗, 山田 拓実
    2018 年 33 巻 4 号 p. 643-646
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕背臥位における頸部と上肢肢位の操作が局所換気量と胸腹部体積に与える影響を検討すること.〔対象と方法〕健常若年成人男性15名を対象とした.背臥位にて頸部中間位と回旋60°位,上肢外転10°と90°と135°位を組み合わせ6肢位にて行った.対象者は呼吸流量計をつけて安静呼吸を行い,胸腹部の呼吸運動を三次元動作解析装置で解析した.胸腹部は左右二分割,上下三分割(上部胸郭,下部胸郭,腹部)の6つに分割した.一回換気量(VT),呼気終末胸腹部体積(EERAV),部位別EERAVをExcel VBAを用いて算出した.〔結果〕部位別EERAVは上肢外転10°位に比べ,135°位では同側下部胸郭で有意に増大した.VT,EERAVは頸部と上肢肢位の影響を受けなかった.〔結語〕上肢外転135°位は同側の下部胸郭の呼気終末肺気量位を増加させる可能性が示唆された.
  • 福田 浩巳, 石橋 雄介, 西田 宗幹, 眞島 利匡, 吉川 博展
    2018 年 33 巻 4 号 p. 647-651
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕地域包括ケア病棟から介護老人福祉施設へ退院した患者の再入院に影響を及ぼす因子を検討し,再入院予防への一助とすること.〔対象と方法〕対象は76名とした.方法は,診療録より後方視的に行い,退院日から3ヵ月以内に再入院した群,しなかった群の2群に分け,疾患,年齢,性別,機能的自立度評価表,栄養状態の指標,退院先へ情報提供を行う際の伝達方法を群間で比較し多変量解析を行った.〔結果〕再入院の契機となった疾患は,医療・介護関連肺炎が1番多くを占めた.再入院に影響を及ぼす因子は,血清アルブミン値,食事形態,情報提供を対面にて伝達が抽出された.〔結語〕栄養状態の改善に取り組み,食事形態,食事摂取時のポジショニング,介助方法を対面で伝達することが再入院減少の一助となり得る可能性が示唆された.
  • 永田 裕恒, 藤田 大介, 小原 謙一, 氏川 拓也, 平田 晶奈
    2018 年 33 巻 4 号 p. 653-657
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕重症心身障害児の背臥位,抱きかかえ座位,座位保持装置上座位それぞれの姿勢が快適性を得ているか否かについて検討することである.〔対象と方法〕対象は粗大運動能力分類システム レベル Vの児童7名.背臥位,抱きかかえ座位,座位保持装置上座位の3条件にて,ワイヤレス心電計を用いて心拍データを記録した.周波数解析より得た低周波成分(LF),高周波成分(HF)とし,LF/HFを交感神経,HFを副交感神経の指標として3条件で比較した.〔結果〕抱きかかえ座位が他の姿勢と比べてLF/HF,HFともに有意な変化を示した.〔結語〕抱きかかえ座位は心地よい状態となり副交感神経が増加,交感神経が低下することで快適性を得ていると考えられた.
  • 篠崎 真枝, 浅川 育世, 大橋 ゆかり
    2018 年 33 巻 4 号 p. 659-667
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕臨床実習指導者が感じる困難ならびに効果的と考える指導方法について明らかにする.〔対象と方法〕実習指導者の経験のある理学療法士16名に対し半構造化面接法を行い,内容分析した.〔結果〕指導上の困難・問題では,【A④学生の情意面,実習態度,学習姿勢の問題】,【A⑪指導者としての資質や指導力の問題】などの15カテゴリーが形成された.効果的な指導では,【B⑦学生の能力に合わせ,段階的に経験を積ませる指導】,【B⑭実習の課題に関する意見】など17のカテゴリーが形成された.〔結語〕実習指導者の感じる指導上の困難と効果的な指導では,カテゴリーの一致がみられ,これらを困難に対する対応策の提案につなげていきたい.
  • 藤本 修平, 小向 佳奈子, 杉田 翔, 小林 資英
    2018 年 33 巻 4 号 p. 669-674
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕リハビリ分野のRCT論文において,研究結果を印象付けるために本来目的とした結果以外を強調するSPINについて検証することとした.〔対象と方法〕対象文献の検索は MEDLINEなどを用いた.本文中に主要アウトカムが明記されておらず,かつ主要アウトカムの結果が統計的に有意差を認めるものは除外した.SPINは,抄録と本文の内容を比較し,主要アウトカムが有意でないものの介入の利益を強調するように記載しているか評価した.〔結果〕SPINであった抄録は32/42件(76.2%)で,本文の結果では20/42件(47.6%)であった.〔結語〕リハビリ分野のRCT論文の内容は,抄録の内容や本文の結果,考察からのみから判断することの危険性が示唆された.
  • 山下 喬之, 四元 祐子, 松野下 信三, 長津 秀文
    2018 年 33 巻 4 号 p. 675-682
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ルーブリックを使用した実習指導者の感想を内容分析を用いて検証し,様式改訂の際に必要となる客観的な知見を得ることを目的とする.〔対象と方法〕臨床実習指導者189名を対象に,ルーブリックを使用した感想を問う質問紙への回答を依頼し,自由記述欄に記述された内容を対象として,内容分析を行った.〔結果〕集約した結果より,54の文脈単位と,98の記録単位が抽出され,14のサブ・カテゴリから,さらに4つのカテゴリが形成された.〔結語〕内容分析の結果から,ルーブリックの利点,課題,具体的な要改善箇所,今後の可能性に関する知見を得ることができた.本研究の結果は,今後実用性の高いルーブリックへと改訂を行う際の有益な根拠の一つとなると考えている.
  • 森田 義満, 金子 秀雄, 森田 由佳, 平田 大勝, 光武 翼, 吉村 和代
    2018 年 33 巻 4 号 p. 683-687
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕腹部大動脈瘤(AAA)人工血管置換術例に対して,当院で独自に作成した早期離床プログラムの試みが,合併症を予防し在院日数の短縮に寄与するのか検討した.〔対象と方法〕AAA人工血管置換術を施行された23例を対象とした.調査項目は,歩行練習開始日数,歩行自立日数,合併症および在院日数とした.〔結果〕理学療法介入時に出血等の有害事象は認めなかった.待機手術例は,全例が早期自立群に分類された.先行研究と比較した結果,当院の早期自立群は有意に高齢であったが,歩行練習開始は有意に早く,在院日数および合併症発生率は同等に抑制することができた.〔結語〕早期離床プログラムによる術後1日目からの歩行練習は,歩行自立日数の短縮および合併症の予防に寄与し,早期退院に貢献する可能性がある.
  • 雨宮 耕平, 来間 弘展, 山内 智之
    2018 年 33 巻 4 号 p. 689-693
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では腹臥位股関節伸展運動(prone hip extension:PHE)時の筋活動パターンと歩行時の股関節・骨盤の関節運動との関係性について検討した.〔対象と方法〕対象は健常若年男性29名とした.PHE課題では,股関節伸展運動を行わせた際の脊柱起立筋,多裂筋,大殿筋,半腱様筋の筋活動開始時間を測定した.歩行課題では立脚後期における股関節伸展角度,骨盤前傾角度・回旋角度を測定した.PHE時の各筋活動開始時間と,歩行立脚後期の各関節角度について相関分析を行った.〔結果〕PHE時の多裂筋,対側脊柱起立筋の活動開始時間と歩行立脚後期の股関節伸展角度に負の相関を認めた.〔結語〕PHE時に多裂筋,対側脊柱起立筋の活動開始が遅延する者ほど,歩行立脚後期の股関節伸展角度が小さかった.
  • 飯田 修平, 青木 主税
    2018 年 33 巻 4 号 p. 695-699
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕一側股関節外転抵抗運動を行い,反対側股関節外転の連合反応が生じた際の脳血流動態の観察を行った.〔対象と方法〕対象は成人男性20名とした.背臥位にて最大筋力の80%の強度で右側股関節外転の等尺性抵抗運動を行った.連合反応の出現の判断として,筋電図で左股関節外転筋の収縮を確認しながら実施した.その際の大脳皮質の運動関連領域の脳血流動態を近赤外分光法装置にて測定した.〔結果〕左右の運動前野,左側の一次運動野において,安静時に比べて課題時の表面脳血流動態の有意な増加が認められた.〔結語〕連合反応という無意識下での筋収縮においても,支配側(反対側)の運動前野の脳活動が関与する可能性が示唆された.
  • 小暮 英輔, 原 毅, 石井 貴弥, 前田 眞治, 今井 正樹
    2018 年 33 巻 4 号 p. 701-706
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕消化器がん患者の退院後の倦怠感の強弱で手術前・手術後の倦怠感や運動耐容能に変化や差があるかを調査した.〔対象と方法〕対象は消化器がん患者51例である.方法はCancer Fatigue Scale(CFS),6分間歩行距離(six minute walk distance:6MWD)を手術前・手術後・退院後で測定し,退院後CFS総合計19点以上(増強群)と19点未満(減弱群)に分け,後方視的に2群間で比較した.〔結果〕CFS総合計で交互作用と主効果,6MWDで2群間に主効果を認めた.減弱群はCFS総合計が徐々に低下するのに対し,増強群は手術前から常に高値だった.〔結語〕増強群は手術前から倦怠感が強く運動耐容能が低下している可能性が示唆された.
  • 久保 裕介, 髙仲 理江, 杉山 秀平, 池谷 昌枝, 杉浦 武, 中嶋 仁美, 鈴木 友美, 小堀 かおり, 小堀 眞
    2018 年 33 巻 4 号 p. 707-712
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)後に発生する術部腫脹に関連する術前因子を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は片側TKAを施行した14名とした.術前から術後4日目における大腿周径の増加率を術部腫脹とした.術前因子の身体機能面として術側膝関節伸展筋力および10 m最大歩行速度,栄養面として多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)の摂取状況を評価した.〔結果〕術部腫脹(膝蓋骨上縁10 cm)と有意な関連性が認められた術前因子は,n-6PUFA摂取量のみであった(r=0.57; p<0.05).〔結語〕TKA後に発生する術部腫脹には,術前のn-6PUFA摂取量が関与することが示唆された.
  • 大谷 拓哉, 三和 真人, 雄賀多 聡, 竹内 弥彦, 高杉 潤, 太田 恵, 藤尾 公哉
    2018 年 33 巻 4 号 p. 713-718
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/21
    ジャーナル フリー
    〔目的〕床上での仰臥位から長座位へと姿勢を変換する起き上がり動作時の身体各関節の動きを明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は若年健常男性10名とした.起き上がり動作は体幹を回旋させずに前方へと起き上がる動作とした.三次元動作解析装置を用いて動作時の各関節運動を計測した.〔結果〕頭部は動作序盤に屈曲運動を示し(最大屈曲角度は約50°),肩関節も動作序盤に屈曲運動を示した.股関節は動作序盤にわずかな伸展運動を示した後,屈曲運動へと移行した.〔結語〕本研究で示された前方への起き上がり動作時の関節運動に関する知見は,関節可動域を評価したり治療目標を立てる際の一助になると考えられる.
症例研究
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