理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
34 巻 , 1 号
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原著
  • 上田 泰久, 上條 史子, 大竹 祐子, 大川 孝浩, 千代丸 正志, 望月 久
    2019 年 34 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕高齢者における立位姿勢の安定性と頭頸部肢位・足趾筋力の関係について検討することである.〔対象と方法〕対象は健常高齢男性30名とした.立位姿勢の安定性は姿勢安定度評価指数(IPS)で評価した.重心動揺計を使用して開眼・開脚10 cmの立位で,頭頸部肢位(中間位・屈曲位・伸展位・側屈位・回旋位)でIPSを測定した.また足指筋力測定器を使用して端座位で左右の足趾筋力を測定した.〔結果〕IPSは屈曲位と側屈位間でのみ有意な差が認められた.全ての条件におけるIPSと足趾筋力はそれぞれ有意な正の相関が認められた.〔結語〕立位姿勢の安定性は屈曲位より側屈位で低下した.またIPSが高いと足趾筋力も大きい傾向であった.

  • 中江 基満, 赤田 直軌, 瀬 大和, 山本 智也, 川上 寿一
    2019 年 34 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕周術期消化器がん患者の退院後生存期間との関連因子を検証することを目的とした.〔対象と方法〕対象は,当院周術期消化器がんリハビリテーションの対象となった62名とした.身体機能は,握力,膝伸展徒手筋力検査法,ピークフロー,片脚立位保持時間,10 m歩行速度,連続歩行距離,機能的自立度評価表を術前後に実施した.年齢,各術前身体機能,各身体機能変化率,術後入院日数,術後リハビリテーション介入日数,がんstageと退院後生存期間との関連性を分析した.〔結果〕退院後生存期間は,左握力変化率,術後入院日数,リハビリテーション介入日数と相関が認められた.また,がんstage別で有意差が認められた.〔結語〕周術期消化器がん患者における術前後左握力変化率が退院後生存期間と関連している可能性が示唆された.

  • 谷口 弘剛, 都志 和美, 山崎 俊明
    2019 年 34 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕漸増荷重を行うことによる廃用性筋萎縮の回復を長軸部位にて検討することを目的とした.〔対象と方法〕8週齢のWistar系雄ラットの左ヒラメ筋を対象とした.対象を無作為に無処置のまま飼育する群(C群)と後肢懸垂処置を実施する群(H群),漸増荷重を1日1回行う群(G群),同様に一定の荷重を1日1回行う群(W群)に振り分けた.検討項目は各群と部位ごとの筋線維横断面積,壊死線維・中心核線維の比率とした.〔結果〕筋線維横断面積において,H群・W群では近位部の有意な減少がみられたが,G群では部位による相違はみられなかった.壊死線維比率ではG群の近位部で他の部位と比較して有意な増加がみられた.〔結語〕漸増荷重が最も廃用性萎縮の影響を受けやすい近位部に対し効果的な方法であることが示唆された.

  • 加嶋 憲作, 山﨑 裕司, 津田 泰路, 横畠 和宏, 竹村 誠, 安井 正顕
    2019 年 34 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕等尺性膝伸展筋力が最大歩行速度に及ぼす影響を明らかにすることである.〔対象と方法〕65歳以上85歳以下の高齢入院男性患者138例とした.等尺性膝伸展筋力により対象者を5群に分類し,各群の最大歩行速度,歩幅,歩行率を算出した.〔結果〕低い筋力区分ほど最大歩行速度,歩幅,歩行率は低値を示した.0.50 kgf/kg以上の筋力区分では最大歩行速度に有意差を認めなかった.一方,0.50 kgf/kg未満ではすべての群間で有意差が認められた.〔結語〕等尺性膝伸展筋力が0.50 kgf/kgを下回る場合,最大歩行速度は制限される.

  • 岡棟 亮二, 宮下 浩二, 谷 祐輔, 太田 憲一郎, 衛門 良幸, 小山 太郎, 松下 廉
    2019 年 34 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕様々な高位で吸気時の胸郭拡張制限を行い,制限の有無による胸郭運動の変容を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕健常男性19名を対象とした.胸郭の上位,中位,下位の高さに反射マーカーを貼付し,立位で吸気時の胸郭運動を分析した.胸郭拡張制限は,胸郭の肩甲骨下角直下,第12胸椎棘突起の高さ,およびその両方で行い,制限なしも含めた4条件で吸気時の反射マーカー間距離の変化量を比較した.〔結果〕肩甲骨下角直下の胸郭拡張制限では胸郭の上位と中位で,第12胸椎棘突起の胸郭拡張制限では胸郭の中位と下位で運動が制限された.〔結語〕部分的な胸郭拡張制限が生じた場合,その近接の部位の胸郭運動は影響を受けるが,遠隔の部位への影響は小さいことが示された.

  • 山田 英司, 福田 航, 片岡 悠介, 池野 祐太郎, 川上 翔平, 青芝 貴夫, 村本 浩章, 清水 亮介, 須崎 裕司, 酒井 淳子, ...
    2019 年 34 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究の目的は内側楔状開大式高位脛骨骨切り術(OWHTO)術後のFTAと歩行中の膝関節内反角度との関係と,膝関節のアライメントの変化が,歩行中の股関節と足関節の前額面の角度に及ぼす影響を明らかにすることである.〔対象と方法〕当院にて,OWHTOが施行された49名を対象とした.術前と術後1年時に歩行分析を行い,FTAと立脚期50%時点の膝関節内反角度との関係を検討した.また,股関節,膝関節,足関節の立脚期50%の時点の値を術前後で比較した.〔結果〕FTAと立脚期50%時点の膝関節内反角度との間には中等度の正の相関関係を示した.〔結語〕術後はFTAと歩行中の膝関節内反角度は完全に一致しないことを留意する必要があると考えられた.

  • 篠原 智行, 齊田 高介, 田中 繁弥, 宮田 一弘, 山上 徹也
    2019 年 34 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕Brief-Balance Evaluation Systems Test(BESTest)の6セクションの特性を検証することを目的とした.〔対象と方法〕地域在住高齢者58名を対象に,Brief-BESTest,四肢骨格筋量,握力,大腿四頭筋筋力を測定した.Brief-BESTestの各セクションの得点集計,および測定項目との相関係数を算出した.〔結果〕セクションのうちⅠを除いて床効果は少なかった.各セクション同士のSpearmanの順位係数は0.33から0.77であり,筋量,筋力との相関はセクションにより異なった.〔結語〕Brief-BESTestの6セクションは,全て同じバランス評価ではないことが示唆され,セクションに着目した介入展開の可能性が示唆された.

  • 津嶋 勇一, 藤田 和樹, 小林 康孝
    2019 年 34 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕痙性片麻痺患者における麻痺側足関節機能と足関節周囲筋の歩行時筋活動の関連性を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は慢性期脳卒中患者25例とした.足関節機能評価はmodified Ashworth Scaleおよびクローヌススコア,足関節自動および他動背屈角度とし,歩行時筋活動評価は快適歩行速度による10 m歩行とした.統計は足関節機能評価項目と麻痺側下肢筋活動との相関関係を分析した.〔結果〕足関節底屈筋の痙縮は立脚期の足関節底筋活動との間には有意な相関を認めず,遊脚期の筋活動との間には有意な相関を認めた.〔結語〕安静時に痙縮を認める場合,立脚期に影響を与える可能性は低く,一方で遊脚期に内反尖足などが生じる可能性がある.

  • 池田 拓郎, 後藤 和彦, 岡 真一郎, 杉 剛直, 福田 裕樹, 後藤 純信
    2019 年 34 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕Alzheimer型認知症者や軽度認知障害者の視覚情報処理障害のバイオマーカーおよびリハビリテーションの評価指標の構築を目指し,刺激頻度の異なる閃光刺激を与えたときの定常状態型視覚誘発電位(SS-VEPs)の特徴を解析し,健常成人の視覚野の応答反応を定量的に解析した.〔対象と方法〕対象は健常成人10名とし,閃光刺激の刺激頻度を10段階(3,6,7,8,9,10,11,12,15,18 Hz)に変化させ,頭皮上14部位よりSS - VEPsを記録した.得られた波形を高速フーリエ解析し,power値を算出した.〔結果〕1 F成分の振幅は刺激頻度10 Hzで最大を示した.〔結語〕健常成人の大脳皮質視覚野の神経活動は閃光刺激による刺激頻度の違いによって異なる反応特性があることがわかった.

  • 山下 淳一, 堀本 ゆかり
    2019 年 34 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕初任者教育の効果を確認する目的で調査を行った.〔対象と方法〕当院で実施している1年目から3年目を対象とした初任者教育研修プログラムに参加し,本調査に同意が得られた22名である.研修前後にCFPT調査を実施し比較した.〔結果〕1年目では,思考・PT技術,2年目では,思考・PT技術・態度において,研修前後で有意差を認めた.3年目では,研修後にすべての項目が平均値以上の値を示した.〔結語〕当院の研修プログラムは,臨床能力向上を目指し,基本的な理学療法介入を段階的にすすめるよう設計されている.CEPTの結果より,特に治療介入に必要とされるPT技術・思考の向上が示された.本プログラムでは,特に1年目2年目での効果が大きいことから,入職初年度や2年目職員の臨床能力研修の有用性が示唆された.

  • 岸田 和也, 石垣 智也, 平田 康介, 山野 宏章, 松本 大輔
    2019 年 34 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕回復期リハ病棟退院直後に訪問リハを利用した日常生活活動に介助を要する者の家族介護負担軽減とその関係要因を検討すること.〔対象と方法〕17名を対象に介護負担尺度(J-ZBI_8)の開始時と30日後,終了時(180日後または調査終了時)との変化量と各評価項目の相関分析を行った.〔結果〕介護負担軽減は,30日後では頻回な訪問リハの実施,良好な利用者家族関係,頻回な家族教育,密なケアマネジャーとの連携,終了時では頻回かつ密な家族教育と有意な関係を認めた.〔結語〕退院後の介護負担軽減には,短期的には集中的な介入による頻回な家族教育,良好な利用者家族関係の支援や他職種連携,中長期的には指導内容を実践できるよう,密な家族教育が重要であることが示された.

  • 井上 宜充, 隆島 研吾, 高木 峰子, 島津 尚子
    2019 年 34 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕初回心不全で入院中の患者と担当理学療法士が必要と考える退院支援の特性と差異を調査すること.〔対象と方法〕対象は65歳以上の心不全初回入院患者16名とその担当理学療法士7名とした.本研究ではQ分類法を使用し心不全患者が必要とする退院支援に関する価値観を調査した.〔結果〕両群ともに必要性が高いとした退院支援は「再発時の対応」であった.両群で差異を認めたのは「運動の効果目的」と,「運動のリスク説明」で患者群の必要性は理学療法士群に比べ低かった.〔結語〕本研究の結果から両群ともに再発予防のために塩分・水分・体重の管理が効果的であることを意識していた.理学療法士群に比べ患者群では「運動」に関する必要性が低く,今後運動に関連した指導への課題があることが示唆された.

  • 小山 貴之, 中丸 宏二, 相澤 純也
    2019 年 34 巻 1 号 p. 69-73
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究は,体外衝撃波療法(SWT)が疼痛閾値に及ぼす影響を検討した.〔対象と方法〕対象は,大学アメリカンフットボール選手のうち,一定部位に4週間以上の疼痛を有する者7名9部位とした.SWT照射を疼痛誘発部位に72時間空けて2回施行した.100 mm Visual Analog Scale(VAS),知覚テスターによる表在痛覚閾値,圧痛計による圧痛閾値を第1回照射前後(1日目),2日目,第2回照射前後(4日目),7日目,14日目に測定した.〔結果〕VASは7日目・14日目が1日目よりも有意に減少し,圧痛閾値は7日目が1日目よりも有意に上昇した.〔結語〕本研究では2回の照射により7日目で疼痛軽減が認められ,スポーツ選手の慢性疼痛に対して有効と考えられた.

  • 屋嘉比 章紘, 久保 晃, 石坂 正大, 小野田 公, 塙 雄太
    2019 年 34 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕超音波画像診断装置を用いて健常成人の腹部体幹筋輝度の性差を検討することを目的とした.〔対象と方法〕健常成人男性25名(平均年齢23.2 ± 3.0歳),女性28名(23.3 ± 2.5歳)とした.安静時の腹直筋と腹横筋の筋輝度の比較を行った.〔結果〕腹部体幹筋の筋輝度は,男女間で有意差はみられなかった.しかし,女性の腹直筋と腹横筋の筋輝度では,腹横筋が有意に小さくなった.〔結語〕健常成人の腹部体幹の筋輝度に有意な性差はみられなかった.これは,対象者が健常成人であったためだと考える.今後,年齢による性差の検討を行っていく必要がある.

  • 松浦 晃宏, 富村 浩太, 苅田 哲也, 近藤 至宏, 吉野 開, 石川 衛, 森 大志
    2019 年 34 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕時間帯の違いが動的立位重心動揺に及ぼす影響について重心動揺計と筋電図を用いて検討した.〔対象〕対象は健常成人9名とした.〔対象と方法〕対象者は朝の起床直後と夕方に,重心動揺計立位で前後左右へ重心を移動するCross Testを行い,その際の筋電図を前脛骨筋および腓腹筋(外側・内側)から記録した.〔結果〕朝は重心移動課題の正確性が低下し,閉眼条件でY方向の重心可動域が夕方より減少した.また,筋活動は朝に開眼条件で増大した.〔結語〕朝は立位バランスが不良で正確な課題遂行が困難であり,前後の可動範囲が減少する.その減少を補正するために,より大きな筋出力を必要とすることが考えられる.

  • 藤下 裕文, 浦辺 幸夫, 前田 慶明, 酒井 章吾, 小宮 諒, 平田 和彦, 三上 幸夫, 木村 浩彰
    2019 年 34 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究の目的は,下肢切断者の非切断側の筋収縮特性について調査することである.〔対象と方法〕対象は,運動習慣のある下肢切断者6名と健常成人7名とした.筋収縮特性測定器(Tensiomyography)を用いて,電気刺激に対する筋の収縮速度や筋幅の最大変位量の測定を行った.測定部位は,下肢切断者では非切断側,健常者は利き脚とし,腓腹筋外側頭,内側頭,大腿直筋,外側広筋,内側広筋の5筋とした.〔結果〕下肢切断者では腓腹筋の収縮時間が健常者よりも有意に遅延した.〔結語〕下肢切断者の非切断側下肢では健常者と筋収縮特性が異なることを示唆した.

  • 田中 重陽, 今若 太郎, 角田 直也
    2019 年 34 巻 1 号 p. 89-96
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究ではMCセンサー法を用いて異なる関節角度における等尺性収縮時の膝伸展筋群および膝蓋腱の力学的活動について検討した.〔対象と方法〕対象者は健康な成人男性11名とした.測定は股関節角度0°および90°,膝関節角度30°および90°を組み合わせた4つの姿勢で行った.内側広筋斜頭,外側広筋,大腿直筋および膝蓋腱の形状変化量はMCセンサー法により計測した.〔結果〕膝伸展筋群の形状変化量は,膝関節および股関節角度の影響を受けるが,その影響は各筋によって異なった.膝蓋腱の形状変化量は膝関節30°よりも90°が有意に高い値を示した.〔結語〕MCセンサー法で計測した形状変化量は,筋および腱の活動動態を評価する指標として活用できる可能性が示唆された.

  • 針谷 遼, 川崎 翼, 矢野 秀典
    2019 年 34 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕Mirror Visual Feedback(MVF)を得ている間の鏡に隠された対象側手を,非対称側の運動と同期して動かすことが運動パフォーマンスの向上に有益か否かを明らかにすることとした.〔対象と方法〕健常成人30名を,MVFを得ている間に対象側手を脱力する群(MVF群),非対象側手と同期した運動を行う群(MVF+rotation群),コントロール群の3群に分け,ボール回し課題に要する時間の変化を評価した.〔結果〕MVF群のみ,介入前に比して介入直後,10分後,1日後においてボール回し時間の有意な減少を認めた.また,MVF群はMVF+rotation群よりも運動錯覚程度が強かった.〔結語〕MVFを得ている間は対象側手を脱力させておく方が効果があることが示唆された.

  • 松井 剛, 加藤 宗規, 山﨑 裕司
    2019 年 34 巻 1 号 p. 103-106
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕立位保持が困難な重症片麻痺者における立位保持時間を平行棒把持条件と垂直棒把持条件において比較した.〔対象と方法〕対象は,平行棒内立位保持が困難な脳卒中片麻痺患者9症例とした.平行棒片手把持での立位条件(条件A)と,垂直棒片手把持での立位条件(条件B)における立位保持時間を5日間にわたって計測し,比較した.〔結果〕5日間とも条件Aに比較して条件Bにおいて立位保持時間は有意に長かった(p<0.05).6例は,5日目の条件Bにおいて60秒の立位保持が可能となったが,条件Aでは不可能であった.〔結語〕平行棒での立位保持が困難な重症片麻痺者に対しては,垂直棒の利用を検討すべきである.

  • 細谷 志帆, 佐藤 洋一郎, 春名 弘一
    2019 年 34 巻 1 号 p. 107-110
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕理学療法学における講義科目での基礎知識の定着の度合いを分析し,演習科目の展開について考察することを目的とした.〔対象と方法〕理学療法学科2学年前期講義科目と後期演習科目を履修した80名とした.講義科目で実施した中間試験および期末試験における基礎知識を問う問題を,関連する後期の演習科目の始講日に事前アナウンスなく確認テストとして実施し,知識の定着の度合いを検討した.〔結果〕中間および期末試験範囲のいずれも確認テストで点数は有意に低く,特に期末試験範囲で低かった.知識の定着の度合いは,前期の試験結果の7割程度であった.〔結語〕前期の単位が取得されていても知識は定着していないこと,さらに試験勉強の仕方により定着の度合いが異なることを前提に演習科目の展開を考慮する必要性が示唆された.

  • 沢谷 洋平, 石坂 正大, 久保 晃, 貞清 香織, 屋嘉比 章紘, 佐藤 珠江, 柴 隆広, 小野田 公, 丸山 仁司
    2019 年 34 巻 1 号 p. 111-114
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕通所リハビリテーション利用者のサルコペニアの有病率と特徴を明らかにすること.〔対象と方法〕当施設を利用している93名(男性49名,女性44名)を対象とした.握力,歩行速度,骨格筋指数を測定し,AWGSの診断アルゴリズムを参考に有病率を算出した.〔結果〕サルコペニアは93名中48名に該当し,有病率は全体51.6%,男性44.9%,女性59.0%であった.また,握力と歩行速度に低下がなく標準骨格筋指数の対象者は,男性9名,女性2名であった.〔結語〕通所リハビリテーションを利用している要支援・要介護高齢者のサルコペニアの有病率は,全体で51.6%と非常に高いことが明らかとなった.当施設においては女性の有病率が高く,女性のほとんどが,握力,歩行速度,骨格筋指数のいずれかが低下していた.

  • 神尾 博代, 丸山 仁司
    2019 年 34 巻 1 号 p. 115-118
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕骨盤底筋群を随意収縮させることができる割合,できない割合を調査し,現状を把握すること.〔対象と方法〕出産経験のない健常若年女性29名とした.超音波診断装置を用いて,骨盤底筋を随意収縮させたときの膀胱底の腹側かつ頭側への動きを計測することで,骨盤底筋群が正確に動いているかを確認し,計測を行った.3秒以上膀胱底を挙上した位置に保持できること,体幹筋群の収縮により膀胱が尾側へ押し下げられないことを収縮可能の条件とした.〔結果〕骨盤底筋群の収縮が可能な者は11名(38%),収縮できない者は18名(62%)だった.〔結語〕骨盤底筋群の随意収縮を正確にできない者が6割以上いることがわかった.

  • 儀間 裕貴, 関 耕二
    2019 年 34 巻 1 号 p. 119-124
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕小学中期(3・4年生)・後期(5・6年生)における体力と学力の関連,中期から後期にかけた体力と学力の変化の関連について検討した.〔対象と方法〕鳥取大学附属小学校の児童138名を対象とした.校内で実施された新体力テスト(握力,上体起こし,長座体前屈,反復横跳び,20 mシャトルラン,50 m走,ソフトボール投げ),標準学力検査(国語・算数の全国偏差値)から結果を集計し,それぞれの計測値・点数および変化値における相関を検討した.〔結果〕体力と学力の各項目間において有意な相関を認めたが,いずれも相関係数は低かった.〔結語〕縦断データを用いた本研究では,体力と学力に強い関連性を認めず,体力と学力の発達には多くの因子が影響していることが示唆された.

  • 田代 峻一, 髙嶋 美和, 岩田 幸子, 森田 正治, 髙嶋 幸男
    2019 年 34 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕周産期脳障害において早期MRIから脳障害特性評価と予後予測の可能性を調査する.〔対象と方法〕療育施設利用者のNICU退院時頭部MRIより在胎週数別に異常部位の視覚的評価と部位別の径計測,また白質異常部位と臨床所見と対比した.〔結果〕すべての群で大脳白質に異常所見が多く,白質部位別では在胎22~26週群では全体,27~32週群では中間部と脳室周囲,33~36週群では中間部,37~40週群では皮質下に異常が多くみられた.白質の皮質下異常では自閉スペクトラム症が有意に多く四肢麻痺と重度知的障害が多い傾向にあった.脳室周囲異常では軽度知的障害が有意に多く痙性両麻痺が多い傾向にあった.〔結語〕大脳白質異常は在胎週数別で特徴があり,予防的リハビリを実施することは重要である.

  • 遠藤 岳, 森下 慎一郎, 市瀬 裕也, 鈴木 理央, 椿 淳裕
    2019 年 34 巻 1 号 p. 131-133
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    〔目的〕持続的運動と間欠的運動の違いが外側広筋の筋酸素動態へ与える影響を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象者は健常成人17名とした.最高酸素摂取量の50%強度で30分継続する持続的運動と,運動10分と安静5分を3回繰り返す間欠的運動の2条件とした.筋酸素動態,酸素摂取量,二酸化炭素排出量,心拍出量を測定した.2条件ともに運動前安静5分の平均値に対する運動30分間の変化量を比較した.〔結果〕筋酸素動態,心拍出量は条件間に有意差を認めなかったが,酸素摂取量,二酸化炭素排出量は間欠的運動で持続的運動に比べて有意に低値を示した.〔結語〕間欠的運動は持続的運動と比べて呼吸困難感が強くなりにくく,運動を行うことができる可能性が示唆された.

症例研究
紹介
  • 田中 繁治, 井上 優, 原田 和宏, 伊藤 秀幸
    2019 年 34 巻 1 号 p. 155-160
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/26
    ジャーナル フリー

    タイ王国の①医療状勢を整理すること,②理学療法の現状や組織運営・教育を知ること,③高齢者に頻発する脳卒中や関節疾患に対する取組みを知ることを目的に,バンコク市内の3施設を視察した.タイ王国は高齢化が急速に進み,理学療法士に求められる役割は増している.タイ王国の理学療法士は2004年にダイレクトアクセス権を獲得しているが,その背景には教育や国家試験制度の改善などの組織的な取り組みがある.実際の臨床場面ではバーチャル・リアリティ技術を用いた機器が多く導入され,評価の標準化や治療の均質化に寄与していた.本報告はタイ王国のなかでも先進的な理学療法を示すものであり,タイ王国の一部分を表すにすぎないものの,日本においても参考にすべき点があるといえる.

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