理学療法科学
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16 巻 , 4 号
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研究論文
  • 対馬 栄輝, 對馬 均, 石田 水里, 長谷川 至, 大熊 克信
    2001 年 16 巻 4 号 p. 159-165
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    本稿の目的はFunctional Reach Test(FRT)遂行における運動戦略(ストラテジ)の相違がFunctional Reach距離(FR距離)及び重心移動の要因にどのように影響するか確認することである。対象は健常者19名(平均年齢21.6±4.3歳)とした。FRTは股 · 足 · 踵上げストラテジ(股 · 足 · 踵上げFRT)の3条件で遂行させ,FR距離とともに重心の前後移動(前後移動),重心動揺外周面積(動揺面積)を測定した。その結果,FR距離は踵上げFRT,股FRT,足FRTの順にそれぞれ有意(p≤0.05)に大きく,前後移動,動揺面積はともに踵上げFRTが股FRT,足FRTより有意に(p≤0.01)大きかった。FR距離,前後移動、動揺面積の間の相関は有意でなかった。主成分分析の結果では主に前後移動を反映する成分(寄与率30.7%)と,FR距離と前後移動を分ける成分(寄与率25.4%)が挙げられた。踵上げFRTは前後移動や重心動揺も大きく,より高度な姿勢制御能力が要される特徴があった。また,同一のストラテジでFRTが行われる場合はFR距離と重心移動に有意な相関はあるといえないことがわかった。
  • 田中 勇治, 峯島 孝雄, 山中 利明, 今泉 寛, 田中 まり子, 川合 秀雄, 早川 康之
    2001 年 16 巻 4 号 p. 167-171
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    何らかの原因で転倒しそうになった際,下肢を踏み出して転倒を防ぐ反応が起こる。高齢者ではその反応の時間の延長が転倒につながると考えられる。本研究では,若年成人,過去に転倒を経験していない高齢者および転倒を経験した高齢者の3群を対象として,立位姿勢で光刺激を合図に右下肢を前方に踏み出してもらい,その際の下肢の反応時間および運動時間を測定し,各群の比較を行い,転到との関連性を検討した。その結果、転倒経験を持つ高齢者では下肢運動時間が延長していたが、premotor timeとmotor timeでは転倒経験のある高齢者とない高齢者では有意差は認められなかった。高齢者の転倒は下肢運動時間と関係があることが示唆された。
  • 平山 昌男, 加藤 順一, 村上 雅仁, 河合 秀彦, 富永 孝紀, 永田 安雄
    2001 年 16 巻 4 号 p. 173-177
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,脳血管障害による片麻痺患者における運動耐容能と歩行能力の関係を検討することである。被験者は片麻痺患者29名(55.1±9.5歳)であり,自転車エルゴメーターを用いた症候限界性運動負荷テストによる呼気ガス分析と,簡便な歩行能力評価である6分間歩行テストによる最大歩行距離(6MD)を測定した。症候限界性運動負荷テストから得られた最大負荷量(max WR)は74.0±32.1wattsであり,最高酸素摂取量(peak VO2)は16.7±4.2ml/min/kgであった。そして,6MDは281.3±152.0mであった。6MDと症候限界性運動負荷テストによるmax WR(r=0.685,p<0.0001)およびpeak VO2(r=0.568,p<0.01)との間には有意な正の相関がみられ,片麻痺患者において6MDは簡便な運動耐容能の指標として有効であることが示唆された。
  • 石原 一成, 三村 達也, 弘原海 剛, 西本 勝夫, 田中 繁宏, 藤本 繁夫
    2001 年 16 巻 4 号 p. 179-185
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究では,老人保健施設入所者の女性24名(平均年齢:81.3±8.1歳)を対象に,文部科学省の設定した新体力テスト,生活体力および平衡機能の測定を実施し,要介護高齢者のADLとQOLおよび身体機能との関連性について検討した。その結果,高齢者のADLには,歩行能力,下肢の身体機能に加え,筋力および筋持久力が関与していた。また,歩行能力,下肢および上肢の身体機能,柔軟性に平衡機能が強く関与していた。さらに,ADLに加え,抑うつ度が高齢者のQOLに直接関与していた。したがって,要介護高齢者のQOLは,平衡機能および筋機能を維持することによるADLの保持に加え,抑うつ度などの精神的なファクターを反映する可能性が考えられた。これらの知見は,今後高齢者に適した運動プログラムを作成していくための有効な情報として位置づけられるものと考える。
  • 村上 雅仁, 平山 昌男, 加藤 順一, 山辺 裕, 谷崎 俊郎, 岩橋 正典, 横山 光宏, 永田 安雄, 吉井 次男, 古川 宏
    2001 年 16 巻 4 号 p. 187-189
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    今回,我々は呼気ガス分析による運動負荷試験を試行してCVA片麻痺患者の回復期リハビリテーション期における運動耐容能と運動エネルギー効率の改善の有無について検討を行った。対象は,当センターに入院した歩行可能なCVA片麻痺患者29名(男性23名,女性6名,年齢55.7歳)とした。運動麻痺の程度による比較検討するために,下肢のBrunnstrom StageによりIII∼IVの重度障害群とV∼VIの軽度障害群の2群に分類した。入院時と退院時のVO2 peakを比較すると、重度障害群では,有意に改善したのに対して,軽度障害群では改善傾向を示した。また,max WRでは,重度及び軽度障害群で有意に改善した。重度障害群と比較して軽度障害群では,患側下肢を含めた運動遂行能力が高く,早期歩行自立の獲得ができ,末梢運動骨格筋機能の向上による運動エネルギー効率の改善につながったものと考えられる。
  • 西田 裕介, 樋渡 正夫, 田中 淑子
    2001 年 16 巻 4 号 p. 191-196
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,慢性期脳血管障害患者3名を対象に,起立負荷試験を行ったときの麻痺側 · 非麻痺側の血圧反応性を評価することである。起立負荷試験の手順は,電動TILT TABLEを用い,最初,水平臥位にて5分間臥床し,その後,80°立位を5分間保持した。続けて姿勢を水平臥位に戻し,5分間保持した後に,再度80°立位を5分間保持した。最後に,再び姿勢を水平臥位に戻し,5分間保持して終了とした。主な測定項目は,血圧と心拍数で,それぞれ1分毎に測定した。その結果,各症例で麻痺側,非麻痺側の血圧反応性が異なることがわかった。この血圧反応性の差異は,自律神経系を介する反射機能に依存することが高いことより,起立負荷試験を実施した時に麻痺側 · 非麻痺側の血圧反応性を評価することは,肩手症候群の評価として応用できる可能性があることが示唆された。
  • 古山 智子, 篠崎 雅江, 佐々木 誠, 上 せつ子, 宮崎 純弥, 山上 弘義
    2001 年 16 巻 4 号 p. 197-201
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    片肘立ち位の安定性の把握を目的とし,健常若年者18名を対象に片肘立ち位の圧中心(COP:Center of Pressure)軌跡を測定し,その再現性ならびに肩関節角度の相違による影響について検討した。COP測定は,片肘立ち位で静止した静的条件と,片肘立ち位にて前 · 後 · 頭部 · 尾部方向へ上半身を移動した動的条件にて行った。その結果,静的条件では重心移動距離,動的条件ではY軸(フォースプレート縦方向)最大振幅において再現性を認めた。また,肩関節外転30°,45°,60°の片肘立ち位におけるCOPの比較では,静的条件,動的条件とも全てのパラメータにおいて有意差は認められなかった。障害者において片肘立ち位における安定性の不備の原因を解明するためのさらなる検討が重要である。
  • 宮崎 純弥, 市江 雅芳
    2001 年 16 巻 4 号 p. 203-207
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,膝関節角度変化が,膝関節の大腿四頭筋筋活動にどのような影響を及ぼすか検討した。健常成人男性9名において,大腿直筋(RF),外側広筋(VL),内側広筋(VM)を被験筋として,膝関節伸展における最大随意収縮(MVC)を求め,MVCを基準に20% · 40% · 50% · 60% · 70% · 80%MVCの張力を一定時間持続した時の表面筋電図(EMG)と筋音図(MMG)を導出した。測定肢位は膝関節90度および60度屈曲位とした。その結果は,膝関節90度と60度では,EMGおよびMMG共に90度の方が,大きい値を示す傾向が見られた。またMMGでは膝関節90度で80%MVCにおいて積分値の減少が認められたが,60度では認められなかった。つまり,関節角度変化によって筋活動状態が異なり,MMGではその影響がEMGよりも大きい事が推察された。
  • 藤澤 祐基, 藤村 昌彦, 河村 光俊, 奈良 勲
    2001 年 16 巻 4 号 p. 209-213
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    今回,15名の健常者を対象としてノート型パソコンの画面角度が生体に及ぼす影響について調査した。姿勢,筋活動について画面角度の変化との関連について検討し以下の結果を得た。1)画面角度の変化により座面高,視線距離の短縮,頸部角度の増加などの姿勢変化が見られた。2)画面角度80度では,60度,70度と比較して頚部の筋活動が有意に高くなった。3)適切なVDTの作業環境を設定することにより,作業者の身体への負担を軽減することが可能であるということが示唆された。
  • 時田 幸之輔, 飯田 義裕
    2001 年 16 巻 4 号 p. 215-220
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    金属が埋め込まれた組織に超音波を照射すると,特異的な温度上昇が現れる。しかし,その程度は小さく禁忌ではないとされている。今回,寒天内に表面より3cmの深さに定常波,往復波の効果,及び内部での熱伝導をともに無視できる形状の微小金属片を埋め込み,超音波を2分間照射し,金属及び,金属片上下部の温度変化を照射開始時より4分間経時的に測定した。その結果,発熱が寒天と金属片の境界付近で起きていることが確かめられた。
  • 桑原 慶太, 山田 美加子, 内山 靖
    2001 年 16 巻 4 号 p. 221-226
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    臨床現場で感覚障害の評価と治療がどのように行われているのかの実態を調査した。対象は全国の理学療法士600名であった。回答者数は265名(回収率45.2%)で,平均経験年数は15.3年であった。初期評価時に感覚検査に当てる時間は1∼2割程度との回答が大半を占めていた。また,検査実施率は触覚,関節覚は90%以上であったが、温度覚,振動覚,立体認知覚は15%未満で,足底感覚の実施率も低かった。多くの回答者が,感覚障害に対して高い関心を持ちながらも,検査方法や治療への応用の難しさを感じており,感覚障害に対する治療指向的な評価ニードは非常に高いといえた。
  • 近藤 照彦, 松澤 正
    2001 年 16 巻 4 号 p. 227-230
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    脊髄損傷による完全対麻痺者男性2名(A; C7, 26歳 · B; Th12, 55歳)を対象として,荷重制御式歩行器(Weight Bearing Control Walker :WBC)を使用した歩行時および車椅子を用いたロードワーク中の酸素摂取量(VO2)および心拍数(HR)を測定し,運動強度の比較を行いWBCの有用性を検討した。腕漕ぎによる亜最大運動負荷時のPeak VO2は,症例A; 32.7 ml/kg/min · 症例B; 25.7 ml/kg/min :WBC歩行訓練および車椅子ロードワーク中のPeak VO2は, 症例A; 12.4 ml/kg/min · 22.5 ml/kg/min, 症例B; 12.4 ml/kg/min · 24.8 ml/kg/min ;Peak HRは, 症例A; 155 bpm · 160 bpm, 症例B; 134 bpm · 174 bpm ;RPE(rating of perceived exertion)は, 症例A; 5(きつい · 両腕の筋疲労) · 5(きつい), 症例B; 5(きつい · 両腕の筋疲労) · 6(きつい); 持続時間は, 症例A; 23分間 · 症例B; 24分間であった。% Peak VO2は, 症例A; 37.9 % Peak VO2 · 68.8 % Peak VO2, 症例B; 48.2 % Peak VO2 · 96.5 % Peak VO2であった。以上の結果から,WBCは,腕への負担が大きく,障害のレベルが結果に反映されたものと示唆される。また,車椅子ロードワークは,対麻痺者にとって,個人の体力を維持向上させるよい方法のひとつであることが明らかになった。
講 座
  • 解良 武士
    2001 年 16 巻 4 号 p. 231-238
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    呼吸筋は骨格筋であるが,四肢筋とは解剖学的構造の違い,作用対象の違いなどにより特異な機能を発揮する。本稿では呼吸筋力の概念と特徴について臨床運動学的立場から述べる。
  • 安藤 正志
    2001 年 16 巻 4 号 p. 239-248
    発行日: 2001年
    公開日: 2002/03/29
    ジャーナル フリー
    McKenzieは,自らの臨床経験と臨床研究を積み重ねることによって腰痛症に対する治療体系を確立した。本論文ではMcKenzieが提唱した腰痛症に対する構造的診断法の考え方と具体的な診断までの手順を紹介している。McKenzieは,腰痛症の症状の現れ方と検査運動に対する反応の現れ方に基づいて,腰痛症をPostural syndrome,Dysfunction syndrome,Derangement syndromeの3つの診断カテゴリーに分類している。Postural syndromeは,悪い姿勢を長時間とることによって引き起こされる腰痛で若い女性に多い。Dysfunction syndromeは可動域制限を伴った腰痛で中高年齢の男性に多い。Derangement syndromeは椎間板内の異常に起因する腰痛で中年男性に多い。McKenzieは,これらの診断を決定するために独自の評価システムを紹介している。評価項目は,一般的事項に関する質問,病歴に関する質問,理学的検査項目群の3項目からなる。これらの評価から得られた情報に基づき,構造的診断を行う。
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