理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
26 巻 , 5 号
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原 著
  • 横山 茂樹, 蒲田 和芳, 根地嶋 誠
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 557-562
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足関節機能的不安定性(FAI)者の足関節位置覚検査法における自動的検査法と他動的検査法の相違を把握することである.〔対象〕FAIを有する男性17名および健常男性29名とした.〔方法〕評価は自動的および他動的再現検査法とし,測定肢位は足関節回外位2肢位の背底屈方向4肢位とした.測定指標は実測誤差および絶対誤差とした.〔結果〕自動的検査法ではFAI者と健常者の間で測定肢位の変化による相違は認めなかったが,他動的検査法ではFAI者が健常者より底屈するほど背屈方向へ誤認した.〔結語〕自動的検査法では誤認しにくく,筋収縮による影響と推察された.一方,他動的検査法では足関節底屈域にて誤認しやすく,損傷を受けた靱帯の関与する可能性を示唆した.
  • 吉田 一也, 藤縄 理, 原 和彦
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 563-566
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕考案したテープメジャーを用いた肩甲骨位置測定法の信頼性を検証すること.〔方法〕本測定法の信頼性として,検者6名と被検者3名を対象とする測定値の検者内・検者間の信頼性をそれぞれICC(1, 1),ICC(2, 1),95%信頼区間(95%CI),測定の標準誤差(SEM)によって評価し検討した.測定は,臨床経験の差の有無を検定するために,骨指標点にマーカーを貼付せずに実施した.〔結果〕本測定法の検者内信頼性はICC -0.50~0.97,95%CI -0.05~1.00,SEM 0.14~0.74 cm,検者間信頼性はICC 0.19~0.45,95% CI 0.02~0.78,SEM 0.30~0.60 cmであった.本研究では検者間の触診技術の差によって測定値のばらつきが大きかった.〔結語〕本測定法は特に検者間信頼性で低値を示した.触診ポイントを一定にすることが重要であった.検者の触診技術を高め,骨指標点にマーキングしてから測定することで,信頼性が向上し臨床応用が可能となると考える.
  • 弓永 久哲
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 567-570
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中患者の連合反応の出現機序を検証するための基礎的研究として,健常者を対象に歩行中の上肢筋に対応する脊髄レベルの興奮性をF波を用いて検討した.〔対象〕対象は健常成人男性30名とした.〔方法〕歩行前,歩行中,歩行終了直後,終了1分後,2分後における右上肢筋のF波を記録した.〔結果〕出現頻度は歩行中に有意に変化したが,振幅F/M比と潜時は有意な変化を示さなかった.〔結語〕以上より健常者の歩行では上肢筋レベルの脊髄の興奮性は増加する傾向を示した.このことから脳卒中患者においても歩行中に上肢筋レベルの脊髄の興奮性は増加することが考えられ,治療プログラムを立案する際考慮する必要があると考える.
  • 宇佐 英幸, 竹井 仁, 宇佐 桃子
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 571-575
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕徒手筋力検査法におけるgrade 3の筋力値(モーメントMfair:以下Mf)と最大筋力値(モーメントMmax:以下Mm)の関係を明らかにすることとした.〔対象〕健常人35名(平均年齢21.2歳)の右利き腕35肢とした.〔方法〕肩関節の屈曲,肩甲骨面挙上および外転と,肘関節の屈曲それぞれの運動における最大努力での等尺性筋収縮を実験課題とした.各実験課題での最大抵抗力を,徒手筋力測定器を用いて測定した.MfおよびMmを算出し,無相関の検定と回帰分析,共分散分析の平行性の検定を行った.〔結果〕MfとMmの間にはすべての実験課題において強い正の相関があり,得られた4つの回帰直線はすべて予測に役立つことが確認された.しかし,4つの回帰直線の平行性は棄却された.〔結語〕MfとMmの間には直線的関係が得られたが,その関係は対象とする運動により異なることが示唆された.
  • 近藤 裕貴, 岩田 学
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 577-581
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕体幹筋へのアプローチとして,臨床場面でのSLRの活用方法を見出すために下肢伸展挙上(以下,SLR)保持における非挙上側下肢の条件設定によって,下肢・体幹筋活動がどのように変化するか調査した.〔対象〕健常男性21名(年齢20.6±3.7歳)を対象とした.〔方法〕課題動作は,非挙上側下肢を鉛直下方向に押すことを強調したSLR保持:「押す」,押さないことを強調したSLR保持:「押さない」,特別な条件を加えない通常のSLR保持:「通常」,の3条件とした.非挙上側下肢の肢位は股・膝関節伸展位とした.表面筋電図により,脊柱起立筋,腹直筋,内側ハムストリングス,大腿直筋,それぞれ左右両側の計8筋の筋活動を測定した.〔結果〕脊柱起立筋は「押す」,腹直筋は「押さない」において,左右両側とも他の2条件に比べて有意に%MVCが高かった.〔結語〕「押す」,「押さない」の2条件は,脊柱の運動が制限されていても様々な臨床場面で体幹筋活動を促して,体幹機能の賦活化を図ることが可能であることが示唆された.
  • 吉澤 隆志, 松永 秀俊, 藤沢 しげ子
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 583-586
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕下肢伸展トルクと股屈伸筋力との関係を検討するために,StrengthErgoにより測定した下肢伸展トルクと,Hand Held Dynamometer により測定した股関節屈伸筋力との相関を調べた.[対象]下肢に問題のない健常成人50名とした.[方法]左右の下肢伸展動作時の体重比ピークトルクと,左右の体重比股関節屈伸筋力を測定した.次に,左右の下肢伸展トルクと股関節屈伸筋力との関係をスピアマンの相関係数を用いて調べた.[結果]左右の下肢伸展トルクは股関節屈曲筋力との間に強い相関,股関節伸展筋力との間に弱い相関が見られた.[結語]下肢伸展トルク発揮について股屈伸筋力の関与が示唆された.
  • 湯口 聡, 松尾 知洋, 斎藤 和也, 金光 寛之, 小野 晋也, 氏川 拓也, 石田 敦久, 喜多 利正, 森沢 知之, 間瀬 教史, 丸 ...
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 587-591
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕末梢動脈疾患(PAD)における下肢血行再建術後の最大歩行距離(MWD)に影響を与えている要因について検討した.〔対象〕経皮的血管拡張術(PTA)3名,下肢バイパス術7名の計10名である.〔方法〕手術前および手術後退院時における足関節上腕血圧比(ABPI),ABPI回復時間,MWDおよび歩行の中断理由を評価した.〔結果〕手術後のABPI,ABPI回復時間は手術前に比べ有意に改善したが,MWDでは有意差は認められなかった.また,手術前の歩行の中断理由は全例が下肢痛であったが,手術後は息切れや胸部症状が中断理由となる症例が60%存在した.〔結語〕PADの下肢血行再建術後のMWDには下肢血行動態や心肺・下肢骨格筋機能などが影響している可能性があると考えられた.
  • 小嶌 康介, 中村 潤二, 北別府 慎介, 梛野 浩司, 庄本 康治
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 593-598
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は脳卒中患者の麻痺側上肢に対する筋電誘発電気刺激(ETMS)の機能改善を得るための予測因子を検証することとした.〔対象〕対象は脳卒中患者8名とした.〔方法〕麻痺側尺側手根伸筋を治療対象とするETMSを実施し,その前後でFugl-Meyer Assessment上肢項目(FMA),手関節背屈の自動関節可動域(A-ROM),握力およびBox and Block Test(BBT)を評価した.次にA-ROMの改善の予測に役立つ因子を回帰分析により検証した.〔結果〕FMAとBBT,A-ROMで有意な改善を示した.線形回帰分析の結果,初期FMA得点とA-ROMの間に有意な回帰式が得られた.〔結語〕今回の結果からFMA25点以上がETMSの適応基準として有用である.
  • 水本 淳, 岡 浩一朗, 森川 亘, 原 元彦, 小片 展之, 江藤 一弘
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 599-605
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕重度糖尿病教育入院患者における入院前のウォーキング行動に関連した心理的要因および環境的要因を調査した.〔方法〕患者22人(年齢55.3歳)を対象とし,入院時に質問紙調査を実施した.項目は,ウォーキング行動のセルフ・エフィカシー(以下,歩行SE),糖尿病関連領域質問表(PAID),うつ・不安尺度(HADS),ウォーキング行動評価尺度,国際標準化身体活動質問紙環境尺度(IPAQ-E)とした.〔結果〕歩行時間は歩行SEと正の相関を認め,うつ得点と負の相関を認めた.また,歩行時間の下位尺度である「運動のために歩く時間」は環境尺度の「公園,体育館,施設などがある」項目と正の相関を認めた.〔結語〕歩行時間を増加するには歩行SEを高め,うつ状態を軽減させるアプローチが有用である可能性が考えられた.
  • 小貫 睦巳, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 607-611
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法学生のeラーニングにおける自己効力感促進尺度の活用法を教育的実践により見出すことである.〔対象〕2010年度の理学療法専門学校2年生40名である.〔方法〕eラーニング終了直前に測定された自己効力感促進尺度を基に,各学生の構成概念スコアを求めた.その数値の低い学生に対するインタビューと介入を行った.また全員にアンケートを取り,インタビューや介入の結果とアンケートを対比させ変化や共通点・相違点を確認した.〔結果〕構成概念スコアは「達成感」因子が-1.02~0.47(平均0.03±0.35),「経験の蓄積」因子が-0.64~0.33(平均0.01±0.22),「探求心」因子が-0.95~0.58(平均0.01±0.34)であった.抽出された5名の学生のうち,4名はアルバイト等の時間的制約によりeラーニングに十分向き合えなかったと回答し,全員が携帯電話での情報機器リテラシーが不足していたと解釈されたが,介入後は促進尺度が増加した.〔結語〕eラーニング自己効力感促進尺度は,全体のeラーニングの効果が表れた時期に,自己効力感が促進されていない学生を抽出し介入を行うためのスクリーニング用の評価法として使用できると考えられる.
  • 平井 秀雄, 大塚 彰, 小野 武也, 富樫 誠二
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 613-617
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕成人痙直型両麻痺者の立ち上がり動作時の特徴を明らかにすること.〔対象〕健常者12名と成人痙直型両麻痺者16名を対象とした.〔方法〕成人痙直型両麻痺者を予備テストに基づいて動作安定群9名と動作不安定群7名に分け,さらに運動学的に正常な椅子からの立ち上がり動作が可能な健常者群と合わせて3群を設定した.3群それぞれの椅子からの立ち上がり動作をデジタルビデオカメラで撮影し,データをコンピュータに取り込み,動作解析を行い,動作特性を比較した.〔結果〕動作不安定群では,1)全動作時間の延長,2)離殿期における支持基底面と身体重心の距離の減少,3)離殿期における重心最大水平速度の遅延,4)離殿期の下腿傾斜角度の減少が認められた.〔結語〕成人脳性麻痺者の立ち上がり動作において上記4項目の評価は潜在的に立ち上がり動作が不安定である症例を抽出できる可能性を示唆する.
  • 久保 温子, 村田 伸, 大田尾 浩, 堀江 淳, 村田 潤, 宮崎 純弥, 山崎 先也, 溝田 勝彦, 浅見 豊子
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 619-623
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動器不安定症の評価項目である開眼片脚起立時間とTime up-and-go test(TUG)について歩行能力と関連を検討した.〔対象〕地域在住高齢者522名〔方法〕開眼片脚起立ならびにTUGと歩行能力を評価し,相関を分析した.また開眼片脚起立が15秒以上可能な群(可能群)と不可能な群(不可能群)で,歩行能力を比較した.〔結果〕開眼片脚起立時間およびTUGで,歩行能力との有意な相関が認められた.また不可能群は可能群に比べ,有意に歩行能力が低かった.〔結語〕開眼片脚起立時間およびTUGは歩行能力の低下を反映する簡便な評価項目であることが示された.さらに,開眼片脚起立時間15秒を境界とする評価は,歩行能力低下を見つけ出す臨床的意義があることが示唆された.
  • 財前 知典, 小関 博久, 多米 一矢, 川﨑 智子, 小谷 貴子, 田中 亮, 平山 哲郎, 小関 泰一, 清川 一樹, 川 ...
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 625-629
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足底接地(以下FF)の速さと,後足部レベル横アーチパッド貼付が,歩行時の膝関節と骨盤の前方加速度に与える影響について明らかにすることである.〔対象〕健常成人28名,43脚(男性22脚,女性21脚)とした.〔方法〕FFが早く生じる群を早期群,遅く生じる群を遅延群とし,加速度計にて両群間の加速度の違いと,後足部レベル横アーチパッド貼付後の加速度変化について比較検討した.〔結果〕早期群では足底接地直前にて膝関節前方加速度増大し,FF直後では膝関節前方加速度が低下した.FF直前においては遅延群にて後足部レベル横アーチパッドを貼付すると膝関節と骨盤前方加速度が有意に低下し,FF直後では,パッド貼付により骨盤前方加速度が有意に低下するといったFFの速さとパッドの高さの交互作用がみられた.〔結語〕FFの速さと後足部レベル横アーチパッドは膝関節および骨盤前方加速度に影響を与えることが示唆された.
  • 木村 大輔, 岩田 晃, 川﨑 純, 島 雅人, 奥田 邦晴
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 631-635
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕2009年度の大阪国際車いすテニストーナメントのメディカルサポート(以下MS)における障害調査から,車いすテニス選手のスポーツ障害の特性を明らかにする.〔対象〕MSを利用した車いすテニス選手53名とした.〔方法〕記録表を用い,車いすテニス選手の原疾患,障害部位,疼痛動作と疼痛部位についてMSの結果から集計を行った.〔結果〕一般テニス選手は肘関節障害が多いと報告されているが,車いすテニス選手では,障害部位の総件数のうち55%に肩関節障害を認めた.疼痛動作に関して,サーブ動作が最も多く,特にフォワードスイング相に多く認められた.〔結語〕車いすテニス選手にとって,サーブ動作は肩関節に負担の大きい動作であることが示唆された.
  • 加藤 勝行, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 637-640
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕PNFの基本技術による短期的持続効果を反応時間(RT)を用いて検討した.〔対象〕健常成人(男子40名)とした.〔方法〕座位と背臥位での肘を曲げながらの屈曲─内転─外旋PNF実施群,肘の運動群,安静群の実施前後の肘の屈曲運動による測定を時間を追って行い,その持続効果をRTを用いて検討した.事前,直後から5,10,15,20,30分後までの7回を測定し検討した.〔結果〕座位,背臥位ともにPNF実施群は実施前との間に20分後までRTの短縮を認めた.肘の運動群,安静群において有意差は認められなかった.〔結語〕姿勢に関わらずPNF実施群において20分間の持続効果が得られたことは理学療法技術の応用として有用と考える.
  • 袴田 将弘, 齋藤 圭介, 原田 和宏, 福永 裕也, 石井 博子, 佐藤 由樹, 香川 幸次郎
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 641-646
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕入院中の認知症高齢者における反復測定データを用い,転倒までの知的機能とBPSDの変化を検討した。〔対象〕岡山県内1ヶ所の病院に入院中の認知症高齢者全員51名とした。〔方法〕転倒の有無と知的機能およびBPSDについて6ヶ月間,1週間の調査間隔で測定した。解析は転倒前4週間の知的機能・BPSDの推移を抽出し,歩行レベル以上,車椅子レベル以下に分け,多重比較で検討した。〔結果〕歩行レベルでは知的機能の得点が,車椅子レベルでは知的機能の得点とBPSDの得点が転倒群において上昇し,統計的な有意差が示された。〔結語〕認知症高齢者の臨床症状をモニタリングすることによって,転倒予測に重要な手掛かりが得られると考えられる。
  • 菊池 麻美, 中江 秀幸, 對馬 均
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 647-650
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕在宅などの狭い環境下での歩行評価法の条件を検討するための予備的研究として,健常成人における歩き始めから歩幅と歩行速度が一定となるまでの距離を確認することである.〔対象〕健常成人男性10名.〔方法〕10 mの歩行路を最大歩行速度で歩いた時の平均歩幅および速度,さらに,歩き始めから7歩目までの歩幅と歩行速度をビデオ画像により計測し,歩幅と歩行速度が一定となるまでに必要な距離を統計学的に分析した.〔結果〕1~7歩目間で歩幅は3歩目以降に,歩行速度は4歩目以降にそれぞれ一定となることがわかった.〔結語〕健常成人の速歩では,4歩目までの平均歩幅が3.27 mであったことから,歩幅や歩行速度が一定となるまでの助走距離の目安を3.5mとすることが妥当と思われる.
  • 大槻 桂右, 石倉 隆
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 651-654
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,慢性腰痛症患者の1症例を対象に腰痛体操後の即時的変化と大腿筋膜張筋とハムストリングスに対するダイレクト・ストレッチング後の即時的変化を検討することである.〔対象〕腰椎椎間関節性の慢性腰痛症と診断を受けた1症例(30歳,女性)とした.〔方法〕研究デザインはシングルケースデザインを用いた.デザインは無作為化比較試験にて効果が認められた運動療法を実施するA期(第一基礎有意水準期),大腿筋膜張筋とハムストリングスに対してダイレクト・ストレッチングを実施するB期(操作導入期)で構成するAB型とした.Visual Analog Scale (VAS),指床間距離 (Finger Floor Distance; FFD),骨盤最大前傾角,骨盤最大後傾角,骨盤可動範囲,腰椎後弯域(posterior lumbar flexibility; PLF)の6つの評価項目を,各期の介入後に測定した.6つの評価項目の測定の順番はランダムに実施した.B期のVAS,FFD,骨盤最大前傾角,骨盤最大後傾角,骨盤可動範囲,PLFの変化を二項検定を用いて分析した.〔結果〕B期のVAS,FFD,骨盤最大前傾角,骨盤最大後傾角,骨盤可動範囲,PLEはA期と比較して,有意な改善が認められた.〔結語〕大腿筋膜張筋とハムストリングスに対するダイレクト・ストレッチングが慢性の椎間関節性腰痛症に対して即時的な変化を起こす可能性が示唆された.
  • 新井 智之, 桒原 慶太, 目黒 智康, 渡辺 学, 藤田 博曉
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 655-659
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,ウォーキングの実施率の違いが地域在住高齢者の運動機能に与える影響を検討することを目的とした.〔方法〕対象は地域在住高齢者51名とし,週2回以上のウォーキングの習慣がある高齢者(ウォーキング高頻度群,n=17)とウォーキングを行う回数が週2回未満の高齢者(ウォーキング低頻度群,34名)の2群に分け,運動機能を比較した.〔結果〕両群間の運動機能の比較では,最大歩行速度,最大歩行と快適歩行時の歩幅,快適歩行時の歩行比,6分間歩行距離に有意差がみられ,筋力やバランス能力には有意差はみられなかった.〔結語〕地域在住高齢者において週2回以上のウォーキングを習慣的に行うことは,歩行能力の向上には有効であるが,筋力やバランス能力の改善にはつながらない可能性があることが示唆された.
  • 金子 秀雄, 大野 正也, 諸富 誠一, 今山 隆士, 永井 良治, 松田 憲亮
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 661-665
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕胸郭への呼吸介助の別法として考案した腹部への呼吸介助が呼吸機能と横隔膜機能に与える影響について検証した.〔対象〕健常男性10名を対象とした.〔方法〕対象者に背臥位での上部胸郭,下部胸郭,腹部の呼吸介助とFowler位での腹部呼吸介助を行った.安静呼吸および呼吸介助中における一回換気量(VT),呼吸数(RR),分時換気量(VE),横隔膜の筋厚変化(ΔTdi%),VTにおける横隔膜寄与率(ΔTdi%/VT)を比較した.〔結果〕安静呼吸と比べ,すべての呼吸介助でVT,VEが有意に増大し,RRが有意に減少したが,呼吸介助間に有意差はなかった.ΔTdi%は,測定できなかった下部胸郭呼吸介助を除き,Fowler位での腹部呼吸介助だけが安静呼吸時より有意に増大した.ΔTdi%/VTはFowler位での腹部呼吸介助が最も大きく,背臥位での上部胸郭および腹部呼吸介助より有意に増大した.〔結語〕健常者に対する腹部呼吸介助は,胸郭呼吸介助と同様に換気を増大させ,特にFowler位で行うことによりVTにおける横隔膜寄与率を増大させることがわかった.
  • 髙梨 晃, 川田 教平, 塩田 琴美, 加藤 宗規, 小沼 亮, 野北 好春, 松田 雅弘, 宮島 恵樹, 黒澤 和生
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 667-671
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,筋収縮強度および関節角度,それぞれの変化量と軟部組織硬度(STS)の関係を分析し,弾性値評価手法を検討した.〔対象〕若年健常男性20名とした.〔方法〕筋収縮強度とSTSの関係は,軟部組織硬度計(STSM),等尺性筋力測定装置を用い,膝関節90°屈曲位で大腿四頭筋の安静時,最大筋収縮時,75,50,25%時のSTSを測定した.関節角度とSTSの関係は,STSMと角度計を用い,側臥位で膝関節伸展0°から最大屈曲時のSTSを測定した.STS測定は,10N荷重時の変位値を採用した.分析は,筋収縮強度間,関節角度間のSTSの差を,反復測定一元配置分散分析,多重比較法を用いた.〔結果〕筋収縮強度とSTSは,筋収縮強度間で有意に弾性値が低下し,関節角度とSTSでは,屈曲90°から有意に弾性値の低下を認めた.〔結語〕筋収縮時のSTS測定は,筋内圧の変化を示す指標となり,関節角度を変化させるSTSの測定では,伸張性を示す指標となると考えられる.
  • 春名 弘一, 杉原 俊一, 昆 恵介, 早川 康之, 野坂 利也
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 673-677
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Gait Solutionの使い方を学習する必要性の有無を検証する目的で,Gait Solutionを継続して使用することによる歩行の変化を分析した.〔対象〕維持期片麻痺者3名とした.〔方法〕①既存の短下肢装具での歩行,②Gait Solution適合初日の歩行,③Gait Solution適合後3週経過した歩行について,歩行速度,非麻痺側歩幅,立脚相身体合成重心高さ,麻痺側足関節底背屈モーメントピーク値からなる各パラメータの差異を検討した.〔結果〕2名においてGait Solution適合初日では変化したパラメータが少なく,3週継続使用後の歩行ですべてのパラメータが変化した.〔結語〕Gait Solutionが有する底屈制動機能を有効に発揮し,歩行パラメータを変化させるためにはGait Solutionの使い方を学習する必要がある.
  • 松田 雅弘, 高梨 晃, 川田 教平, 宮島 恵樹, 野北 好春, 塩田 琴美, 小山 貴之, 打越 健太, 越田 専太郎, 橋本 俊彦
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 679-682
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕股関節外転筋疲労前後の片脚立位時の重心動揺と中殿筋・脊柱起立筋の活動との関係を明らかにすることを目的とした.〔対象〕神経学・整形外科学的な疾患の既往のない健常成人男性22名(平均年齢21.4歳)とした.〔方法〕股関節外転筋疲労前後で片脚静止立位時の重心動揺と筋活動量の変化を計測した.疲労前後の重心動揺と筋活動量を対応のあるt検定,重心動揺と筋活動の関係をpearsonの相関を用いて求めた.〔結果〕疲労後にX方向の重心動揺が有意に増加し,中殿筋の活動は減少,右脊柱起立筋の活動は有意に高まった.右脊柱起立筋の活動の増加と重心動揺に正の相関がみられた.〔結語〕筋疲労により筋の作用に関連する方向の重心動揺が増大し,代償のための筋活動が増加したと考えられる.
  • 山野 薫, 秋山 純和
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 683-691
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕我々は,2006年と2009年に急性期病院の理学療法部門におけるリスクマネジメントの現状調査を行い,両者を比較検討することで近年の理学療法部門のリスクマネジメントの環境の変化を考察し報告することを目的とした.〔対象〕福祉保健医療情報ネットワーク事業に登録されている施設の中から検索し抽出した169施設(2006年)と247施設(2009年)とした.〔方法〕郵送による質問紙法とした.質問内容は,病院概要,部門の構成,リスクマネジメントに関する医療機関の人的および物的環境を尋ねる項目とし,2006年と2009年の結果を比較検討した.〔結果〕回収した質問紙は,2006年は112通(回収率66.3%),2009年は147通(回収率59.5%)であった.リスクマネジメントに関して理学療法部門で整備すべき機器や帳票類の中で,手動式人工呼吸器と理学療法部門からの連絡票,および理学療法中止基準の整備が2006年の調査に比べて有意に増加していた.〔結語〕理学療法対象者のリスクマネジメントに関しては,「アクシデントやインシデントを未然に防ぐ施策」と「一旦生じたアクシデントが重篤な結果に至らないようにするための施策」を分けて考えておくことが重要である.今回の結果は,いずれも医療の質を維持向上させ,安全を確保する手段であり,評価できる.急性期病院での理学療法は,患者の生命予後にかかわる項目も多いことから,今後も患者の急変への予防と対応を主体とした安全確保のためにさらなる人的環境と物的環境の整備が求められる.
  • 安彦 鉄平, 竹井 仁, 島村 亮太, 安彦 陽子, 山本 純一郎, 逆井 孝之, 相馬 正之, 小川 大輔, 山口 徹, 畠 昌史
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 693-697
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では超音波画像を用いた腰部多裂筋筋厚測定の検者内信頼性を級内相関係数(ICC)と最小可検変化量(MDC)により検討した.〔対象〕健常成人男性10名とした.〔方法〕測定課題は腰部多裂筋の機能である仙骨前屈運動を伴う骨盤前傾の静止性収縮とした.測定条件は活動強度と3つの異なる骨盤傾斜角度とした.左腰部多裂筋の筋厚を超音波画像診断装置を用いて測定した.同日内,異なる測定日間のそれぞれでICCとMDCの95%信頼区間(MDC95)を求め,検者内信頼性と測定誤差を検討した.〔結果〕同日内のICCは0.73-0.96,異なる測定日間のICCは骨盤中間位での最大収縮で低い値となったが,それ以外では0.67-0.93であった.MDC95 は同日内で0.8-2.7 mm,異なる測定日間で1.5-3.0 mmであった.〔結論〕超音波画像を用いた本実験肢位における腰部多裂筋の筋厚測定は,活動強度と骨盤傾斜角度を変化させても信頼性の高い測定が可能である.
  • 鈴木 哲, 稙田 一輝, 渡邉 進
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 699-702
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ベッドのギャッジアップ角度が脊椎カーブに与える影響を座位姿勢と比較し検討することを目的とした.〔対象〕健常成人10名とした.〔方法〕ベッド上背臥位(ギャッジアップ0°,30°,60°)と2座位姿勢(脱力座位および直立座位)の脊椎カーブをSpinal Mouseを使用し測定し5条件間で比較した.〔結果〕腰椎カーブは30°,60°のギャッジアップ角度で中間位を超えて後彎位をとり,その程度はギャッジアップ0°および直立座位と比べて大きかった.〔結語〕脊椎カーブの観点から考えると,脊椎圧迫骨折患者の離床の際には30°以上のギャッジアップ角度をとらせるより,直立座位を取らせる方が疼痛を増強する可能性が少ない場合があり得る.
  • 斉藤 繁幸, 佐藤 香緒里, 大日向 純, 永井 秀樹, 時永 広之
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 703-706
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕バランスクッション(BC)上座位による体幹評価法としての可能性を検証するため,その座位能力と片脚立位の重心動揺との関連性を調査した.〔対象〕体幹,下肢機能に問題のない若年健常女性93名とした.〔方法〕筋力低下,平衡障害のない85名のBC上座位能力を判定し,14名の座位不安定群と20名の座位安定群に分け,計34名の利き足片脚立位にて外周面積と総軌跡長を計測した.〔結果〕外周面積は座位安定群で有意に小さく,総軌跡長は両群間で有意差は認められなかった.〔結語〕BC上座位能力が高いほど,片脚立位時の重心動揺が小さいことから,BC上座位は体幹協調性を評価する1つの指標となることが示唆された.
  • 鈴木 学, 丸山 仁司, 福山 勝彦, 細木 一成
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 5 号 p. 707-710
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では膝関節屈曲角度毎のBridge動作およびPuppy positionでの一側上肢前方挙上動作での大殿筋の筋活動について検討した.〔対象と方法〕成人男性15名を対象とし,膝関節70°,90°,110°,130°屈曲位からのBridge動作および両下肢非固定(Puppy 1)と両下肢固定(Puppy 2)のPuppy positionからの一側上肢前方挙上動作での右大殿筋筋活動を表面筋電図により測定した.〔結果〕Bridge動作では膝関節90~130°屈曲位では筋活動に有意差はなく,膝関節70°屈曲位は他の屈曲角度よりも有意に低い値であった.Puppy 1とPuppy 2では前者が有意に低く,Bridge動作とPuppy positionとの比較ではPuppy 1はすべてのBridge動作に対して有意に低い値を示し,Puppy 2は90°屈曲位および110°屈曲位とは有意に低い値となり,70°屈曲位および130°屈曲位との間には有意差はみられなかった.〔結語〕Bridge動作は膝関節90°~130°屈曲位で効率がよく,Puppy 1および2はそれよりも劣っていた.しかし,これらの方法は筋力強化肢位が限られている場合や総合的な筋力強化に活用できることが示唆された.
症例研究
  • 大植 賢治, 平井 久美, 河野 正志, 富永 孝紀, 村田 高穂, 森岡 周
    原稿種別: 症例研究
    2011 年 26 巻 5 号 p. 711-716
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕失行症において認知的アプローチによる治療介入の有効性を検証すること.〔対象〕左大脳半球梗塞後,右上肢に失行症を呈した症例.〔方法〕認知的アプローチとして,視覚情報と体性感覚情報とのクロスモダルトランスファー課題を考案した.動作的アプローチとして従来から行われている動作の反復課題によるものと比較し,シングルケースデザイン法を用いて治療効果を検証した.〔結果〕認知的アプローチ施行後には,標準高次動作性検査,上肢簡易機能検査,写真課題の正答数において,より大きな失行症状の軽減が認められた.〔結語〕本症例の失行症に対するシングルケーススタディよる治療介入では,動作的アプローチよりも認知的アプローチが,失行症の改善に有効であることが示唆された.
  • 小松 宏慈, 中尾 成孝, 増田 有紀, 岡久 哲也, 近藤 心, 西川 幸治, 大澤 俊文, 高田 信二郎, 安井 夏生
    原稿種別: 症例研究
    2011 年 26 巻 5 号 p. 717-722
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕外反母趾症例の変形矯正術前後で下肢関節に与える影響を解析する.〔対象〕関節リウマチ,外反母趾と診断された69歳女性とした.主訴は右母趾外側の歩行時疼痛だった.〔方法〕3次元座標計測機器VICON-MX systemsを使用し,術前と術後6ヶ月での歩行解析を行った.〔結果〕術後の他下肢関節への影響は,非術側(左)膝関節内反モーメントが術側(右)より高く,術後,術側(右)足関節外反モーメントの増大がみられた.〔結語〕本症例は外反母趾変形矯正術により,右母趾の歩行時疼痛は消失し,外反母趾変形の矯正により母趾可動範囲が拡大し,歩容の改善がみられた.術前の異常歩行(術側(右)への重心偏位)は残存しており,非術側(左)の膝関節に約4倍の膝関節内反負荷がかかっており,内反膝関節症発症の可能性があることが考えられた.また,術側(右)足関節では,約7倍の足外反負荷の増大がみられ,外反母趾再発の可能性を考慮したリハビリテーションが必要だと考えられた.本研究結果は,外反母趾矯正術後に起こる下肢他関節への影響を示す一症例としてリハビリテーションの有用な指標になると考えられる.
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