理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
34 巻, 6 号
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原著
  • 室伏 祐介, 川上 照彦, 伊藤 創
    2019 年 34 巻 6 号 p. 731-734
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕平地や不安定面での片脚立位にて小殿筋筋活動を比較し小殿筋が股関節の安定性に関与しているかを筋電図学的に検証することである.〔対象と方法〕健常成人13名(男性7名,女性6名)を対象に小殿筋と中殿筋にワイヤ電極を留置し,平地,AIREX®上,BOSE®上で片脚立位を行い小殿筋と中殿筋の評価をした.〔結果〕女性では平地に比べ最も支持面が不安定であるBOSE®上において小殿筋筋活動が増加した.また,BOSE®上では男性に比べ女性で活動量が多かった.〔結語〕女性は男性に比べ臼蓋による骨頭の被覆が少なく,重心線から骨頭中心までの距離も長く不安定である.よって,股関節の安定性を保つために小殿筋の筋活動量が男性よりも高かったと思われる.小殿筋は股関節の安定性に重要な働きをしていることが示唆された.

  • 坂本 理々子, 佐々木 誠
    2019 年 34 巻 6 号 p. 735-738
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究の目的はFunctional Reach Test(FRT)において,片足の足ストラテジーの制限により左右非対称が生じるかを確認することである.〔対象と方法〕対象は健常大学生11名とした.一側の足関節可動域を制限するために左下肢に金属支柱付き短下肢装具を装着した固定条件と,装着しない非固定条件で,右上肢と左上肢でのFRT施行時のリーチ距離と重心動揺を測定した.〔結果〕左右それぞれの上肢において固定条件と非固定条件で比較した結果,左右とも固定条件でリーチ距離が小さかった.また固定条件において, 固定した足と反対側の右上肢でリーチした方が,リーチ距離が大きく矩形面積が広かった.〔結語〕一側下肢の足ストラテジーの制限により,制限側と同側および反対側の上肢リーチ距離が短くなり,さらに左右差が生じることが示された.

  • 齊藤 望, 佐々木 誠
    2019 年 34 巻 6 号 p. 739-742
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究の目的は,片足に装着した補高の高さの相違が歩行時の自覚的脚長差,ならびに他覚的脚長差に伴う歩容に影響するか,補高を装着した歩行によって慣れの効果が生じるかを検討することである.〔対象と方法〕対象は大学生9名とした.1 cmと3 cmの補高を片足に装着し,それぞれ10分間慣れるために歩行をした前後に,10 m歩行を行わせた.測定項目として,違和感の度合いを自覚的脚長差とし,三軸加速度計で得られたデータを他覚的脚長差に伴う歩容の変化として比較をした.〔結果〕他覚的脚長差による歩容には前後で差はなかったが,自覚的脚長差に関しては3 cmの補高の装着で,10分間の歩行後に違和感が改善した.〔結語〕慣れのための10分間歩行は,脚長差が3 cmである場合に,歩容に変化がないままで自覚的脚長差を軽減することが示された.

  • 山口 智也, 矢倉 千昭, 加藤木 丈英, 白井 智裕, 岸田 俊二
    2019 年 34 巻 6 号 p. 743-748
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕術前から退院後1ヵ月までの歩数を客観的に評価し,退院時から退院後1ヵ月の変化量に影響する要因を検討する.〔対象と方法〕女性初回片側人工股関節全置換術20例とした.1日当たりの平均歩数,自己効力感,膝関節伸展筋力,timed up and go testおよび疼痛を術前,退院時,退院後1ヵ月の計3回測定し,歩数変化量との相関関係を検討した.〔結果〕歩数は術前,退院後1ヵ月と比べて退院時で有意に低値を示したが,術前と退院後1ヵ月では有意差がみられなかった.歩数変化量は,自己効力感のみに有意な正の相関があった.〔結語〕人工股関節全置換術後の歩数は退院後1ヵ月で術前値と同程度になることが明らかとなり,歩数変化量は自己効力感変化量に関連する可能性が示された.

  • 伊藤 崇倫, 小林 巧, 神成 透, 堀内 秀人, 松井 直人, 角瀬 邦晃, 野陳 佳織, 大川 麻衣子
    2019 年 34 巻 6 号 p. 749-752
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕片脚立位動作課題を用いて,人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty:TKA)後患者の膝関節周囲筋の同時収縮とバランス機能との関連について検討した.〔対象と方法〕TKA後4週が経過した9名と健常高齢者10名とした.片脚立位動作を姿勢移行時と保持時に区分し,各区間における膝関節周囲筋のco-contraction index(CI)を測定した.〔結果〕TKA群と健常群のCIの比較について,有意な差を認めた.CIとバランス機能の関連について,TKA群では移行時のCIとfunctional reach testに有意な負の相関が認められた.〔結語〕TKA患者において,姿勢変化を伴う重心移動には膝の同時収縮が影響する可能性が示唆された.

  • 古川 公宣, 下野 俊哉
    2019 年 34 巻 6 号 p. 753-757
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕内側広筋斜頭と外側広筋の筋活動比(VMO/VL比)が測定条件や算出時の標準化の有無によりどのように変動するかを調査し,過去の知見と照合すること.〔対象と方法〕健常成人11名を対象とした.異なる3つの角速度の膝関節等速性伸展運動中の内側広筋斜頭と外側広筋の筋活動電位からVMO/VL比を算出した.VMO/VL比は,膝関節最大等尺性伸展運動中の筋活動電位での標準化の有無の2種類を求め,比較検討した.〔結果〕標準化の有無ではVMO/VL比は標準化ありの値が小さく,被験者間変動も小さかった.〔結語〕VMO/VL比は,値の大きさよりは介入前後の変化を重要視することが望ましいと考えられ,被験者間比較を行う際には標準化を行うことが必須であることも示唆された.

  • 竹田 圭佑, 小島 聖, 渡邊 晶規, 松﨑 太郎, 細 正博
    2019 年 34 巻 6 号 p. 759-763
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕ギプス固定期間中の膝関節に振動刺激を行い,膝蓋下脂肪体の変化を予防できるか,組織学的に観察,検討を行うことを目的とした.〔対象と方法〕対象は9週齢のWistar系雄ラット14匹を用いた.無作為に通常飼育のみ行うC群(n=5),ギプス固定により不動化のみ行うI群(n=5),不動期間中に振動刺激を行うV群(n=4)の3群に振り分けた.不動化は右後肢とし,ギプス固定を行った.V群は,毎日15分間の振動刺激を加えた.実験期間は2週間とした.〔結果〕I群V群では膝蓋下脂肪体における脂肪細胞の大小不同,線維増生が認められたが,V群では変化は軽度であった.脂肪細胞の断面積は全ての群間において有意差を認めた.〔結語〕振動刺激は関節不動に伴う脂肪細胞の変化に対して予防効果がある可能性が示唆された.

  • 川﨑 由希, 井尻 朋人, 鈴木 俊明
    2019 年 34 巻 6 号 p. 765-770
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕足関節の肢位の違いがスライダーボードを用いた膝関節自動関節可動域練習時の筋活動に与える影響を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は健常男性12名とした.課題は,座位で足部をスライダーボード上に乗せた状態で行う膝関節自動屈曲・伸展運動とした.課題中の筋活動を足関節底屈位・背屈位の2条件で比較した.筋活動の測定は大腿四頭筋,ハムストリングス,腓腹筋とした.〔結果〕膝関節伸展運動時では背屈に比べ底屈位でハムストリングスと腓腹筋の筋活動が有意に増大していた.膝関節屈曲運動時の筋活動の違いは本研究では明らかにならなかった.〔結語〕本課題の膝関節伸展運動において,拮抗筋の筋収縮を最小限にするためには足関節を背屈位にすることがより適切な肢位であることが示唆された.

  • 大西 邦博, 堀 芳郎, 河村 顕治
    2019 年 34 巻 6 号 p. 771-775
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究は当院でTKAを施行した26名26膝の術後1年までの身体機能の推移を術前および健常群と比較検討した.〔対象と方法〕TKA群26名と健常群19名を対象に,膝関節可動域,歩行時痛,等尺性膝伸展筋力,10 m歩行速度,Timed Up & Go test(TUG)を比較検討した.〔結果〕術前と比較し,歩行時痛,膝関節伸展可動域,10 m歩行速度,TUGは向上するが,膝関節屈曲可動域や膝伸展筋力はまだ不十分であった.また健常群と比較すると,歩行時痛,膝伸展筋力,歩行速度,膝関節伸展可動域は同程度まで回復するが,膝関節屈曲可動域やバランスはまだ不十分であった.〔結語〕術前と比較すると,術後1年は膝関節屈曲可動域と膝伸展筋力はまだ不十分であり,健常群と比較すると膝関節屈曲可動域とバランスはまだ不十分であった.

  • ─ドライビング・シミュレーターによる検討─
    上出 直人, 田中 実希, 川守田 拓志
    2019 年 34 巻 6 号 p. 777-781
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕年齢および認知機能の影響を考慮し,高齢運転者における身体機能と運転能力との関連性を検証した.〔対象と方法〕対象は,定期的に自動車の運転を行っている65歳未満の成人48名(壮年・中年群)および65歳以上の高齢者18名(高齢群)とした.運転能力の評価は,シミュレーターを用いてアクセル・ブレーキ操作の誤操作回数を調査した.また,身体機能として筋力,歩行速度,Timed Up and Go Test(TUG),認知機能としてTrail Making Test(TMT)を調査した.〔結果〕壮年・中年群では誤操作回数と年齢が有意に関連し,高齢群ではTUGとTMTが有意な正の関連を示した.〔結語〕高齢運転者の運転能力には,認知機能と独立して身体機能が関連する.

  • ─筋リラクセーション効果の視点を踏まえて─
    中村 浩一, 兒玉 隆之, 溝口 良純, 中野 聡太, 梅野 和也
    2019 年 34 巻 6 号 p. 783-788
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕IDストレッチング(ID)とアクティブIDストレッチング(AID)がジャンプパフォーマンスに与える影響を経時的に検討した.〔対象と方法〕健常男性20名を対象に,ID実施条件とAID実施条件から,ジャンプパフォーマンス(跳躍高)を測定し,条件間およびストレッチング前,直後,5分後,10分後で比較検討した.〔結果〕両条件ともストレッチング前に比べストレッチング直後は有意に跳躍高が低値を示したが,条件間および5分後,10分後の有意差は認めなかった.〔結語〕IDとAIDは,即時効果とし跳躍高を低下させることから,static stretchingの目的の一つとされる筋リラクセーション効果を支持するものと考える.

  • ─講義型と体験型の比較─
    溝口 桂
    2019 年 34 巻 6 号 p. 789-792
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕糖尿病の運動指導で指導方法によって得られる効果(運動の動機づけ)の違いを明らかにすること.〔対象と方法〕対象は当院で開催した糖尿病教室,糖尿病啓発イベントに参加した糖尿病患者50名とした.糖尿病教室(講義型35名),糖尿病啓発イベント(体験型15名)の参加者を対象とした.運動に関する動機づけのアンケート(BREQ-2)を行い指導前後で比較した.〔結果〕講義型では内発的動機づけとともに自己決定的でない調整スタイルが改善し,体験型では自己決定的でない調整スタイルは改善せず,より自律的な調整スタイルが改善した.〔結語〕開催形式の違いにより異なる運動の動機づけ調整スタイルの改善が得られることが示唆された.

  • 浅井 直樹, 鈴木 智高, 菅原 憲一
    2019 年 34 巻 6 号 p. 793-800
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕難度の異なる同種の運動課題を反復練習した前後におけるH反射の変化と運動学習の程度を検討した.〔対象と方法〕健常成人21例を運動課題に用いる不安定板の底部の形状によって高難度群と低難度群に分け,それぞれ不安定板上での平衡運動課題の練習を行った.練習前後に運動課題遂行時の目標との誤差とヒラメ筋H反射,表面筋電図を計測した.〔結果〕H反射と前脛骨筋の活動が高難度群で練習後に有意に低下した.運動課題の誤差は低難度群で練習後に有意に減少した.〔結語〕運動課題の難度が高い場合では運動学習に伴って脊髄運動神経の興奮性や筋活動が変動し,難度が低い場合これらは変動しないが運動学習の効果はより高い可能性が示唆された.

  • 新井 龍一, 臼木 綾子, 伊藤 大輔
    2019 年 34 巻 6 号 p. 801-804
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕体脂肪率との関連が深い身体機能評価を明らかにすること.〔対象と方法〕一企業に在中する職員70名とした.体脂肪率,2ステップテスト,30秒椅子立ち上がりテスト(CS30)を合計3日間同時刻に計測し,Pearsonの相関係数にて統計処理を行った.〔結果〕体脂肪率とCS30に負の相関を認めた.〔結語〕勤労者において,体脂肪率の減少に伴い,CS30は増加する傾向がみられたが,体脂肪率と2ステップテストには関連がみられないことが示唆された.

  • ─準ランダム化比較試験─
    横田 里奈, 一瀬 裕介, 上祐 学, 佐藤 夏海, 高井 盛光
    2019 年 34 巻 6 号 p. 805-809
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕橈骨遠位端骨折術後症例に対する超音波(US)療法の有用性を検討した.〔対象と方法〕橈骨遠位端骨折に対し手術加療を行ったUS群11例(11手),非US群11例(12手)を対象とした.US照射は,術翌日より1日1回,連続7回行った.術翌日,術後1・2・3・4・8・12週の前腕周径と前腕・手関節可動域について調査した.〔結果〕術翌日の前腕周径に対して,US群が術後1週以降,非US群が術後2週以降の測定値と有意差があった.関節可動域は掌屈のみ有意差があり,術翌日の測定値は両群とも術後1週で有意差があったが,その改善率はUS群で444.2%,非US群で273.1%であった.〔結語〕超音波療法は橈骨遠位端骨折術後症例に対し,術後早期の腫脹改善と掌屈可動域改善に有用であることが示唆された.

  • 福本 悠樹, 鈴木 俊明, 岩月 宏泰
    2019 年 34 巻 6 号 p. 811-816
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕設定した運動を5分間にわたりイメージさせた際に,脊髄運動ニューロンの興奮性が時間経過に伴い変化するか検討した.〔対象と方法〕まず,運動イメージを5分間継続できる対象者を選抜するために,内田クレペリン精神検査を用いて評価した.集中力を欠くと評価された者を除いた健常者13名を対象とした.次いで運動課題である50%maximum voluntary contraction(MVC)でピンチ力を調節させる練習を行わせた後に,50%MVCの運動イメージを5分間実施させ,最初の1分間と最後の1分間のF波を記録した.〔結果〕F波の出現頻度や振幅F/M比は最初の1分間と比較した最後の1分間で差を認めなかった.〔結語〕十分な集中力を有した者の場合,50%MVCの運動イメージを5分間させても,最初の1分間の脊髄運動ニューロンの興奮性が5分間継続できることが示唆された.

  • 合田 秀人, 岩井 浩一, 関 観樹鑑, 谷内 勇太
    2019 年 34 巻 6 号 p. 817-822
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕地域理学療法における評価指標の使用を妨げる要因について検討する.〔対象と方法〕対象は茨城県の介護保険制度に基づく理学療法実践者とし,郵送法により質問紙調査を行った.〔結果〕因子分析の結果,「組織要因」,「評価指標要因」,「使用者要因」,「仲間要因」,「利用者要因」から成る5因子20項目の最適解を得た.〔結語〕評価指標の使用を妨げる要因のなかでも特に「組織要因」は性別,年齢,地域理学療法領域での勤務年数により,捉え方に違いがあることがわかった.

  • 渡邉 瑠音, 斎藤 彩花, 小笠原 悠人, 小森 新, 根本 尚弥, 屋嘉比 章紘, 久保 晃
    2019 年 34 巻 6 号 p. 823-826
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕水を満たした容器を用いて測定した下腿容量の測定精度を評価し,下腿浮腫モデルで検証すること.〔対象と方法〕対象は日常生活に支障がない16名(男性10名,女性6名).水を満たした容器に下腿を2回挿入し,水置換法で測定した.級内相関係数ICC(1,1),Bland-Altman分析(B-A),最小可検変化量を求めた.下腿浮腫モデルでも検討した.〔結果〕ICC(1,1)は0.980であった.B-Aでは誤差は存在せず,最小可検変化は159 mlであった.下腿浮腫モデルでは最小可検変化量を超えた.〔結語〕今回の下腿容量の測定は精度があり,下腿容量変化評価に応用できる可能性が示唆された.

  • 田村 哲也, 樋口 由美, 吉尾 雅春, 上田 哲也
    2019 年 34 巻 6 号 p. 827-832
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕直線歩行に探索課題を付加した条件下の二重課題歩行能力と退院後3ヵ月間の転倒発生の関係を検討した.〔対象と方法〕回復期リハビリテーション病院から自宅へ退院する脳卒中者34名を対象とした.Stroke Impairment Assessment Set,膝伸展筋力,Berg Balance Scale,Mini Mental State Examination,Trail Making Test-A,Functional Independence Measureを評価した.10 m歩行(10mW)と10mWに探索課題を付加した条件下の所要時間を測定し,単一課題に対する二重課題の変化率(SD変化率)を算出した.退院後3ヵ月間の転倒発生を追跡し,転倒の有無により転倒群11名,非転倒群23名に分類した.〔結果〕Cox比例ハザード分析では有意な転倒の関連因子としてSD変化率が選択された.〔結語〕直線歩行に探索課題を付加した二重課題は脳卒中者の転倒を予測できる可能性が示唆された.

  • 森田 義満, 金子 秀雄, 森田 由佳, 山口 貴司, 吉村 和代, 北島 聡, 福島 辰朗, 冨吉 義幸
    2019 年 34 巻 6 号 p. 833-837
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕目的は,維持血液透析患者を対象として,心機能,血管機能,骨格筋機能の各指標と嫌気性代謝閾値の1分前の運動負荷量である至適運動負荷量との関連を解析し,至適運動負荷量の推定精度を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は,外来の維持血液透析患者21名とした.測定項目は,至適運動負荷量体重比,左室拡張能,心臓足首血管指数,筋肉量,握力,膝伸展筋力とした.〔結果〕握力および膝伸展筋力は,至適運動負荷量体重比と有意な相関を示した.至適運動負荷量体重比に対する独立決定因子は,膝伸展筋力が抽出され,中等度の推定精度が得られた.〔結語〕維持血液透析患者に対する至適運動負荷量は,膝伸展筋力によって推定できる可能性が示唆された.

症例研究
  • ─痛みと身体・注意機能,包括的QOLおよび背外側前頭前野の血流動態への影響─
    藤田 信子, 池田 耕二, 高井 範子, 金子 基史, 松野 悟之, 三木 健司, 仙波 恵美子
    2019 年 34 巻 6 号 p. 839-846
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/21
    ジャーナル フリー

    〔目的〕高齢線維筋痛症(FM)患者の入院運動プログラムが痛みと身体・注意機能,包括的quality of living(QOL),背外側前頭前野(DLPFC)の機能に与える影響を検討した.〔対象と方法〕高齢FM女性2名に対して3週間入院運動プログラムを行い,介入前後に痛み,身体・注意機能,包括的QOL,DLPFCの血流量と反応時間の評価を行った.〔結果〕両者とも痛みの認知・情動的側面,身体機能,包括的QOLに改善がみられたが,注意機能とDLPFCの機能については症例で異なる結果となった.〔結語〕高齢者FM患者に対する入院運動プログラムの介入は,痛みの認知・情動的側面や身体機能,包括的QOLの改善に有効であることが示唆された.

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