理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
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14 巻, 2 号
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  • 木山 喬博, 河上 敬介, 鈴木 康友, 山田 和政, 鳥居 昭久
    1999 年 14 巻 2 号 p. 41-45
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    水100cc中の鉄片(板)と骨片(板)に超音波(US)を照射した場合の温度上昇の違いを明らかにすることを目的とした。樹脂製のチューブにUS導子を差し込み,上向きに支柱で固定した。その中に実験材料の鉄片と骨片を実験材料として100ccの脱気水中に吊り下げた。USの照射強度は0.5,1.0,1.5W/cm2とした。実験材料の前面(A)と後面(B)と水温の温度をサーミスタ温度計で測定した。両方の材料とも高出力での温度上昇は低出力の場合よりも大きかった。US照射による水中の骨片(A)の温度上昇は各々の強さにおいて鉄片のそれ(温度上昇)の約2倍であった。
  • 石濱 裕規
    1999 年 14 巻 2 号 p. 47-53
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    成人脳性まひ者および健常者を被験者とし,視覚および固有感覚を手がかりとした位置のマッチング課題を行った。脳性まひ被験者では,利き手上肢の筋活動,肘関節角度が記録された。脳性まひ者群では,固有感覚情報のみを利用する場合よりも,視覚情報を利用して課題を行なう際により誤差の増大が見られ,異種感覚統合の困難が生じていることを示された。その際,アテトーゼ型脳性まひ者では,筋緊張亢進を伴った不随意運動がみられ,痙直型脳性まひ者では,不適切な運動目標の設定がみられた。さらに,静的姿勢時でのマッチング課題,視覚記憶によるマッチング課題の成績は,特にアテトーゼ型脳性まひ者において良好であった。
  • 安藤 正志, 村山 真理子
    1999 年 14 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    最大歩行速度を測定するのに,最も速い速度に至るために必要な歩行路の距離を明らかにすることが本研究の目的である。健常成人18名を対象に,10m,30m,60m,120m,210mの5通りの異なった歩行距離を歩行させた。それぞれの歩行における所要時間,歩数,心拍数を測定した。これらの測定値はいずれも歩行速度と2次曲線的関係にあった。そして,この2次多項式回帰曲線から最も最大となる歩行速度を求めたところ,歩行距離は108m,測定時間が33秒,歩数は113歩,心拍増加数は68拍毎分となるような歩行条件が望ましいことが明らかとなった。
  • 島田 裕之, 内山 靖
    1999 年 14 巻 2 号 p. 61-67
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究は運動機能障害を有する患者に対して心拍数の測定による歩行耐久性の評価を行い,短距離歩行と長距離歩行時の生理応答の違いを明らかにした。さらに,長距離にわたって荷物を持つことが生体に及ぼす影響を明確にし,歩行障害度との関係を比較・検討した。その結果,健常者,患者ともに歩行開始直後の短距離(50m)の歩行速度と長距離(1km)での歩行速度とは相関しなかった。患者が長距離歩いたときの心拍応答は直線あるいは対数関数的に上昇を示し,特に機能障害の重度な患者では歩行距離が伸びると歩行効率は低下し,身体にかかる負荷が増大する結果となった。また,荷物を持つことにより健常者,患者ともにPCI,%HRRは有意に上昇し,歩行速度は低下し,機能障害の重度な患者ほど応答的課題に対する生理応答の変化は大きかった。
    以上の結果から,理学療法の臨床では実際の長距離歩行を詳細に検討することが重要であると考えられた。
  • 峰久 京子, 松永 義博, 露口 明宏, 木村 啓介, 高井 一志, 横内 俊弘, 梶原 亘弘, 井原 里子, 奈良 勲, 藤村 昌彦
    1999 年 14 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    当院では,平成9年度より特発性側弯症の早期発見,早期治療,治療の継続のための地域ネットワークづくりとして,地元中学2校において側弯症学校検診を開始した。検診は視診法にて理学療法士が行い,低学年ほど基準を厳しくした。その結果1,2年生が14.5%,3年生が2.7%の発見率であったが,受診者においてCobb角15度以上の発生率は0.66%であり諸家の報告と差がなかった。検診の際,cutting off pointの設定により発見率は変化するが,特発性側弯症はmultifactorialな疾患であることから,検診では単に軽症例を除去するのではなく,症例に応じた指導へつなげる必要があると思われる。今回,学校検診にPTが参加した結果,周辺への啓蒙効果もみられ,予防にもつながった。
  • 対馬 栄輝
    1999 年 14 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は変形性股関節症患者と健常者を対象として歩行時立脚前期・中期・後期の股関節外転筋活動様式を比較検討することである。対象は全例女性で股関節症患者10名(38.4±12.7歳)と,健常者10名(42.8±7.9歳)とした。被検者に自由歩行させ,同時に股関節外転筋の筋電波形と爪先部・踵部フットスイッチからの信号を記録した。この信号から立脚前期・中期・後期それぞれの外転筋活動の積分値を求めた。その結果,全例とも筋電積分値は前期,中期,後期の順に大きい傾向にあった。患者群と健常群で各筋電積分値の差を比較したところ,患者群は立脚中期(p<0.05)と後期(p<0.01)が有意に大きかった。患者群のほとんどは前期に十分な筋活動が起こらず,筋活動は後期まで残存している傾向にあった。このように外転筋の活動様式が異なる原因として,患者群は股関節外転筋力低下のみならず,他の股関節周囲筋の筋力低下やそれらの筋との協調的な活動ができていないことを考えた。
  • 外島 裕之, 長澤 弘, 柴 喜崇, 前田 真治
    1999 年 14 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    安静時および運動時に,胸郭を弾性圧迫力(0mmHg・10mmHg・20mmHg)で固定した際の呼吸応答・胸郭運動について調べた。対象は34歳の健康な男性。運動負荷は自転車エルゴメータによる多段階負荷とし,呼気ガス分析器により呼吸応答を求め,磁気式動作解析システムを用いて,上部胸郭は前後間距離を,下部胸郭は左右間距離を測定した。結果は,1)呼吸応答についてみると,圧迫力の増加にともない,肺活量・1秒量ともに減少した。また1回換気量は減少するが,呼吸数は増加し,その結果,分時換気量も増加した。2)胸郭運動についてみると,前後間では125Wでの20mmHgと10mmHgで,左右問では125W・20mmHgと100W・20mmHgで比較的大きくなった。3)胸郭運動とエネルギー消費に相関はなく,マンシェットによる弾性収縮力が胸郭運動を補助していることが示唆された。
  • ―膝蓋骨浸水水位における呼気ガス分析―
    籾山 日出樹, 佐竹 將宏, 進藤 伸一, 阪井 康友, 玉木 彰
    1999 年 14 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    10名の健常大学生に対して,水中浮力分の重錘を荷重し,陸上と同様な下肢荷重を与える浮力を除去した歩行の呼吸循環反応について検討した。膝蓋骨浸水水位における時速2.16kmでの歩行において,浮力除去歩行及び水中歩行は,陸上歩行に比べて体重当たり酸素摂取量(VO2/w)有意に高値を示し(p<0.01),浮力除去歩行と水中歩行においてVO2/wに有意差を認めなかったことから,浮力分の荷重の有無による影響は認められなかった。また,酸素脈,心拍数,二重積において3歩行様式間に有意な変化は認められず,一回拍出量及び動静脈酸素較差によってVO2/wが補われたことが示唆された。浮力除去歩行は,歩行スピード及び水位を変化させることで閉鎖的運動連鎖状態において水の粘性抵抗を有効に利用し,段階的運動強度の位置づけが可能と考えられた。
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