理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
24 巻 , 6 号
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原著
  • 深谷 隆史
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 787-791
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,ランジ動作においてステップ幅が異なる時の下肢関節への運動力学的負荷を把握することを目的とした。〔対象〕健常成人男性8名を対象とした。〔方法〕ランジ動作は,最大ステップ幅(Long-Step)と最大ステップ幅の半分(Short-Step)の2種類とした。動作解析装置及び床反力計を用いて下肢関節の運動学的及び運動力学的データを収集し,動作時の股関節,膝関節,足関節の関節力と関節トルクを算出した。〔結果〕Long-stepで上方及び後方への床反力が有意に大きかった。股関節力,膝関節力,足関節力は下方への圧縮力と前方への剪断力がLong-stepで有意に大きな値を示した。関節トルクではLong-stepで股関節屈曲及び足関節底屈トルクが大きく,Short-stepでは膝関節伸展トルクが大きくなることを示した。〔結論〕ランジ動作を運動療法として取り入れる際,下肢関節に対して治療目的に応じてステップの幅を選択しながら行うことが重要であることが示唆された。
  • 大槻 桂右, 鈴木 哲, 河野 英美, 渡辺 進
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 793-796
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕簡便な方法で無酸素性作業閾値(Anaerobic threshold; AT)を測定することが求められている。本研究の第一の目的は,心拍数二乗(HR)2法によってATの検出を試み,基礎的データを提供することとした。さらに,第二の目的はV-slope法ならびに二重積屈曲点(Double Product Break Point; DPBP)法を用いて検出されたATを比較し,(HR)2法の有用性を検討した。〔対象〕健常成人男性10名(23.8±2.5歳)を対象とした。〔方法〕自転車エルゴメーター上にて,5分間の安静座位の後,0 wattでのウォーミングアップを3分間行い,続いて30 wattsから開始した。運動負荷は2分ごとに10 wattずつ負荷を増加させる多段階運動負荷試験を用いた。〔結果〕(HR)2法,DPBP法,V-slope法によるAT検出時のVO2は,それぞれ有意差を認めなかった。また,AT検出時のwattsもそれぞれ有意差を認めなかった。〔結論〕(HR)2法はAT検出に関わる心拍数ならびに負荷量を簡便に知ることが可能な方法の一つであると考えられた。
  • 高取 克彦, 今北 英高, 瓜谷 大輔, 田平 一行, 冷水 誠, 福本 貴彦, 前岡 浩, 松尾 篤, 岡田 洋平, 松本 大輔, 庄本 ...
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 797-801
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕在宅脳卒中患者に対する運動介入および栄養指導が動脈硬化指数および運動機能に及ぼす影響を調査した。〔対象〕地域在住の脳卒中患者16名。〔方法〕運動は2時間のプログラムを週2回,3ヶ月間実施し,栄養指導は管理栄養士による定期的な食事調査と栄養指導が行われた。評価項目は心臓足関節血管指数(Cardio Ankle Vascular Index: CAVI),足関節上腕血圧比(Ankle Brachial Index: ABI),歩行速度,握力,Functional reach test(FRT),Timed Up and Go test(TUG),30秒立ち上がりテストとした。〔結果〕麻痺側のCAVI値は介入前に比較して有意に低下した。運動機能面ではFRTおよびTUGのみに有意な改善が認められた。〔結語〕今回の結果から運動介入と栄養指導による学際的介入が運動機能面および動脈機能の面からも有効であることが示唆された。
  • 安田 和弘, 樋口 貴広, 今中 國泰
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 803-806
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,身体状況の顕在化を促す運動が,その後の姿勢制御課題に与える影響を検討することであった。〔対象〕実験参加者は,健常成人10名であった(平均年齢25.6±6.29歳)〔方法〕両脚立位課題(低難易度条件;実験1),片脚立位課題(中難易度条件;実験2),片脚立位不安定板課題(高難易度条件;実験3)の3種類の姿勢制御課題にて効果を検証した。椅子坐位の閉眼にて四肢,体幹の自動介助運動に意識を向けることで身体状況を顕在化し,介入の前後に身体動揺を測定した。〔結果〕片脚立位課題と片脚不安定板課題では姿勢動揺が減少したが,両脚立位課題では変化が見られなかった。〔結語〕一連の結果から,課題前の身体状況の顕在化を促す運動は,難易度の高い姿勢制御課題の姿勢動揺を減少させ得る可能性が示唆された。
  • 村田 伸, 大田尾 浩, 村田 潤, 堀江 淳, 宮崎 純弥, 溝田 勝彦
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 807-812
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕転倒に関する1年間の前向き調査を行い,地域在住高齢者の転倒要因を検討した。〔対象〕重度の認知症がなく,要介護認定を受けていない高齢者133名(平均年齢73.9±5.6歳)とした。〔方法〕身体・認知・心理機能をベースライン調査として評価した後,1年間の転倒の有無別に比較した。〔結果〕転倒を経験した35名と経験しなかった98名のベースライン時の特性比較において,足把持力,片足立ち保持時間,老研式活動能力指標,注意機能,主観的健康感の5項目に有意差が認められ,転倒経験群が非経験群より有意に劣っていた。ただし,転倒経験の有無を目的変数としたロジスティック回帰分析の結果では,すべての項目に有意なオッズ比は認められなかった。〔結語〕比較的健康度の高い地域在住高齢者では,特定の身体・認知・心理機能と転倒との関連は認められるものの,それぞれの要因が単独では転倒を引き起こす決定要因ではないことが示唆された。
  • 佐々木 賢太郎, 神谷 晃央, 小島 聖
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 813-816
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,両手で行うファンクショナル・リーチ(FR)動作中の腰椎弯曲変化と筋活動量を明らかにすることを目的とした。〔方法〕対象は健常男子大学生20例(全例20歳)とした。FR距離の測定と,FR動作中の左多裂筋(MF)・大殿筋(GM)・大腿二頭筋長頭(BF)・ひらめ筋(SL)・短母趾屈筋内側頭(FHB)の筋活動量を表面筋電計にて計測した。また,FR動作をビデオカメラにて撮影し,上肢挙上相・初期相・中期相・最終相の計4相にわけ,最大随意収縮に対する4相時点の筋活動量について比較検討をした。〔結果〕上肢挙上前の安静立位時における腰椎弯曲を前後弯中間位とすると,全例においてFR施行中は腰椎の前弯が減少した。筋活動量では,上肢挙上相から初期相にかけてSLの活動が著明に増加したが,初期相から中期相になるとその活動はほぼ横ばいとなり,中期相以降はFHBとMFの活動が大きく増加した。〔結論〕FR動作に伴う腰椎の弯曲と筋活動の変化が理解された。特にFR中は腰椎の前弯が減少し,MFの筋活動量が増加するため,腰部疾患においてはFR距離が短縮する可能性が示唆された。
  • 中山 恭秀
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 817-820
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕つま先上がりの斜面板上立位姿勢保持が足関節・股関節の姿勢調節が混在しているとする仮説をもとに筋電図学的に検討することを目的とした。〔対象〕健常成人8名を対象とし,大腿直筋,内側広筋,外側広筋,半膜様筋,大腿ニ頭筋,腓腹筋(内側頭,外側頭),前脛骨筋で筋電図を導出した。〔方法〕10°と20°の2種類の斜面板の上で1分間つま先上がりの立位姿勢保持について,平地上立位(プレ),斜面上立位,直後,2分後の計4回で筋電図を記録した。〔結果〕10°では大腿直筋,内側広筋,外側広筋,腓腹筋外側頭,20°では半膜様筋以外の全ての筋でプレと比較して斜面上立位,直後,2分後で各条件間に有意な変動を示した。20°の斜面上立位では前脛骨筋の活動がプレと比較して顕著に増加し,直後の立位で腓腹筋外側頭の活動も有意に増加していた。〔結語〕斜面板上立位姿勢保持は,下肢全体の筋活動量を高め,中でも前脛骨筋の強い活動を必要とし,その後の平地上では腓腹筋の働きで足圧中心位置の安定化を図る作用が推察された。
  • 塩田 琴美, 高梨 晃, 野北 好春, 松田 雅弘, 川田 教平, 宮島 恵樹, 池田 誠
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 821-825
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,加齢による視覚機能の変化が,高齢者の姿勢制御能力に及ぼす影響を考察することを目的として行った。〔対象と方法〕対象は,若年群11名(19-20歳)と高齢群11名(60-84歳)とした。対象者にはアイマークレコーダー(EMR)を装着させ,Equi-test上,立位姿勢となり,前景盤と床が上下方向に動くSensory organization test 6の外乱刺激を加えた。〔結果〕高齢群では重心動揺の軌跡長の増大が認められた。加えて,EMRデータから,瞳孔径,停留時間および輻輳角において,両眼ともに有意な差が認められた。また,眼球運動の軌跡における平面面積では右眼のみに有意な差が認められた。〔結語〕高齢者では外乱刺激時の重心動揺が大きくなり,それに伴い眼球運動の軌跡は増大していた。これは,視覚情報を安定して中枢へ伝えるために網膜像のぶれを修正しているためであると考えられる。これらのことから,視覚情報は姿勢制御において重要な因子であると示唆できる。
  • 佐々木 理恵子, 浦辺 幸夫
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 827-831
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的はバランス能力評価として用いられるテストとKinzeyらによって1998年に報告されたstar excursion balance test(SEBT)の相関関係を明らかにすることを目的に行った。〔対象〕健康な中高齢者17名(男性13名,女性4名,平均年齢62.8±6.2歳)を対象とした。〔方法〕我々は10 m歩行や30秒間椅子立ち上がりテスト,開眼および閉眼片脚立位保持時間を測定した。加えてSEBTを実施した。〔結果〕SEBTと10 m歩行時間,および開眼片脚立位保持時間には有意な相関は認められなかった。SEBTとCS-30には,SEBTの全方向と有意な正の相関が認められ,SEBTと閉眼片脚立位保持時間ではSEBTのPL(postero-lateral;後外方),PO(posterior;後方),PM(postero-medial;後内方)への下肢リーチ距離と有意な正の相関が認められた。〔結語〕中高齢者のバランス能力の評価では後方や後斜方への下肢リーチ動作にも注目する必要があると考える。
  • 横井 輝夫, 加藤 浩, 藤川 純朗, 高田 聖歩, 米中 幸代
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 833-835
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕体幹の側屈と頚部の立ち直りの有無が嚥下動態に与える影響を明らかにすること。〔対象〕研究に同意が得られた健常者12名(平均年齢21.3歳)とした。〔方法〕安楽にした椅子座位,体幹30度側屈・頚部の立ち直り有りと無しでの3条件について,表面筋電図を用いて,おかゆ10 gを嚥下した際の舌骨上筋群の活動持続時間(嚥下時間の指標)を測定した。〔結果〕舌骨上筋群の活動持続時間は,安楽にした椅子座位に対して,体幹30度側屈・頚部の立ち直り有りとの間では有意差は認められず,体幹30度側屈・頚部の立ち直り無しでは有意な延長が認められた。〔結語〕嚥下時間は体幹の側屈のみでは延長せず,頚部の立ち直りの有無に左右されていた。嚥下時間の延長は,誤嚥の危険性を高めるとされているため,摂食姿勢を整える際,特に頭部の垂直位保持に留意することの重要性が示された。
  • 横井 輝夫, 加藤 浩, 滝井 里栄, 井上 敦史, 中村 泰陽
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 837-840
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕摂食・嚥下障害患者が鼻閉を生じた際の基礎的資料を得る目的で,表面筋電図と喉頭運動の時系列解析を用いて鼻閉状態の嚥下動態について検討した。〔対象〕研究に同意が得られた健常者10名(平均年齢22.3歳)とした。〔方法〕鼻閉の有無の2条件で水10 mlを飲み込ませ,嚥下反射が開始されるまでの随意運動の影響を強く受ける舌骨上筋群の活動持続時間,嚥下反射の影響を強く受ける喉頭運動の活動持続時間,及び随意的な嚥下の開始から嚥下反射の開始までの間隔である舌骨上筋群の活動開始から喉頭運動の活動開始までの時間について測定した。〔結果〕鼻閉有り条件は鼻閉なし条件に対し,舌骨上筋群の活動持続時間,及び舌骨上筋群の活動開始から喉頭運動の活動開始までの時間が有意に延長したが,喉頭運動の活動持続時間には有意差は認められなかった。〔結語〕鼻閉によって,嚥下反射が開始されるまでの随意運動の時間が延長し,嚥下前誤嚥の危険性を高めることが示された。
  • 島 浩人, 池添 冬芽
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 841-845
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的はバランス課題(安静立位重心動揺およびステッピング能力)に認知課題を加えた二重課題能力の若年者と高齢者との違い,高齢者の二重課題バランス能力と転倒および認知機能との関連について明らかにすることである。〔方法〕単純課題の静的バランス能力として安静立位時の重心動揺面積,動的バランス能力として立位でのステッピングテストを実施した。二重課題能力の評価は引き算を行いながら,これらのバランス課題を実施した。〔結果〕高齢者においては重心動揺面積,ステッピングともに単純課題と二重課題との間に有意差がみられた。また,高齢対象者を転倒群と非転倒群とに分類して比較した結果,重心動揺面積は単純課題・二重課題ともに2群間に有意差はみられなかったが,ステッピングは単純課題・二重課題ともに非転倒群より転倒群で有意な低下が認められた。〔結語〕ステッピングのような動的バランス課題では二重課題だけでなく,単純課題でも転倒との関連が強いことが示唆された。
  • 鈴木 学, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 847-851
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究はPT学生にPBLテュートリアルによる臨床推論能力達成レベルの把握とグループ間での格差の比較検討をした。〔対象と方法〕4年制理学療法士養成校の3年生36名にPBLテュートリアルを実施し,「全体像把握」「情報活用」「評価の統合と解釈」「問題点抽出」「予後予測」「プログラム」の6項目からなる臨床推論達成レベルについて学生グループ毎の教員評価および学生の自己評価を実施した。〔結果〕教員評価と学生自己評価は共に「問題点の発想」と「予後予測」の項目が他の項目に比較して低い評価であった。教員評価では全グループで「全体像把握」や「評価の統合と解釈」などが比較的良い評価となり,学生評価では全グループで「情報活用」や「全体像の把握」などが比較的良い評価であった。臨床推論の総合評価において教員評価では7~8名の学生で構成されたグループ間での有意差はみられなかった。〔結語〕グループ学習における臨床推論能力は比較的高い達成レベルが得られ,テューターは最小限の介入でも格差はみられず,均等な学習効果が得られていた。
  • 相馬 正之, 細井 匠, 八重田 淳
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 853-858
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,本邦の理学療法領域における重要度の高い研究課題を,一部の有識者の視点から明らかにすることを目的に予備的な調査を実施した。〔対象と方法〕対象は筑波大学大学院リハビリテーション修士課程を修了した理学療法士46名(男性39,女性7名)とし,調査方法としてデルファイ法を用いた。対象者には本邦の理学療法領域で早急に研究が進められるべきと思われるRQを3つ以内で回答してもらった。〔結果〕20名から53個の研究課題が集まり,最も高い評価を得たRQは「自然回復と治療介入効果の差は明らかか?」であった。〔結語〕ランキング上位を占めたRQは近年のEvidence- Based Medicineの促進を背景にしたものが選出されていた。
  • 前岡 浩, 冷水 誠, 庄本 康治, 嶋田 智明
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 859-865
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,電気刺激にて客観的に痛みの耐性を測定し,痛みの耐性と臨床的評価尺度における痛みの感覚的および情動的側面についての関連因子を検討することである。〔対象〕研究対象は健常学生30名とした。〔方法〕痛み耐性と知覚閾値の客観的測定にNeurometerを使用した。本研究では250 Hz,5 Hzの異なる周波数刺激を使用することでAδ線維,C線維の選択的興奮が得られるようにした。そして,測定項目は,最大電気刺激量である痛み耐性閾値(PTT値)および最小電流知覚閾値(CPT値),臨床的評価尺度には,Visual Analogue Scale(VAS)およびMcGill Pain Questionnaire(MPQ)を使用した。〔結果〕PTT値とMPQの痛みに対する不快感などを示す質的要素の項目を中心に相関が認められた。また,PTT値とVASおよびPTT値とCPT値に関連が認められず,VASとCPT値に相関が認められた。〔結語〕痛み耐性には情動的側面の関与が示され,持続的な強い痛みの評価では質的要素の影響がどの程度であるかを評価する必要性が示唆された。
  • 高橋 勝巳
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 867-871
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕デイサービスで介護予防の利用者に対し,生活目標と運動習慣の定着を図ることで健康で生き生きとした生活の支援について検討した。〔対象〕デイサービスに通所する要支援判定の9名(平均83.1±8.2歳)とした。〔方法〕生活の象徴となり価値のある役割を含んだ生活目標を設定し,運動機能の維持のために自主トレを設定し,実施記録用紙とスタッフ等の声かけにより生活目標と自主トレを行うことを促した。〔結果〕1年間継続できた7名の自主トレ実施日率は,6ヶ月後79.6±33.3%,1年後74.3±31.3%であった。生活目標は全員が実施できていた。1年後のアンケートでは,自分の努力により続けられたと回答する利用者が多く,運動習慣がついたとの回答は全員から得た。〔結語〕生活目標と運動習慣の定着を通し,健康で生き生きとした生活の支援につながったと考えている。
  • 久保田 雅史, 小久保 安朗, 佐々木 伸一, 嶋田 誠一郎, 北出 一平, 松村 真裕美, 亀井 健太, 北野 真弓, 野々山 忠芳, 鯉 ...
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 873-878
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,術後早期から股関節内外転筋力強化運動を重点的に行うことで,退院時の歩容に影響があるかを明らかにすることとした。〔方法〕対象は2005年1月から2007年12月までの期間で骨盤骨折を受傷し,当院にて骨接合術を施行した12例とした。術後2週目より骨折側の筋力強化を開始した6例を標準リハ群,術後2-3日後より筋力強化を開始した6例を早期リハ群とした。全荷重可能となった退院時に三次元動作解析装置を用いて歩行解析を行い,群間における歩行速度,歩幅,ケイデンス,股関節外転モーメントを比較した。〔結果〕歩行速度,歩幅,ケイデンスは群間に有意差は見られなかったが,早期リハ群の立脚期股関節外転モーメントは標準リハ群と比較して有意に高値を示していた。〔結語〕本研究の結果より,術後早期からの股関節内外転筋力強化運動によって退院時の歩行能力が改善される可能性が示された。
  • 郭 丹
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 879-882
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕胸腰部の回旋に伴う胸骨の動きを明らかにするために,空間での位置変化を計測した。〔対象と方法〕対象は健常成人男性12名であった。被検者は骨盤を固定した端座位より,左右にそれぞれ30°の胸腰部回旋動作を行った。動作前後の胸骨の上下端の空間座標値を自作した簡易空間測定装置を用いて測定し,胸骨の3次元空間上での運動を分析した。〔結果〕級内相関係数(ICC)およびCronbachの α係数を用いた2回の計測間の計測信頼性の検証では,高い相関が認められた。胸骨の正中位での空間位置は,前額面内では垂直,矢状面では内後傾しており,解剖学上の位置と一致した。胸腰部回旋時の胸骨上下端の移動距離はほぼ同程度であった。また,右回旋時には胸骨の右傾斜が,左回旋時には左傾斜する傾向が顕著に認められ,胸腰部の回旋と同方向への側屈も確認できた。〔結語〕胸腔の安定性に働く胸骨であるが,胸腔の動きと異なる固有の動きも認められた。
  • 内田 学, 丸山 仁司, 加藤 宗規
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 883-886
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕体位交換に用いられる枕の胸郭後面への圧迫が呼吸機能に及ぼす影響について検討した。〔対象〕健常な男性22名で呼吸器,循環器に既往のない者とした。〔方法〕背臥位,胸郭後面に枕を固定した半側臥位(枕固定(1)),肩甲帯と骨盤帯に枕を固定した半側臥位(枕固定(2))の条件にて呼吸機能から1回換気量(以下,TV),予備呼気量(以下,ERV),を測定し,同時に横隔膜の移動距離を超音波画像診断装置にて計測した。〔結果〕TVにおいては枕固定(1)が他の姿勢よりも有意に低値を示した。ERVは枕固定(1)が他の姿勢よりも有意に高値を示した。横隔膜移動距離は枕固定(1)が他の姿勢よりも有意に低値を示した。〔結語〕枕固定(1)では換気が低下していた。肺内への残気も増加し膨張した状態となることから横隔膜の移動が減少したものと推察された。
  • 帯刀 隆之
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 887-893
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕目的課題の有無による動作パターンの相違を比較することで,課題に向かう場合では動作パターンが集約されることを明らかにする。〔対象〕健常成人11名と虚弱高齢者10名とした。〔方法〕背臥位からの立ち上がり動作を反復させた。その場で起立する条件と目的指向条件として起立後2 m先の目標物へ歩く2条件とした。実施順はランダムで反復目標回数を20回とした。ビデオ画像からVanSant(1988)の方法を基にして動作パターンの分類を行った。これらから目的指向動作における動作パターンの集約化や特徴点の検討を行った。〔結果〕健常群では目的指向条件において反復動作毎の動作パターンが毎回同じであった人数は減少し出現動作パターン数は増加したのに対し,逆に高齢群では前者は増加し後者は減少した。〔結語〕虚弱高齢群の目的指向動作に動作の集約化が認められた。このことから単純化した運動の分析ではなく,より具体的な目的指向型動作を分析していくことが実効力のある理学療法プログラムに重要である。
  • 浅利 和人
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 895-899
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕社会構造の変化によって地域在宅での理学療法ニーズが多様化している。本研究では,地域リハビリテーション施設における臨床実習のあり方を考察する目的で調査を実施した。〔対象と方法〕老人保健施設および訪問リハ施設に勤務する理学療法士を対象にアンケート調査を実施した。対象は各施設とも150人,合計300名とした。〔結果〕地域リハ施設における実習は選択科目が望ましく,また実習内容は見学実習が望ましいと考える理学療法士が多かった。〔結語〕今後は,従来の実習形態にとらわれない新たな枠組みが必要である。その実現のためには実習目標や実習方法の見直しだけでなく,養成課程全般の見直しが必要であると考えた。
  • 松崎 太郎, 細 正博, 阪本 誠, 小島 聖, 渡辺 晶規, 吉田 信也
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 901-905
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕関節拘縮の研究のほとんどは関節および筋の変化を調べたものであり,軟部組織である筋間脂肪織が関節拘縮によりどのように変化するのかを観察する事を目的に実験を行った。〔対象〕Wistar雄性ラット36匹を使用し,うち21匹を実験群として先行研究に倣って拘縮モデルを作製し,残りは対照群とした。〔方法〕実験期間は2週間とした。実験終了後,標本作製し筋間脂肪織の存在が確認された坐骨神経に隣接した部位を観察部位とし,脂肪細胞の萎縮・消失の程度を4群にわけ分類した。〔結果〕脂肪細胞の萎縮・消失を示した例が対照群では20%であったのに対し,実験群では71%を占めた。実験群では線維芽細胞の増生と幼弱なコラーゲン線維と考えられる好塩基性の無構造物ないし繊細な線維状物質が増加している組織像が観察された。〔結語〕ラット後肢膝関節を2週間不動化する事により,筋間脂肪にも著明な変化が観察され,この変化は軟部組織性拘縮の一端を担う可能性が示唆された。
  • 宮崎 純弥, 村田 伸, 大田尾 浩, 堀江 淳, 村田 潤, 鈴木 秀次
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 907-911
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕男性高齢者の矢状面脊柱アライメントと身体機能の関係を明らかにすることである。〔方法〕対象は57名の男性高齢者(74.8±5.8)でスパイナルマウスを使用し矢状面脊柱アライメントを胸椎後彎角と腰椎前彎角として測定した。身体機能は大腿四頭筋筋力,握力,足把持力,長座体前屈距離,片足立ち保持時間,最大歩行速度,Timed Up and Go test(TUG),10 m障害物歩行,6分間歩行距離テスト(6MWT)とし,矢状面脊柱アライメントとの相関を見た。〔結果〕足把持力・長座体前屈・TUG以外の項目と腰椎前彎角との間に相関関係を認めた。〔結語〕男性高齢者の身体機能は,腰椎前彎角と関連する可能性が示唆された。
  • 松澤 恵美, 山本 澄子
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 913-918
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理学療法士が歩行評価・分析をする際には,前額面からの左右差などを観察することが多い。そこで本研究の目的は,極端に左右差が出る「片脚またぎ越え歩行」について,前額面からの骨盤,胸郭,頭部の動きを分析することとした。〔対象〕骨関節に既往の無い 健常成人男性12名とした。〔方法〕平地歩行,10 cm,30 cmのまたぎ越え歩行を,三次元動作分析装置を用い,前額面から頭部,胸郭,骨盤の傾斜角,頭部-胸郭の側屈角,胸郭-腰部の側屈角と体重心の左右移動を計測し,各パラメータのまたぎ動作期間におけるパターンと振幅の最大値を分析した。〔結果〕またぎ越え歩行におけるパターンは,またぐ前に一度遊脚側に骨盤が傾斜し,その後大きく立脚側に傾斜するパターンであった。胸郭はそれに伴い,相反的な動きを呈した。また,またぎ越え動作は骨盤の動きに大きく依存していた。〔結語〕骨盤の傾斜,胸腰椎の側屈がまたぎ動作に大きく関与していることがわかった。今後は矢状面からの観察や,各セグメントの最大値のタイミングなどを定量化した分析が必要である。
  • 瓜谷 大輔
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 919-923
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕顎関節症(TMD)症状が開口運動に及ぼす影響を2種類の頭位にて検討することとした。〔対象〕歯科治療中でない成人22名とした。〔方法〕直立座位(UP)と頭部前方位姿勢(FHP)での最大開口時の開口量と左右下顎頭移動量をTMD群と非TMD群で比較した。〔結果〕開口量,左右下顎頭移動量は両群共,頭位による有意差はなかった。開口量と下顎頭移動量の相関は,非TMD群はUPで左右下顎頭移動量間,開口量と右下顎頭移動量及び左下顎頭移動量間に有意な正の相関がみられ,FHPで左右下顎頭移動量間,開口量と左下顎頭移動量間に有意な正の相関がみられた。TMD群はUPのみ非TMD群と同様の相関がみられ,FHPでは有意な相関がみられなかった。〔結語〕TMD症状を有する者は,頭位により協調的な下顎運動が損なわれやすい可能性が示唆された。
  • 甲斐 義浩, 村田 伸, 松尾 奈々
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 6 号 p. 925-928
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕筋音計(MMG)を用いた筋活動評価の有用性を検証するための予備的研究として,三角筋の随意収縮力と筋活動量との関係を,筋電図(EMG)とMMGにて比較検討する。〔対象〕 健常成人男性8名8肩(平均年齢21.4±0.5歳)。〔方法〕肩関節90°外転位における最大等尺性随意収縮(MVC)を算出し,10%MVCを基準に20%,30%MVC時の積分筋電(IEMG)および積分筋音(IMMG)を求め,これらを各%MVC間にて比較した。〔結果〕IEMGおよびIMMGともに,各負荷量間にて有意な積分値の増加が認められた。また,IMMGでは各負荷量に対して概ね等倍の増加を示したが,IEMGでは負荷量に対して等倍の増加は見られなかった。〔結語〕MMGはEMGよりも発揮筋力の増大の程度を反映し,筋活動量のパラメーターとして有用である可能性が示された。
症例研究
  • 倉山 太一, 渡部 杏奈, 高本 みなみ, 重田 奈実, 長谷川 裕貴, 山口 智史, 小宮 全, 吉田 奈津子, 清水 栄司, 影原 彰人 ...
    原稿種別: 症例研究
    2009 年 24 巻 6 号 p. 929-933
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕通所リハにおける在宅脳卒中患者を対象としたCI療法の効果について検討した。〔対象〕当院通所リハを利用の片側上肢機能不全を有する脳卒中患者で適応基準を満たした6名であった。〔方法〕非麻痺側上肢の運動制限を行いながら,麻痺側上肢の集中的な課題遂行型介入を1日5時間,2週連続(平日の10日間)で実施した。評価項目は,Wolf motor function test(WMFT),Motor activity log(MAL),Fugl-Meyer assessment scale(FM)とし,CI療法の実施前後,3ヶ月,6ヶ月後に実施した。〔結果〕WFMTのtimeおよびMALにおいて,介入前後で,有意な改善を認めた。また,評価が可能であったすべての症例で,3ヶ月後,6ヶ月後においても介入効果が持続していた。〔結語〕通所リハにおいて,一般的な手法に従ったCI療法実施は可能であり,上肢の機能改善および実用性が向上することが示唆された。
紹介
  • 小貫 睦巳
    原稿種別: 紹 介
    2009 年 24 巻 6 号 p. 935-939
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Instructional Design(ID)を用いて授業開発・改善に取り組んだ実践を紹介することである。〔実践〕2008年4月21日から同7月22日までの93日間,メディア教育開発センター(NIME)の「実践IDセミナー」を受講しトレーニングを積み,同年の後期の「内部障害」の教科においてeラーニングを実践した。教育理念・人材育成ビジョンを具体的にして学習ニーズを把握することにより教育上必要なタキソノミーの項目を絞ることが可能になった。また,授業開始前からゴール・解決策を明らかにし,授業のシナリオを描くことで授業の進行に余裕が持てるようになった。〔結語〕IDは現在のような養成校の増加に伴う教員不足・教育の質の低下に対する教育効果を高める上で有意義であり,IDを上手に活かして古典的な教育手法から脱却しFD(Faculty Development)のように客観的な結果を出せる教育手法のひとつとして今後活用していく必要性が高いと考えるものである。
報告
  • 上村 さと美, 秋山 純和
    原稿種別: 報 告
    2009 年 24 巻 6 号 p. 941-948
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕亜最大運動強度における呼気ガス分析において呼吸交換比が1.0以下を示す被験者を多く認めた。呼気ガス分析器(以下,A分析器)の問題点を検討する過程および医療機器業者に改善を促す過程を経験したので報告する。〔対象〕平均年齢22.3歳の健常成人20名を対象とした。〔方法〕A分析器の問題点を換気量と呼気ガス量の測定値から検討した。第一にA分析器と他社の分析器(以下,B分析器)による到達負荷段階における測定値について,ダグラスバック法を用いて各呼気ガス量の検討を行った。第二に両分析器による各呼気ガス量の変動パターンの比較を行った。到達負荷段階における呼気ガス量の検討はピアソンの相関係数を,変動パターンの比較は二元配置分散分析から分析した。業者に問題点を提示した後は,より詳細に検討するために両分析器間の系統誤差の存在をBland-Altman分析により検討した。有意水準は5%とした。〔結果〕ダグラスバック法とA,B分析器間の換気量(VE),酸素摂取量(VO2),二酸化炭素排出量(VCO2)の関係は,r = 0.89からr= 0.99と高い関係を認めた。両分析器間の変動パターンは呼吸交換比のみに交互作用を認めた。〔結語〕A分析器の換気量計およびガス濃度計には問題はないが,炭酸ガス濃度計の送気に関連する部位に問題があると推察した。医療機器業者に改善を求める際は測定値と問題が推察される箇所の具体的な提示が重要なことを再認識した。
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