理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
18 巻 , 4 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
シリーズ:介護予防
  • 大渕 修一
    2003 年 18 巻 4 号 p. 175-181
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    介護予防は介護保険と同時にできた施策で,高齢者が介護に陥ることなく健康で生き生きとした生活を送ることを支援することと定義されたものである。介護予防は疾病の予防にだけによって達成されるわけではなく,高齢による衰弱など病気ではない,いわば生活の不具合に目を向ける必要がある。第1期の介護保険制度の総括では,要支援,要介護1の認定者の増加が急増しており,家事援助を中心とする介護サービスより,生活の自立を助ける介護予防の必要性が増した。介護の現場を知る理学療法士にたいする,介護予防における役割への期待は大きい。
  • 鈴木 隆雄
    2003 年 18 巻 4 号 p. 183-186
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    わが国は2000年に介護保険が開始され,さまざまなサービスが保険により提供されるようになった。しかし言うまでもなく,健康で自立した生活こそが万人の願いであり,重要なことは要介護の状態にならないことである。高齢者において要介護の状態となりやすいのが,老年症候群と呼ばれる一群の不具合でありそれらは転倒,失禁,低栄養,生活体力低下,認知機能低下,口腔不衛生そして足のトラブルが含まれる。我々はこのような高齢者における老年症候群の早期発見・早期対応を具体化するために「お達者健診」を実施している。このような包括的健診により高齢者の健康と自立を保証してゆくことは今後の高齢社会に必須の戦略である。
研究論文
  • 草苅 佳子, 佐々木 誠
    2003 年 18 巻 4 号 p. 187-191
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,健常人において操作的に作った円背姿勢で,姿勢変化による筋収縮様式を含めた,より円背を有する者に近い状態での運動負荷試験を行ない,円背姿勢が呼吸循環反応ならびに運動耐容能に及ぼす影響について,検討することである。健常若年女性9名を対象に,円背条件と無条件の2条件で,安静時の肺機能検査及び胸郭拡張差,運動時の呼吸応答,血圧,自覚的運動強度を測定し,比較した。その結果,円背条件では無条件と比較して安静時に酸素脈(O 2pulse),一回換気量(TV),酸素摂取量(VO2及びVO 2/kg)が有意に高かったが(p<0.05),運動peak時では逆に円背条件で無条件よりも有意に低値を示した(p<0.05)。各パラメ-タの運動による変化では多くのパラメ-タは運動によって有意に増加したが(p<0.05),拡張期血圧(DBP),二重積(RPP)は運動によって無条件では変化しなかったのに対し,円背条件で有意に上昇した(p<0.01)。以上より,円背条件では安静時に酸素需要を増大させ,運動時には必要となる生体の呼吸循環応答に不利に作用すると推察される。円背姿勢の改善が運動耐容能の低下を予防することに効果があると考えられた。
  • 前田 慶明, 加藤 順一, 村上 雅仁
    2003 年 18 巻 4 号 p. 193-196
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,在宅におけるDM患者を対象に多メモリー加速度計測装置付歩数計(CAL-D;スズケン社)を用いて歩数から運動エネルギー消費量や総消費エネルギー量などの身体活動量を算出するとともに,呼気ガス分析による運動負荷試験を実施し,身体活動量と全身持久力の関連性について検証した。対象は,脳血管障害・虚血性心疾患を伴わない当センターに外来通院中のDM患者10名(男性7名,女性3名,平均年齢65±7歳)とした。1日あたりの平均歩数・運動エネルギー消費量および総消費エネルギー量は,それぞれ8,202±1,966歩/日・231±70 kcal/日および1,789±191 kcal/日であった。運動負荷試験において最大酸素摂取量(VO 2max)および最大仕事量(maxWR)は,1,282±222 ml/min・118±25 wattsであった。一日あたりの平均歩数と運動エネルギー消費量,最大総消費エネルギー量,総消費エネルギー量,最大酸素摂取量と正の相関を示し,在宅におけるDM患者の日常の身体活動量と運動時の最大酸素摂取量などの全身持久力との関連性があることが再確認された。
  • 木村 朗
    2003 年 18 巻 4 号 p. 197-205
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    目的)本研究の目的は運動機能の低下を有す健康水準の低い高齢者の身体活動を測定するためにADLの自立度を加えた尺度からなるモデルを作成することであった。この方法における有効な変数を明らかにするとともに,適応の限界を検討した。方法)施設で生活する健康水準の低い高齢者集団(以下,高齢者集団とする)60名を対象とした。従属変数は24時間の心拍数データから推定した身体活動(HRPA)であった。独立変数はADLに関する観察項目としてコミュニケーションの程度(以下,意志伝と表す)・食事動作・排便尿動作・移動動作・更衣動作・入浴動作・ベッド動作,病前の運動嗜好性(PAEXLと表記)と現在の運動嗜好性(POEXLと表記),排尿便時間の規則性(TOILETと表記)・生活の規則性 (RYHTMと表記)であった。これらの回答は5件法で得た。従属変数が心拍数によって測定した身体活動量である重回帰式を作成した。身体活動量に寄与する変数を求めた。結果)モデルはHRPA=1344.341-63.011×PAEXL+52.802×POEXL-62.150×移動動作能力となった。ADLに関しては有効な変数はなく,運動嗜好性はいずれも有効であった。重回帰係数は0.443を示した。それぞれの独立変数の95%信頼区間は過去の運動嗜好性-108.209~-17.812,現在の運動嗜好性6.504~99.100,移動動作能力-124.461~0.161であった。結論)現在の運動嗜好性はPAに対し正の影響を示し,過去の運動嗜好性が高い場合に負の影響を示した。これらの変数からなる尺度は,運動障害のある高齢者集団の身体活動測定尺度としてテストバッテリーに使用可能と考えられた。
  • 村田 伸, 忽那 龍雄
    2003 年 18 巻 4 号 p. 207-212
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,健常女性53名を対象に,身長や体重,下肢筋力,足趾や足部の形態及び柔軟性を測定し,足把持力に影響を及ぼす因子を抽出すること,さらに,抽出した因子を基に足把持力の予測を行うことである。足把持力に影響を及ぼす因子として抽出された項目は,足部柔軟性,足部アーチ高率,体重であった。これら3つの変数より作成される足把持力の予測式は,「足把持力=-6.265+0.795×足部柔軟性+0.320×足部アーチ高率+0.111×体重」であった。この回帰式の重相関係数は0.78( p<0.0001)であり,足把持力の予測式として有意な相関を得た。さらに,新たに測定した健常女性26名の予測式から得られる足把持力の予測値と実測値との相関係数は0.82( p<0.0001)であり,足部柔軟性,足部アーチ高率,体重の3つの因子を足把持力の予測に用いることの妥当性が示唆された。
  • 牧迫 飛雄馬, 谷 浩明, 西田 裕介, 加辺 憲人, 岸田 あゆみ, 増田 幸泰, 渡辺 観世子, 田中 淑子
    2003 年 18 巻 4 号 p. 213-217
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,運動後の足圧中心動揺(以下COP)変化による姿勢制御評価としての可能性を探ることである。健常若年者を対象に速度の異なるトレッドミル運動後のその場ランニングでの前方移動距離,COPの経時変化を測定した。健常若年者において,その場ランニングでの前方移動距離,COPはトレッドミル運動直後に高値を示し時間経過とともに低下した。また,この変化は,TR速度によって異なることが示された。COPによる評価は従来の姿勢・動作評価とは異なるものを評価していることが示唆された。この結果より,運動直後のCOPで姿勢制御を評価することは有用となり得ると考えられた。
  • 小野 武也, 渡部 裕之, 三瀧 英樹, 金井 秀作, 清水 ミシェル・アイズマン, 大塚 彰
    2003 年 18 巻 4 号 p. 219-223
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,Flexible-electrogoniometerによる膝関節角度測定の信頼性の検討である。健常成人6名の膝関節を対象として,デジタルカメラによる骨指標を基準として測定した膝屈曲角度とFlexible-electrogoniometerを用いて測定した膝屈曲角度を比較した。その結果,両測定方法の間には強い順相関が見られた。このことからFlexible-electrogoniometerは,膝関節の複雑な運動機構の影響を受けずに信頼性のある膝関節角度測定が可能と思われた。
  • 横井 輝夫, 岡本 圭左, 櫻井 臣, 中村 三代子, 水池 千尋
    2003 年 18 巻 4 号 p. 225-228
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    痴呆性高齢者の認知機能障害とADL障害との関連を明らかにすることを目的に,痴呆の重症度とADL,及び痴呆の重症度とADLにおける項目別自立度について調査した。対象は,施設内での歩行が自立している18名の痴呆性高齢者である。方法は,重症度の評価はN式精神機能検査をADLの評価はFIMを用いた。その結果,中等度痴呆に対し,重度痴呆では移動以外の全項目でFIM得点は有意に低下した。また,中等度痴呆,及び重度痴呆はそれぞれ項目間での自立度に有意差が認められた。以上より,認知機能障害の進行に伴い,ADLは各項目で難易度を有しながら著明に低下することが示唆された。
  • 西田 裕介, 久保 晃, 峯岸 忍, 田中 淑子, , Yoshiko TANAKA
    2003 年 18 巻 4 号 p. 229-233
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究では健常成人男性5名,平均年齢29.4歳を対象に,車椅子の駆動形態に下肢のみを用いた方法を設定し,その運動量を把握するために歩数計が応用可能であるかどうかを,装着部位で検討した。方法は歩数計を外果上端,下腿最大膨隆部,腓骨小頭上端(全て右側)に装着し,120 steps/minのピッチにて15分間の車椅子両下肢駆動を行った。データには1週間の間隔をおいた8回分を用い,得られた測定値より各装着部位における95%信頼区間を算出した。また,各装着部位を要因とする分散分析と多重比較検定を行い,5%未満を有意差ありとした。測定値は,下腿最大膨隆部に歩数計を装着した場合に最も目標歩数(1800歩)に近似していた。また,外果上端が他の2つの装着部位と比較し有意に高値を示していた。以上の結果から,下腿最大膨隆部または腓骨小頭上端に歩数計を装着することにより,ある程度正確な測定値を得ることができ,車椅子両下肢駆動時の活動量把握に歩数計が有効な評価手段であることが示唆された。
症例研究
  • 杉本 諭
    2003 年 18 巻 4 号 p. 235-239
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    本論文は訪問理学療法によりADL能力に改善を示した慢性期脳卒中患者の症例報告である。症例は75歳男性,失語症を伴う重度の右片麻痺を呈していた。発症後9ヶ月で自宅へ退院し,以後週2回の頻度で通院して外来でのリハビリテーションを継続していた。発症18ヶ月後の初回訪問時には大半のADLに中等度の介助を要していた。訪問理学療法は週1回の頻度にて開始した。訓練内容は主として非麻痺側下肢筋力強化と持久力訓練を行なった。介入から3ヵ月後には移乗動作や立ち上がり動作がほぼ自立し,1年後には軽介助での歩行が可能となった。以上のことから慢性期脳血管障害に対する訪問理学療法の有用性が示唆された。
  • 西田 裕介, 大島 克裕, 牧迫 飛雄馬
    2003 年 18 巻 4 号 p. 241-245
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,慢性関節リウマチを呈した通所リハビリテーション(通所リハ)利用者を対象に,身体活動量の増加を目標として理学療法プログラムを立案し,その効果をTime Study法にて評価することである。対象は,車椅子両下肢駆動にてセンター内の移動が自立している男性,63歳,身長155 cmである。要介護度は4であり,週3回の通所リハビリテーションを利用している。Time Study法は,介入前後にて,各利用日の来所から帰宅までを1分単位にて行動を記録し,身体活動時間をアプローチ可能時間全体を100%とした百分率で算出した。その結果,アプローチ可能な時間において身体活動時間の延長と休息時間の短縮が認められた。このことから,通所リハでは1日の生活行動パターンを考慮した理学療法プログラムの立案が重要であり,身体活動量の評価は理学療法分野における評価として必要不可欠であると考えられる。
feedback
Top