理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
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12 巻 , 2 号
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  • 後藤 伸介, 安山 一郎, 松村 朋枝, 廣津 朝美, 山口 昌夫, 勝木 道夫
    1997 年 12 巻 2 号 p. 57-61
    発行日: 1997年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺患者16名(歩行監視群8名,歩行自立群8名)と健常女性7名を対象に歩行安定性の評価を行い,歩行能力別に比較検討した。歩行安定性の指標には,重複歩距離と歩行周期の変動係数を用いた。重複歩距離の平均変動係数は,片麻痺患者の歩行監視群で10.9%,歩行自立群で3.9%,健常者群で1.9%であり,各々に有意差が認められた。歩行周期の平均変動係数は,歩行監視群において高くなる傾向があったが,有意差はなかった。変動係数と歩行速度および歩行率との間には有意な相関は認められなかった。脳卒中片麻痺患者においては,歩行能力が低い者の方が重複歩距離の変動係数が大きく,その変動係数を測定することにより,歩行安定性を評価できると示唆された。
  • 丹羽 義明
    1997 年 12 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 1997年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺患者を対象とし,最大歩行速度と患側立ち直り開始時間との関連性を患側膝伸展力比,安静立位時の患側荷重率,及び患側下肢Brunnstrom stage (Stage)とともに検討した。その結果,最大歩行速度は患側膝伸展力比,患側荷重率,及びStageと相関関係が認められ,さらに最大歩行速度を目的変数とし,他の因子を説明変数とした逐次重回帰分析では患側膝伸展力比と患側荷重率の重要性が示された。しかしながら患側立ち直り開始時間は最大歩行速度,及び他の因子すべてと関連性が認められなかった。この結果より,起立板移動刺激による異常環境下での動作制御と,歩行という規則的動作制御とでは姿勢制御機構の異なることが推測された。
  • 宮腰 弘之, 木戸 宏治, 梶川 民子, 木村 知行, 濱出 茂治
    1997 年 12 巻 2 号 p. 69-71
    発行日: 1997年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    屋内歩行に介助を要する陳旧性片麻痺患者9例を対象に,非麻痺側大腿四頭筋及びハムストリングスに対して,120°/secの角速度を用いた等速度運動による筋力増強訓練を8週間行い,最短歩行所要時間に与える影響を検討した。その結果,60°/secの角速度においては大腿四頭筋及びハムストリングストルク値(%BW)は有意に増加し,最短歩行所要時間の短縮も有意に認められた。これは,非麻痺側片脚立位時間の延長が示すごとく,非麻痺側立脚期の安定性が高められたためと推察される。このことからも,廃用性筋萎縮の問題を有する陳旧性片麻痺患者においては非麻痺側の筋力増強訓練が必要であり,そのためにも日常生活活動全体の活発化を考慮に入れた理学療法プログラムの遂行が重要であるといえる。
  • 久保 晃
    1997 年 12 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 1997年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    高齢脳卒中片麻痺患者を対象に起き上がりパターンと腹筋筋力との関係,腹筋筋力と握力の測定値の信頼性について検討した。対象は高齢脳卒中片麻痺患者40例で,男性16例,女性24例,平均年齢73.2±82歳である。起き上がりは,日常の起き上がりパターンより片肘型と腹筋型に分類した。測定項目は握力と握力計を応用した体幹前屈筋筋力(以下腹筋筋力)および身長,体重,Body Mass Index(以下BMI)である。40例の起き上がりパターンは,起き上がり不可4例,片肘型30例,腹筋型6例で,腹筋筋力,握力とも信頼性は高かった。腹筋筋力は不可群,片肘型群,腹筋型群の順に強くなり,それぞれの群で有意な差が認められ,高齢片麻痺患者の起き上がりのパターンにおよぼす,腹筋筋力の関与が示唆された。
  • 小林 茂, 金尾 顕郎, 日下 昌浩, 大久保 衞
    1997 年 12 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 1997年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    スポーツ活動において肩関節の障害の頻度は高く,野球やバレーボールでよく発症する。この研究ではバレーボールでのボールを「打」つことによる肩関節の筋機能障害特性を検討することを目的に,肩関節に痛みを主訴とする障害のある7例と,障害のない対照群5例で、肩関節内外旋筋力を測定し,さらに6項目の肩関節機能テストを実施して以下の結果を得た。障害のある群では対照群に比較して,肩関節内外旋筋力測定では外旋筋ピークトルク値,内外旋比が低下していた。また肩関節機能テストでは上肢の挙上―下制反復動作速度,腹筋持久性,さらに外旋筋持久性が低下していた。これらのことより,バレーボールでの肩関節の筋機能障害特性として,ボールを「打つ」ことによる,オーバーユースとしての,棘下筋を中心とした外旋筋の筋力,持久力障害が考えられた。また腹筋持久性の低下があったことより,肩関節の障害の予防に肩甲上腕関節―肩甲骨―体幹の連携した安定性が重要であることが示唆された。
  • 盆子原 秀三, 阿部 幹子, 田中 麻里子, 黒澤 尚
    1997 年 12 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 1997年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    運動療法を処方した骨粗鬆症患者に運動継続に関するアンケートを実施した。調査対象は骨粗鬆症と診断され,1年以上運動療法を継続している全女性50名に質問紙法による郵送調査をおこなった。回答が得られたのは35名(回収率70%)であった。アンケート内容は(1)運動実施の状況(2)運動の効果と予防の意識(3)運動の中断ならび中止の理由についてであった。二次予防における運動継続率は54%と低かったが,予防に対する意識は強く,運動の継続により健康に対する意識を変化させ,生活に積極性をもたらすことが可能であると考察した。運動継続の要因については,開始初期において運動に対する身体的,心理的,社会的効果を理解しているかどうかが重要である。そのためには運動に対する動機づけが大切であり運動の必要性,効果について繰返し説明し,理解を得るよう治療者側が配慮することが,動機づけをより高めることにつながると考えられる。
  • 古木名 寿登
    1997 年 12 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 1997年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    片側性の変形性股関節症患者の脚長差について,最適な補高を検討することを目的とした。3cm以上の脚長差を有する片側性変形性股関節症患者4名(術前患者2名,術後患者2名)を対象とし,SMDでの脚長差,立位で重心位置が最も中心に近い補高の高さ(以下,立位での最適補高),歩行時に被検者が主観的に最適と思われる補高の高さ(以下,主観的最適補高)の関係について比較検討した。その結果,立位での最適補高は,全例SMDでの脚長差よりも低い値であった。主観的最適補高は1例を除き,SMDでの脚長差と立位での最適補高の中間の値であった。また,それぞれの補高時の脚長差を見ると,立位での最適補高時は平均1.5cm,主観的最適補高時は平均0.63cmであった。今回の結果から,片側性変形性股関節症患者において立位や歩行に影響を及ぼさない脚長差は,2cm以下であることが示唆された。
  • 斎藤 昭彦
    1997 年 12 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 1997年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    わが国では顎関節に対する理学療法はあまり行われていないが,顎関節も四肢・脊柱の関節と同じように滑膜関節であり,その関節の異常に起因する機能障害が存在する。したがって,顎関節も他の関節同様理学療法の対象となる。本論では,最初に顎関節の解剖学,運動学,顎関節の痛みについて言及し,次に,理学療法士が臨床において比較的多く遭遇すると思われる顎関節機能障害と変形性顎関節症という二つの障害についてその概略およびマネージメントについて記載する。
  • 鈴木 正彦
    1997 年 12 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1997年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    薬物療法下の患者に理学療法を行うことも多いが,両療法は独立して作用するのではなく相互に影響しあう。本講座の2回目として,心臓血管系作用薬を取り上げた。運動療法によって心臓血管系の生理機能は変化するが,心臓血管系に作用する多くの薬物があり,狭心症,高血圧症,不整脈,心不全などの疾患の治療に使用されている。これら薬物の適用下では運動療法による心臓血管系機能の変化が種々の影響を受ける。今回は,特にβ遮断薬,亜硝酸化合物,カルシウム拮抗薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,α1遮断薬,α2作用薬および強心配糖体の薬理作用とそれらの運動療法に対する影響を概説した。
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