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藤本 鎮也, 星 文彦, 西原 賢
2021 年36 巻6 号 p.
769-776
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕Timed Up and Go Test(TUG)の慣性センサデータからイベントを検出する方法の妥当性を確認し,速度条件の違いによる運動相の変化を明らかにすること.〔対象と方法〕健常成人32名を対象とし,通常速度と最大速度のTUGを慣性センサと三次元動作解析装置で同時に計測した.得られた2つのデータから6つのイベントを検出し,出現時間の関係性を検討した.また,速度条件間で各運動相の所要時間の変化率の差を検討した.〔結果〕慣性センサと三次元動作解析装置との間で,全てのイベントで出現時間に有意な相関を認めた.異なる速度条件では歩行相のみ有意な変化率を認めた.〔結語〕慣性センサからTUGの運動相を検出可能であり,速度条件の違いは歩行相にのみ変化をもたらすことが示唆された.
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五十嵐 達也, 武田 廉, 林 翔太
2021 年36 巻6 号 p.
777-781
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕本研究の目的は,脳卒中患者におけるBrief-Balance Evaluation Systems Test (BESTest)のセクションと歩行速度との関連を検証することであった.〔対象と方法〕対象は歩行可能な脳卒中患者35名であった.評価項目はBrief-BESTestと快適歩行速度(CWS)であった.Brief-BESTestの各セクションおよび合計とCWS間の相関分析を行った.〔結果〕CWSとBrief-BESTestの合計は強い正の相関を認め,セクションⅠ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅵとは中等度の正の相関を認めた.Ⅴとは弱い正の相関を認め,Ⅱとは有意な相関を認めなかった.〔結語〕脳卒中患者の歩行速度には,予測的姿勢制御や反応的姿勢制御,歩行安定性などの複数のバランス構成要素が関連していた.
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白石 成明, 鈴木 裕介, 松林 義人, 小宮 仁, 葛谷 雅文
2021 年36 巻6 号 p.
783-788
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕本研究は,地域在住の通所サービス実施施設を利用している高齢者を対象に座位行動とダイナペニアの関連について明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は2ヵ所の通所介護事業所の利用者のうち条件を満たした161名とした.研究デザインは横断研究である.ダイナペニアの判定は,Asian Working Group for Sarcopeniaの定義を参考に握力(男性28 kg,女性18 kg)で判定した.〔結果〕座位行動は年齢,性別,身体活動量,認知機能,併存疾患等を調整してもダイナペニアとの関連が示された.〔結語〕ダイナペニア進行による高齢者の老年症候群等の発生や増悪を予防するためには,座位行動に着目した介入が重要である.
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屋嘉比 章紘, 小野田 公, 谷 浩明
2021 年36 巻6 号 p.
789-792
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕本研究の目的は,仮想的有能感,自尊感情が国家試験の成績に与える影響を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は理学療法学科学部生4年生 90名(男性45名,女性45名,平均年齢22.3歳)であった.Googleフォームによる仮想的有能感,自尊感情の調査を行い,有能感を4タイプ(全能型,仮想型,自尊型,萎縮型)に分類した.群ごとに,仮想的有能感の点数と国家試験の自己採点による点数との相関分析を行った.〔結果〕分析の結果,全能型で有意な負の相関(r=-0.558),自尊型で有意な正の相関(r=0.559)が認められた.〔結語〕タイプごとの相関の違いから,仮想的有能感と自尊感情の組み合わせに応じて,学習の指導方法を調整する必要性が示唆された.
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大古 拓史, 野々垣 政史, 高尾 和孝, 小川 真輝, 梶原 史恵, 大川 裕行
2021 年36 巻6 号 p.
793-797
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕臨床実習における理学療法学生(PTS)の身体活動量と精神的活動量を客観的に明らかにすることである.〔対象と方法〕PTS 7名に身体活動量計を装着して,7週間の実習中の加速度と心拍変動を記録した.加速度を身体活動量の指標として,心拍変動をパワースペクトル解析し,自律神経活動の指標とした.〔結果〕身体活動量は1週目に最低値を示し,7週目に最高値を示した.心拍数は4週目と比較して,1週目と7週目に増加した.交感神経活動は4週目に比較して,1,6,7週目に増加した.副交感神経活動は1,2週目に比較して,4週目に高値を示した.〔結語〕実習1週目は,交感神経活動が増加し緊張状態にあるが,7週目では,通常の生理学的生体反応で実習を行えていると推察される.身体活動量の増加が緊張状態を軽減させる可能性が示唆された.
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宗像 歩, 小林 薫, 久保 晃
2021 年36 巻6 号 p.
799-805
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕地域在住高齢者におけるフレイル・プレフレイル高齢者を対象に転倒と関連因子を検討した.〔対象と方法〕フレイル・プレフレイルに該当した40名とした.評価内容は,過去1年間の転倒歴・転倒に関する自己効力感・生活空間を聴取,運動機能評価として握力,5回椅子立ち上がりテスト,歩行速度,Timed Up and Go Test(TUG),Functional Reach Test,最大1歩幅・身体能力認識誤差(認識誤差)を測定した.〔結果〕複数回転倒群は非転倒群と比べ認識誤差が大きく,TUGの認識誤差,最大1歩幅の認識誤差が関連因子として採択された.〔結語〕転倒経験のあるフレイル・プレフレイル高齢者は,身体機能の低下よりも自身の身体認識を誤って捉えていることが示唆され,身体の認識誤差も要因の一つとなりうる知見である.
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新谷 益巳, 村山 明彦, 向井 伸治
2021 年36 巻6 号 p.
807-812
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕椅座位の姿勢を保っていての腰痛経験と姿勢認識の関係性を調べる目的でアンケート調査を行った.〔対象と方法〕20代の理学療法士52名(男32名,女20名)を対象とした.質問は1)腰痛経験,2)自身の姿勢の感じ方,3)モデルの写真と自身の姿勢の比較,4)姿勢改善の有無とした.質問は5段階評価で回答を得た.〔結果〕腰痛経験は63.5%であった.自身の姿勢は88.5%が悪いと認識していた.モデル写真と自身姿勢の比較では,88.4%が背中が丸いモデル写真を選択していた.さらに86.5%が姿勢を改善したいとの回答を得た.現職の理学療法士でも椅座位姿勢で63.5%が腰痛経験を有していた.〔結語〕腰痛経験者ほど自分自身の姿勢認識が悪いことがわかった.
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谷内 幸喜, 河﨑 由美子, 木原 幸太
2021 年36 巻6 号 p.
813-818
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕片麻痺者における歩行能力向上のメカニズムを解明するために,立脚期前期と立脚期後期における足底圧と歩行速度・麻痺側/非麻痺側歩幅・歩行率との関係を調べた.〔対象と方法〕5 m以上の独歩が可能な脳卒中片麻痺者41名の早歩を測定した.〔結果〕歩行速度・麻痺側/非麻痺側歩幅・歩行率と,立脚期前期足底圧との間で正の相関性が認められた.歩行率を目的変数とした重回帰分析において,年齢が説明因子として選択された.〔結語〕片麻痺者の歩行能力向上は,非麻痺側立脚期前期の制動力を大きくすることで,同時期にあたる麻痺側前足部への荷重移動を代償し,歩幅増大と歩行率増大を図っていることが示唆された.低年齢群では,歩行率ではなく歩幅増大によって歩行能力向上が示された.
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和田 三幸, 大武 聖, 鈴木 啓介, 須藤 大輔, 右田 正澄, 森田 正治
2021 年36 巻6 号 p.
819-824
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕臨床現場の実習を経験していない学生に対して行った代替実習は,その後に実施された客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination:OSCE)に対しどのように役立ったのかを明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は,医療系大学3年生68名(男性39名,女性29名,平均年齢20.8 999 0.4歳)とした.方法は,評価実習の代替実習とOSCEについてWebアンケート調査を行った.〔結果〕有効回答率は100.0%であった.代替実習がOSCEに取り組むための学習に役立ったと非常に思う学生は33.8%,やや思う学生は54.4%いた.実施するうえで困ったことは,通信環境が最も多かった.〔結語〕代替実習は学生の知識の定着を図ることができ,臨床推論能力の底上げにつながった.個別のフィードバックを行うことで学生への教育効果が期待できると考える.
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松本 凱貴, 今岡 真和
2021 年36 巻6 号 p.
825-829
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕本研究は,地域在住後期高齢者を対象にロコモティブシンドローム(ロコモ)と認知機能との関係を調査することである.〔対象と方法〕研究参加者は,健診に参加した178名であった.測定項目は2ステップテスト,Mini Mental State Examination,握力,歩行速度,Skeletal Muscle Mass Index,Geriatric Depression Scale,服薬数とした.統計学的検討は,ロコモの分類に従い健常群,L1群,L2群の3群とし比較検討した.〔結果〕主たる調査項目の認知機能は,健常群と比較しL2群は有意に低下していた.その他,握力,歩行速度,服薬数に群間差が確認された.〔結論〕地域在住後期高齢者の実測によるLS分類と認知機能低下は関連していることが示唆された.
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松岡 瑞雄, 久野 譜也
2021 年36 巻6 号 p.
831-836
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕座位で行う運動(chair-based exercise:CBE)におけるエネルギー消費量(energy expenditure:EE)を,手首,足首に装着した三軸加速度計により推計する正確度を明らかにする.〔対象と方法〕26人の健常成人を対象に,非利き側の手首と足首に三軸加速度計を装着し,5分間のCBEを実施させた.加速度カウント,身長,体重,性差を独立変数とし,EEの推計確度を分析した.〔結果〕体重,性差により高い正確度(r2=0.73)で推計が可能で,加速度カウントが正確度に与える影響は小さかった.〔結語〕CBEのEEは体重,性差により一定の正確度で推計が可能であることが示唆された.
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柴崎 耀都, 久保 晃
2021 年36 巻6 号 p.
837-840
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕系列反応時間課題を用いて潜在学習と顕在学習のパフォーマンスの変化とその保持の差を比較すること,教示によって課題の一部に意識した場合に意識をしていないその前後のパフォーマンスが受ける影響を検討した.〔対象と方法〕32名(男性11名,女性21名)を対象とした.対象を潜在学習群と固定配列を事前に教示される顕在学習群に分け,1ブロック12試行からなる系列反応時間課題を行った.5ブロックの練習相と2ブロックの保持相を通して,2群の固定配列とランダムな配列の反応時間を比較した.〔結果〕固定配列の反応時間のみ群間に有意差がみられた.〔結語〕系列学習における固定配列の教示は,他の配列に影響を与えることなく,パフォーマンスを向上させると考える.
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伊勢居 利彬, 岡山 裕美
2021 年36 巻6 号 p.
841-844
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕静的伸張(SS)と異なる筋圧迫(5 kg,10 kg)を併用したSSの効果の違いを明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕健常男子大学生14名を対象とした.腓腹筋を対象とした課題前後に関節可動域の測定を実施した.課題は,SS,SSに筋圧迫5 kgを併用,SSに筋圧迫10 kgを併用の3条件とした.課題前後の比較,課題間の変化率を比較検討した.〔結果〕全ての課題において,介入後に関節可動域が有意に拡大した.また,各課題における関節可動域の変化量,変化率ともに各課題間で有意差は認められなかった.〔結語〕腓腹筋に対するSSとSSに筋圧迫を併用した場合とでは,足関節背屈可動域に及ぼす効果に違いは認められなかった.
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右田 正澄, 山本 澄子
2021 年36 巻6 号 p.
845-849
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕脳卒中患者の短下肢装具装着に着目して,運動麻痺の程度や座位バランス能力などの身体機能が装着時間に関連があるか検討することを目的とした.〔対象と方法〕生活期の脳卒中患者19名に対して,Shoe Horn Braceとタマラック継手付短下肢装具(継手付AFO),Gait Solution Designの3種類の短下肢装具を用いて装着時間を比較し,その装着時間と運動麻痺や関節可動域,筋緊張,座位バランス能力との関連を分析した.〔結果〕装着時間は継手付AFOが有意に短く,装具の種類に限らず装着時間と座位バランス能力には有意な相関が認められた.〔結語〕3種類のAFOの装着時間と座位バランス能力には関連がある可能性が示唆された.
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北岡 敬悟, 太田 進, 野中 利通, 加田 賢治
2021 年36 巻6 号 p.
851-857
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕心臓リハビリテーション(心リハ)対象者における膝関節痛が,心リハによる運動耐容能を含む運動機能およびQOLに与える影響を調査した.〔対象と方法〕対象は外来心リハ患者23名とし,Body Mass Index,膝伸展筋力,Anaerobic Threshold Point(AT),Peak Oxygen Uptake(Peak VO2),ventilatory equivalent versus carbon dioxide output slope(VE/VCO2 slope),膝関節痛のVisual Analogue Scale(VAS),Japanese Knee Osteoarthritis Measure(JKOM),SF-8(total,Physical Component Summary〔PCS〕,Mental Component Summary〔MCS〕)を心リハ(全12回)の開始時・終了時に評価し,膝関節痛なし群(control群)と膝関節痛あり群(knee pain群)における介入前後の差とbaselineにおける両群の比較を行った.〔結果〕心リハによりcontrol群ではJKOM,AT,Peak VO2,VE/VCO2 slope,SF-8(total,PCS)において有意な改善が認められたが,knee pain群では心リハによりそれらの項目の有意な改善を認めなかった.〔結語〕膝関節痛が心リハにおける運動耐容能,QOLの改善を阻害していることが示唆された.
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山本 裕晃, 岡松 将吾, 北川 広大, 和田 親宗
2021 年36 巻6 号 p.
859-863
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕軟性膝装具の装着圧力は,動作時に変化せず固定が不十分となるため,動作時に常に固定が得られるように,動的に装着圧力が変化する軟性膝装具が必要となる.本研究はそのような装具開発の基礎研究として,立ち上がり動作時の装着圧力の時間的変化を調べた.〔対象と方法〕対象は,健常若年男性18名とした.異なる装着圧力の軟性膝装具を使用した場合の立ち上がり動作時の装着圧力の時間的変化を調べた.〔結果〕立ち上がり動作の各相における装着圧力の変化において有意差が認められ,殿部離床時に装着圧力が最も大きくなった.また,膝関節屈曲角度に応じて装着圧力が高くなる傾向があった.〔結論〕立ち上がり動作時の軟性膝装具の装着圧力の変化および指標が確認できた.今後は,動的に装着圧力が変化する軟性膝装具の開発を進めていく.
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原 卓也
2021 年36 巻6 号 p.
865-870
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕膝蓋下脂肪体(IFP)の柔軟性に対して,拡散型体外衝撃波(rESWT)がどのような影響を及ぼすか検証した.〔対象と方法〕膝前面痛を訴えた8例8膝を対象とした.rESWT照射前後でのIFP浅層の厚みを超音波エコーにて計測し,疼痛の変化を検証した.〔結果〕膝屈曲90°のIFP浅層の厚みは,rESWT照射4週後では患側7.7(7.1-8.9)mmから13.6(11.3-14.6)mmとなり,有意に変化した.また,照射前100 mm Visual Analog Scale(VAS)71.5(65.6-84.8),照射4週後100 mm VAS 12.5(7.5-23.3)であり,有意差がみられた.〔結語〕IFPに対しrESWTの照射は,IFP浅層の厚みの増加や疼痛緩和に寄与している可能性が示唆された.
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髙塚 翔太郎, 金子 秀雄
2021 年36 巻6 号 p.
871-875
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕パーキンソン病患者のステップ運動における視覚的手掛かりの有無が,歩き始めに及ぼす影響を検証した.〔対象と方法〕パーキンソン病患者21名を対象に,視覚的手掛かり有無の2条件でのステップ運動をランダムに実施し,その前後に歩き始めの足圧中心とTimed Up & Go Testを測定した.〔結果〕ステップ運動後には各条件で足圧中心前後変位量が有意に増大し,視覚的手掛かりなし条件では,運動潜時および支持肢離地時間が有意に減少した.また,運動潜時変化率の2条件比較では,視覚的手掛かりなし条件で有意に高値であった.〔結語〕パーキンソン病患者に対する視覚的手掛かりのないステップ運動は,歩き始めをより円滑にさせる可能性が示唆された.
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谷口 圭佑, 坂本 晴美, 高田 祐, 六倉 悠貴, 久保田 智洋, 犬田 和成, 岩本 記一, 岩井 浩一
2021 年36 巻6 号 p.
877-884
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕医療系学生のヘルスリテラシーと関連要因について検討した.〔対象と方法〕医療系専門学校生(193名)を対象に,調査項目は2つのヘルスリテラシー尺度The 14-item Health Literacy ScaleおよびThe European Health Literacy Survey Questionnaire 47(HLS-EU-Q47),Self-Management Skill尺度,運動習慣の促進・阻害因子,認知的熟慮性-衝動性尺度,Metacognitions Questionnaire-30(MCQ-30),Big Fiveであった.〔結果〕HLS-EU-Q47の関連要因として運動習慣の促進因子,学年,MCQ-30「心配事への積極的信念」,Big Five「情緒不安定性」および「外向性」の5変数が抽出された.〔結語〕早期教育および関連要因を考慮した関わりが必要である.
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─支持脚側と遊脚側の役割─
吉川 大貴, 石井 慎一郎, 山本 澄子
2021 年36 巻6 号 p.
885-891
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕歩き始め動作の予測的姿勢調整を担う支持脚側と遊脚側の運動力学的な違いを明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕健常若年者18名を対象とし,歩き始め動作を普通速度と最大速度の2条件で,三次元動作解析装置と床反力計を用いて計測した.〔結果〕合成床反力作用点(COP)は速度の増大に伴い変位の増大を認め,前後方向よりも左右方向への変位が増大した.しかし,足関節,股関節モーメントは速度の増大に伴う支持脚側と遊脚側の差を認めなかった.一方,歩行速度にかかわらず,支持脚側と遊脚側のCOPの前後方向への移動時間は遊脚側が短かった.〔結語〕速度調節は支持脚側と遊脚側で差を認めなかったが,歩行速度にかかわらず,遊脚側は前後方向のCOPを支持脚側より短い時間で移動させる必要があると考える.
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北村 匡大, 吉澤 隆志, 岡本 伸弘, 太田 研吾, 近藤 昭彦, 吉田 和弘, 吉田 修一
2021 年36 巻6 号 p.
893-896
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕理学療法学科学生において,第55回国家試験(国試)と実習,4回の模擬試験(模試),自己決定型学習レディネスの各得点との相互関係を調査し,国試の関連因子を検討した.〔対象と方法〕ある3年制理学療法士養成校の3年生36名を対象とし,相関分析と重回帰分析で解析した.〔結果〕実習,全ての模試,自己決定型学習レディネスおよびその下位因子の一つである「自己管理」の各得点は,国試得点と正の相関を示した.重回帰分析の結果,模試4回目と自己決定型レディネスが国試の関連因子であった.〔結語〕国試と実習,全ての模試,自己決定型学習レディネスおよび下位因子の「自己管理」は正の相互関係があり,模試4回目と自己決定型学習レディネスは国試の関連因子であることが明らかとなった.
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木原 幸太, 谷内 幸喜, 河﨑 由美子, 山岡 志奈, 杉村 雅人, 山﨑 有理, 重松 亜貴人, 成松 篤志, 徳田 奈那
2021 年36 巻6 号 p.
897-902
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕本研究は,脳卒中片麻痺者歩行において,咬合がどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕顎口腔系に問題のない初発片麻痺者18名を対象とした.下顎安静位と咬合部位に厚さ3 mm のマウスガードシートを噛んでいる咬合位の2条件に分け,足圧分布測定システムで歩行を分析した.〔結果〕咬合位歩行において,歩行速度,ケイデンス,麻痺側歩幅,ストライドに有意な増加を認め,非麻痺側の単脚支持期の足圧中心(COP)移動量・割合に有意な増加を認めた.麻痺側において,第二両脚立脚期の最大足底圧力に有意な増加を認めた.また,歩隔,COP軌跡交差点の前後変動幅・左右変動幅の有意な低下を認めた.〔結語〕咬合は,片麻痺者歩行の歩行バランス,歩行機能に影響を与える可能性がある.
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─身体機能に着目して─
堤 篤秀, 金子 秀雄
2021 年36 巻6 号 p.
903-907
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕入院期高齢心不全患者の歩行自立再獲得の遅延と,身体機能面を含む関連因子を検討することとした.〔対象と方法〕対象者は65歳以上の心不全患者とした.医学的情報と身体機能として握力,膝伸展筋力などを後ろ向きに調査を行い,歩行自立遅延との関連を検討した.〔結果〕ロジスティック回帰分析の結果,歩行自立遅延の関連因子は,脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)と握力が抽出された.〔結語〕入院期高齢心不全患者の歩行自立再獲得の遅延にBNPと握力が関連することが示唆された.
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内之浦 真士, 小松 洋平, 今村 純平, 柴田 元, 宮原 洋八
2021 年36 巻6 号 p.
909-917
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕介護予防サポーターの活動意欲の違いにおける特性や活動意欲および行動に影響を与える要因を明らかにすることである.〔対象と方法〕介護予防サポーター養成講座を修了し,郵送調査で有効回答が得られた190名とした.〔結果〕活動意欲に影響を与える要因は「個人社会活動へ参加している」,「養成講座への参加きっかけが社会貢献である」,「ボランティア活動の活性化に必要なものは学習の機会である」であった.行動に影響を与える要因は「養成講座への参加きっかけが社会貢献である」,「養成講座への参加きっかけが他者との交流である」,「定期的な運動を継続している」であった.〔結論〕個人社会活動を促すことで意欲向上が,社会貢献性を賦活することで行動変容へつながる可能性が示唆された.
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宮﨑 宣丞, 竹下 康文, 山下 加奈, 米徳 一博, 赤﨑 義彦, 桑鶴 翔, 柳田 紘和, 坂下 裕司, 加治 智和, 竹中 俊宏
2021 年36 巻6 号 p.
919-924
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
ジャーナル
オープンアクセス
〔目的〕入院患者におけるサルコペニアの有無がShort Physical Performance Battery(SPPB)の推移に影響を与えるか検討した.〔対象と方法〕対象は入院患者17名,初回評価時にサルコペニアの有無を評価し,サルコペニア群(11名)と非サルコペニア群(6名)に分け,初回評価時と3週間後のSPPBの推移を反復測定の分散分析を用いて検討した.〔結果〕SPPBの合計点と起立の項目において交互作用を認めなかったが,時期の主効果を認め,両群ともに3週後の改善が認められた.また,起立では群の主効果も認め,サルコペニア群は初回,3週後ともに非サルコペニア群よりも低値を示した.〔結語〕サルコペニアに該当する入院患者も身体機能は改善するが,起立動作能力が低下している可能性がある.
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