アルミナーシリカ質を中心とした円筒状耐火物の熱衝撃破壊挙動をAE法や熱応力解析等を併用して検討した.
その結果,
(1) 円筒状耐火物を内面から加熱すると, まず端面の外表面付近で軸方向のき裂が発生し, 進展する.
次いで, 円筒中央部の外表面上で軸方向の引張り応力により円筒を輪切りにするき裂が発生する.
(2) 円筒状耐火物の熱衝撃試験時のAE特性は材質によって顕著に変化する. AE計数と合わせてAE振幅分布を考慮すると, 材質による破壊挙動の違いがより明確になる.
(3) いずれの試料でも, 円筒が厚肉になるにつれて, き裂進展時の解放ひずみエネルギー量が多くなるため, き裂はより不安定に伝ぱし, 伝ぱ距離も長い.
(4) き裂が安定伝ぱから不安定伝ぱへ遷移する “遷移肉厚” は材質によって異なり, 各材質におけるき裂の不安定伝ぱの難易に対応すると考えられる.
(5) 円筒法で, き裂が不安定伝ぱしやすい耐火物は, パネル法でも不安定伝ぱする傾向にあるが, パネル法に比べて円筒法では, き裂の伝ぱ挙動が形状によって敏感に変化する.
(6) レーザーホログラフィーは, 耐火物中のき裂の存在状態を調べる手段として比較的高感度に使える.
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