窯業協會誌
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88 巻, 1022 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 三浦 英二, 古海 隆一, 橋場 稔, 塗師 幸夫, 日比野 泰三
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 577-582
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ジルコニアとシリカからのジルコン生成に対するフッ化ナトリウム及び酸化マンガン (IV) の同時添加の影響について調べた. その結果, フッ化ナトリウムと酸化マンガン (IV) は同時混合の効果を示し, それぞれ単独添加の場合よりもジルコンの生成温度を低下させる. シリカ, フッ化ナトリウム及びジルコニアは650°-800℃の温度域で8:5:2モル比に近い組成を有し, 赤外線スペクトルにおいて980cm-1付近に吸収ピークをもつ無定形物質を形成する. その一部はジルコニアの作用によって結晶相となる. 950℃以上ではこれらの生成物が分解してジルコンが生成する. 酸化マンガン (III) が共存すると無定形物質がより低温で分解するため, ジルコンの生成温度は800°-850℃に低下する. 900℃以上では液相の生成によりジルコンの生成は急激に増大する. このようなことから, フッ化ナトリウムと酸化マンガン (IV) の同時添加の著しい効果に対して, 無定形物質の生成と酸化マンガン (III) あるいはジルコニアの作用による無定形相の不安定化が寄与しているものと考えられる.
  • 持田 統雄, 高橋 健太郎, 渋沢 奨
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 583-588
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Na2O-SiO2-TeO2系のガラス化範囲を求めた, Na2O含量を一定としSiO2をTeO2で置換した一連の系列のガラスのモル体積, モル屈折, 膨張係数, 転移点, ビッカース硬度, 赤外吸収スペクトルの変化から, ガラス中のTe4+の挙動を調べた.
    他の4価の酸化物とは異なり, SiO2のTeO2による置換で, モル体積と膨張係数の著しい増加, 転移点と硬度の著しい低下が起こる. この変化を, Te4+がガラス中でひずんだ四方錐又は三方錐配位をとるためと考えた. 更に, 赤外スペクトルに現れたTeO4四方錐による650cm-1付近の吸収とTeO3三方錐のTe-O伸縮振動による700cm-1付近の吸収の強度変化から, Na2O 25, 30mol%両系列では大部分のTe4+は四方錐配位をとること, Na2O含量の増加につれTeO3三方錐の割合が増え45mol%では大部分のTe4+が三方錐配置をとること, また, 50mol%以上では再びTeO4四方錐が生ずることを示した. ガラス化範囲も, このTe4+の配位数変化により説明しうる.
  • 山根 正之
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 589-594
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    種々の条件下で加水分解, 熟成を行ったシサコンメトキシド溶液のゲル化過程を, X線小角散乱により調べた.
    蒸留水で加水分解した溶液では, X線め散乱を与える粒子が形成されるまでに誘導期間があった. しかし, pH=10.3のアンモニア水を用いた場合には, 誘導期期間は存在せず, X線の小角散乱強度は時間とともに急速に増大した.
    小角散乱曲線をFankuchenの図解解法により解解析した結果, 加水分解後まず慣性半径が約7Åの1次粒子が形成され, この粒子が凝結して, 慣性半径約17Åの2次粒子, 約40Åの3次粒子が形成されることが分った.
    1次粒子の凝結速度は, その生成速度と同様に, アンモニア水を用いた時の方が, 蒸留水で加水分解した場合よりはるかに大きかった. アンモニア水で加水分解した液を温度を上げてゲル化すると, かさ比重の小さい多孔質のゲルが得られた.
  • 耐火物の熱衝撃による破壊現象の研究, 第4報
    熊谷 正人, 内村 良治, 岸高 寿
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 595-603
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アルミナーシリカ質を中心とした円筒状耐火物の熱衝撃破壊挙動をAE法や熱応力解析等を併用して検討した.
    その結果,
    (1) 円筒状耐火物を内面から加熱すると, まず端面の外表面付近で軸方向のき裂が発生し, 進展する.
    次いで, 円筒中央部の外表面上で軸方向の引張り応力により円筒を輪切りにするき裂が発生する.
    (2) 円筒状耐火物の熱衝撃試験時のAE特性は材質によって顕著に変化する. AE計数と合わせてAE振幅分布を考慮すると, 材質による破壊挙動の違いがより明確になる.
    (3) いずれの試料でも, 円筒が厚肉になるにつれて, き裂進展時の解放ひずみエネルギー量が多くなるため, き裂はより不安定に伝ぱし, 伝ぱ距離も長い.
    (4) き裂が安定伝ぱから不安定伝ぱへ遷移する “遷移肉厚” は材質によって異なり, 各材質におけるき裂の不安定伝ぱの難易に対応すると考えられる.
    (5) 円筒法で, き裂が不安定伝ぱしやすい耐火物は, パネル法でも不安定伝ぱする傾向にあるが, パネル法に比べて円筒法では, き裂の伝ぱ挙動が形状によって敏感に変化する.
    (6) レーザーホログラフィーは, 耐火物中のき裂の存在状態を調べる手段として比較的高感度に使える.
  • 山口 明良
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 604-610
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Cr2O3-Cr成形体の炭素粉末中における焼結, この焼結中に生成するCr2(C, N), そしてCrと空気に由来するN2及びCOガスとの反応について研究した.
    Crは約600℃以上でN2及びCOガスと反応した. そしてCr2(C, N) と少量のCr2O3が生成し, 700°-1100℃ではその外にCrNが生成した. 焼結中に生成したCr2(C, N) 結晶中のC含有割合は, 1100℃以下の焼成では10atom%, その温度以上で直線的に減少し, 1500℃の焼成では4atom%であった. Cr2O3-Cr成形体は1500℃の炭素粉末中での焼結で, Cr2(C, N) とCr2O3とからなる95%以上の相対密度のち密な焼結体となった. 特に, 約60%Crの成形体から得られた焼結体の相対密度は99%以上であった.
  • 作花 済夫, 西雪 敏紀
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 610-618
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Na2O-Al2O3-B2O3, CaO-Al2O3-B2O3及びNa2O-MgO-B2O3系ガラス中のCu2+イオンの光吸収スペクトルを測定し, ガラス組成と吸収ピーク波数の関係を調べた. その結果, アルカリ酸化物のNa2OはCu2+の吸収ピーク波数に最も著しく影響し, ガラス中のNa2Oの含有量が40mol%をこえるとピーク波数は著しく増大すること, アルカリ土類酸化物であるCaO及びMgOの吸収ピーク波数に対する効果はアルカリ酸化物より小さいことが分った. またNa2O-Al2O3-B2O3及びCaO-Al2O3-B2O3系ガラスについてCu2+のESRスペクトルを測定し, これらのガラスにおけるESRパラメーターのガラス組成による変化の様子は, 吸収ピーク波数の変化の様子とほぼ対応していることを明らかにした.
  • 藤田 一美, 香山 勲
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 619-623
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ヘキサメチレンテトラミンと亜鉛塩を使用する均一沈殿法を用いてヘキサメチレンテトラミン濃度, 亜鉛濃度, 溶媒pHを変化させ酸化亜鉛の合成を試みた. 結果は以下のとおりである.
    (1) ヘキサメチレンテトラミン濃度, 亜鉛濃度, 溶媒pHが低い場合に硝酸亜鉛, 塩化亜鉛から酸化亜鉛が得られるが硫酸亜鉛からは得ることができなかった.
    (2) ヘキサメチレンテトラミン濃度, 亜鉛濃度, 溶媒pHが高くなると均一沈殿法が使用できない範囲が拡大した.
    (3) 均一沈殿法により水溶液から得た酸化亜鉛の形態は球状, 針状の2種であった.
    以上の結果から出発物質, 沈殿剤と亜鉛塩の濃度, 溶媒pH値が酸化亜鉛の合成に影響を与えることを明らかにした.
  • 森川 日出貴, 三宅 通博, 岩井 津一, 岡田 清, 大野 英雄, 古川 和男
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 623-628
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    880℃における硫酸リチウム融体のX線散乱強度を測定し, 動径分布解析法によってその融体の構造を研究した. 硫酸リチウムの結晶構造中に存在するSO44面体基は溶融状態でも存在しており, そのS-O原子間距離は1.50Åである. Li-Oの原子間距離は1.98Åであり, リチウム原子は4個の酸素原子によって囲まれていると推定される. 長距離の原子配列については, ルチル (TiO2) におけるTi原子をSO4で置き換え, O原子をLi原子で置き換えたようなルチル型充てんをなしていると推定される. SO44面体基は6個のリチウム原子に囲まれている. それらのうち2個のLiO44面体はSO44面体と稜を共有し, 残りの4個のLiO44面体はSO44面体と頂点を共有している. またSO44面体基は約4.2Å離れた2個のSO44面体基と約5.1Å離れた8個のSO44面体基に囲まれている.
  • 猪股 吉三, 上村 揚一郎, 井上 善三郎, 田中 英彦
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 628-633
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiCの六方格子面内の回転によって得られる粒界について, 実在する高純度なbicrystalの方位関係のデータ及び格子点の対応の度合の角度依存性に関するモデル計算の結果から次のことを結論した.
    (1) SiC, ダイヤモンド及びシリコン等に関する, この種の粒界形成による表面エネルギーの緩和量は, 格子点の対応の度合によって近似的に評価できるであろうことを示した.
    (2) この種の粒界の平均的なエネルギーは, これらの物質の (111) 面 (α-SiCの場合は (0001) 面) の表面ェネルギーの1.88倍以上であろうと推論した.
  • 松尾 哲夫, 平嶋 公洋
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 634-639
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究はSUJ2 (焼き入れ), ステライト, フェライト, シリコンなど種々の硬質円板材に対する定速定荷重のピンオンディスク型単粒摩耗実験を各種研磨材について行ったものである. 研磨材としてはダイヤモンド, 黒色炭化ケイ素, 標準アルミナ, ルビーアルミナ, 単結晶アルミナ, 及び25%ジルコニアが用いられ, 焼結したSi3N4粒についても試験された. 試験は荷重450g, 摩擦速度300及び600m/minで行われた. これによって各研磨材の摩耗の序列をそれぞれの円板材について調べた.
    ステライト板に対する研磨材の摩耗は焼き入れしたSUJ2板の場合に比べかなり多く, 更にフェライト板ではステライト板の2倍程度に多くなる. ダイヤモンド研磨材は円板材にかかわらず最も摩耗しにくく, Si3N4粒は反対にステライト以外の円板材に対し最も高い摩耗量を示す. A研磨材はC研磨材に比べ焼き入れしたSUJ2, フェライト板では摩耗量は少ないが, ステライト板では逆の結果が得られる. フェライト板では, 円板材摩耗粉のアブレージョン作用が研磨材摩耗を支配する重要な因子である.
  • 毛利 尚彦
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 640-641
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 森本 繁樹, 三島 康玄
    1980 年 88 巻 1022 号 p. 642-643
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 88 巻 1022 号 p. A58-A64
    発行日: 1980/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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