応用地質
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66 巻, 6 号
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報告
  • ~令和6年能登半島地震の例~
    松澤 真, 渡壁 卓磨, 佐藤 昌人
    2026 年66 巻6 号 p. 225-236
    発行日: 2026/02/10
    公開日: 2026/03/03
    ジャーナル 認証あり

    表層崩壊の発生場や崩壊深さを予測するうえで重要な風化帯構造について,令和6年能登半島地震により表層崩壊が群発した奥能登地域を対象に調査した.この地域の地質は多様であるため,地質ごとに風化帯構造を比較して,風化帯構造の形成過程と表層崩壊の発生場についての関係を明らかにした.表層崩壊のすべり面が形成されたのは,4つの岩種ともにクリープの進行により基盤岩から分離した強風化岩であったが,風化帯構造には明瞭な違いが認められた.珪質シルト岩は亀裂性岩盤であり,弱風化岩と強風化岩の境界で黄鉄鉱が消失していた.硫酸による風化の促進と岩盤強度の低下により,岩盤クリープが進行し,表層崩壊が発生したと考えられる.流紋岩質火砕岩は,尾根から渓床付近までハロイサイトが多量に含まれる強風化帯が形成され,それを反映して尾根から渓床付近まで広い範囲で崩壊が発生した.デイサイト質火砕岩の強風化岩の分布は尾根部に限定され,崩壊も尾根付近に集中していた.強風化岩には,ハロイサイトおよびスメクタイトが含まれていた.安山岩質火山岩は,ヘマタイトを主体とした非常に粘土質な強風化岩が尾根部のみに形成され,尾根付近で崩壊が発生した.

  • 稲垣 秀輝, 西村 智博, 佐藤 昌人, 下村 博之
    2026 年66 巻6 号 p. 237-249
    発行日: 2026/02/10
    公開日: 2026/03/03
    ジャーナル 認証あり

    最近,多様な複合災害の事例が多くなってきた.能登半島では令和6年1月の地震時に土砂災害が多数発生した.それだけでなく,その後の9月豪雨によって地震時に発生した山地の不安定土砂が,再流出したことが明らかになった.ただし,翌年の融雪による土砂移動はほとんどなかったが,地震・豪雨による広域の被害になるとその復旧は大変なものになるので,ソフト対策として土地利用のあり方や複合災害時の復興計画などを事前に立てておくことが重要になる.今後増加が予想される複合災害に備えるための手段として,地震後に緩んだ地盤をどのようにハザードとして見直し,土砂災害ハザードマップをリアルタイムでアップデートすべきか検討が必要である.そして,それに基づきどこに避難するのか,適正な避難ルートはどこか,いつまで避難を続けるのかなどの技術的なソフトの基準作りが重要である.また,複合災害で大きな災害になりやすい地形要素(たとえば0次谷,斜面下の切土,河川攻撃斜面など)と地質的素因(たとえば火砕岩,流れ盤構造,破砕帯,熱水変質帯など)の研究と対応策が応用地質学的課題である.

  • 高見 智之
    2026 年66 巻6 号 p. 250-261
    発行日: 2026/02/10
    公開日: 2026/03/03
    ジャーナル 認証あり

    2024年能登半島地震により多様な斜面災害が多数発生し,地すべり性崩壊や低角度並進地すべりなど,地質性状や地質構造を反映した災害形態の類型が見られた.災害発生前後の空中写真や詳細地形データなどから,多様な災害形態を示す災害事例を記載するとともにその形態や移動量などに着目して類型化し,その地形地質的特徴を考察した.地質条件と共に斜面変動を示す微地形の分布を把握することが斜面災害リスクを評価するうえで有効と考えられる.類型化に基づき,新第三紀層摺曲帯の地質地形特性からの地震時斜面災害リスクを評価していくことが重要である.

  • 黒木 貴一, 太田 岳洋, 瀧本 真理
    2026 年66 巻6 号 p. 262-268
    発行日: 2026/02/10
    公開日: 2026/03/03
    ジャーナル 認証あり

    令和6年能登半島地震で生じた大久保地区の斜面崩壊の地形形成過程を議論した.国土地理院撮影の空中写真を実体視し,地形と土砂移動を判読した.判読では,樹木の倒伏と地表の亀裂や凹凸を考慮した.地形は土塊,滑落崖,崖錐,岩屑流に区分し,各地形区分に対し土砂移動の方向を計測した.次に隣接する滑落崖と土塊,滑落崖と崖錐を統合し1つの地形単位とした.地形単位と土砂移動の方向から崩壊の順序を判断した.さらに隣接する地形単位の順序が順接ではなく,土砂移動の方向が異なる不連続線を見出し,崩壊単位を区分した.地形区分,地形単位の区分,崩壊単位の区分,土砂移動の方向から,大規模な斜面崩壊が持つ多段階の崩壊過程を推定した.このように,空中写真判読で得た地形区分と土砂移動の方向の情報から,斜面崩壊の過程つまり地形形成過程を議論した.その議論で用いた,地形区分の統合を段階的に行う作業は,マルチスケールの地形特性を踏まえた合理的な分析方法と考える.

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