日本臨床免疫学会会誌
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16 巻, 2 号
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  • 茆原 順一, 中島 重徳
    1993 年 16 巻 2 号 p. 87-98
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 谷崎 勝朗, 貴谷 光, 岡崎 守宏, 御舩 尚志, 光延 文裕, 木村 郁郎
    1993 年 16 巻 2 号 p. 99-108
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ヒスタミンおよびロイコトリエンC4 (LTC4)は,気管支攣縮性の化学伝達物質であり,気管支喘息ではIgE抗体にmediateされる即時型アレルギー反応の際に,肥満細胞や好塩基球およびその他の細胞から遊離される.本研究では,気管支喘息症例を対象に,気管支肺胞洗浄法(BAL)により得られた液性成分中のこれらの化学伝達物質濃度を測定し, Ca ionophore A 23187刺激時のBAL細胞および末梢血白血球からのこれらの化学伝達物質遊離との関連について,若干の検討を加えた.対象は気管支喘息22例(平均年齢56.2歳,平均血清IgE値589 IU/ml)であった. BAL液中のヒスタミンおよびLTC4濃度は,それぞれヒスタミン自動分析装置およびHPLCにより測定した.夫た, BAL細胞(106)および末梢血白血球(5×106)からのヒスタミンおよびLTC4遊離は, Ca ionophore A 23187(1μg)添加後, 37°C, 15分間incubateした後その遊離量を測定した.
    成績: BAL液中のヒスタミン濃度が測定し得た症例(DH)は, 22例中9例(40.9%)であり,またLTC4が測定し得た症例(DL)は10例(45.5%)であった. BAL液中ヒスタミンが測定し得た症例の多くは,血清IgE値の上昇, RAST陽性などの所見からアトピー型と診断され,そのBAL細胞からはLTC4よりもヒスタミンがより多く遊離された.一方, BAL液中のLTC4が測定し得た症例の多くは,血清IgE低値,アレルゲンによる皮内反応陰性, RAST陰性などの所見から非アトピー型と診断され,そのBAL細胞からは,ヒスタミンよりもLTC4がより多く遊離された.末梢血白血球からのヒスタミン, LTC4遊離もほぼ同様の傾向を示したが, DH症例におけるヒスタミン遊離を除き有意の差はみられなかった.以上の結果は,気道内ヒスタミンおよびLTC4濃度は,ある程度IgE系反応と関連があることを示唆しているものと考えられた.
  • 佐藤 由紀夫, 佐藤 利香, 渡辺 一雄, 西間木 友衛, 粕川 禮司
    1993 年 16 巻 2 号 p. 109-117
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)でIgGリウマトイド因子(RF)を測定する場合, IgM RFに結合したnon-RF IgGをIgG RFと測定する可能性があり,前もって検体を還元処理することが有用とされている.今回われわれは還元剤としてdithiothreitol (DTT)を用い, RA 18例の血清53検体のDTT処理前後のIgG RFをIgG RF測定キットED 001 (エーザイ)で測定し, IgG RF値の変動とRAの疾患活動性との相関を検討した.さらに,ゲル濾過法を用い,還元処理したRF陽性血清中のIgM RFとIgG RFの存在様式に及ぼす影響も検討した.慢性関節リウマチ(RA)の疾患活動性は4項目法によるランスバリーの活動性指数(AI)で評価した. DTT未処理IgG RFの変動の68.4%がAIの変動と一致した(p<0.05). 1例を除く17例においてDTT処理IgG RFの変動の73.5%がAIの変動と一致し(p<0.01) DTT未処理IgG RFに比べ一致率は増加した. DTT処理後もIgG RF陽性であったseropositive RAおよびseronegative RA血清をゲル濾過後,各画分のDTT処理前後のIgM RF, IgG RF活性を測定し, RFの存在様式を検討したところ, IgG RFはmonomerとして存在するほか,主にtetramer以下の複合物として存在し,さらにこれらの一部はIgM RFと結合しIgM以上の高分子として存在すると推定された.また, IgG RF活性がDTT処理後消失したseropositive RA血清の同様な検討より, IgM RFに結合したnon-RF IgGも高分子量のIgG RF活性として測定されると推定され, DTT処理はその活性を完全に消失させた.以上の結果からDTTは主にnon-RF IgGを結合したIgM RF活性を消失させ, IgG RF陽性血清のIgG RF活性を低下させることにより, IgG RF偽陽性血清を低下させることに有用と考えられた.しかし, DTT処理前後のIgG RFとAIの変動の一致率に有意差はなく, RAの疾患活動性をみるうえでDTT処理は必ずしも必要ないと考えられた.
  • 前田 裕弘, 松田 光弘, 森田 恵, 正木 秀幸, 白川 親, 堀内 房成, 小山 敦子, 濱崎 浩之, 藤本 卓也, 入交 清博, 堀内 ...
    1993 年 16 巻 2 号 p. 118-125
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    成人T細胞白血病(ATL)患者の血清を健常人の末梢血単核細胞(PBMC)に添加し,そのPBMCのCD 3抗原の発現を観察した. CD 3抗原の発現が低下している急性型ATL患者の血清を添加したときのみ健常人PBMCのCD 3抗原の発現が低下した.しかし, CD 3抗原の発現が正常の慢性型ATL血清では,この現象はみられなかった.同様の結果が細胞培養上清添加時にもみられた.細胞培養上清をSephacryl S-200を用いて分画し,健常人PBMCのCD 3抗原を低下させる活性を分子量40-60 kDの分画に認めた.各種抗サイトカイン抗体を用いた中和実験および各種サイトカイン添加実験より,この可溶性因子が既知のサイトカインとは異なる因子と考えられた.この因子が臨床的に急性型ATLに認められ,くすぶり型および慢性型ATLに認められないことより, crisisに関与している可能性も考えられた.
  • 久田 剛志, 石塚 全, 黒沢 元博
    1993 年 16 巻 2 号 p. 126-131
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ラジオイムノアッセイ法により,モルモット気道のPHI様免疫活性を測定した.モルモットにマイクロ波を照射後採取した気管,肺外気管支および肺を酢酸存在下にホモジナイズし,煮沸後,遠心して得られた上清を凍結乾燥し,測定に供した.湿重量1g当たりのPHI様免疫活性は気管,肺外気管支,肺の順に高く, PHIは中枢気道に多く存在することが示唆された. 3μg/kg/hr LTC4静脈内投与により動的呼吸抵抗が明らかに増加し,気管および肺外気管支のPHI様免疫活性は,有意に減少した.
  • 青木 繁雄, 今井 浩三, 山村 美雪, 辻崎 正幸, 杉山 敏郎, 日野田 裕治, 長尾 正人, 石井 清一, 谷内 昭
    1993 年 16 巻 2 号 p. 132-139
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    酵素免疫測定法によるIgG-RF測定キットED 001を用いて,慢性関節リウマチ(RA)および各種疾患患者血清中のIgG-RFを測定した. RAでのIgG-RF陽性率は25.5% (24/94)で,シェーグレン症候群を除く他の膠原病患者群に比較して高値であった. RAにおいては, X-ray stage, ADL classが進むにつれてIgG-RFが高くなる傾向がみられた.またIgG-RFとLansbury活動性指数,関節点数,握力,赤沈, IgM-RF, CRPやTNF-αなどとの間に相関が認められた.またIgG-RFと血清中遊離型ICAM-1値との間に有意な相関を認め,さらにアレルギー性肉芽腫性血管炎の2例にIgG-RFの高値が認められたことより, IgG-RFと血管炎との関連性が示唆された.
  • 白井 正浩, 佐藤 篤彦, 千田 金吾
    1993 年 16 巻 2 号 p. 140-147
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    呼吸器疾患におけるステロイドの効果の指標として家兎気管支肺胞洗浄細胞(以下BAL-cell)のグルココルチコイドレセプター(以下GR)をとりあげ,宿主因子(加齢,活性化,絶食)およびステロイド投与が及ぼす変化を観察した.その結果,加齢では若年群ほど高値を示した.
    絶食では一過性に増加した後,減少傾向を示し,さらにheat-killed BCGによって活性化されたBAL-cellのGRの上昇を抑制した.一方,プレドニゾロン1回投与によるGRの推移をheat-killed BCG感作群と非感作群において観察したところ,両群とも3時間後に低下し, 2日から4日後に一過性に上昇を示したが7日後に前値に復した.
    以上の結果より,ステロイド治療を施行する際は,これらの宿主因子およびステロイド投与がBAL-cellのGRを変化させることを十分考慮に入れる必要があると考えられた.
  • 柳田 たみ子
    1993 年 16 巻 2 号 p. 148-156
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ベーチェット病の各種レンサ球菌細胞壁粗分画に対する血清抗体価をELISA法で免疫グロブリンクラス別に測定し,健常人,慢性再発性アフタ症のものと比較した.その結果, Streptococcus salivarius HHT株に対するIgG, IgA抗体や, S. pyogenes ATCC 19618(M1型)およびS. sanguis ST 3株(biotype A, serotype I)に対するIgA抗体が,ベーチェット病では健常人に比べて有意に上昇しており, S. salivariusのIgG, IgA抗体は慢性再発性アフタ症に比べても有意な上昇を示した.ベーチェット病で健常人に比べて有意な上昇を示した血清抗体について,抗体価とベーチェット病の臨床像との関連性をみると, S. salivariusのIgG抗体高値例に完全型病型が多かった.さらに, S. salivariusのIgG抗体に対する細胞壁粗分画中の対応抗原について, Western blot法で検索したところ,分子量約48,000の抗原性物質の存在が明らかになったが,これは慢性再発性アフタ症の患者血清とも反応し,ベーチェット病に特有なものではなかった.
  • 戸村 好太郎, 古田 勝彦, 西成田 進, 澤田 滋正, 堀江 孝至, 門脇 利明, 高木 晴美
    1993 年 16 巻 2 号 p. 157-164
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    高齢者インフルエンザ感染症経過中に,急速に進行する低酸素血症と胸部レントゲン写真上のびまん性肺野病変を呈し,さらに血小板減少,高γグロブリン血症,軽度肝機能障害を共通に併発し,症例により非特異的出血疹を呈する興味ある5症例を経験した.これら5症例には,抗生物質投与やヒト免疫グロブリン製剤も無効で,その発熱には解熱剤投与も無効であった.呼吸不全も憎悪し,精査の結果,播種性血管内凝固症候群(DIC)も否定的だったため,救命的に,ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1g/日×3日)を施行したところ,全症例に劇的改善がみられた.前述の症状の他,臨床検査所見も正常化した.また全例がパラインフルエンザ(III)抗体価1,024倍以上を呈した.検査上,基礎疾患としての膠原病は否定的だった.しかしながら,ステロイドパルス療法は全例に著効しており,その病態には,パラインフルエンザウイルス(III)感染症に伴う全身的なアレルギー状態の存在や,薬物アレルギーの存在が考察された.なお,今後とも症例を重ねて,免疫学的アプローチによる病態の解析も必要であると思われ,インフルエンザ流行期での高齢罹患者にはなお一層注意を要するものと思われた.
  • 武田 智, 星 智
    1993 年 16 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肝機能正常の原発性胆汁性肝硬変(PBC)を合併したSjögren症候群(SjS)の1例を経験したので報告する.症例は67歳女性.昭和45年頃より口腔内乾燥感,昭和59年頃よりレイノー現象,手掌の毛細血管拡張,昭和60年頃より背部の掻痒感出現した.昭和63年頃より右季肋部痛が出現するようになり某院で胆石を指摘された.平成2年9月右季肋部痛を主訴に当院受診した.肝機能は正常であったが,腹部エコーで胆石と慢性肝疾患が示唆された.抗核抗体は640倍で染色パターンはdiscrete speckledであった.抗セントロメア抗体(ACA)は2,560倍,抗ミトコンドリア抗体(AMA)は160倍と高値を示した. PBCが疑われたため胆石の術中肝生検を施行した.肝臓の病理組織像は慢性非化膿性胆管炎でPBCと診断された.また口腔内乾燥感を認めたため小唾液腺生検施行し, SjSに合致する所見であった.本例はACAとAMAが共に陽性でSjSに肝機能正常のPBCを合併した症例である.早期のPBCやACAの臨床的意義を考えるうえで興味深い症例と考えられた.
  • 秋本 佳久, 石山 泰二郎, 上野 秀之, 中牧 剛, 日野 研一郎, 友安 茂, 鶴岡 延熹
    1993 年 16 巻 2 号 p. 170-175
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    著者らは,高Ca血症,高PTHrP (PTH related protein)血症を伴う著明な骨打ち抜き像を認めた成人T細胞白血病(以下ATL)を経験した.症例は, 58歳,女性.某医で,骨打ち抜き像を指摘され1991年2月18日入院した.末梢血,骨髄に異常細胞は認められず, BUN 93.1mg/dl, Crnn 2.7mg/dl, Ca 14.5mg/dlと高値を示した.腫瘍マーカーに異常はなく,免疫グロプリン値は正常で,免疫電気泳動検査でM-componentはみられなかった.頭蓋骨,長管骨に著明な骨打ち抜き像を認めた. 3月11日,白血球数が著増しflower cellが出現し抗HTLV-I抗体は陽性であった. HTLV-Iのproviral DNAを証明しATLと診断した.血清Caは21.0mg/dlと増加し,血清中PTHrP (RIA法)は319.0pmol/lと高値を示した. CHOP療法を施行し異常細胞は消失したが,頭部CTで脳実質浸潤を認め呼吸不全で死亡した. ATLの病態で骨病変はまれであるが,骨打ち抜き像を呈する症例もあり留意する必要がある.
  • 野間 剛, 森 淳夫, 吉沢 いづみ, 川野 豊, 伊藤 雅彦, 黄 国輝, 中里 明彦, 松本 恭子
    1993 年 16 巻 2 号 p. 176-181
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    RSV感染症回復後,食物抗原(OVA, α-カゼイン(α-Ca))やダニ抗原(Df)に対する特異的IL 2反応性の充進を認めるようになり,気管支喘息に移行した2ヵ月男児の1症例を経験した.鼻汁中のRSV抗原が陽性であり,無気肺を伴う気管支炎と診断され,入院時初回の喘鳴を認めた.免疫学的検査では,血清IgE値が低値であり,またIgE RASTスコアもハウスダスト,ダニ,卵白,牛乳,大豆のいずれにも0であった.リンパ球のIL 2反応性はDfとα-Caが陽性を示し,その後数ヵ月の経過観察において,その値は増加を示した.さらにまた, OVA抗原ついでスギ抗原が陽性を示した.これらの検査成績に一致して患児は可逆性の呼気性呼吸困難を繰り返すようになり気管支喘息と診断されるに至った. IL 2反応性陽性抗原のうち, Dfは気管支喘息の発症を誘導している可能性が示唆された.また陽性を示したα-Ca, OVA抗原,スギ抗原もアトピー性疾患症状発現の病因抗原になりうることが推測された. RSV感染症がアトピー性疾患の発症とかかわり合いをもつことを示唆する所見を示す1症例と考えられた.
  • 森 雅亮, 黒住 浩子, 奥山 伸彦, 赤城 邦彦
    1993 年 16 巻 2 号 p. 182-190
    発行日: 1993/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    死に至った重症型のvirus-associated hemophagocytic syndrome (VAHS)の2症例を経験した.
    1例目はEpstein-Barr (EB)ウイルスが,また2例目は麻疹ウイルスが, VAHSの発症に関与したウイルスと考えられ,前者は諸臓器におけるEBウイルスのゲノムの検出により,後者は肺生検による病理所見とウイルス分離により診断に至った.本2症例は原因となったウイルスは異なるものの,似通った臨床経過を呈し,本疾患に有効とされている治療にもまったく反応しなかった.
    VAHSの中には無治療で軽快する軽症型もあるが,本例のように死の転帰をとる重症型も存在しており,この疾患の免疫学的機序の解明および治療法の確立が早急に必要であると考えられる.
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