ヒスタミンおよびロイコトリエンC
4 (LTC
4)は,気管支攣縮性の化学伝達物質であり,気管支喘息ではIgE抗体にmediateされる即時型アレルギー反応の際に,肥満細胞や好塩基球およびその他の細胞から遊離される.本研究では,気管支喘息症例を対象に,気管支肺胞洗浄法(BAL)により得られた液性成分中のこれらの化学伝達物質濃度を測定し, Ca ionophore A 23187刺激時のBAL細胞および末梢血白血球からのこれらの化学伝達物質遊離との関連について,若干の検討を加えた.対象は気管支喘息22例(平均年齢56.2歳,平均血清IgE値589 IU/m
l)であった. BAL液中のヒスタミンおよびLTC
4濃度は,それぞれヒスタミン自動分析装置およびHPLCにより測定した.夫た, BAL細胞(10
6)および末梢血白血球(5×10
6)からのヒスタミンおよびLTC
4遊離は, Ca ionophore A 23187(1μg)添加後, 37°C, 15分間incubateした後その遊離量を測定した.
成績: BAL液中のヒスタミン濃度が測定し得た症例(DH)は, 22例中9例(40.9%)であり,またLTC
4が測定し得た症例(DL)は10例(45.5%)であった. BAL液中ヒスタミンが測定し得た症例の多くは,血清IgE値の上昇, RAST陽性などの所見からアトピー型と診断され,そのBAL細胞からはLTC
4よりもヒスタミンがより多く遊離された.一方, BAL液中のLTC
4が測定し得た症例の多くは,血清IgE低値,アレルゲンによる皮内反応陰性, RAST陰性などの所見から非アトピー型と診断され,そのBAL細胞からは,ヒスタミンよりもLTC
4がより多く遊離された.末梢血白血球からのヒスタミン, LTC
4遊離もほぼ同様の傾向を示したが, DH症例におけるヒスタミン遊離を除き有意の差はみられなかった.以上の結果は,気道内ヒスタミンおよびLTC
4濃度は,ある程度IgE系反応と関連があることを示唆しているものと考えられた.
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