皮膚の科学
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12 巻, Suppl.20 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 福土 審
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 1-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
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    アトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚科疾患にも種々の精神疾患や心身症の病態が潜んでいる。うつ病あるいはうつ状態ならびに不安障害は,脳機能の一側面である情動が主に障害された状態であり,アトピー性皮膚炎との併存頻度も高い。ストレス制御に有用な薬物の代表は抗うつ薬と抗不安薬である。抗うつ薬は,脳内セロトニン及び/あるいはノルアドレナリンの再取込み阻害作用による薬理作用を示す。しかし,ストレス制御においてより重要なのは,行動を変容させることである。アトピー性皮膚炎の情動面の異常を的確に診断し,薬物療法とともにストレス対処法を行えば,患者にとっては大きな利得となるであろう。(皮膚の科学,増20: 1-6, 2013)
  • ~補完代替医療からのアプローチ~
    市江 雅芳
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 7-12
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
    音楽を用いる場合,音楽療法,音楽鑑賞,音楽活動のアプローチがあるが,音楽の直接的効果と言うよりもストレス軽減による間接的効果と考える方が妥当である。そのような観点では,他の補完代替医療にもアトピー性皮膚炎への効果が期待できるものがある。メディカル・アロマセラピーは,精油の薬効成分を用いるものであるが,ストレス軽減には,鎮静,鎮痒,殺菌作用のあるラベンダーなどの精油が向いている。レイキは,日本の「手当て」が発展したものであるが,アルミホイルで伝達が遮断されることから電磁波様のエネルギーであると考えられる。筋緊張軽減,疼痛緩和,末梢循環改善などの作用があり,リラクゼーション効果は大きい。(皮膚の科学,増20: 7-12, 2013)
  • 永富 良一
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 13-18
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
    末梢血白血球の数と分画は炎症などの免疫応答の臨床的マーカーとして古くから利用されている。一方,運動によって循環白血球の数や分画も,条件によっては炎症時に観察される程度まで変化することがある。このような運動に伴う白血球およびその分画の変化には,炎症反応とは独立した自律神経系および神経内分泌系が関与することが明らかになってきている。スポーツ選手の白血球分画の変化をむしろ自律神経系・内分泌系の状態の指標として観察した結果,競技成績との関連があることも報告されている。したがって末梢血白血球の変化をみたときにそれが炎症に依存するのか,あるいは運動やストレス応答に依存しているのかを見極めることは重要である。運動により免疫応答の質的な変化は起こりにくく,実際自己免疫疾患患者の運動機能障害に対する運動リハビリテーションに関するメタ分析の結果をみても,免疫学的な動揺はほとんど起きていないことがわかる。したがってアトピー性皮膚炎においても,発汗にさえ注意を行えば,運動自体による病態の悪化が起こることは考えにくい。(皮膚の科学,増20: 13-18, 2013)
  • 片岡 葉子
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 19-27
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(AD)治療ガイドラインが公開され10 年以上経過しているが,重症の症状を抱え,QOL を阻害されている患者は少なくない。この背景にAD がtricky な疾患で,医師さえ陥る複数のpitfall があることを指摘し,その解決について述べた。1. 治療のゴールに関するpitfall : 治療のゴールや到達までの期間を意識しない漫然とした対処療法の問題。2. 悪化因子対策と薬物療法の位置関係に関するpitfall : 遷延化する皮膚炎症が次の悪化因子を生み悪循環を形成しているのに,悪化因子対策のみを偏重する問題についてストレス,IgE アレルギーを例に解説した。3. ステロイド外用療法のpitfall : ステロイド外用療法は,“tight control”であるべきこと,外用方法の詳細について再考し,ゴール到達への戦略について解説した。(皮膚の科学,増20: 19-27, 2013)
  • 有田 秀穂, 鈴木 郁子
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 28-30
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
  • 井上 雄一
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 31-36
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
  • 須藤 信行
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 37-41
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
    腸内フローラは様々な生理機能の発現に深く関与しているが,中枢神経機能や精神機能にどのような影響を及ぼしているかに関しては十分に検討されていない。近年,腸内フローラは宿主のストレス反応や行動特性に影響することが明らかにされつつある。著者らの人工菌叢マウスを用いた検討では,無菌(germfree:GF)マウスは通常のspecific pathogen free (SPF)環境下で飼育されたマウスと比較し,拘束ストレス負荷によるACTHおよびコルチコステロンの上昇反応が有意に亢進していた。また GFマウスは,通常の腸内フローラを有するEX-GFマウスと比較し,多動で不安レベルが高かった。以上の結果は,腸内フローラは成長後のストレス反応性のみならず行動面にも影響しうることを示している。(皮膚の科学,増20: 37-41, 2013)
  • 渡邉 昌彦, 本田 元子
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 42-46
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
    最近1年半の間に,当院で入院治療を行ったアトピー性皮膚炎の患者は6名であった。
    これら各々の症例について,入院後の問診や看護記録などをもとに,皮膚症状の悪化因子などについて心理的社会的側面から検討を行った。今回の検討の結果,東日本大震災による影響,ステロイド忌避,職場や家庭における人間関係,これらの要因に伴う掻破行動による細菌感染などがアトピー性皮膚炎の増悪に関与していると考えられた。いずれの症例も入院治療により皮膚症状の改善が認められた。(皮膚の科学,増20: 42-46, 2013)
  • -アトピー性皮膚炎患者にとって理想の生活習慣とは-
    鍵本 香子, 小澤 麻紀, 大浪 薫, 沼田 郁子, 相場 節也
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 47-56
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎の治療は,薬物治療に関する行動と普段の生活習慣を含むセルフケアの達成がその鍵を握る。
    我々の施設では,「アトピー健診」と称して,外来通院中のアトピー性皮膚炎患者の生活習慣と治療行動の実態を調査し,改善点を患者本人にフィードバックする取組みを行っている。本稿では,「アトピー健診」開始時に実施した実態調査の結果を示すとともに,アトピー性皮膚炎患者に推奨すべき生活習慣について文献的考察を加えて検討した。(皮膚の科学,増20: 47-56, 2013)
  • -外用療法についてアトピー患者が知っていること,知らないこと-
    沼田 郁子, 小澤 麻紀, 鍵本 香子, 大浪 薫, 相場 節也
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 57-62
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
    外用治療はアトピー性皮膚炎の治療の主軸である。有効な患者教育を計画するためにはまず現状を知る必要があると考え,当科外来を受診したアトピー性皮膚炎患者を対象に,軟膏の塗り方についてアンケート調査を施行した。77名から回答を得た。その結果,多くの患者が,ステロイド軟膏を毎日赤いところと痒いところには外用していた。しかし,量はうすく伸ばして外用しており,約3割が赤みや痒みが無ければ‘よくなった'と解釈し,半数が‘よくなった'と思えばステロイド軟膏の外用を中断してしまうということが分かった。今後の指導の参考になると考え報告する。(皮膚の科学,増20: 57-62, 2013)
  • -心理テストの活用-
    小澤 麻紀, 沼田 郁子, 鍵本 香子, 大浪 薫, 相場 節也
    2013 年 12 巻 Suppl.20 号 p. 63-71
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/12/21
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎の診療において心身医学的治療の果たす役割は大きい。当院の「アトピー健診」では,外来通院患者を対象に,アトピー性皮膚炎心身症尺度検査と状態-特性不安検査を実施し,心身症傾向のある患者には,ラザルス式ストレスコーピングインベントリーの結果を基に,不安を軽減させるストレス対処行動について助言している。心理テストの結果は専門家紹介の目安にもなり,有用である。(皮膚の科学,増20: 63-71, 2013)
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