皮膚の科学
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14 巻 , 3 号
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症例
  • 河嶋 公美子, 牧之段 恵里, 黒川 晃夫, 森脇 真一, 安田 恵美, 木村 光誠
    2015 年 14 巻 3 号 p. 105-109
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/06
    ジャーナル 認証あり
    50歳代,女性。約10年前より左乳頭に硬結が出現した。徐々に増大し出血,びらんをも伴うようになったため当科を受診した。初診時,左乳頭部下方に径 7×6mm で表面が浸軟した紅色結節を認めた。組織学的には,真皮内に小型腺管の増生や乳管上皮の過形成像,間質の線維化像がみられた。腺管の壁細胞は2層の細胞層からなり,異型性や分裂像はみられなかった。また,一部に断頭分泌像が認められた。以上より,本症例を erosive adenomatosis of the nipple と診断した。乳頭部の結節性病変では,乳房 Paget 病,浸潤性乳管癌などの悪性腫瘍も存在するため,生検による組織学的診断が必要と考えられた。(皮膚の科学,14: 105-109, 2015)
  • 村手 和歌子, 佐々木 良輔, 鈴木 加余子, 松永 佳世子
    2015 年 14 巻 3 号 p. 110-114
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/06
    ジャーナル 認証あり
    40歳代,男性。2013年5月に口唇,前頸部に生じた紅斑と水疱を主訴に当科を受診。保存的加療で上皮化。2013年10月に精密機器の掃除用に販売されているエアーダスター®を吸入する目的で口腔内に向けて自己噴霧し,口唇,舌,顔面,右手に潰瘍と紅斑が生じ,疼痛が強く食事困難になったため,受傷3日後に当科再診。入院後の問診でエアーダスター®による皮膚粘膜障害(凍傷)と診断し,保存的治療でほぼ上皮化した。エアーダスター®の主成分はフロンであり,その吸入は適応外の行為であるが,吸入により浮遊感が得られるために,同様の行為を繰り返していたと思われ,初診時もエアーダスター®を吸入し受傷したものと考えらえた。(皮膚の科学,14: 110-114, 2015)
  • 村田 眞理子, 野見山 朋子, 竹中 秀也, 加藤 則人
    2015 年 14 巻 3 号 p. 115-118
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/06
    ジャーナル 認証あり
    60歳代,男性。膵癌術後の再発に対して TS-1®(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)の内服を開始された。内服開始約6ヶ月後にテガフールの総量 13.4g の時点で,顔面に暗紫色紅斑が出現した。頬部より行った生検の病理組織像では液状変性と表皮の個細胞壊死を認めた。蛍光抗体直接法では表皮真皮境界部に IgG,C1q の沈着がみられた。抗核抗体,抗 ds-DNA 抗体,抗 SS-A/Ro 抗体は陰性であった。TS-1® 内服休薬中に皮疹は軽快した。臨床経過と病理組織学的所見より,TS-1®による DLE 型薬疹と診断した。原疾患に対する TS-1® 内服は継続したが,遮光およびステロイド外用治療で皮疹は消退した。薬疹に対しては投薬を中止することが一般的であるが,TS-1® の薬疹においては直ちに内服を中止するのではなく,自験例のように遮光とステロイド剤の外用にて経過観察することも選択肢の一つとなりえると考えた。(皮膚の科学,14: 115-118, 2015)
  • 高山 悟, 藤本 徳毅, 高橋 聡文, 加藤 威, 田中 俊宏
    2015 年 14 巻 3 号 p. 119-122
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/06
    ジャーナル 認証あり
    30歳代,男性。幼少時より存在していた皮膚結節が徐々に増大してきた。右下腿外側に径 15×20mm の赤黒色角化性結節があり,全摘標本で表皮の過角化,真皮乳頭層より皮下組織まで達する拡張した血管の増生を認め,verrucous hemangioma と診断した。免疫組織化学染色で Glut-1 が陽性であり,malformation よりも hemangioma に近い性質を持つ可能性が示唆された。そのため,近年本邦で多用されている hyperkeratotic capillary-venous malformation よりも verrucous hemangioma の病名を使用することが適当と考えた。(皮膚の科学,14: 119-122, 2015)
  • 東 典子, 小豆澤 宏明, 吉岡 華子, 山岡 俊文, 片山 一朗, 榎本 圭佑
    2015 年 14 巻 3 号 p. 123-129
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/06
    ジャーナル 認証あり
    40歳代,女性。初診の6ヶ月前より四肢・体幹に24時間以上持続する膨疹が出現することを繰り返すため近医を受診した。低補体血症と顔面や下咽頭の血管性浮腫を伴っていたため当科へ紹介となった。C1-INH 活性は正常で遺伝性血管性浮腫は否定的であった。蕁麻疹様紅斑は,消退時の色素沈着は明らかではなかったが,皮膚生検にて核破砕性血管炎を認め,抗 C1q 抗体が 53.4U/ml(<15U/ml)と陽性であり,低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群と診断した。DDS の効果は部分的で,蕁麻疹様紅斑と顔面の血管性浮腫が再燃したため,ベタメタゾン 1.5mg/日を導入したところ症状は改善した。低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群では抗 C1q 抗体が形成する免疫複合体による補体古典経路の活性化が血管性浮腫を生じさせると考えられており,随伴しうる多彩な全身状態や基礎疾患を把握し,診断および治療法を決定する必要がある。低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群は希な疾患であり,血管性浮腫がみられることが特徴の1つであるが,補体検査や皮膚生検を怠れば,I型アレルギー反応と誤って見過ごされる可能性があり注意が必要である。(皮膚の科学,14: 123-129, 2015)
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