皮膚の科学
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12 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
症例
  • 椿本 和加, 加藤 晴久, 中堀 泰賢
    2013 年 12 巻 4 号 p. 275-279
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/28
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    44歳の男性が右足の難治性潰瘍のため他医を受診,蜂窩織炎の診断で治療を受けたが改善せず,下肢切断が必要と判断された。大切断回避目的でマゴット療法を希望し当科へ転院となった。足背の皮膚灌流圧 (SPP) は 75mmHg であった。下肢血管造影を行い重症下肢虚血に基づく難治性潰瘍でないことを確認した。マゴット療法を行い,創の改善後に壊死した腱と腐骨の除去のため右第2~5趾の切断を行った。Vacuum Assisted Closure (VAC®) 療法を行い治癒した。 SPP 測定などで重症下肢虚血が否定されれば,マゴット療法を行うことで下肢の大切断を回避可能な症例もある。(皮膚の科学,12: 275-279, 2013)
  • 早石 佳奈, 角村 由紀子, 水野 麻衣, 吉良 正浩, 大畑 千佳
    2013 年 12 巻 4 号 p. 280-284
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/28
    ジャーナル 認証あり
    47歳,男性。2008年から骨髄異形成症候群に罹患していた。2010年12月初旬に蜂窩織炎性虫垂炎にて虫垂切除術を施行され,術前より認めていた汎血球減少に対して G-CSF 製剤が投与された。数日前から両側下肢に皮疹が出現した。皮疹は徐々に増加,増大し,疼痛も伴うようになってきたため,2011年7月に当科を紹介受診した。初診時,両側下肢に,圧痛を伴う母子頭大から手掌大までの,境界がやや不明瞭で皮下に硬結を触れる紅斑が多数出現していた。生検を施行したところ脂肪組織に小葉中心性の好中球の浸潤を認めたため,neutrophilic panniculitisと診断した。プレドニゾロン 30mg/日の投与を開始後,皮疹は徐々に軽快した。本症例では G-CSF 製剤を投与した数日後に皮疹が出現したことから,G-CSF の血中濃度の上昇により neutrophilic panniculitis を発症した可能性を考えた。(皮膚の科学,12: 280-284, 2013)
  • 松本 優香, 中村 友紀, 正畠 千夏, 飯岡 弘至, 大黒 奈津子, 宮川 史, 福本 隆也, 小林 信彦, 浅田 秀夫, 杉江 和馬, ...
    2013 年 12 巻 4 号 p. 285-291
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/28
    ジャーナル 認証あり
    2012年に当科を受診した皮膚筋炎の患者のうち3患者について報告する。3患者とも皮膚筋炎で典型的に見られる皮膚症状(ヘリオトロープ疹,Gottron 徴候,爪囲紅斑,爪上皮出血点)を呈していた。筋症状は3患者中2例で伴っていた。間質性肺炎の合併は3患者とも見られなかった。3患者中1例(62歳)に食道癌の合併を認めた。免疫沈降法で3患者とも抗 transcriptional intermediatry factor (TIF) 1抗体が陽性であった。抗 TIF1 抗体は皮膚筋炎の特異的自己抗体の1つで,悪性腫瘍の合併率が高いと報告されている。特に40歳以上の患者では悪性腫瘍の合併に注意が必要であり,自験例で悪性腫瘍を合併していない2患者のうち,68歳の患者では今後も悪性腫瘍の検索を継続するべきであると考えた。(皮膚の科学,12: 285-291, 2013)
  • 椿本 和加, 加藤 晴久, 丸山 博司
    2013 年 12 巻 4 号 p. 292-295
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/28
    ジャーナル 認証あり
    71歳の男性が臍部に疼痛を自覚し,治療を受けたが改善なく外科を紹介受診した。臍炎疑いで当科紹介。Sister Mary Joseph Nodule (SMJN) を疑い生検と造影 Computed Tomography (CT) をおこなった。生検で膵癌の臍転移と診断し,CT 所見は腹膜播種を伴う膵癌で手術適応はなく,抗癌剤治療を勧めた。セカンドオピニオンを求めため他医に紹介となった。生検で確定診断できなかった報告があり速やかな全身検索が必要だが,Pseudo Sister Mary Joseph Nodule との鑑別が必要である。抗癌剤使用で長期生存の報告もあり,SMJN が疑われた場合は腫瘤の生検とすみやかな全身検索を行うべきである。(皮膚の科学,12: 292-295, 2013)
  • 仲田 かおり, 鷲尾 健, 村田 洋三, 木村 鉄宣, 福本 隆也, 堀川 達弥
    2013 年 12 巻 4 号 p. 296-300
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/28
    ジャーナル 認証あり
    53歳,女性。1992年,右下腿に外傷後に潰瘍が形成され,瘢痕となっていた。2009年,同部に中央が陥凹した結節が出現し当科を受診。ダーモスコピーでは辺縁部の delicate pigment network と中心部の white network を認めた。皮膚生検にて,真皮網状層は菲薄化し,真皮から脂肪織にかけて膠原線維の増生を伴う線維芽細胞様細胞の増殖があり,同部の弾性線維の減少を認めた。また表皮は柵状に吻合しながら真皮内に延長し,毛包や脂腺,汗管構造を伴っていた。以上より萎縮型皮膚線維腫と診断した。本症は皮膚線維腫の一型で,組織学的に付属器上皮の誘導が多いが,自験例では毛包,脂腺および汗腺への分化すべての構造を伴っており,稀な症例と考えた。(皮膚の科学,12: 296-300, 2013)
使用試験
  • ―京都大学皮膚科での使用経験―
    遠藤 雄一郎, 谷崎 英昭, 藤澤 章弘, 大塚 篤司, 江川 形平, 荒川 明子, 野村 尚史, 鬼頭 昭彦, 谷岡 未樹, 松村 由実, ...
    2013 年 12 巻 4 号 p. 301-305
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/28
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    インフリキシマブは,中等症以上の尋常性乾癬,乾癬性紅皮症および関節症性乾癬に対して有効とされる。本研究では当科において乾癬に対してインフリキシマブを用いて加療した11例について分析し,その有効性を検討した。エンドポイントは PASI スコアの90%改善と関節症状の有無とした。関節症の合併は7例,乾癬性紅皮症は3例であった。導入前の PASI スコアは23.0±17.1であった。インフリキシマブ投与後早期に関節症状および PASI スコアは有意に改善した。PASI 90 達成は7例(64%)であり要した期間は17.3±19.3週であった。インフリキシマブは投与早期より重症乾癬に対して有効と示唆された。(皮膚の科学,12: 301-305, 2013)
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