皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
11 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究
  • 下江 文子, 野口 雅久, 中南 秀将, 笹津 備規, 黒川 晃夫, 森脇 真一
    2012 年 11 巻 6 号 p. 520-527
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル 認証あり
    伝染性膿痂疹は,乳幼児に好発し,主として黄色ブドウ球菌,時にレンサ球菌に起因する皮膚細菌感染症である。今回我々は,1%ナジフロキサシン軟膏の伝染性膿痂疹に対する効果および臨床材料より分離された細菌株に対する各種抗菌薬の薬剤感受性を調査した。同疾患に罹患した解析対象42例に対して,1日2回7日間1%ナジフロキサシン軟膏の外用および抗菌薬1剤の内服で加療し,治癒率および改善率を検討したところ,それぞれ57.1%,97.6%であった。全例から黄色ブドウ球菌が検出され,そのうち,MSSA は37例(80.4%),MRSA は9例(19.6%)から分離された。ナジフロキサシンは MSSA にも MRSA にもともに高い感受性を示した。以上より,伝染性膿痂疹の治療において,1%ナジフロキサシン軟膏はその起因菌が黄色ブドウ球菌の場合は MRSA であっても効果が期待できる有用な抗菌外用剤であると考えられた。(皮膚の科学,11: 520-527, 2012)
  • 竹下 芳裕, 渡辺 千恵子, 相原 道子, 池澤 善郎
    2012 年 11 巻 6 号 p. 528-531
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル 認証あり
    掻破音を特異的に認識するソフトを使用して睡眠中の掻破の評価を試みた。アトピー性皮膚炎に伴う痒みから激しい夜間掻破行動が認められる患者の腕に集音マイクを装着し,IC レコーダーで夜間睡眠中の音を64分間録音した。この録音データを,短時間(2分)のデジタル音声データ (AVI 形式)32個に変換し,横浜国立大学環境情報研究院長尾研究室の協力で作成された掻破音声認識用ソフトウェアを用いて掻破音サンプルと比較し,2分間の音声データ中の掻破時間を算出した。その結果,睡眠中の掻破音による掻破時間の解析は,ビデオカメラ撮影および腕時計型加速度センサーの2種類の方法で掻破時間を数値化したものと,同等の結果が得られた。(皮膚の科学,11: 528-531, 2012)
症例
  • 米田 雅子, 黒川 晃夫, 上田 英一郎, 森脇 真一
    2012 年 11 巻 6 号 p. 532-537
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル 認証あり
    症例1は,67歳,男性。関節リウマチ等の治療目的で塩酸ミノサイクリン 100~200mg/日を4年9ヶ月にわたり内服していた。3年前より左足背と両下腿に色素沈着が出現した。病理組織所見で真皮上層のベルリンブルー染色陽性の含鉄物質の沈着を認めた。症例2は,31歳,女性。アトピー性皮膚炎の治療中に生じた尋常性ざ瘡に対し,当科初診の10日前より塩酸ミノサイクリン(投与量不明)を内服していた。投与開始5日目より,上下口唇に色素沈着が出現した。症例1,2共に塩酸ミノサイクリンによる色素沈着と診断し,同剤の内服を中止したところ,色素沈着は徐々に消退した。このような症例では通常塩酸ミノサイクリンの内服を中止しても色素沈着の消失をみるまでには長い経過を必要とすることが多い。この2例では経過を観察し得たので報告した。塩酸ミノサイクリンによる色素沈着は,投与日数や投与量に関係なく出現する可能性がある。特にアトピー性皮膚炎合併例では,短期間の少量内服でも色素沈着をおこすことがあり,注意を要する。(皮膚の科学,11: 532-537, 2012)
使用試験
  • 根木 治, 須賀 康, 高原 久嗣, 林野 久紀, 鈴木 敏江, 矢萩 理恵, 高森 建二
    2012 年 11 巻 6 号 p. 538-547
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル 認証あり
    透析患者のかゆみは難治性であり,QOL を左右する重要な合併症である。今回,精製ツバキ油100%のスプレー(以下:ツバキ油スプレー)を用いて,透析患者のかゆみに対する軽減効果と保湿効果について検討した。透析患者18例を対象にツバキ油スプレーを4週間使用した。その結果,乾燥と掻破痕は使用前と比較して有意な改善が認められた (p<0.01)。被験者の使用アンケートによる VAS 評価は有意なかゆみの軽減効果と保湿効果を示した (p<0.01)。副作用は全症例で1例も認めなかった。皮膚症状,全般改善度,副作用,使用感アンケート,使用日誌を総合評価したところ,やや有用以上が100%であった。以上のことから,ツバキ油スプレーは透析患者の皮膚の乾燥とかゆみに対し,安全かつ有用に使用できるスキンケア剤であると考えられた。(皮膚の科学,11: 538-547, 2012)
―第19回これからの皮膚科診療を考える会より―
  • 羽賀 菜緒美
    2012 年 11 巻 6 号 p. 548
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル 認証あり
    健康で美しい肌のために,つけたメークアップはしっかりと落とすことが大切である。メークアップを落とす手順を実演した。(1)輪郭部分も落としやすいよう,髪をまとめる。(2)目のまわり,唇は専用のクレンジング製品で優しく落とす。目のまわりはデリケートな部分でありながら,落ちにくい多種類のメークアップ製品をつける傾向があるので,目に安全かつ目のまわりの皮膚に優しい製品で,快適にしっかり落とす。(3)次に顔全体の化粧を落とす。顔全体用のクレンジング製品は種類が多く,肌や化粧の状態に合わせることができ,毎日の生活習慣や好みでも,選ぶことができる。(4)化粧を落とした後に,石鹸で洗顔する。清潔になった肌に,スキンケアを行う。(皮膚の科学,11: 548, 2012)
  • 椛島 健治
    2012 年 11 巻 6 号 p. 549-551
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル 認証あり
    従来の免疫をはじめとする基礎研究や臨床研究の多くは,in vitro の解析や病理切片,あるいは動物モデルを用いた生体反応の結果の解析が中心であり,in vivo においてどのような免疫反応が起こっているのかをライブで捉える事は極めて困難であった。しかしながら,近年2光子励起顕微鏡の導入により,各種細胞動態のライブイメージングが可能となった。本稿では,皮膚と皮膚炎をモデルとして,皮膚の3次元構造と皮膚炎発症時における細胞の動態を紹介する。アレルギー性接触皮膚炎では,T細胞は樹状細胞と長時間にわたり相互作用しながら動きを止めていることが明らかとなった。(皮膚の科学,11: 549-551, 2012)
feedback
Top