皮膚の科学
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14 巻, 5 号
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症例
  • 亀井 利沙, 中井 大介, 溝口 奈穂, 松本 考平, 西尾 優志, 松下 哲也, 中井 千晶, 春日井 務, 久田原 郁夫, 池上 隆太
    2015 年 14 巻 5 号 p. 242-246
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/14
    ジャーナル 認証あり
    40歳代,女性。約3年前より右足背に結節を自覚していた。近医で切除され良性肉芽組織反応と診断されたが,術創が自壊して徐々に潰瘍が拡大したため当科を受診した。右足背に 23×13mm の境界明瞭な潰瘍を認めた。病理組織学的所見では,潰瘍部・健常部の皮下に結節状に類円形の上皮様細胞の増殖・浸潤を認めた。腫瘍細胞はサイトケラチン,EMA,ビメンチン,CD34,CA125 が陽性で類上皮肉腫と診断した。類上皮肉腫は初期診断が難しく,しばしば良性疾患として不完全な切除が行われている。治療抵抗性の難治性潰瘍では,類上皮肉腫の可能性も考える必要がある。自験例では診断に免疫組織化学染色が有用であった。(皮膚の科学,14: 242-246, 2015)
  • 高橋 彩, 種村 篤, 梅垣 知子, 片山 一朗
    2015 年 14 巻 5 号 p. 247-251
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/14
    ジャーナル 認証あり
    30歳代,男性。1996年,非ホジキンリンパ腫に対し末梢血幹細胞移植,大量化学療法,全身放射線照射を施行され,当院初診時免疫抑制剤およびステロイド剤少量内服中であった。1998年頃より頭頂部に隆起性局面を自覚し,2007年頃より増大してきたため2008年当科を受診した。8mm 大の広基有茎性の軟性腫瘤で表面は塑造,無毛性で出血や糜爛は伴わず,色調は淡紅色であった。組織像は,類円形の核を持つ細胞で構成される腫瘍細胞巣が一部毛芽様に増殖しており,最外層には柵状配列が見られた。間質と腫瘍細胞巣の間の裂隙形成が少なく,trichoblastoma との鑑別を要したが,細胞異型や核分裂像を少ないながらも認め,裂隙形成が間質内に見られないこと,また腫瘍細胞巣が非対称であることなどから,trichoblastoma ではなく基底細胞癌と診断した。本症例は比較的若年で発症しており,非ホジキンリンパ腫に対する集学的治療が本症の発症に影響を及ぼしたのではないかと推察した。(皮膚の科学,14: 247-251, 2015)
  • 若嶋 千恵, 高橋 綾, 山本 真有子, 中島 喜美子, 佐野 栄紀
    2015 年 14 巻 5 号 p. 252-258
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/01/14
    ジャーナル 認証あり
    非イオン性ヨード造影剤による多発性固定薬疹の3例を経験した。患者1は慢性腎不全で透析中の80歳代,男性。イオメプロール投与毎に口唇,陰部にびらんが出現し,イオヘキソールでも同様皮疹を認めた。スクラッチパッチテスト,DLST は陰性であったが,病歴と特徴的な病理組織所見より診断した。患者2は中等度腎機能障害のある60歳代,女性。肝細胞癌治療の際,血管造影にイオベルソールが使用され,下肢を中心に境界明瞭な類円形紅斑が多発した。イオヘキソール,イオメプロールでも交叉反応を示した。患者3は IgA 腎症で透析中の40歳代,男性。イオヘキソール投与後に口唇のびらん,手指の紅斑が出現し,薬疹が疑われるも,約1年半後の急性心筋梗塞時にイオヘキソールが再投与され,同部位に同様の皮疹が出現した。非イオン性ヨード造影剤による薬疹は,播種状紅斑丘疹型あるいは多形紅斑型が多いが,多発性固定薬疹も比較的稀な発疹型として報告されている。透析患者がそのほとんどを占め,さらに繰り返し非イオン性ヨード造影剤の使用を必要とする基礎疾患を持つ例が多く,これらがリスクファクターになっていると考えられる。また非イオン性ヨード造影剤は,交叉反応を起こしやすく,他剤でも再燃を繰り返すうちに重症型薬疹に移行する可能性がある。我々は個々の症例に応じて慎重に診療に当たりながら,他科医師にもこのリスクを周知徹底させる必要がある。(皮膚の科学,14: 252-258, 2015)
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