皮膚の科学
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2 巻, 5 号
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トピックス
講座
  • 堀尾 武
    2003 年 2 巻 5 号 p. 384-397
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
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    色素性乾皮症は,紫外線によるDNA損傷を修復する機構に先天的な欠損が存在する。8病型が知られているが,最近になって責任遺伝子が次々と同定されてモデル動物も作製されるようになった。内因性光線過敏症の最近の話題として,種痘様水疱症とEBウィルスの関連がある。日光蕁麻疹と多形日光疹は,それぞれ即時型と遅延型の自己免疫性光アレルギーで発症する可能性が高い。極度の光線過敏を呈する慢性光線性皮膚炎の治療には,最近開発された免疫抑制剤やサンスクリーン剤が優れた効果を示すことが多い。薬剤性光線過敏症の原因は時代とともに変化するが,最近では,ニューキノロン剤の内服や非ステロイド消炎鎮痛剤の外用による症例が比較的多い傾向にある。
綜説
  • 卓 興鋼, 渡邊 昌
    2003 年 2 巻 5 号 p. 398-404
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    最近サプリメントが市場にでまわり,患者が常用していることも少なくない。アロマテラピーなども皮膚科領域の問題である。サプリメントとは何で法律上どのような扱いになっているのか,私たちがあつかってきたイソフラボンサプリメントの開発をもとに総説した。また,特定保健用食品の最近の動きとともに,食品中の非栄養素として扱われている機能性食品因子のデータベース(http://www.life-science.jp/FFF/)の有用性を述べた。
  • 上原 正巳
    2003 年 2 巻 5 号 p. 405-413
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    私は,約30年(1970-2000年),アトピー性皮膚炎の臨床,病態,治療について研究してきた。そして従来の“定説”をいくつか訂正し,また不明な問題点をいくつか解明した。研究成果の主なものを以下に列記する : 1)本症の遺伝様式は常染色体優性遺伝である ; 2)本症のI型アレルギー亢進は気道アトピー合併群の特徴であり,pure AD群では見られない ; 3)本症の乾燥性皮膚は組織学的に軽度の湿疹性変化を示す ; 4)本症の皮膚バリア機能低下は皮膚炎に伴う二次的現象である ; 5)難治性本症患者では,経皮的悪化因子あるいは経口的悪化因子を除去すると,皮膚炎はすみやかに改善する。
症例
  • 東 順子
    2003 年 2 巻 5 号 p. 414-417
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
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    36歳,男性。平成14年1月7日よりDEMA(diethylaminoethyl methacrylate)使用開始。1月19日夜間より両手に痒みを生じた。1月20日朝から両手に発赤,浮腫を生じ,近医を受診し治癒した。休業していたが,1月25日から新しい手袋をして就業。2月21日より再びDEMAを使用。2月22日朝より再び両手に発赤,浮腫を生じて,当科を受診した。パッチテストで0.1%DEMA(pet)が陽性であった。以上よりDEMAによる職業性アレルギー性接触皮膚炎と診断した。これまでDEMAによるアレルギー性接触皮膚炎の報告はなく,皮膚感作性物質の情報源として,皮膚科医の役割は重要である。
  • 宮川 史, 段野 貴一郎, 竹村 典子, 藤井 紀和, 上原 正巳, 田中 稔彦, 秀 道広
    2003 年 2 巻 5 号 p. 418-422
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
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    48歳,女性。4ヵ月前より毎日全身に膨疹が出現するようになった。慢性蕁麻疹と診断され,抗ヒスタミン剤,ステロイド剤の投与を受けたが反応しなかった。病巣感染,膠原病等の原因検索も行ったが原因ははっきりしなかった。そこで自己血清による皮内テストを行ったところ陽性所見が得られた。健常人由来末梢血好塩基球によるヒスタミン遊離試験では,患者血清中に抗IgE抗体型のヒスタミン遊離活性が検出された。軽症時には抗アレルギー剤に加え,少量のベタメタゾンの間欠投与を,急激な悪化時にはメチルプレドニゾロン125mgの点滴静注を併用することで膨疹はコントロールできている。
  • 多田 信恵, 松村 隆史, 草壁 秀成, 清金 公裕, 山本 和宏, 楢林 勇
    2003 年 2 巻 5 号 p. 423-426
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
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    54歳,女性。子宮頸部癌stage IIIbにて動注化学療法を2回施行した。2回目施行後より両臀部に皮下硬結,不規則な茶褐色の色素沈着を認めるようになり,徐々に拡大して疼痛も増強してきた。右臀部の皮下硬結の生検病理組織では皮下脂肪織の小葉内に脂肪細胞の変性,炎症細胞や泡沫状組織球の浸潤,線維増生が認められ,脂肪壊死の像を呈していた。
    動注化学療法のうち今回施行されたballoon occluded arterial infusion(BOAI)は,選択的に腫瘍栄養動脈領域の血流をバルーンにより遮断することにより標的組織における抗癌剤の到達性と停滞性を向上させることを目的に施行するが,同時に腫瘍栄養動脈以外に高濃度の薬剤が流出することが問題となる。今回は内腸骨動脈壁側枝である下殿動脈に流出したため臀部の皮膚障害を生じたと考えた。
  • 梅川 俊樹, 根井 まり子, 中村 享世, 樋口 昌則, 福本 隆也, 山科 幸夫, 浅田 秀夫, 橋本 隆, 宮川 幸子
    2003 年 2 巻 5 号 p. 427-432
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    5歳男児。平成13年12月,頬部に紅斑が出現し,同部位に水疱が生じたため,近医皮膚科を受診し,マイザー®軟膏を処方された。水疱は一時消失したが,増悪したため,当科に入院した。顔面,躯幹,四肢に浮腫性紅斑と緊満性水疱を認め,組織で表皮下水疱を認めた。蛍光抗体直接法にて,病巣部皮膚基底膜部にIgGとC3の線状の沈着を認め,さらに1M NaCl処理ヒト皮膚を基質とした蛍光抗体間接法にて,真皮側に線状の反応を認めた。また,正常ヒト真皮抽出液を用いた免疫ブロット法にて,290kDのバンドを認めたため,後天性表皮水疱症と診断した。小児発症である点と,ステロイドによく反応した点が,後天性表皮水疱症の典型例と異なっていた。
  • 上尾 礼子, 森田 明理
    2003 年 2 巻 5 号 p. 433-438
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    掌蹠膿疱症4例に対してnarrow-band UVB 療法を施行し,良好な治療効果を得た。掌蹠膿疱症は再燃する膿疱形成と角化性潮紅局面を特徴とし,ステロイド外用やビタミンD3外用に反応しにくい症例も多く,治療に難渋する疾患である。Narrow-band UVB 療法は欧米を中心として乾癬やアトピー性皮膚炎などの治療に用いられているが,掌蹠膿疱症に対しての治療効果については未だ報告されていない。4例の平均年齢は60.5歳。全例女性で平均罹患期間10.3年。初回照射量は0.3J/cm2とし20%ずつ照射量を増量した。平均照射回数15.5回,平均照射量は20.9 J/cm2で4例とも有効以上の効果を認めた。
  • 岡崎 芳子, 近藤 隆男, 原 一夫
    2003 年 2 巻 5 号 p. 439-442
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    95歳女性。以前よりほぼ全身に類円形の直径5~20mm大の角化性の褐色斑が多発していた。約4ヵ月前より,右下腿後面の皮疹上に腫瘤が出現し,次第に増大し,出血するようになった。病理組織学的には表皮より真皮内に不規則に増殖した腫瘍巣を認め,腫瘍細胞は配列が乱れ,異型性を認めた。また,別の褐色斑ではcornoid lamellaが認められた。以上より,この腫瘍を表在播種型汗孔角化症より生じた有棘細胞癌と診断した。腫瘍は外科的に切除した。汗孔角化症の悪性化についての若干の考察を加え,報告した。
  • 原田 登由, 曽和 順子, 鶴田 京子, 赤松 浩彦, 松永 佳世子
    2003 年 2 巻 5 号 p. 443-447
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    55歳の女性。2年前より前額部,背部に痒みを伴う皮疹が出現してきた。近医において内服薬と外用薬によって加療を受けるも軽快せず,8ヵ月前からは,食物摂取時に,口腔内の痛みも出現してきたため,当科を紹介され受診した。初診時,前額部,背部に紫紅色の丘疹が散在し,口腔内には白色レース様粘膜疹が認められた。口腔粘膜の皮疹は生検により,また皮膚症状は臨床所見より扁平苔癬と診断した。金属アレルギーを疑いパッチテストを施行したところ,0.5%pet. 金チオ硫酸ナトリウムに確実陽性を示した。金を含有している歯科金属を除去したところ,3ヵ月後に皮膚の症状および6ヵ月後に粘膜症状は改善し,現在までのところ再燃はみられない。
  • 前田 晴子, 樋口 昌則, 新関 寛徳, 浅田 秀夫, 宮川 幸子
    2003 年 2 巻 5 号 p. 448-452
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    70歳,女性。40歳代より眼球結膜の充血と口腔乾燥感を自覚し,65歳でdry eyeを指摘された。70歳時に両下肢に浮腫・潰瘍・疼痛が出現し当科を受診した。乾燥性角膜炎をみとめ,唾液腺造影検査および口唇腺生検の結果よりシェーグレン症候群と診断した。また下腿の生検にて小動脈の壊死性血管炎を認めたことより,シェーグレン症候群に結節性多発動脈炎を合併した稀な症例と考えられた。
  • 菅原 伸幸, 安部 正敏, 田村 敦志, 神戸 直智, 石川 治
    2003 年 2 巻 5 号 p. 453-457
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    症例は61歳と52歳の女性全身性強皮症患者。2例とも下剤や消化管運動改善薬内服などの治療に抵抗性の慢性,難治性イレウス症状を繰り返していた。オクトレオチド100μg/日連日皮下注射により症状は改善し,その後,投与間隔を漸次延長することで長期間,比較的良好に腹部症状をコントロールできた。オクトレオチド皮下注射は強皮症に伴う偽性腸閉塞に試みる価値のある治療法と思われ,文献的考察を加え報告した。
  • 幾井 宣行, 松村 隆史, 草壁 秀成, 清金 公裕
    2003 年 2 巻 5 号 p. 458-461
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    59歳,男性。11年前に仙骨部に脊索腫が発生し切除術を受け,以来平成11年6月まで局所再発に対し計10回の切除術を受けた。同年8月頃より頭部に発生した皮下腫瘤を切除し,病理組織学的,免疫組織化学的に検討し,脊索腫の皮膚転移と診断した。
  • 松下 記代美, 山田 秀和, 荒金 兆典, 川田 暁, 手塚 正, 今野 元博
    2003 年 2 巻 5 号 p. 462-465
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    48歳,女性。45歳時に子宮筋腫のため当院婦人科にて腹腔鏡下膣式子宮全摘出術を受けた。約3年後の平成10年5月頃より臍部の腫瘤に気付いた。臨床的に臍部に1.6 cm大のやや硬い境界明瞭な桃紅色の結節を認め,皮下に連続性の硬結を触れた。腹部エコーと腹部CTの画像診断によって,腫瘤が腹膜と連続していることが確認された。当院第2外科の協力のもと全身麻酔下に開腹,腫瘤摘出をおこなった。組織学的には表皮直下から腹膜まで連続性に膠原線維の不規則な増生と線維芽細胞の増殖が認められた。臨床経過,臨床症状および組織学的所見より腹腔鏡下手術後に生じた臍部のケロイドと診断した。今後,内視鏡子宮全摘術の増加するにつれて,臍部のケロイドの発生も増加することが予想される。
  • 磯貝 理恵子, 川田 暁, 荒金 兆典, 手塚 正, 杉原 和子, 山田 秀和, 中野 敦
    2003 年 2 巻 5 号 p. 466-470
    発行日: 2003年
    公開日: 2012/01/06
    ジャーナル 認証あり
    4歳,女児。生後10ヵ月頃より,右腋窩部の多数の赤色丘疹が出現し,他院にてリンパ管腫の診断のもとに切除術をうけた。その3年後に同部に再び丘疹が出現したため,当院を受診した。臨床的に蛙の卵様外観を呈していた。表在性リンパ管腫と診断し,摘出術を行った。組織学的所見では,拡張したリンパ管の多数の増生が真皮深層から脂肪組織にまで認められ、表在性・深在性混合型リンパ管腫と診断した。臨床的には表在性リンパ管腫と考えられても,可能な限り一塊として深層まで切除することが望ましいと考えられた。
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