皮膚の科学
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Dr.村田の Clinico-pathological notes
  • 村田 洋三
    2019 年 18 巻 2 号 p. 59-70
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    皮膚付属器(毛包,脂腺,汗腺,爪)の発生は,いずれも「皮膚外胚葉から深部に向かって downgrowth する」と考えられている(down-growth 理論)。表皮の位置を固定した視点からなら,その通りである。しかし,視点を変え,「それぞれの付属器の最深部を取り残したまま,皮膚が肥厚する」と考えることもできる(stay-in 理論)。この 2 つの考え方は,単に「一つの現象を違う見方で見ている」だけの「相対的な差異」に過ぎないのだろうか? 方向の一貫性,エネルギーの無駄,真皮の破壊,間葉細胞塊との連動,分化と増殖の関係,アポクリン腺の発生,脂腺の発生,立毛筋の発生,perifollicular sheath の形成,真皮と脂肪組織の境界面,の10項目について 2 つの視点を比較した。 その結果,stay-in 理論の方が,10項目をよりよく説明できると思われた。日常診療に影響する問題ではないが,皮膚附属器の発生を考えることは,皮膚科医にとって無駄ではないと考える。 (皮膚の科学,18: 59-70, 2019)

症例
  • 井上 裕香子 , 宮崎 祐子 , 中川 登, 伊藤 孝明 , 夏秋 優 , 山西 清文
    2019 年 18 巻 2 号 p. 71-78
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    20歳代,男性。初診 2 週間前,右前胸部に自覚症状を欠く腫瘤に気が付いた。初診時,右胸鎖関節部に直径 3cm大の皮下腫瘤を認めた。病理組織学的所見では,嚢腫壁はおもに重層扁平上皮で構成されていたが,多列線毛上皮,杯細胞も観察された。嚢腫周囲に軟骨,気管支腺,平滑筋,リンパ濾胞は認めなかった。年齢,発生部位,経過,病理組織学的所見から,本症例を皮膚気管支原性嚢胞と診断した。海外および本邦における皮膚気管支原性嚢胞の報告107例について臨床所見と病理組織所見を検討した。集計の結果,自験例と同様に,側頸嚢胞に類似した病理組織所見を示す症例も存在した。皮膚気管支原性嚢胞と側頸嚢胞の鑑別は時に困難であり,診断には臨床所見と病理組織所見を含めた総合的な判断が必要であると考えた。 (皮膚の科学,18 : 71-78, 2019)

  • 細本 宜志 , 吉岡 希 , 山本 容子 , 磯貝 理恵子 , 山田 秀和
    2019 年 18 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    60歳代,男性。頭部血管肉腫に対し電子線照射と IL-2 静注療法を開始し,電子線治療終了後weekly パクリタキセル療法を施行した。手足のしびれ感の増強のため,パクリタキセルの投薬間隔を開けたが,その頃から頭部,右耳介後部の紫斑と頸部リンパ節転移が出現した。パクリタキセルを中止し,パゾパニブ投与を開始したが,早期に高血圧,血小板減少,肝酵素上昇の副作用を認め,計26 日間で投与を中止した。パゾパニブ投与開始25日後の CT にて右頸部リンパ節の縮小がみられたが,投与中止の約 2 ヶ月後,両側血気胸が出現し,肺炎を合併し永眠した。本症例は短期間であるが,パゾパニブが有効であったと考える。 (皮膚の科学,18 : 79-84, 2019)

  • 吉田 裕梨 , 土井 知江 , 岡村 理沙 , 横見 明典
    2019 年 18 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    症例 1:20歳代,女性。初診の 4 日前から両下腿に紫斑が多発し,当科初診。皮膚生検より IgA 血管炎と診断し,diamino-diphenyl sulfone(以下 DDS75 mg/日を内服開始した。紫斑は一旦消退したが再発し,腹痛,下血,嘔吐を伴った。腹部 CT,下部消化管内視鏡検査で小腸に腸炎を認めたが,出血源は同定できなかった。Prednisolone(以下 PSL)の投与にて紫斑,腹部症状とも改善した。症例 2:60歳代,男性。初診の 3 日前から両下肢に紫斑,関節痛を自覚した。紫斑の拡大,嘔吐,下痢を認めたため,当科に入院となった。皮膚生検より IgA 血管炎と診断し,DDS 75 mg/日を内服開始した。入院 6 日目から心窩部痛を認め,腹部 CT,上下部消化管内視鏡検査を施行すると,胃,小腸,大腸と広範囲に炎症を認めた。メチルプレドニゾロンパルス療法にて腹部症状は改善し,その後のPSL投与にて紫斑は消退した。IgA 血管炎に伴う消化管病変は全消化管に認めうるため,病変検索には消化管内視鏡検査が有用であると考えた。 (皮膚の科学,18 : 85-93, 2019)

  • 森 明日香 , 谷野 祥子 , 小川 浩平, 森田 剛平 , 古賀 佳織 , 浅田 秀夫
    2019 年 18 巻 2 号 p. 94-98
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    80歳代,男性。約20年前から左手掌に小孔があり,初診の数ヶ月前から同部位が隆起しはじめ,急速に増大してきたため当科を受診した。初診時には左手掌中央部に 15×12 mm 大の境界明瞭な赤色肉芽様結節を認め,表面にびらんを伴っていた。病理組織学的所見では,表面の一部は潰瘍化し,表皮と連続して好塩基性の腫瘍細胞からなる胞巣形成を認め,毛包下部の分化が不明瞭であり,基底細胞癌(BCC)に特徴的な所見を示した。一方で,胞巣周囲の裂隙形成は目立たず,ムチンの沈着もわずかであり,周囲間質に紡錘形細胞を豊富に認めており,これらは良性の毛芽腫を示唆する所見であった。免疫組織学的所見では,腫瘍細胞が Ber-EP4 に陽性,Androgen Receptor に一部陽性,PHLDA-1 に一部のみ陽性であり,CK20 では介在するメルケル細胞は確認できず,BCC に特徴的な所見を示した。以上より総合的に考え,結節潰瘍型の BCC と診断した。本症例のように手掌に BCC が生じることは稀であると考える。 (皮膚の科学,18 : 94-98, 2019)

  • 三宅 雅子 , 内田 修輔 , 柳原 茂人, 和田 珠恵 , 大磯 直毅 , 川田 暁
    2019 年 18 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    50歳代,女性。糖尿病性腎症による慢性腎不全で維持血液透析を受けていた。 3 日前から顔面の発赤,腫脹,疼痛が出現し,当科へ紹介された。初診時,両眼瞼周囲,口唇に熱感,自発痛,腫脹,発赤,両頬部と頸部に熱感,自発痛,境界不明瞭な腫脹と皮下硬結を認めた。初診 5 日後に上口唇の一部に壊死,右頸部に痂皮を認め,頸部壊死性筋膜炎と診断した。デブリードマン,抗生物質全身投与,局所処置が奏功し,良好な経過を経た。頸部壊死性筋膜炎は頸部に生じる死亡率の高い細菌感染症であるが,迅速な診断と早期治療介入が著効すると考えられた。 (皮膚の科学,18 : 99-103, 2019)

  • 鈴木 緑 , 栁原 茂人 , 遠藤 英樹 , 大磯 直毅 , 川田 暁
    2019 年 18 巻 2 号 p. 104-109
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    60歳代,男性。毎年冬になると足趾に紫斑が出現し,春になると改善する病歴を繰り返していた。 近医の血液検査でクリオグロブリン陽性を指摘され当科受診となった。両足趾に紫斑,紅斑,網状皮斑,小潰瘍を認めた。血液検査で検出されたクリオグロブリンは IgG-κ M蛋白で構成されており,Ⅰ型クリオグロブリン血症を考えた。皮膚生検を施行し,血管内に結晶様の好酸性無構造物質を多数認め,免疫染色で IgG κ が陽性であったことから,結晶性クリオグロブリン血症と確認した。安静と保温のみで皮疹は一時的に軽快したが,その後増悪を認めた。 プレドニゾロン内服とクリオフィルトレーションで皮疹は改善した。結晶性クリオグロブリン血症は非結晶性クリオグロブリン血症と比べ重症化しやすいため,定期的な経過観察を行い,皮疹増悪時には早期の治療介入が必要であると考えた。 (皮膚の科学,18 : 104-109, 2019)

  • 神谷 智 , 外村 香子 , 種村 篤, 金田 眞理 , 平野 亨 , 藤本 学
    2019 年 18 巻 2 号 p. 110-115
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    60歳代,男性。初診の 2 ヶ月前より,亀頭部に疼痛を伴う穿掘性の潰瘍が出現。病理組織では,潰瘍および真皮内に稠密な形質細胞浸潤を認め,開口部形質細胞症と診断した。タクロリムス軟膏の外用開始後,亀頭部の潰瘍の縮小を認めた。本疾患は,包茎に伴う尿などの貯留の刺激により発症すると考えられている。カルシニューリン阻害剤が著効したという報告が複数あり, T 細胞による免疫応答でB細胞による液性免疫が活性化したという機序も考えられる。自験例では包茎はみられなかったが,結節性多発動脈炎の既往があり, T 細胞や形質細胞が活性化しやすい環境があったため穿掘性陰部潰瘍をきたし,タクロリムス軟膏による治療で T 細胞の活性が抑制されて潰瘍が改善したと思われる。 (皮膚の科学,18 : 110-115, 2019)

  • 堀口 裕治 , 玉井 賢
    2019 年 18 巻 2 号 p. 116-121
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    症例 1:50歳代,女性。 5 日前に気づいた左前腕伸側皮下深くの 3cmほどの有痛性の扁平な結節。 エコーと MR 検査で結節性筋膜炎と診断し,観察したところ 4 週間で消退した。症例 2:40歳代,女性。 3 週間前から急に右前腕伸側に圧痛のある皮下のしこりが生じた。エコーと CT 画像で結節性筋膜炎の可能性を考え経過を見たところ,11日後にはごく小さい結節になっていた。症例 3:30歳代,女性。昨日気がついた右前腕外側の皮下の結節。エコーで結節性筋膜炎と診断した。 3 ヶ月後には消失していた。症例 4:50歳代,女性。 1 週間前に気づいた右側頭被髪下の圧痛のない皮下の 2cmの結節。エコーでは定型的な結節性筋膜炎であり,経過を見ていたら 3 週間後には縮小していた。症例5:50歳代,女性。 1 週間前に気づいた右下腿外側の皮膚と可動,下床に付着する 2cmほどの結節。 エコーで結節性筋膜炎と診断し経過を見たところ, 1 ヶ月後に不変, 2 ヶ月後に消失していた。症例6:10歳代,男性。 2 週間前に気づいた右肩峰の筋膜上の 2cm弱の結節。エコーで結節性筋膜炎の可能性が高いと考え,経過を見たところ, 3 ヶ月後にはなくなった。症例 7:10歳代,男児。 2 週間ほど前に気づいた後頭左寄りの有痛性の 2cmほどの皮下の結節。エコーと CT 検査で頭部筋膜炎と診断した。経過を見たところ 4 週間後には消退していた。臨床症状と画像検査で定型的な結節性筋膜炎と診断できる症例は数週間そのまま経過を見るべきである。 (皮膚の科学,18 : 116-121, 2019)

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