皮膚の科学
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17 巻, 4 号
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カラーライブラリー
研究
症例
  • 山内 康平, 三宅 早苗, 大磯 直毅, 川田 暁, 浜中 宏, 比留間 政太郎
    2018 年 17 巻 4 号 p. 196-201
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/20
    ジャーナル 認証あり
    症例1:20歳代,女性。初診の1年5ヶ月前からイングリッシュモルモットを飼育した。3ヶ月前から右膝,左下腿に紅斑が出現した。直接鏡検で真菌要素は陽性であった。真菌培養とリボソーム RNA 遺伝子の ITS 領域の塩基配列解析から Arthroderma benhamiae(以下 A. benhamiae)と同定し,同菌による体部白癬と診断した。症例2:20歳代,女性(症例1の姉)。半年前に近医で顔面の白癬の治療を受けた。右頬部に紅斑と丘疹を認めた。直接鏡検では真菌要素は陰性であった。真菌培養とリボソーム RNA 遺伝子の ITS 領域の塩基配列解析から,A. benhamiae と同定し,同菌による顔面の白癬と診断した。飼育していたイングリッシュモルモットの毛からの真菌培養とリボソーム RNA 遺伝子の ITS 領域の塩基配列解析より,A. benhamiae と同定した。近年 A. benhamiae に感染したペット媒介性の皮膚糸状菌症が増加している。好獣性菌による真菌症は家族内発生が生じるため,家族歴や動物接触歴の詳細な聴取,真菌の同定が重要であると考えた。(皮膚の科学,17: 196-201, 2018)
  • 井上 裕香子, 今井 康友, 宮崎 祐子, 羽田 孝司, 井出 良浩, 廣田 誠一, 南 祥一郎, 伊藤 孝明, 山西 清文
    2018 年 17 巻 4 号 p. 202-205
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/20
    ジャーナル 認証あり
    80歳代,男性。初診2年前より左腋窩に紅色の小結節を自覚。徐々に増大したため当院を受診。病理組織では腫瘍細胞は多数の管腔を形成し,断頭分泌や乳頭様突出がみられた。CK7 陽性,GCDFP-15 陽性であり,アポクリン腺癌と診断した。拡大切除と放射線治療を行い(50Gy/25Fr),術後の PET-CT ではリンパ節転移や対側の右腋窩に異常を認めなかった。しかし,初回手術の3年後に原発巣とは対側の右腋窩に紅色小結節が出現し,切除組織はアポクリン腺癌であった。腋窩アポクリン腺癌は稀に両側性に発症することがあるため,原発巣の対側腋窩も慎重に経過観察する必要があると考えた。(皮膚の科学,17: 202-205, 2018)
  • 西平 守明, 則岡 有佳, 白井 洋彦, 三浦 宏之
    2018 年 17 巻 4 号 p. 206-209
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/20
    ジャーナル 認証あり
    10歳代,男性。掌蹠にそう痒感と角化を伴う紅色局面が出現した。1年半前から近医受診しステロイド外用薬にて症状は軽度改善したが治療を中止すると再燃するため紹介となった。初診時,左掌蹠・両足底に角化を伴う紅色局面を認めた。発症年齢,臨床所見,病理組織学的所見から小児毛孔性紅色粃糠疹と診断した。ステロイド外用薬のみでは難治であったが,活性型ビタミン D3/ステロイド配合外用薬で皮疹はほぼ消失した。難治な小児毛孔性紅色粃糠疹に対して,活性型ビタミン D3/ステロイド配合外用薬は有効な治療法と考えた。(皮膚の科学,17: 206-209, 2018)
  • 中島 杏奈, 菅野 百加, 小川 浩平, 宮川 史, 小豆澤 宏明, 浅田 秀夫
    2018 年 17 巻 4 号 p. 210-215
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/03/20
    ジャーナル 認証あり
    70歳代,男性。約2年前より,症候性てんかんで当院神経内科に通院していた。当科初診の1週間前から,顔面と体幹・四肢に紅斑が出現し,徐々に増悪した。初診時,顔面の浮腫を伴う紅斑,眼囲の蒼白,口囲の丘疹,膿疱,落屑と体幹・四肢の淡い紅斑を認めた。内服歴では,皮疹出現の17ヶ月前からレベチラセタム,7ヶ月前からニフェジピン,5ヶ月前からラモトリギンが開始されていた。内服開始5ヶ月後と遅発性の発症ではあるが,ラモトリギンによる薬剤性過敏症症候群の可能性を考え,同剤の内服を中止した。しかし,その後も皮疹は拡大し,消退までに3週間を要した。血液検査では好酸球増多と血清 TARC 値の上昇を認め,薬剤性過敏症症候群の急性期に血清 TARC 値が高値を示すという我々の報告に矛盾しなかった。さらに皮疹出現から約1ヶ月後に HHV-6 の再活性化がみられた。自験例は,薬剤性過敏症症候群の診断基準を満たさなかったが,類似の病態であると考えた。また通常よりも遅発性に発症した原因については,ラモトリギンの代謝に関与するグルクロン酸抱合を誘導するカルバマゼピンとの併用が影響しているのではないかと考えた。(皮膚の科学,17: 210-215, 2018)
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