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大島 茂, 山本 修二, 東田 敏明, 西嶋 攝子
2002 年 1 巻 3 号 p.
163-164
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
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白銀 康祐, 松吉 徳久, 李 相廣, 戸田 憲一, 宮地 良樹
2002 年 1 巻 3 号 p.
165-171
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
In vitroにおいてアスコルビン酸の存在下では皮膚線維芽細胞は真皮様の重層化した三次元構造を形成するが, アスコルビン酸がどのようにして線維芽細胞の三次元構造を形成するに至るのかについてはまだ詳細に解明されておらず, 今回我々はDNAマイクロアレイを用いて約1000個の既知の遺伝子に対してアスコルビン酸による影響をスクリーニングした。結果, 細胞接着因子, シグナル伝達因子およびフィラメント系を含む多数の遺伝子の発現がアスコルビン酸の存在下で変化することが認められた。このことからアスコルビン酸による線維芽細胞三次元構造は, さまざまな因子が複雑に関与して形成されることが示唆された。
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鷲見 康子, 長島 千佳, 曽和 順子, 冨高 晶子, 鶴田 京子, 赤松 浩彦, 松永 佳世子, 大橋 正博
2002 年 1 巻 3 号 p.
172-175
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
セファトリジンプロピレングリコール (CFT: セフラコール (R) ドライシロップ) によるアナフィラキーショックを経験した。患者は5歳, 女児。感冒のため近医で処方された抗菌剤 (セフラコール (R) ドライシロップ) と感冒用混合シロップを内服したところ, 約5分後に呼吸困難, 蕁麻疹, 腹痛, 尿失禁が出現した。救急車にて当院救急外来受診し, エピネフリン皮下注射, 副腎皮質ステロイド点滴により症状は軽快した。後日, 薬疹を疑い薬剤による皮膚テストを施行したところ, セフラコール (R) ドライシロップ (10%水溶液) と主成分であるCFT (1%水溶液) のオープンテストで膨疹が出現した。以上よりCFTによるアナフィラキーショックと診断した。
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中川 眞知子, 杉原 和子, 遠藤 英樹, 磯貝 理恵子, 亀山 裕子, 阪本 ゆり, 古賀 千律子, 矢島 あゆみ, 手塚 正
2002 年 1 巻 3 号 p.
176-179
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
45歳, 女性。初診平成10年7月2日。初診の約1カ月前からバセドウ病と診断され, 抗甲状腺剤内服治療を受けた。治療開始約1カ月前後より両下腿伸側下半分の痒みを伴った腫脹を自覚し, 次第に同部が隆起し硬くなってきたため当科紹介受診となった。初診時, 両下腿伸側に小指頭大から母指頭大までの境界不明瞭な扁平隆起した紅斑局面を認める。一部に毛孔の開大を認め, 表面は粗糖, 弾性硬で圧痕を残さない。病理組織学的所見では, 真皮網状層上層から中層にかけて粘液様物質の沈着を認め更に血管周囲に軽度の炎症細胞の浸潤を認めた。真皮膠原線維間は, alcianblue染色にて淡青色に染色され, mucicarmine染色では赤色に染色された。以上よりバセドウ病に随伴した脛骨前粘液水腫と診断した。治療は, 副腎皮質ホルモン含有軟膏の外用とステロイド局所注射を行い腫脹の軽快を認めた。完全消失はバセドウ病の軽快に伴って認められた。
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稲宮 知美, 岩井 千華, 松本 千穂, 大和谷 淑子, 政田 佳子, 伊藤 啓裕
2002 年 1 巻 3 号 p.
180-184
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
54歳, 男性。右側頭部の黒褐色疣状腫瘤を主訴に来院した。病理組織検査にてbasal cell carcinomaとtrichoblastomaを合併したorganoid nevusと診断した。これまでorganoid nevusは前癌病変という認識があり予防的切除されることが多かったが、近年organoid nevusに続発しやすいのはbasal cell carcinomaではなくtrichoblastomaであると報告されている。しかし頻度が低いながらも悪性腫瘍を続発することもあるので, organoid nevus上に結節性病変を合併してくるなどの変化があれば生検の上, 切除を考慮することが必要であると考える。
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矢島 あゆみ, 荒金 兆典, 川田 暁, 手塚 正
2002 年 1 巻 3 号 p.
185-189
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
症例は13歳, 男児。以前より右下眼瞼と左頬部に褐色丘疹があったが, 最近周囲に脱色素斑が出現してきたため, 2000年8月当科を受診した。サットン母斑の診断にて中央の色素斑を各々切除したところ, 左頬部では脱色素斑が消失した。本疾患の組織学的変化を検討する目的で, 切除標本を用い免疫染色を行ったところ, HMB-45抗体弱陽性の母斑細胞の周囲に密なCD1a陽性樹枝状細胞の浸潤を認め, 本症の病因における遅延型免疫応答の関与が疑われた。
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大黒 奈津子, 樋口 昌則, 宮川 幸子
2002 年 1 巻 3 号 p.
190-193
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
症例は出生後1日目に初診した女児で, 出生時にはすでに体幹, 四肢に鱗屑を伴う紅斑が散在性に認められ, 4日目には顔面を含む全身に紅斑や小水疱が多発した。生後10日目に皮膚生検を行い, 臨床症状と組織所見からincontinentia pigmentiと診断した。生後2週間目には色素沈着が見られるようになり, 一般的な経過と比べるとかなり経過は早かった。てんかん発作などの重篤な合併症は見られなかった。出生後12日目の脳単純CTでは小出血像が見られたが, 出生後1ヵ月目には, ほぼ消失した。
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浅野 歩, 花田 圭司, 田端 康一, 小西 啓介
2002 年 1 巻 3 号 p.
194-196
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
82歳, 女性。約1年前から気付いていた両側大陰唇の自覚症状のない径5mmまでの青褐色や黄白色の小丘疹が集簇し, 徐々に数を増すため, 当科を受診した。全ての小丘疹を切除した。病理組織学的所見はHE染色で真皮内に円形の嚢腫をみとめ, 嚢腫壁は数層の扁平上皮細胞からなり, 顆粒層を経て角化していた。嚢腫の内腔には層状の角質がみられ, 角質に混じって軟毛の断片も存在していた。嚢腫壁には脂腺の付着や肉芽腫様反応はなかった。以上の所見から, 自験例を外陰部に生じたeruptive vellus haircystsと考えた。
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飯尾 健司, 秋山 正基, 末木 博彦, 飯島 正文
2002 年 1 巻 3 号 p.
197-202
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
80歳, 男性。約10年前より左環指の小結節に気づいていたが放置していた。近医での生検によりBowen病と診断され、全摘目的で当科を紹介された。左環指PIP関節背に径4mm大の疣状角化性小結節と, 径5mm大の暗紅褐色小結節が隣接しており, 2つの小結節を一塊として全摘し全層植皮術を施行した。角化性小結節はBowen病の所見を示し, 淡紅褐色小結節は基底細胞様細胞ないし有棘細胞様細胞が大小の胞巣を形成し, 真皮中層まで増殖していた。胞巣内には好酸性物質を容れる管腔様構造が多数みられ, ジアスターゼ消化後PAS陽性, CEA強陽性であり, eccrine porocarcinomaと診断した。両病変に組織学的連続性は確認できなかった。
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竹田 恵理, 新藤 季佐, 中野 一仁, 松本 千洋, 鈴木 伸典, 今井 啓介
2002 年 1 巻 3 号 p.
203-206
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
72歳男性。約5年前から下顎部に1×1.5cmのやや隆起した表面ろう様の光沢を呈する黒色結節を認めた。病理組織では, 真皮内に基底細胞様の細胞が柵状に配列している部分と, squamous eddyを多く含み, 一部角化の強いところではhorn pearl様の角化巣も認められる部分とが混在してみられた。PAS染色はともに陰性。以上より自験例をkeratotic basal cell carcinomaと診断した。当院形成外科にて腫瘍周囲約1cm離して骨膜上まで切除を行った。
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山崎 文恵, 川田 暁, 荒金 兆典, 手塚 正
2002 年 1 巻 3 号 p.
207-209
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
脂腺母斑が思春期以降に二次性皮膚腫瘍を合併することは良く知られている。特に基底細胞癌、乳頭状汗管嚢胞腺腫、trichilemmomaが好発するといわれている。脂腺母斑症候群は脂腺母斑の他に、中枢神経系・眼・心血管系の異常を伴うきわめて稀な症候群である。この脂腺母斑症候群の脂腺母斑からの二次性皮膚腫瘍の報告はきわめて稀である。今回われわれは脂腺母斑症候群において、その脂腺母斑上に基底細胞癌を発症した1例を経験したので報告する。(皮膚の科学, 1: 207-209, 2002)
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非定型例の文献的考察
桐山 桂子, 桐山 貴至, 杉浦 久嗣, 上原 正巳
2002 年 1 巻 3 号 p.
210-214
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
3ヵ月の男児に生じた若年性黄色肉芽腫の1例を報告した。自験例では, 左側腹部に黄色の結節が数個環状に集簇していた。1個は表面が潰瘍化し黒色の壊死組織が付着していた。血液検査では異常なく, 病理組織像では, 真皮全層に組織球と泡沫細胞の稠密な細胞浸潤を認めた。ズダンIII染色では脂肪滴が認められた。免疫組織像では, 浸潤細胞はCD68陽性, CD1a陰性, S-100蛋白陰性であった。以上より, 若年性黄色肉芽腫と診断。臨床的には皮膚以外に眼症状や神経学的異常等はなかった。結節は1カ月後には平坦化し, 10カ月後にはほぼ自然治癒した。
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大平 小由里, 袴田 新, 磯田 憲一, 水谷 仁
2002 年 1 巻 3 号 p.
215-218
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
11ヵ月, 男児。7カ月時に母親が背部の小指頭大の赤褐色結節に気付き, 徐々に増大するため当院を受診した。初診時, 背部に中央に痂皮を伴う胡桃大の硬結性局面を認めた。生検の病理組織学的所見にて紡錘形腫瘍細胞の花むしろ様増殖を認め, 免疫染色にてCD34陽性を示したため, dermatofibrosarcomaprotuberans (DFSP) と考え, 腫瘍肉眼的辺縁より3cm離して筋膜を含め切除した。3年の経過観察で再発をみていない。
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田中 将貴, 佐々木 祥人, 堀 啓一郎, 宮本 岳雄, 福西 秀信, 田中 美智男
2002 年 1 巻 3 号 p.
219-223
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
ジャーナル
フリー
25歳, 女性。2000年6月28日に男児を出産後に会陰裂傷等のためセフジニルを内服し, 7月3日に退院, 直後から39℃ 台の発熱, 嘔吐, 筋痛, 四肢と背部に熱感を伴う紅色皮疹が生じた。血液検査では白血球数とCRPの上昇, 細菌培養検査では膣分泌物, 尿からMRSAが検出された。フロモキセフナトリウムの点滴投与を開始し, 膣洗浄を行うにつれ解熱し, 紅斑上に小膿疱が多発した後に落屑となり, 退院となった。本症例ではショック症状は無かったが, 検出されたMRSAにTSST-1産生能があり, CDCの診断基準に照らしprobable toxic shock syndromeと診断した。
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中川 眞知子, 前田 晃, 上埜 剣吾, 亀山 裕子, 松下 記代美, 遠藤 英樹, 荒金 兆典, 手塚 正
2002 年 1 巻 3 号 p.
224-227
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
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30歳男。初診は平成11年7月21日で, 約1カ月前より生じた陰茎部の黒色の皮疹を主訴として来院した。初診時, 陰茎前面に茶褐色から黒褐色の扁平に隆起する芥子粒大から粟粒大の丘疹の集簇を認めた。個々の丘疹は融合している部分もあり表面平滑で痒みはない。臨床像と病理組織像及びヒト乳頭腫ウイルスDNAの検出によりBowenoid Papulosisと診断した。治療は初めブレオマイシンの局所注射を施行したが, 明らかな皮疹の改善がなく又本人の注射に対する苦痛が強かったのでCO2レーザーの治療に変更した。治療開始約1カ月後皮疹は消失し瘢痕も残さず不完全脱色素斑を残すのみとなった。
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三軒 佳子, 荒金 兆典, 川田 暁, 手塚 正, 飯森 眞幸
2002 年 1 巻 3 号 p.
228-231
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
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52歳女性の右下腿屈側に発症した限局型皮膚ノカルジア症を報告した。臨床的には潰瘍を伴った境界比較的明瞭な発赤腫脹局面を呈した。病理組織学的には真皮下層から脂肪組織にかけての膿瘍が認められた。皮疹からの膿汁の細菌培養でNocardia brasiliensisが分離培養同定された。同定菌に感受性のあるミノサイクリン200mg/日を10週間投与したところ, 皮疹は治癒した。趣味のガーデニングの際に軽微な外傷を受けた可能性が考えられた。
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加野 尚生, 冨高 晶子, 鈴木 加余子, 赤松 浩彦, 松永 佳世子
2002 年 1 巻 3 号 p.
232-236
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
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台風が通過した翌日に経験したマムシ咬傷の2例を報告した。症例1: 65歳, 男性。畑作業中, 右第3指をマムシに咬まれ受診した。減張切開し, マムシ抗毒素ウマ血清、ステロイド剤点滴静注を主体に治療し軽快した。症例2: 64歳, 男性。蜂の巣を採取中, 道端に腰をおろした瞬間, マムシに左第2指を咬まれ受診した。マムシ抗毒素ウマ血清皮内テストが強陽性であったため抗毒素は使用せず, ステロイド剤点滴静注を主体に治療し軽快した。
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弓立 達夫, 矢島 あゆみ, 荒金 兆典, 山崎 文恵, 川田 暁, 山田 秀和, 手塚 正
2002 年 1 巻 3 号 p.
237-244
発行日: 2002年
公開日: 2010/08/25
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タクロリムス軟膏は顔面のアトピー性皮膚炎の皮疹に対し有用であることが報告されている。今回我々は, 頚部・躯幹・四肢のアトピー性皮膚炎の皮疹に対する本剤の有効性を検討した。紅斑および痙痒の強い症例に高い有効性を確認し, 従来, ステロイド外用剤が奏効し難いとされている頚部のさざなみ様色素沈着 (dirty neck) さらには痒疹型あるいは苔癬化型皮疹に対する有用性を確認した。また, その使用方法について注意事項を含めて考察する。
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