紫外線を用いる光線療法のアトピー性皮膚炎治療における位置づけは,わが国では長らく特殊療法の域を出なかった。しかし,中波長および長波長紫外線治療が保険適応となったのを受けて,標準治療における選択肢としての道が拡大していくと思われる。
アトピー性皮膚炎に対する有効性と一定の安全性が立証され,かつ手技的にも簡便であるUVA-1やNB-UVBといった紫外線単独照射は今後ますます汎用されていく趨勢にある。一方,メトキサレンを用いる光化学療法(PUVA)は,今後それらに道を譲る方向にあろうし,メトキサレン自体がいまだに保険適応外であることに問題を残している。
アトピー性皮膚炎に対するPUVA療法の意義を見出すとすれば,乾癬などに対する治療の歴史が長く,有効かつ安全に実施する手技や長期安全性に関するデータが蓄積されていることであると考える。ことに海外で主流であった内服PUVAの知見は豊富であり,今後主流となるであろうNB-UVBなど単独照射法の参考とされていることはいうまでもなく,概括しておきたい。
われわれ自身は,本邦で頻用されてきた外用PUVAを中心とした経験を長らく有し,効果の増大と副作用の軽減をめざしたステロイド短期内服法を内服PUVAに対しても適用してきたが,有効性は外用法と比較して大差なかった。ただ,刺激反応は外用PUVAに,色素沈着は内服PUVAに多く観察された。これらの結果についても付記する。
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