皮膚の科学
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4 巻, 4 号
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カラーライブラリー
研究
  • 寺尾 美香, 山本 隆之, 梅田 二郎, 調 裕次
    2005 年 4 巻 4 号 p. 335-338
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
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    帯状疱疹は加齢・基礎疾患・薬剤などによる細胞性免疫の低下が発症の誘因となる。一方,近年高脂血症治療薬であるスタチンは免疫抑制作用を持ち合わせていることが認知されている。我々は(1)当院で採用されている362薬剤のうち“帯状疱疹”として副作用報告のあった薬剤,(2)2001年1月から2002年6月まで帯状疱疹で入院していた患者76例の内服薬,(3)スタチン内服中の帯状疱疹患者の合併症,からスタチンが帯状疱疹の誘因となりうるか検討した。“帯状疱疹”として副作用報告のあった薬剤は副腎皮質ホルモン,免疫抑制剤,抗がん剤といったその免疫抑制作用が知られた薬剤のほかはスタチン(リピトール®2例,リポバス®1例,ローコール®5例)とオノン®のみであり、上記76患者のうちスタチン内服患者は10例であった。
    スタチンは日常良く用いられる薬剤であり,副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤との併用も多いため帯状疱疹患者を診察する上で注意が必要である。
症例
  • 武曽 有美, 高木 圭一, 室田 浩之, 片山 一朗
    2005 年 4 巻 4 号 p. 339-344
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    41歳女性。夏季に増悪する右下腿潰瘍の治療に対して,氷枕で冷却するという治療法を試みた。冷却開始約1週間で潰瘍は縮小しはじめ,2ヵ月後に上皮化した。治療による障害はとくに認めなかった。本疾患の難治性潰瘍の治療のひとつとして局所冷却の有効性が示唆された。患者血清を加熱し得られた沈殿を分析したところ70-80kDaの蛋白を認めた。病因については不明であるが,温度上昇によって凝固傾向を示す物質の存在が推測される。
  • 辻 真紀, 横見 明典, 荻堂 優子, 東山 真里, 中村 敏明
    2005 年 4 巻 4 号 p. 345-349
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    74歳女性。平成16年3月1日レボフロキサシン(クラビット®)3錠,テプレノン(セルベックス®)3カプセル,ラクトミン(Bf-R®)3g各分3内服開始したところ,3月2日夜,右大腿部に手拳大の紅斑出現,3月3日朝同部に弛緩性水疱を認めた。病理組織所見では表皮の好酸性壊死,海綿状態,表皮・真皮間の液状変性,表皮下水疱形成,真皮上層血管周囲性にリンパ球を主とする炎症細胞浸潤を認め,固定薬疹が疑われた。レボフロキサシン1/10,1/5,1/2,1錠の単回内服誘発テストでは陰性であったため,反復内服誘発テストにて1回1錠を毎食後(計3錠)実施したところ,レボフロキサシンで紅斑が誘発された。
  • 池上 隆太, 猿喰 浩子, 清水 義文
    2005 年 4 巻 4 号 p. 350-354
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    77歳,女性。初診の2ヵ月前より両手に紅斑が出現した。治療に反応せず,四肢に水疱や浮腫性紅斑が生じた。病理組織学的に多数の好酸球を伴う表皮下水疱を認めたため,水疱性類天疱瘡と診断し,ステロイド内服治療を施行した。同時期,右乳房に腫瘤を自覚し当院外科にて右乳癌と診断され治療された。水疱性類天疱瘡発症から1年9ヵ月後,舌出血,右上肢の斑状紫斑がみられた。APTT87.7秒,第VIII因子活性2.9%,第VIII因子インヒビター活性41.9BU/ml。後天性血友病と診断し,ステロイド剤を増量したところ,4ヵ月後にAPTT,第VIII因子インヒビター活性は正常化した。本邦における自己免疫性水疱症に後天性血友病を合併した報告例は自験例を含め14例であった。
  • 中川 真人, 田邉 洋, 柳原 誠, 望月 隆
    2005 年 4 巻 4 号 p. 355-360
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    73歳男性。初診2年前より両下肢の筋力低下を認めていた。初診時胸部を中心にそう痒を伴う不整形の紅斑があり,CK高値,筋原性の筋電図変化等より皮膚筋炎と診断した。精査により腎盂癌,肺癌,喉頭癌の合併が明らかになった。皮膚筋炎は内臓悪性腫瘍の合併頻度が高いとされるが,3臓器の重複癌を認めたとの報告は少ない。
  • 園田 早苗, 池上 隆太, 蘆野 伸彦, 牧 一郎, 渥美 達也
    2005 年 4 巻 4 号 p. 361-365
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    5歳女児。四肢の紫斑と鼻出血,腹痛,下痢で当科受診された。初診時,四肢に数個づつの淡紫紅色斑がみられた。淡紫紅色斑を触診すると硬結を触れたが圧痛は伴わなかった。組織検査では真皮深部から脂肪織に赤血球の血管外漏出を著明にみとめた。血管炎はみとめなかった。検査所見は末血・生化学・CRPは異常無く,尿潜血陽性であった。APTTとPTは延長,第II因子活性値は低下しており,抗核抗体80倍,補体値低下,LAは陽性であった。アデノウィルス補体結合試験は512倍であった。ホスファチヂルセリン依存性抗プロトロンビン抗体と抗プロトロンビン抗体は急性期のIgGとIgMは陽性であった。回復期はIgGとIgMともに陰性化し,LAやPT,APTTおよび補体値も正常化した。入院安静のみにて腹部症状,皮疹ともに軽快し約10日後に退院した。アデノウィルス感染後の一過性ループスアンチコアグラント陽性低プロトロンビン血症と診断した。4年経過するが出血傾向の再燃なく,健康に暮らしている。
  • 平野 愛, 夏秋 優, 宮田 明子, 山西 清文
    2005 年 4 巻 4 号 p. 366-369
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    53歳, 女性。平成12年9月22日初診。半年ほど前より自覚症状を欠く両下腿前面の紅斑を認めた。病理組織検査で真皮中層に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断した。自験例では漢方薬である荊芥連翹湯(7.5g/日)を約2年間内服することによって,皮疹は略治した。
  • 権太 和宏, 米田 耕造, 真鍋 求
    2005 年 4 巻 4 号 p. 370-375
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    51歳男性。約1年前,左前腕尺側の半米粒大の皮下結節に気付いた。初診時,31×26mm大の結節は弾性硬で,表面は平滑,下床との可動性は良好であった。病理組織学的には,病変部は脂肪織内に存在し,粘液腫様の変化の強い部位が主体であり,紡錘形の核を持つ線維芽細胞が羽毛状に配列していた。一部には細胞成分に富んだ部位も認められた。免疫組織化学的には細胞の一部がビメンチン陽性であったが,デスミン,S-100,CD34,α-1アンチトリプシンはすべて陰性であった。以上より結節性筋膜炎と診断した。生検後3週間で結節は急速に縮小,消褪した。自然縮小または消褪した結節性筋膜炎の本邦皮膚科領域における報告を中心に文献的考察を行った。
  • 三浦 久美子, 三浦 健太郎, 野中 浩充, 秋山 正基, 末木 博彦, 飯島 正文
    2005 年 4 巻 4 号 p. 376-380
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    66歳男。1年半前右腋窩に小結節が出現し徐々に増大。現症:右腋窩に13×9×6mm,ドーム状に隆起する弾性硬の暗紅色結節。eccrine poromaなどの汗器官系腫瘍を疑い切除。組織:表皮直下から真皮内に大小多数の管腔構造を呈する腫瘍胞巣が増殖。壁細胞は1~数層の立方形~円柱状細胞からなり,一部の壁の外側に筋上皮細胞様細胞が存在。断頭分泌が認められた。一部の管腔内に細胞質がエオジンに淡染する細胞が増殖する所見が見られ,squamous metaplasiaと考えられた。以上の所見より本症と診断した。
  • 吉田 亜理, 中田 土起丈, 末木 博彦, 飯島 正文
    2005 年 4 巻 4 号 p. 381-385
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    44歳,男性。高校生時に右上腕に結節が出現。以後,両上腕,左耳前部に結節を生じ計4回他院で切除され,3回目に組織学的に木村病と診断された。当科初診時,左耳前部,右上腕に鶏卵大の境界明瞭な皮下結節が認められた。好酸球数3300/μl,IgE4271 IU/ml。少量のベタメタゾン内服が著効した。
  • 深尾 真希子, 磯貝 理恵子, 川田 暁, 清水 信貴, 松本 成史
    2005 年 4 巻 4 号 p. 386-389
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    51歳女性。初診の5日前に右臀部に疼痛と共に小水疱が出現し,その後皮疹が徐々に拡大したため,3日前に近医受診し帯状疱疹の診断のもとに塩酸バラシクロビル3,000mg/日を3日間内服していた。しかし,次第に排尿障害が出現し,尿閉状態に進行し,さらに排便障害も出現したため,加療目的にて当科受診し入院となった。臨床症状及び臀部の水疱内の擦過物におけるFITC標識VZVモノクローナル抗体によるVZV検出キットの陽性所見から,膀胱直腸障害をともなった帯状疱疹と診断した。入院後,ビダラビン300mg/日の点滴を5日間行い,尿閉には自己導尿を,排便障害には下剤の投与を行なった。排尿障害は点滴開始5日後より改善し始め,さらに1週間後に,排便障害は点滴開始3日目より改善し始め,さらに3日後には後遺症を残さず改善した。仙髄領域に生じた帯状疱疹では膀胱直腸障害に注意する必要があると思われた。
治療
使用試験
  • 段野 貴一郎, 古田 未征, 尾本 光祥, 桜井 健晴
    2005 年 4 巻 4 号 p. 396-405
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    カルシポトリオール軟膏の尋常性乾癬治療における位置づけを考える目的でオープン試験を行った。30例を集計した結果,ステロイド軟膏(very strongランク)からの変更または追加例,低濃度ビタミンD3軟膏からの変更例では前治療を上回る治療効果が得られた。治りにくい下肢病変もステロイドとの併用で著明に改善した。他の高濃度ビタミンD3軟膏とは優劣つけがたいが,変更により改善した例もあった。皮膚刺激が1例にみられたが,高Ca血症は起こらなかった。患者の印象はきわめてよかった。本剤は乾癬治療における第一選択薬として推奨される。
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