72歳,男性。膵癌に対しTS-1
®(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)を120mg/day内服開始後,約12週間目にテガフールの総量6gの時点で,鼻背,両頬部に紅斑が出現した。頬部の病理組織像では角質増殖,基底層の液状変性,真皮では血管や毛包周囲に密なリンパ球浸潤を認めた。蛍光抗体直接法では表皮真皮境界部にIgA,IgG,IgM,C3の沈着が陽性であった。DLSTテストとTS-1
®,テガフール,ギメラシル,オテラシルカリウムのパッチテストの結果はいずれも陰性であったが,TS-1
®内服中止後約2週間で病変は色素沈着を残して軽快したことより,TS-1
®によるDLE型薬疹と考えられた。
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