皮膚の科学
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13 巻, 5 号
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症例
  • 加太 美保, 藤本 徳毅, 高橋 聡文, 寺村 和也, 福永 健太郎, 田中 俊宏
    2014 年 13 巻 5 号 p. 359-364
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル 認証あり
    50歳代,女性。半年前より倦怠感,手背の Gottron 徴候および palmar papules が出現した。Clinically amyopathic dermatomyositis (CADM) と診断し,筋力低下はなく肺病変も非常に軽微であったため経過観察のみとしていた。初診の半年後に Gottron 徴候部に皮膚潰瘍が出現し,胸部 CT で両側下葉にスリガラス影の広がりを認め血清フェリチン値も上昇した。抗 MDA5 抗体が陽性であることが判明したこともあり,プレドニゾロン 1mg/kg/日とシクロスポリン 100mg/日の併用療法で治療を開始した。検査所見は改善して肺病変の進行も認めなかった。CADM の治療開始時期および治療法の決定に,皮膚病変および血清フェリチン値が参考になると思われた。(皮膚の科学,13: 359-364, 2014)
  • 金澤 典子, 錦織 千佳子, 下浦 真一
    2014 年 13 巻 5 号 p. 365-369
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル 認証あり
    34歳,女性。円形脱毛症の既往はなく,アレルギー疾患や内分泌疾患の既往もなかった。頭頂部の母指頭大の脱毛に気づき当院を初診した。ステロイド外用で加療するもその後急速に脱毛が進行し,発症後4ヶ月で全頭脱毛に至った。ダーモスコピーでは黒点・切れ毛・黄色点がみられ,病理組織では毛包周囲の好酸球浸潤はあるものの,細胞数は多くなかった。発症後4ヶ月時にステロイドパルスを施行し,SADBE 療法を開始した。治療開始6ヶ月後にはショートヘアの状態まで回復した。臨床・病理組織学的所見などから acute diffuse and total alopecia of the female scalp (ADTAFS) と診断した。ADTAFS は特徴的な臨床経過をとり,病理組織では他の病型に比べて好酸球浸潤が高頻度で浸潤数が多いことが特徴とされるが,必ずしも好酸球数が多いとは限らない可能性がある。(皮膚の科学,13: 365-369, 2014)
  • 濱井 公平, 篠原 綾, 野村 尚史, 松井 美萌
    2014 年 13 巻 5 号 p. 370-374
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル 認証あり
    61歳,女性。当院血液内科にて芽球性形質細胞様樹状細胞腫治療中に,四肢を中心に有痛性皮下結節が多発してきたため当科に対診とされた。皮膚生検を施行し,細菌感染を当初考えるも,後に血液培養で Fusarium. spp. 陽性であったことから,その播種性感染を考えた。組織培養は未施行であったが,追加施行した PAS 染色から真菌成分を認めたことから播種性 Fusarium 感染症と診断し,ボリコナゾールやリポソーマルアムホテリシンによる治療を開始したところ症状は改善した。播種性 Fusarium 感染症は稀な疾患ではあるが,最近報告が増えている。一般に免疫抑制状態などの好中球減少時に発症し予後不良である。当疾患を疑った場合は早期に精査し治療を開始することが望ましい。(皮膚の科学,13: 370-374, 2014)
  • 廣畑 彩希, 田中 文, 山岡 俊文, 種村 篤, 片山 一朗, 樋上 敦
    2014 年 13 巻 5 号 p. 375-381
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル 認証あり
    52歳,男性。既往に再生不良性貧血があり,シクロスポリンを継続内服していた。2013年1月より白唇周囲に排膿を伴う結節が出現した。同年7月より急激に増加し,四肢・体幹にも拡大した。同時期より発熱を認め,CT 上両肺の多発結節影が同定された。集簇性ざ瘡と診断し,抗菌薬の全身投与を行ったが十分に改善せず,ステロイド内服投与で皮膚結節は速やかに改善し,肺の結節影も縮小した。再生不良性貧血および免疫抑制薬の長期投与による免疫不全状態があり,反復する細菌感染が合併し,好中球機能異常,サイトカイン産生のバランス破綻など複雑な因子が病態形成に関与していたと推察する。(皮膚の科学,13: 375-381, 2014)
  • 立林 めぐ美, 川田 暁, 松尾 仁子, 中野 創
    2014 年 13 巻 5 号 p. 382-386
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル 認証あり
    65歳,男性。20歳頃より多量の飲酒歴があった。初診の約6ヶ月前より露光部に水疱形成を繰り返すようになり,当科を紹介され受診した。初診時,顔面に色素沈着,両手背に水疱・びらん・痂皮がみられた。病理組織学的所見は表皮下水疱で,PAS 染色にて真皮上中層の血管壁に PAS 陽性物質の沈着を認めた。臨床検査では,軽度の肝機能障害と尿中ウロポルフィリンの著明な上昇を認めた。HCV 抗体,HBs 抗原,HBs 抗体は陰性であった。患者末梢血を用いて遺伝子検索を行ったが,uroporphyrinogen decarboxylase 遺伝子,hemochromatosis 遺伝子の変異は同定されなかった。後天性の晩発性皮膚ポルフィリン症と診断し,禁酒を指導した。さらにプロトポルフィリンIXの吸収波長の最大のピークが 405~410nm にあることから,405~450nm の波長域の光を吸収するように作製したファンデーション剤を使用させたところ,現在水疱の新生はみられていない。本症においては可視光を防御するファンデーション剤の使用が有用と考えられた。(皮膚の科学,13: 382-386, 2014)
フォーラム
  • 泉谷 一裕
    2014 年 13 巻 5 号 p. 387-394
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル 認証あり
    2013年3月から2014年6月までに当院を受診したマダニ刺症のうち,Tick Twister® を用いて摘出を試みた15症例を集計し,その有用性を検討した。また,摘出に成功した2症例を紹介し,使用方法について報告した。すべての症例でタカサゴキララマダニの咬着が認められた。全体の成功率は80%であった。平均推定咬着日数は,成功例では2.1±0.9日,失敗例では5.0±1.0日で有意に成功例での日数が短かった(p<0.01)。患部に咬着するタカサゴキララマダニを Tick Twister® の二股の先端で挟み回転させる非観血的マダニ摘出法は,短時間で,瘢痕も残さず施行できる低侵襲の有用な治療法であり,早期の咬着であれば第一選択として試みる価値があると考えられる。(皮膚の科学,13: 387-394, 2014)
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