2002年4月から2007年3月までの5年間に東皮フ科医院を受診した
Trichopyton tonsuransによる白癬の症例は29件,27名であった。罹患者は10代が23名で,最高齢は64歳で柔道道場の経営者,最年少者は12歳で町の柔道クラブに所属していた。ほとんどの患者は柔道を行っていたが,サッカー選手が1名,バドミントン選手が1名あった。受診するまでの日数は6ヵ月以上が5名,4ヵ月が1名,3ヵ月が3名,1ヵ月以内が20名であった。皮疹の発生部位は左側腹部に生じた2例を除き,他の症例では露出部であった。頭部に皮疹を生じていたのは6例であった。抗真菌剤を外用していた症例では,軟毛に毛内性大胞子菌性の寄生を認めた。治療には抗真菌薬の内服が必須と思われる。治療は抗真菌薬の外用とほとんどの症例でテルビナフィンの内服を行った。2名では翌年には異なる部位に皮疹を生じたので,再感染により生じたものと考えた。今後,
Trichopyton tonsuransによる白癬は感染源の拡大と格闘技選手以外への感染が増加する可能性があろう。
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