皮膚の科学
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7 巻, 5 号
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カラーライブラリー
研究
  • 佐々木 祥人, 神吉 晴久, 長野 徹, 福岡 恵子, 熊谷 俊一, 錦織 千佳子
    2008 年 7 巻 5 号 p. 586-592
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    皮膚超音波検査は近年多くの施設で用いられ,特に皮下腫瘍の非侵襲的診断としての有用性が示されている。今回,悪性黒色腫,乳房外パジェット癌,および有棘細胞癌の患者で,術前リンフォシンチグラフィーを施行しセンチネルリンパ節の同定が行われた症例14例に対して,同定されたリンパ節の超音波検査を術前に行い,術後の病理組織像との検討を行った。その結果,転移陽性リンパ節群では1)長径,短径ともに陰性群に比べ長く,長径/短径比が小さい2)形状が不規則である3)血流信号がリンパ節周囲に検出されやすいといった特徴的所見が得られた。この結果から,術前の超音波検査はセンチネルリンパ節の質的診断に有用であることが示された。
症例
  • 佐々木 絵里子, 尾藤 利憲, 辻 剛
    2008 年 7 巻 5 号 p. 593-598
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    発症後,16年間経過したI型クリオグロブリン血症を経験した。68歳,女性。平成3年より,顔面,手足などに浸潤を触れる紫斑や潰瘍が出現するようになり,症状は冬期に増悪した。血清から単クローン性のIgG‐κ型クリオグリブリンを検出し,病理組織では真皮の血管内に好酸性の無構造物質による閉塞像を認めた。腎臓,神経障害などの内臓病変はなく,多発性骨髄腫などの基礎疾患もないため,MGUSに関連したI型クリオグロブリン血症と診断した。診断確定後は抗血小板剤,副腎皮質ホルモン剤などの内服を併用して経過良好であったが,平成19年4月頃より皮膚症状が急速に悪化した。精査の結果,クリオグロブリン血症自体の悪化ではなく痴呆様症状の進行が症状の発現にかかわっていると考えられた。
  • 後藤 典子, 佐々木 絵里子, 下浦 真一, 尾藤 利憲, 勝山 栄治, 堅田 敬太
    2008 年 7 巻 5 号 p. 599-604
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    28歳,女性の右耳介外耳道入口に生じたAngiolymphoid hyperplasia with eosinophiliaを経験した。約2年前に,軽度のそう痒を伴う紅褐色局面として発症し,妊娠中に増大した。初回の部分生検では木村病も疑ったが,血液検査所見で好酸球数・IgEは正常値を示し,全摘出術後の病理組織にて真皮内の血管の増生・拡張,血管内皮細胞の腫大と内腔への突出像がみられたことより本症と診断した。外科的切除に加えてステロイド局注とトシル酸スプラタスト内服を併用したが腫瘍の完全消褪は得られなかったため,残存部に,炭酸ガスレーザー焼灼術を施行した。本症の治療に炭酸ガスレーザー療法が有効であった。
  • 鷲見 浩史, 湊原 一哉
    2008 年 7 巻 5 号 p. 605-609
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    68歳の女性。北関東出身者であるが,第二次世界大戦中にパラオに居住歴がある。初診時,体幹,四肢に強いそう痒感を伴い,掻破痕を混ずる小豆~大豆大程度の丘疹が散在性に多発し,さらにびまん性の浮腫性紅斑も混じる多彩な皮膚症状を示していた。当初,好酸球増多症候群を疑い精査を進めたが,糞線虫をはじめ,複数の抗寄生虫抗体に強陽性を示した。ホルマリン・エーテル法による糞便検査では陰性であったが,臨床症状とあわせて糞線虫をはじめとする線虫類感染症による好酸球増多を疑い,患者の了解を得てイベルメクチンを投与したところ著明な改善をみた。以降,再発も認めない。現在では糞線虫症は新たに罹患することは少ないとされているが,糞線虫症に限らず寄生虫感染症は今後,高齢化社会の到来や昨今の無農薬野菜,ペットブーム,焼肉ブームなどといった流行もあり,多くの症例が経験されるものと考えられた。
使用試験
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