2005年12月から5ヵ月間に当科を受診した小中学生の
Trichophyton Tonsurans (以下
T.tonsurans) 感染症の14例を報告した。女子1例を除きすべて同じ柔道教室の男子であった。
診断は検鏡およびDTM
®培地(フジセイヤク)での培養所見より行った。7例は分子生物学的に
T.tonsuransと同定された。症状は落屑性紅斑,粃糠様落屑性脱毛斑,黒点,ケルスス禿瘡であった。ステロイド外用剤を使用していた症例は3例,症状が拡大しているのに1~3ヵ月間抗真菌剤を外用し続けていた症例があった。
T.tonsuransは実験的には他の菌より早く角層に侵入し毛内性大胞子を形成する。周囲への感染拡大を防ぐためにも早期に経口抗真菌薬の内服が必要である。
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