皮膚の科学
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12 巻, 5 号
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カラーライブラリー
症例
  • 椋棒 圭子, 細本 宜志, 吉岡 希, 磯貝 理恵子, 山田 秀和, 上田 吉生, 岡嶋 馨
    2013 年 12 巻 5 号 p. 331-335
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/12
    ジャーナル 認証あり
    85歳,女性。30年前から左耳介下部に腫瘤があり,増大したため近医を受診した。皮膚生検でアポクリン腺癌と診断され,手術を勧められたが拒否した。約3ヶ月後に腫瘤が増大,疼痛と出血を伴うようになった。患者が切除以外の治療を希望して当院を受診した。初診時腫瘤は径 6cm 大であり,患者の年齢・腫瘍径と場所・患者の希望から,合計 69Gy の放射線治療を施行した。約3ヶ月後に縮小したので拡大切除術および植皮術を行った。初診から約2年経過したが,再発を認めていない。高齢化社会である現代において,放射線治療を外来通院で施行することは患者の QOL の向上につながる。さらに,本症例ではその結果,拡大切除を施行することができた。(皮膚の科学,12: 331-335, 2013)
  • 大澤 学, 爲政 大幾, 岡本 祐之
    2013 年 12 巻 5 号 p. 336-338
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/12
    ジャーナル 認証あり
    52歳,女性。約30年前より右腋窩に皮下腫瘤が存在し,徐々に増大してきた。初診時,右腋窩に径 3cm で皮膚と軽度癒着した弾性硬の皮下腫瘤を触知し,これと連続する示指頭大の腫瘤を下床に認めた。副乳や汗腺腫瘍を疑い,局所麻酔下に腫瘤を切除縫縮した。病理組織像では,腫瘤は腺管上皮細胞と筋上皮細胞の2層構造からなるスリット状の管腔と浮腫性の間質から構成されており,乳腺線維腺腫に相当する所見であった。また,この腫瘤の周囲には乳腺組織を認めた。以上より本症例を副乳に発生した乳腺線維腺腫と診断した。腋窩に腫瘤を認めた場合,副乳およびそれ由来の良性・悪性腫瘍も考慮すべきと考えられた。(皮膚の科学,12: 336-338, 2013)
  • 井下 哉恵, 神谷 智, 則岡 有佳, 庄田 裕紀子
    2013 年 12 巻 5 号 p. 339-342
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/12
    ジャーナル 認証あり
    2歳5ヶ月,女児。アトピー性皮膚炎あり。乳製品摂取量増加後に歯肉炎,歯肉出血が出現し,その後上口唇腫脹も出現した。歯科加療するも上口唇腫脹は軽快せず当科を受診した。初診時,上口唇に亀裂,鱗屑,乾燥を伴う弾性硬の腫脹があり,口囲に軽度湿疹を認めた。顔面神経麻痺,皺襞舌なし。齲歯,歯科金属なし。乳製品除去で軽快せず,抗アレルギー剤やトラニラストの内服で加療するも無効であった。上口唇の生検で,リンパ球浸潤を伴う非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めた。ステロイド内服で上口唇腫脹は改善傾向だったが,漸減中にやや再燃認めたため,トラニラスト内服を追加し軽快した。肉芽腫性口唇炎の幼児例はまれであり,文献的考察を加え報告した。(皮膚の科学,12: 339-342, 2013)
  • 椋棒 圭子, 吉岡 希, 高田 香織, 磯貝 理恵子, 山田 秀和
    2013 年 12 巻 5 号 p. 343-347
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/12
    ジャーナル 認証あり
    89歳,女性。初診5ヶ月前に左下腿腫脹と熱感で近医受診し,抗生剤で軽快した。初診1ヶ月前に左足関節部に潰瘍がみられ,当院に紹介受診し,同部に全周性の線状肉芽組織を認めた。患者に認知症等はなかったが,症状の経緯聴取が困難であり,患者が靴下を輪ゴムでとめる習慣がある事等から,異物の残存を疑い MRI を撮影したところ,足関節皮下に異物遺残を疑う所見を認めた。治癒遅延する感染性肉芽を外科的切除したが,異物は確認できなかった。潰瘍が上皮化傾向となったため,経過観察していたところ,初診から8ヶ月後に輪ゴムが自然排出された。このような症例において,MRI 画像所見は有用で,経過観察に使用した方が良いと考える。(皮膚の科学,12: 343-347, 2013)
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