皮膚の科学
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10 巻 , Suppl.16 号
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  • 山本 明美, 井川 哲子
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 1-4
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
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    フィラグリン遺伝子変異は尋常性魚鱗癬の原因であり,アトピー性皮膚炎の発症リスクを増す。フィラグリン欠乏は角層細胞間バリア機能を低下させる。我々はこのバリア機能をになう構造とは,細胞間にシート状に広がる脂質層とそれを細胞辺縁で取り囲むタイトジャンクションとコルネオデスモゾームより構成されていると考えている。尋常性魚鱗癬では角層を肥厚させることでバリア機能がある程度代償されているが,室内塵ダニに由来するプロテアーゼなどにより角層の剥離が亢進するとバリア機能がいっそう低下し,アトピー性皮膚炎を発症すると考えている。(皮膚の科学,増16: 1-4, 2011)
  • 久保 亮治
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 5-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    哺乳類皮膚表皮のバリアは,角質層バリアとタイトジャンクション (TJ) バリアの2つの要素から構成されている。角質層バリアが身体外部の空気環境と体内の液性環境を分け隔てるバリアであるのに対し,顆粒層第2層に存在する TJ バリアは表皮内液性環境を TJ バリア外と TJ バリア内の2つの区画に分け隔てるバリアである。TJ バリア内に存在している表皮ランゲルハンス細胞は,活性化すると TJ バリア外に樹状突起を延長し,TJ バリア外に存在する抗原を取り込む機能を持つ。正常皮膚およびアトピー性皮膚炎皮膚において,角質と TJ という2つのバリアが果たす役割と,ランゲルハンス細胞による TJ バリア外からの抗原取り込み機構が持つ意味について考察する。(皮膚の科学,増16: 5-10, 2011)
  • 森 智子
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 11-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
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    我々は,外因性 AD と内因性 AD に分け,知覚閾値と皮膚バリアの関連に注目し,両者に違いがあるかを検討した。 外因性 AD では,内因性 AD や正常コントロールに比べて皮膚水分量は有意に低く,皮膚蒸散量は有意に高かった。内因性 AD と正常コントロールでは皮膚水分量と正の相関を示し,皮膚蒸散量とは負の相関を示したが,外因性 AD では両者において相関はなかった。外因性 AD の無疹部では知覚閾値は,痒みの VAS において正の相関を示すが,内因性 AD では相関がなかった。 すなわち,外因性 AD は皮膚バリア能が低く,痒みが強いとむしろ外的刺激への感受性が減ることがわかった。反対に内因性 AD は皮膚バリアと痒み刺激に対する神経反応は保たれていた。(皮膚の科学,増16: 11-14, 2011)
  • 秋山 真志
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 15-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    2007年,我々は欧州人以外では初めて,日本人尋常性魚鱗癬患者においてフィラグリン遺伝子変異2個を同定し,さらに,日本人でもフィラグリン遺伝子変異がアトピー性皮膚炎の重大な発症因子であることを示した。その後,我々はアジア人固有のフィラグリン遺伝子変異を網羅的に同定し,日本人尋常性魚鱗癬患者の病因も欧州人同様,フィラグリン遺伝子変異であること,日本人アトピー性皮膚炎患者の少なくとも27%では,フィラグリン遺伝子変異がその発症因子となっていることを明らかにした。さらに,我々は,フィラグリン遺伝子変異が日本人アトピー性喘息患者についても,重要な発症因子となっていることを示した。(皮膚の科学,増16: 15-17, 2011)
  • 椛島 健治
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 18-20
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    2006年に,皮膚のバリア機能を司るフィラグリン遺伝子変異が一部のアトピー性皮膚炎患者に認めたことを契機に,アトピー性皮膚炎の原因の一つとしてバリア破壊が関与している事が認知されるに至った。ヒトと同様にフィラグリン遺伝子に変異を有する flaky tail マウスは,乾燥肌,湿疹様皮膚炎,IgE 上昇などのヒトのアトピー性皮膚炎と同様の症状を呈した。また,ダニ抗原曝露により,野生型マウスに比べて著明なアトピー性皮膚炎様の臨床症状が誘発された。今後,flaky tail マウスが,アトピー性皮膚炎の病態解明などに有用な新たなモデルとなることが期待される。(皮膚の科学,増16: 18-20, 2011)
  • 日比野 利彦
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 21-24
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    我々はフィラグリンから NMF 産生に至る過程について検討し,NMF 産生酵素としてブレオマイシン水解酵素 (BH) を同定した。また,フィラグリンに対して,カスパーゼ-14,カルパインI,そして BH が働くことにより,アミノ酸レベルまで分解されることを示した。BH の発現は,Th1 サイトカインで直接抑制され,Th2 サイトカインでは,間接的に抑制されることが明らかになった。アトピー性皮膚炎においては,皮疹部のみならず,無疹部においても BH が極度に低下していることから,フィラグリン遺伝子異常ばかりではなく,NMF 産生にいたる分解系の異常もバリアー機能に大きな影響を与えることが強く示唆された。(皮膚の科学,増16: 21-24, 2011)
  • 坂部 純一
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 25-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    プロフィラグリンタンパクは,ケラチン凝集や天然保湿因子として皮膚バリア機能において重要な役割を担う分子量 37kDa のフィラグリンといわれる機能性領域を有する。最近,変異が同定されたプロフィラグリン遺伝子からは,不完全なプロフィラグリンタンパクが作られる。しかしながら,フィラグリン領域を途中まで有する不完全なプロフィラグリンからのフィラグリンの発現は,認められないことが示唆されている。従って,プロフィラグリンのC末端領域が,プロフィラグリンからフィラグリンが形成される段階に,何らかの影響を及ぼしていると考えられる。(皮膚の科学,増16: 25-28, 2011)
  • 森実 真
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 29-33
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    セリンプロテアーゼである組織カリクレインは表皮角層のバリア機能に影響を与える。表皮角化細胞では特にカリクレイン5(トリプシン型セリンプロテアーゼ)とカリクレイン7(キモトリプシン型セリンプロテアーゼ)が高発現している。これらの組織カリクレインは,正常皮膚においては表皮角層の剥離を促す。アトピー性皮膚炎では組織カリクレインが過剰発現し,制御因子との均衡が崩れ,接着分子の分解がおこり微生物やアレルゲンが侵入しやすい表皮に変化すると考えられる。我々の研究では Th2 サイトカインが表皮における組織カリクレインとプロテアーゼインヒビターとの均衡を変化させ,アトピー性皮膚炎のバリア機能低下に関与する可能性が示唆された。(皮膚の科学,増16: 29-33, 2011)
  • 戸倉 新樹
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 34-37
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎 (AD) は外因性と内因性に分けることができる。外因性は IgE が媒介するアレルギー機序によって発症した通常のタイプであり,内因性 AD は IgE が正常域で AD の約20%を占め女性が多い。論文の渉猟や講演者自身が各国の研究者聴取によって得た情報では,内因性という言い方に積極的な国は,ドイツ,オランダ,ハンガリー,韓国などであり,一方,余り使いたがらない,あるいは使って来なかった国は,イギリス,日本が代表的であろう。日常診療の段階で,皮疹の性状から,内因性 AD を外因性から鑑別することができず,内因性 AD をいう言葉を tentative に用いるのは今後の病態研究の上で重要であろう。(皮膚の科学,増16: 34-37, 2011)
  • 久保 利江子
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 38-40
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎 (AD) は外因性と内因性に分けることができる。内因性 AD は皮膚バリア機能が正常で,フィラグリン遺伝子変異が外因性 AD に較べると少なかった。免疫学的には外因性 AD より IFN-γ 産生細胞割合が高いことが示され,Th2 ケモカインである CCL17/TARC は低値であった。内因性 AD の原因の1つに金属アレルギーの可能性が考えられ,金属パッチテストで内因性 AD の52.9%がコバルトに陽性であった。以上より,内因性 AD はバリアが正常であるために蛋白抗原が通らず,蛋白以外の抗原,例えば金属にさらされるために Th1 が活性化され,IFN-γ の産生が高くなるという構図が考えられた。(皮膚の科学,増16: 38-40, 2011)
  • 片桐 一元
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 41-44
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    近年,アトピー性皮膚炎患者ではフィラグリンの遺伝子異常が高頻度に検出されているが,それだけでは病態を説明することができない。主要な病態である皮膚バリア機能異常,アレルギー性炎症,難治性掻痒が相互に影響し合うことが難治化につながると予想される。我々は,アレルギー性炎症に関与する Th2 サイトカイン,STAT6,ヒスタミン,神経ペプチドが皮膚バリア機能回復を障害することを明らかにした。中でもごく少量の Th2 サイトカインや神経ペプチド刺激により肥満細胞から放出される Th2 サイトカインにより皮膚バリア機能回復障害が誘導されることは,アトピー性皮膚炎の発症や増悪機序を説明しえる現象かもしれない。(皮膚の科学,増16: 41-44, 2011)
  • 尾藤 利憲
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 45-49
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    我々の調査では,アトピー性皮膚炎(以下 AD) 患者の約半数が自己汗皮内テストで陽性反応を示している。今回,AD 患者を IgE 値により内因性と外因性の2つのサブタイプに分類して汗アレルギー(以下 SA) との関連について検討した。SA は両タイプの AD 患者でほぼ同じ割合にみられるが,内因性 AD 患者では SA と金属アレルギーの合併が高頻度にみられた。汗の分析で,金属パッチテスト陽性で SA を有する AD 患者の汗中のニッケルとクロム濃度が SA を有さない AD 患者や健常人と比較し高いことが判明した。金属は汗からも排出されることより,汗に含まれる金属が皮膚炎の発症に深く関わっていると考えられた。(皮膚の科学,増16: 45-49, 2011)
  • 室田 浩之
    2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 50-53
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    汗は抗菌・保湿など皮膚の恒常性維持に貢献する一方,アトピー性皮膚炎の増悪因子であるとも考えられている。実際にシャワー浴による汗対策が重症度を改善させ皮膚表面の黄色ブドウ球菌量の減少を導く。ところがアトピー性皮膚炎患者に対して行った定量的軸索反射性発汗試験では健常者に比し軸索反射性発汗量の有意な減少と,発汗に要する時間の有意な延長が皮疹の有無に関わらず認められた。総合的に解釈すると,アトピー性皮膚炎病態形成における汗の関与は「発汗」という生理機能と「かいた後の汗」に対する反応に分けて考える必要があり,発汗量の減少あるいは古い汗がバリア機能を破綻させるのではないかと想像された。(皮膚の科学,増16: 50-53, 2011)
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