皮膚の科学
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12 巻, 3 号
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カラーライブラリー
症例
  • 小島 清登, 藤井 俊樹, 西部 明子, 望月 隆, 新井田 要
    2013 年 12 巻 3 号 p. 190-194
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/05
    ジャーナル 認証あり
    39歳,男性。20歳代後半に初めて左足に限局性浮腫が出現し,以後数年に1回程度の頻度で四肢に同様の症状が出現していた。家族内に同症者はいなかった。平成21年5月末に上気道炎症状のため市販の総合感冒薬を内服し,その後右上肢に腫脹が生じ当科を初診した。受診時,右手から肘にかけてわずかにそう痒を伴う硬性浮腫があり,右手関節屈側には浮腫性紅斑と小水疱を伴っていた。血液検査で C4 は 3mg/dl と著明に低下,C1q は 7.5mg/dl と軽度低下しており,C1-INH 活性および定量はともに低下していた。遺伝子解析により SERPING1 遺伝子にフレームシフト変異を認めた。以上より遺伝性血管性浮腫と診断した。現在トラネキサム酸 500~750mg/日を内服し経過良好である。(皮膚の科学,12: 190-194, 2013)
  • 大森 麻美子, 上野 充彦, 小川 真希子, 長野 徹
    2013 年 12 巻 3 号 p. 195-198
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/05
    ジャーナル 認証あり
    65歳,男性。ハイリスク MDS と診断され,アザシチジン 130mg/day 投与を開始された。投与後,発熱とともに顔面・四肢に有痛性の浸潤性紅斑が出現した。皮膚生検では真皮に血管炎を伴わない好中球の稠密な浸潤を認め Sweet's 症候群と診断した。その後アザシチジン投与のたびに発熱と皮疹を繰り返すもののプレドニゾロン内服治療に反応した。これまでに本邦でアザシチジン投与の関与が疑われた Sweet's 症候群の報告はない。今後の本疾患の機序解明にはさらなる MDS 患者でのサイトカイン解析が望まれる。(皮膚の科学,12: 195-198, 2013)
  • 小猿 恒志, 五木田 麻里, 堀川 達弥
    2013 年 12 巻 3 号 p. 199-202
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/05
    ジャーナル 認証あり
    69歳,女性のプロクロルペラジンによる光線過敏型薬疹の1例を報告する。プロクロルペラジン内服開始2週間後から顔面・両手背にそう痒を伴う紅斑が出現した。紫外線照射テストでは UVA 2.5,5,10J/cm2 で陽性,UVB では 120mJ/cm2 までのすべてで陰性であった。プロクロルペラジン内服中止から1ヶ月後に光パッチテストを実施した。プロクロルペラジン濃度0.01%,0.1%,1%,およびワセリン貼付部にUVA 2J/cm2 を照射したところ,プロクロルペラジン濃度1%,0.1%で陽性であった。プロクロルペラジン濃度0.01%,0.1%,1%,およびワセリン貼付部に UVB 80mJ/cm2 を照射したところ,プロクロルペラジン1%で陽性であった。プロクロルペラジン濃度0.01%,0.1%,1%,およびワセリン貼付部で,遮光をした部位はすべて陰性であった。以上により,プロクロルペラジンによる光線過敏型薬疹と診断した。調べ得た限りでは本邦でのプロクロルペラジンによる光線過敏症は2例目であった。(皮膚の科学,12: 199-202, 2013)
  • 高岡 佑三子, 小嶌 綾子, 濱井 公平, 松井 美萌, 堀 哲雄, 鈴村 雄治
    2013 年 12 巻 3 号 p. 203-206
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/05
    ジャーナル 認証あり
    症例は72歳,男性。主訴は右前胸部の多発性紅色結節。右肺腺癌で化学療法中,前胸部結節の拡大を認めたため,当科コンサルトとなった。生検により,肺腺癌皮膚転移と診断した。腫瘍は,次第に中央部に黄色壊死を伴い,拡大し,易出血性となった。今回我々は,腫瘍の固定,感染に伴う悪臭を抑制するため緩和ケアチームと協力し,Mohs ペーストによる処置を実施した。最終的には,不幸な転帰となったが,突出した腫瘍,滲出液や出血,悪臭に悩まされることなく,外出や一時帰宅が可能となり,存命中の QOL の改善に大きく役立った。Mohs ペーストは,他の治療法がない切除不能な皮膚浸潤,出血,疼痛,感染による滲出液や悪臭のコントロールに苦慮する転移性皮膚腫瘍の治療法として,患者の QOL の改善に役立つ点で有用な治療法と考える。(皮膚の科学,12: 203-206, 2013)
  • 池田 彩, 宮本 麻美, 永松 麻紀, 小澤 健太郎, 田所 丈嗣, 清水 隆弘
    2013 年 12 巻 3 号 p. 207-211
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/05
    ジャーナル 認証あり
    57歳,男性。約20年前に左大腿に熱傷を受傷。治癒直後は軽度隆起する紅褐色局面であったが徐々に陥凹した。初診時,左大腿に大きさ 15×13mm でわずかに鱗屑を伴い周囲皮膚から陥凹する茶褐色の境界明瞭な萎縮性局面を認めた。病理組織学的に真皮は菲薄化し,Factor XIIIa 陽性の線維芽細胞様細胞や組織球様細胞が増殖していた。以上の所見から萎縮性皮膚線維腫と診断した。本症の菲薄化の原因はまだ不明だが,自験例では最近の報告例と同様に真皮の弾性線維が消失し,表皮には複数の毛包誘導が認められた。従って,本症の真皮では特殊な微小環境が形成され,真皮の萎縮に関与している可能性が示唆される。(皮膚の科学,12: 207-211, 2013)
  • 大川 智子, 山口 由衣, 石田 修一, 堀田 亜紗, 藤田 浩之, 相原 道子
    2013 年 12 巻 3 号 p. 212-218
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/05
    ジャーナル 認証あり
    44歳,男性。両側精巣腫瘍,S状結腸癌の既往がある。上腹部に激痛が生じた翌日に,顔面,体幹部に発赤を伴う小丘疹と小水疱,および口腔内水疱が出現した。Tzanck 試験は陽性であった。激烈な腹痛を伴うことから,内臓播種性水痘・帯状疱疹ウイルス (VZV) 感染症を疑い,アシクロビル (acyclovir; ACV) 750mg/day 開始したが,症状の改善は乏しく,肝機能の悪化,DICを合併した。第4病日より ACV 1,500mg/day に増量,Intravenous immunoglobulin (IVIG) 5,000mg/day(5日間)を追加し,症状は次第に改善した。経過中,血中 VZV-DNA 量が髙値であり,内臓播種性 VZV 感染症と診断した。本疾患は急速に進行し,ときに致死的である。水痘に腹部症状を伴う場合,本疾患を疑い,早期に大量の ACV や IVIG による治療をおこなうことが重要と考えた。(皮膚の科学,12: 212-218, 2013)
  • 小林 博人, 吉岡 真澄, 安澤 数史, 望月 隆
    2013 年 12 巻 3 号 p. 219-223
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/05
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    金沢市南部の一診療所で2005~2011年の7年間に M. canis 感染症を21例経験した(体部・頭部白癬247例中8.5%)。男女比は1:3.2,2005~6年の症例がほぼ半数を占め,年齢は11~78歳(平均46.2歳),病型は体部白癬19例,体部・頭部白癬の合併例2例であった。感染源と考えられた動物はネコ15例(屋内飼育1例,外の動物と接触しうるネコ12例,拾いネコ2例),イヌ2例(2例とも室内飼育)で,不明4例であった。2006~11年に同地域の動物病院で皮膚糸状菌症のネコ30匹,イヌ6匹から M. canis が分離された。分離数は2006年に多く,それ以降は減少していた。家を出入りするネコは野良ネコとの接触で,屋内飼育のイヌ,ネコは多頭飼育施設での感染が疑われた。(皮膚の科学,12: 219-223, 2013)
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