皮膚の科学
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11 巻, Suppl.17 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 白方 裕司, 橋本 公二
    2012 年 11 巻 Suppl.17 号 p. 1-6
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
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    培養皮膚のうち培養表皮シートは表皮成分のみを再構築させたものであり比較的簡単かつ大量に作製することが可能である。培養表皮シートは角層を欠き,基底膜構成タンパクが欠除しており生着性に問題があった。一方,三次元培養皮膚は,真皮成分と角層を有する進化型の培養皮膚であり,表皮シートと比較すると生着率は向上している。また基底膜構成成分は存在するが不完全であることが明らかとなっている。本研究では形態的に優れた,より正常皮膚に近い三次元培養皮膚を開発し,さらに簡易作製法を開発しその有用性を臨床的に検討した。(皮膚の科学,増17: 1-6, 2012)
  • 前田 進太郎, 長谷川 稔, 松下 貴史, 濱口 儒人, 藤本 学, 竹原 和彦
    2012 年 11 巻 Suppl.17 号 p. 7-13
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    創傷治癒は炎症細胞浸潤と,それに引き続くサイトカイン産生により調節されている。ICOS は活性化T細胞上に,ICOSL は抗原提示細胞上に発現し,ICOS-ICOSL 経路は獲得免疫に関わるとされる。創傷治癒における ICOS-ICOSL 経路の役割を検討した。ICOS,ICOSL が欠損したマウスでは著明に創傷治癒が遅延し,炎症細胞浸潤が減少していた。T細胞除去およびT細胞移入の結果より,T細胞が重要だとわかった。Th2 系サイトカインが著明に低下しており,IL-6 添加により創傷治癒が改善した。ICOS-ICOSL 経路は創傷治癒において,T細胞によるサイトカイン産生に重要な役割を有することが示唆された。(皮膚の科学,増17: 7-13, 2012)
  • 中溝 聡, 椛島 健治, 宮地 良樹
    2012 年 11 巻 Suppl.17 号 p. 14-17
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    Basic fibroblast growth factor (bFGF) は線維芽細胞の増殖を促進させることにより皮膚潰瘍の治癒を促進することが知られている。しかし興味深いことに,bFGF は表皮角化細胞にも作用し増殖を亢進させるため,肉芽形成のみならず上皮化にも有効である可能性がある。本稿では,表皮角化細胞に与える効果について,従来の報告と我々の研究結果をもとに総括する。(皮膚の科学,増17: 14-17, 2012)
  • 牧野 貴充, 神人 正寿, 梶原 一亨, 牧野 雄成, 中山 若菜, 尹 浩信
    2012 年 11 巻 Suppl.17 号 p. 18-26
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    Basic fibroblast growth factor (bFGF),線維芽細胞,表皮細胞,血管内皮細胞のほか多種の細胞における細胞増殖のみならず分化誘導,細胞外基質の合成,細胞接着や細胞の走化性,遊走に関与する多機能なサイトカインとして報告されてきた。しかし,bFGF によるヒト皮膚線維芽細胞増殖刺激の詳細な機序は未だ解明されていない。今回,成人ヒト皮膚線維芽細胞を用いて,bFGF による増殖刺激に extracellular signal-regurated kinase (ERK),c-Jun N-terminal kinase (JNK) の情報伝達経路が重要な役割を担っていることが明らかになった。(皮膚の科学,増17: 18-26, 2012)
  • 安部 正敏, 横山 洋子, 上原 顕仁, 石川 治
    2012 年 11 巻 Suppl.17 号 p. 27-33
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
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    近年,塩基性線維芽細胞増殖因子 (bFGF) は,創傷治癒の質的改善いわゆる scarless wound healing をもたらすことが臨床的に明らかとなり,ケロイドや肥厚性瘢痕に対する臨床応用への可能性が期待される。そこで今回我々は,ケロイド病変部線維芽細胞含有コラーゲンゲルを用いて,bFGF のケロイドへの効果に関する基礎的検討を行った。その結果,bFGF はケロイド由来線維芽細胞含有コラーゲンゲル収縮を軽度促進した。ゲル中の細胞形態を観察すると,健常人由来線維芽細胞に比較し,bFGF はケロイド由来線維芽細胞の伸展を抑制した。また,これらには Rho Kinase が関与することが示唆された。一方,bFGF はケロイド由来線維芽細胞に対し,アポトーシスを誘導する傾向がみられたが,統計学的有意差はなかった。本研究結果より,bFGF はケロイド由来線維芽細胞に対してアポトーシスを誘導する可能性が示唆された。(皮膚の科学,増17: 27-33, 2012)
  • 倉繁 祐太, 坪井 良治
    2012 年 11 巻 Suppl.17 号 p. 34-38
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    過去に我々はマウスの全層皮膚欠損創における fibroblast growth factor (FGF)-7 ファミリー蛋白の発現を免疫組織化学的に解析し,この蛋白がおもに創縁部の表皮上層に局在することを報告した。さらに,皮膚の創傷治癒過程における FGF ファミリーの局在について文献的検討を行った。創傷治癒に関連する FGF のうち,FGF-7 はおもに真皮の線維芽細胞に局在することが mRNA レベルで報告されており,FGF-2 はおもに再上皮化表皮の基底層に局在することが蛋白レベルで報告されている。このように,FGF ファミリーは創傷治癒過程において,多様な局在と作用を有している。(皮膚の科学,増17: 34-38, 2012)
  • 吉崎 歩, 浅野 善英, 簗場 広一, 佐藤 伸一
    2012 年 11 巻 Suppl.17 号 p. 39-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    創傷治癒過程において,好中球,マクロファージをはじめとする炎症細胞浸潤は,様々なサイトカインや細胞増殖因子を産生することで創傷治癒を促進する。近年,すぐれた免疫抑制薬として注目を集めるラパマイシンは,重大な副作用として創傷治癒遅延を誘導することが知られている。今回の検討から,ラパマイシンは細胞接着分子発現を抑制することで創傷治癒遅延を引き起こすことが示唆された。これらの創傷治癒遅延と細胞接着分子発現抑制は basic fibroblast growth factor の投与により正常化されたことから,basic fibroblast growth factor はラパマイシンが誘導する創傷治癒遅延に対して有効であることが明らかにされた。(皮膚の科学,増17: 39-44, 2012)
  • 八木 洋輔, 宇谷 厚志
    2012 年 11 巻 Suppl.17 号 p. 45-49
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル 認証あり
    創傷治癒の異常により引き起こされるケロイドや肥厚性瘢痕は,臨床的に治療に難渋するケースが多い。今回我々は,塩基性線維芽細胞増殖因子 (bFGF) が持つ瘢痕抑制作用について検討を行った。bFGF の添加により1型コラーゲン mRNA は減少し,Matrix metalloproteinase 1 (MMP1) mRNA は増加がみられた。これらの結果より,bFGF の添加はコラーゲンの沈着を抑制する方向に働いており,bFGF が瘢痕抑制作用をもつ可能性が示唆された。(皮膚の科学,増17: 45-49, 2012)
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