皮膚の科学
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8 巻, 6 号
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カラーライブラリー
症例
  • 沼尻 敏明, 西野 健一, 素輪 善弘, 小西 啓介
    2009 年 8 巻 6 号 p. 771-775
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/22
    ジャーナル 認証あり
    皮様嚢腫は胎生期の外胚葉組織の迷入により発生する先天性疾患である。頭頸部での発生はその殆どが眉毛周囲と口腔底においてであり,耳介周囲に生ずることは少ない。耳後部に認められた皮様嚢腫を2例経験したので,文献的考察を交えて報告する。耳後部の皮様嚢腫はまれではあるが,小児期だけでなく思春期や青年期に受診することもあり,画像所見で軟部腫瘤を認めた場合,鑑別として考慮すべき疾患の一つと考えた。
  • 朝倉 麻紀子, 松田 健, 浅田 裕司, 三浦 宏之
    2009 年 8 巻 6 号 p. 776-780
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/22
    ジャーナル 認証あり
    症例1:65歳,女性。右腎細胞癌で腎摘出術後,約2年を経過して右手第1指に結節が出現した。症例2:53歳,男性。右腎細胞癌で腎摘出術後3年を経過して左手掌に腫瘤が出現した。両者とも病理学的検査にて腎細胞癌皮膚転移であった。いずれもCTにて腫瘍の骨や骨周囲組織への浸潤をないことを確認して腫瘍部のみの切除手術を行った。術後2年以上が経過するが局所再発は認めていない。
  • 井上 千鶴, 岡田 悦子, 田村 敦志, 石川 治
    2009 年 8 巻 6 号 p. 781-784
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/22
    ジャーナル 認証あり
    54歳,男性。躯幹と上肢の紅色腫瘤を主訴に受診した。血清中の抗HTLV-1抗体が陽性であり,皮膚腫瘤部組織のHTLV-1プロウイルスDNAも陽性であった。骨髄にも末梢血液にも異常は認めず,その他の臓器病変も認めなかったため,成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の皮膚腫瘤型と診断した。VP-16の内服と腫瘤部への60COγ線の照射により,皮疹は消失した。その後治療を自己中断していたところ,約1年半後に四肢に丘疹と水疱が出現し,急性転化した。多剤併用化学療法を行ったが治療に抵抗し,肺病変により死亡した。ATLLに生じる水疱は病勢悪化を反映する症状のひとつとして注目すべき皮疹である。
使用試験
  • 蓮沼 直子, 蓬田 佳弘, 鈴木 政宏, 岡本 好正, 小林 久高
    2009 年 8 巻 6 号 p. 785-792
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/22
    ジャーナル 認証あり
    安全性および有効性を調べる目的で,秋から冬期にかけて手荒れ症状を自覚している女性66名を対象に,手肌への低刺激性を意図して開発された食器用洗剤の7週間の使用試験を行った。本品の安全性は,使用により発生した皮膚トラブルの頻度および症状に関して市販品2品と比較することにより判断した。本品使用による皮膚トラブルの発生頻度および症状は,市販品2品と同等であり,重篤なものを認めていない。また皮膚所見,特に亀裂の発症に関しては,本品の使用は市販品2品と比較して有意に抑制されていることが確認できた。これらの結果より,本品は食器洗い等の家事による手荒れの進行の抑制に関して有効であり,また安全に使用可能であることが示唆された。
―第14回 これからの皮膚科診療を考える会より―
  • 林 伸和
    2009 年 8 巻 6 号 p. 793-799
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/22
    ジャーナル 認証あり
    2008年秋に待望の外用レチノイドであるアダパレンが上市された。アダパレンでは副作用として外用部位における紅斑や鱗屑,乾燥などがみられるが,症状は軽く継続に問題がない症例が多い。第III相の基剤との比較試験では全顔に1日平均0.58g,1年間の長期安全性試験では1日平均0.46gを使用していた。このことから1日の使用量として0.5gを指導し,その後症状と副作用に応じて症例により増減し,個々の患者に最適な使用量を決定するのが適切と考えられる。また,面皰に対する治療の効果を自覚するのは2から3ヵ月を要し,その後の長期継続でさらなる改善を得ることができる。継続使用の重要性を開始時に説明しておくことも重要である。
  • 佐野 栄紀
    2009 年 8 巻 6 号 p. 800-804
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/22
    ジャーナル 認証あり
    乾癬の発症に表皮角化細胞Stat3の持続的な活性化が必要であることが明らかにされた。Stat3は表皮細胞の増殖,遊走,抗アポトーシスに重要なシグナルを伝達している。最近,乾癬皮疹部位に認められるIL-23/Th17軸がIL-22を介して表皮角化細胞のStat3を活性化出来ることが示された。このように,乾癬発症のための表皮角化細胞・免疫細胞のクロストークの一端が明らかにされつつある。一方,表皮分化複合体遺伝子座にある乾癬感受性遺伝子のひとつであるコルネオデスモシン遺伝子を欠失したマウス皮膚移植片にて乾癬様の表皮病変が生じ,同時にStat3活性化が認められた。これは表皮分化シグナルがStat3活性化を制御している可能性を示唆している。
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