皮膚の科学
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4 巻, 5 号
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研究
  • 寺尾 美香, 白井 洋彦, 梅田 二郎, 調 裕次
    2005 年 4 巻 5 号 p. 433-438
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    薬剤誘発性皮膚筋炎/多発筋炎(DM/PM)には症状,検査所見,経過ともに自然発症のDM/PMと鑑別のつかないもの(真性DM/PM)と,薬剤の副作用として皮膚筋炎様の皮疹を呈し,薬剤の中止のみですみやかに改善するもの(偽性DM)とがある。真性DM/PMを起こす薬剤としてはD-Penicillamine,Simvastatin,Atorvastatin,Pravastatin,Tamoxifenなどが報告されており,偽性DMを起こすものとしてはHydroxyureaが報告されている。今回それぞれの薬剤誘発性PM/DMの特徴につき過去の報告を中心に述べた。薬剤誘発性PM/DMの報告は海外では多いが本邦ではまだ少なく,DM/PMの所見を呈した患者では薬剤誘発性DM/PMの可能性も常に念頭におくべきであると考えられた。
症例
  • 濱 雅世, 山中 隆嗣, 田崎 典子, 藤田 千絵, 原 保夫, 足立 史朗, 園田 早苗
    2005 年 4 巻 5 号 p. 439-442
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    52歳,男性。頭痛,発熱が出現した。近医で抗生剤を処方されたが軽快せず,翌日より左手首と左耳後部にそう痒を伴わない隆起性紅斑が生じた。皮膚生検病理組織像や髄液検査等により無菌性髄膜炎をともなったSweet病と診断した。副腎皮質ステロイド投与により頭痛,紅斑は軽快した。HLA抗原クラスIでB54とCW1がみられた。
  • 綾部 原子, 室田 浩之, 種村 篤, 板見 智, 片山 一朗, 清水 信幸
    2005 年 4 巻 5 号 p. 443-447
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    30歳,男性。交通外傷により大腿骨,脛骨,腓骨の多発性複雑骨折を受傷後,創外固定を施行された。同ピンニング部にMRSA感染を併発,それに伴い両下腿を中心に大腿部まで拡がる出血性丘疹,紫斑を認め当科受診となる。皮膚生検で真皮全層の血管周囲の炎症細胞浸潤と多数の核塵を認め,一部で血管のフィブリノイド変性を認めた。他臓器障害の合併は認められず,感染の沈静化に伴い症状は軽快し,外固定抜去により皮膚症状も寛解し,以後の再発を認めていない。経過と組織所見により骨髄炎に起因した皮膚アレルギー性血管炎と診断した。感染が誘引となった皮膚アレルギー性血管炎の発生機序など若干の考察を加えて報告する。
  • 菊池 麻衣子, 甲斐 裕美子, 中井 菜美, 井上 千津子, 矢野 健二
    2005 年 4 巻 5 号 p. 448-452
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    70歳,女性。60歳から下半身麻痺のため車椅子生活で,坐骨部褥瘡を繰り返していた。左坐骨部の褥瘡が骨まで達する深さとなり,入院治療したが難治であった。MRSA感染も伴い,適宜抗生剤使用したが感染症状を繰り返していた。数回のデブリドマンや各種外用剤使用にても良好な肉芽が得られなかった。難治の要因として座位時に生じる圧やずれ力を考え,デブリドマン後,厳しい体位制限を開始した。除圧管理を行ってからは感染症状も落ち着き,良好な肉芽が出現したので,穿通枝皮弁術を施行し完治した。術後,徐々に体位制限を解除した後,再発予防のためシーティング指導し,退院。術後約13ヵ月経過するが,現在の所再発をみていない。
  • 宮田 明子, 夏秋 優, 山西 清文
    2005 年 4 巻 5 号 p. 453-456
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    21歳,女性。小児期より感冒薬を内服した翌日に全身に紅斑が出現するエピソードが何度かあった。15歳時,市販感冒薬を飲んで6~7時間後に全身にそう痒を伴う紅斑が出現し,1週間後に落屑して治癒した。18歳時,市販鼻炎薬を内服した後同様の症状が出現したため,精査希望にて当科を受診した。パッチテストの結果,市販鼻炎薬及びその成分である塩酸メチルエフェドリンにて,24時間後,48時間後で陽性反応を得た。その際,頚部や上肢に紅斑の再燃が認められた。さらに,塩酸メチルエフェドリンによるDLSTも陽性(Stimulation index:184%)であったため,自験例を塩酸メチルエフェドリンによる紅皮症型薬疹と診断した。
  • 黒川 晃夫, 清原 忠彦, 草壁 秀成, 清金 公裕
    2005 年 4 巻 5 号 p. 457-461
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    61歳,女性。約20年前より関節リウマチを発症し,以後,近医で内服治療を受けていた。約4年前よりGraves病でチアマゾールの治療を受けていた。1年8ヵ月前より左下腿前面の外傷が治癒したところより硬毛が出現し,硬毛は徐々に拡大してきた。初診時,左下腿前面から左足関節部,右下腿前面,右外顆および右足背に,強い浸潤を伴う浮腫性隆起性局面が認められた。病理組織学的には膠原線維間には著明なヒアルロン酸の沈着が認められ,本症例の皮膚病変を脛骨前粘液水腫と診断した。脛骨前粘液水腫に関節リウマチが合併した報告例はなく,稀なケースと考えられた。
  • 柴 亜伊子, 浅田 秀夫, 宮川 幸子, 中峯 寛和, 野々村 昭孝, 堀川 裕弘, 神野 正敏, 中村 忍
    2005 年 4 巻 5 号 p. 462-465
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    41歳,女性。約1年前より左手背に赤色丘疹が出現し,近医を受診した。病理組織検査の結果,anaplastic large cell lymphomaと診断した。その近傍に再度同様の丘疹が出現したため当科を受診した。生検の結果,病理組織学的に真皮から脂肪織にかけて豊富な胞体をもつ大型の異型細胞が密に浸潤し,免疫染色では,ほとんどの腫瘍細胞がCD30,anaplastic lymphoma kinase陽性,UCHL-1,EMAの発現も一部にみられた。臨床所見と合わせてCD30-positive anaplastic large cell lymphomaと診断した。
  • 小田 香織, 橋本 佳子, 磯貝 理恵子, 荒金 兆典, 川田 暁, 辰巳 陽一
    2005 年 4 巻 5 号 p. 466-470
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    51歳男性。初診時,紅皮症と高度の落屑,四肢・躯幹に数ヵ所の小潰瘍,潰瘍治癒後の色素脱失が認められた。皮膚生検組織像に大型の異型細胞が認められ,免疫染色の結果,anaplastic large cell lymphomaと診断された。sIL-2R高値,LDHの高値を認めた。腹部造影CTでは肝臓・脾臓に数ヵ所の低吸収域を認め,表在エコーでは両鼠径部・両腋窩に数個のリンパ節腫大が認められた。CHOP療法,VNCOP-B療法を施行したが治療抵抗性であった。sIL-2Rを始めとする検査所見,臨床症状はさらに悪化し,次いで血管内皮障害,DICを呈し死亡した。
    皮膚に見られるanaplastic large cell lymphomaの症状は結節型,腫瘤型,丘疹,浸潤性紅斑が多いが,自験例では紅皮症を示し,稀な症例と思われた。
  • 馬渕 恵理子, 乾 重樹, 澄川 靖之, 片山 一朗
    2005 年 4 巻 5 号 p. 471-474
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    45歳,男性。2004年12月頃より全身倦怠感,食欲低下を自覚,さらに発熱,下痢と体重減少が出現し,その後体幹に紅斑,丘疹が出現した。体幹,上肢に径5~10mm程度の一部に強い浸潤のふれる紅斑と紅色丘疹が散在し,背部上方の皮疹は痂皮や血痂を伴った。病理組織所見では真皮にリンパ球,形質細胞を中心とした炎症細胞の浸潤,血管内皮の膨化,血管内腔の狭小化,赤血球の血管外漏出を認めた。血液検査にてRPR定量256倍,TPHA定量20,480倍と高値で,抗HIV抗体陽性であった。以上よりHIV感染患者に生じた第2期梅毒疹と診断した。梅毒疹はアモキシシリン2g/日投与にて8週間後には色素沈着を残しほぼ消失した。
使用試験
  • 堀川 達弥, 原田 晋, 田村 真吾, 谷 昌寛, 川上 尚弘, 芦田 雅士, 上田 正登, 錦織 千佳子
    2005 年 4 巻 5 号 p. 475-480
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    老人性皮膚そう痒症患者51名に対してベシル酸ベポタスチンを投与し,VASを用いて止痒効果を検討した。投与前に比べて投与2週後および4週後では有意にVASスコアの低下が見られた。掻破痕スコアは2週後および4週後には有意に低下した。そう痒および掻破痕を総合的に判定した最終全般改善度は「改善」以上 64.7%(33/51例),「やや改善」以上 78.4%(40/51例)であった。副作用としては眠気が5例,頭痛が1例に認められたのみで,眠気のVASスコアは2週後5.4,4週後8.9と軽度であった。ベシル酸ベポタスチンは老人性皮膚そう痒症の痒みの抑制に有用と思われる薬剤の一つであることが示唆された。
  • 八木 伸江, 水野 愛, 秋山 知加, 草野 衣吏子, 松葉 祥一, 千見寺 貴子, 水野 万利子, 木下 綾子, 高森 建二
    2005 年 4 巻 5 号 p. 481-487
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    近年,皮膚疾患を有する患者の皮膚病変が治癒することだけではなく,QOLの改善が重要視されている。今回,皮膚疾患特異的QOL調査票であるSkindex-16を用い,15歳以上のアトピー性皮膚炎患者39例を対象として,エバスチンを1日1回10mg4週間投与し,その有用性についてQOLの観点から検討を行った。そう痒,紅斑,肥厚,掻破痕,鱗屑の程度は,投与前と比較して4週後(最終時)にはいずれも軽症化した。VASスコアも投与前と比較して,2週後および最終時に有意に低下しそう痒の改善が認められた。QOLについては,機能スコアを除く症状スコア,感情スコアおよび総合スコアが,投与前と比較して最終時に有意に低下し,QOLが改善した。アトピー性皮膚炎に対するエバスチンの投与は,皮膚症状を改善するだけでなく,さらには患者QOLをも改善することが認められた
  • 山田 秀和, 柳下 晃一, 熊本 貴之, 澤本 学
    2005 年 4 巻 5 号 p. 488-491
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    抗アレルギー薬の有効性の判定に,ヒスタミン皮内反応に対する抑制試験をin vivoで行うことが有用であることが示されており,ベポタスチン,オロパタジン,フェキソフェナジンをもちいて,健康成人に対しイオンフォトレーシス法によるヒスタミン誘発皮膚反応抑制試験を行い比較検討した。ベポタスチン,オロパタジンは投与後70分において紅斑・膨疹ともで抑制効果が認められたのに対し,フェキソフェナジンはプラセボと同様の抑制効果しか認められないとの結果が得られた。抗アレルギー薬を投与する際には,各薬剤の効果発現時間も考慮する必要がある。
  • 松本 均, 伊藤 恭子, 米倉 久美子, 市橋 正光
    2005 年 4 巻 5 号 p. 492-497
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/17
    ジャーナル 認証あり
    健常人女性33名に末梢の血流改善効果を有するカシスポリフェノールを単回経口摂取させ,その後の頬部の血流に対する効果と下眼瞼中央部のくまに対する改善効果をポリフェノールを除いたプラセボとクロスオーバー二重盲検法による群間比較で評価した。プラセボ群では変化が認められないのに対し,カシス群では摂取15分後から血流量の有意な増加が見られた。同時にカシス群はプラセボ群と比較してL値の有意な上昇,エリスマインデックスの有意な上昇とメラニンインデックスの有意な減少が確認された。また,血流量変化とメラニンインデックス変化との間に逆相関関係が見られたことにより,くま発生の主要因は血流の停滞であると考えられ,カシス摂取による即効的な血流改善効果を介してくま改善効果を有する可能性が示唆された。
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