皮膚の科学
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13 巻 , Suppl.22 号
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  • 浅野 善英
    2014 年 13 巻 Suppl.22 号 p. S1-6
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル 認証あり
    エンドセリン受容体拮抗薬であるボセンタンは,全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍の新規発症を有意に減少させる効果があることが2つの良質な無作為化二重盲検試験で明らかにされている。また,同薬は全身性強皮症の血管障害に対して疾患修飾作用を有している可能性が示唆されている。今回我々は,ボセンタンが全身性強皮症の血管障害に及ぼす作用の分子メカニズムの一つを明らかにすることを目的に,培養皮膚微小血管内皮細胞と強皮症血管障害モデルマウス(Fli1+/- マウス)を用いて検討を行った。一連の研究結果により,(1)皮膚微小血管内皮細胞において ET-1 刺激は “c-Abl-PKC-δ” 経路を介して Fli1 をリン酸化してその DNA 結合能を低下させ,かつ分解を促進することにより蛋白発現量を低下させること,(2)ボセンタンは autocrine ET-1 刺激を阻害することにより,皮膚微小血管内皮細胞において Fli1 のリン酸化を阻害し,その DNA 結合能と蛋白発現量を亢進させること,(3)ボセンタンは in vivo においても皮膚微小血管内皮細胞における Fli1 の発現量を亢進させ,Fli1 依存性の血管障害を改善させる作用があること,が明らかとなった。全身性強皮症では転写因子 Fli1 の発現がエピジェネティック制御を介して恒常的に抑制されており,その発現異常が強皮症の病態に深く関与している可能性が示唆されているが,今回の検討結果は転写因子 Fli1 の発現異常の是正が本症の治療戦略の一つとなり得る可能性を示唆している。(皮膚の科学,増22: 1-6, 2015)
  • 川口 敦子, 前田 龍郎, 田中(山本) 真実, 日比野 利彦, 原田 和俊, 坪井 良治
    2014 年 13 巻 Suppl.22 号 p. 7-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/06/18
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    S100A9 は表皮角化細胞や線維芽細胞などから分泌される蛋白である。創の閉鎖には局所での炎症反応が必須である。そのため S100A9 蛋白が炎症反応を適切に調節することにより創傷治癒に重要な役割を果たしている可能性がある。我々はマウスの全層皮膚欠損創に bFGF 製剤を投与し S100A9 蛋白の発現を解析した。肉芽組織から mRNA を抽出し,遺伝子 array により炎症性サイトカインの発現を検討したところ,bFGF 投与群の方が未投与群と比べて TNF-α mRNA,IL-1β mRNA の発現が亢進していた。創傷治癒過程の炎症期に相当する創作製後約5日目では,創辺縁の再生上皮および肉芽組織において,未投与群と比較すると bFGF 投与群の方が S100A9 mRNA の発現量が増加し,また S100A9 蛋白の発現も上昇していた。以上の結果から S100A9 蛋白は創傷治癒過程で重要な役割を担っている可能性が示唆された。(皮膚の科学,増22: 7-12, 2015)
  • 内山 明彦, 山田 和哉, Perera Buddhini, 荻野 幸子, 横山 洋子, 竹内 裕子, 茂木 精一郎, 石川 治
    2014 年 13 巻 Suppl.22 号 p. S13-18
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル 認証あり
    分泌蛋白質 MFG-E8 はアポトーシス細胞貪食能,腫瘍免疫制御能,血管新生など様々な機能制御が知られている。また,塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)は皮膚潰瘍の治療薬として広く臨床応用されている。しかし,皮膚創傷治癒における MFG-E8 の役割や MFG-E8 と bFGF の相互作用に関しては未だ明らかとなっていない。今回我々は,皮膚創傷治癒モデルマウスを用いて MFG-E8 が皮膚創傷治癒過程において血管新生を制御し創傷治癒を促進させること,bFGF と MFG-E8 の併用により創傷部位での血管新生において相加的効果があることを明らかにした。本研究結果より,MFG-E8 は糖尿病性潰瘍や褥瘡などの治療薬として応用できる可能性がある。(皮膚の科学,増22: 13-18, 2015)
  • 前田 進太郎, 松下 貴史, 濱口 儒人, 竹原 和彦
    2014 年 13 巻 Suppl.22 号 p. 19-24
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル 認証あり
    褥瘡の発生には単に局所の虚血だけでなく,再灌流時の組織障害も重要である。虚血再灌流傷害マウスモデルを用いて,潰瘍の形成機序におけるマクロファージ等の炎症細胞やサイトカイン,NOS の関与について検討した。iNOS を阻害することで虚血再灌流傷害が著明に軽減した。IFN-γ,IL-6 の欠損マウスで虚血再灌流傷害モデルを作成したところ,組織障害が軽減した。これらのマウスでは iNOS の発現が低下していた。IFN-γ で刺激すると培養マクロファージからの NO の産生が増加した。また,遺伝子欠損マウスでは,局所へのマクロファージの浸潤が減少し,そのサブセットは,虚血再灌流サイクルの早期では M1 マクロファージが優位であったが,次第にM2マクロファージの割合が増加していた。サイトカインにより誘導される M1 および M2 マクロファージの浸潤と,引き続いて起こる iNOS の発現と NO の産生が,褥瘡の原因の一つとして考えられた。(皮膚の科学,増22: 19-24, 2015)
  • 八木 洋輔, 鬼頭 昭彦, 中溝 聡, 椛島 健治, 宮地 良樹
    2014 年 13 巻 Suppl.22 号 p. 25-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル 認証あり
    塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF: basic fibroblast growth factor)は線維芽細胞および血管内皮細胞の増殖を促すことにより,新生血管に富む良性肉芽の形成を促進することが知られている。血管新生については,他の成長因子との併用でさらに効果を発揮する事が報告されている。bFGF と他の成長因子との相乗効果について,過去の報告と我々の研究結果をもとに総括する。(皮膚の科学,増22: 25-27, 2015)
  • 小池 雄太, 八木 洋輔, 宇谷 厚志
    2014 年 13 巻 Suppl.22 号 p. 28-33
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル 認証あり
    創傷に対するbasic fibroblast growth factor(bFGF)の作用として創傷治癒の促進のみならず,その後の過剰な瘢痕形成を抑制する効果が指摘されている。我々はマウス皮膚創傷モデルを用いて,bFGF が創傷治癒過程,特に瘢痕に与える影響を細胞外マトリックスに注目して検討した。0.01% bFGF はマウス皮膚創傷への連日 50μl 添加により,創閉鎖までの期間を短縮させた。さらに matrix metalloproteinase 発現の早期減少あり,創閉鎖後のリモデリングも早期に終了させた可能性を示した。また創閉鎖後の組織を採取すると,bFGF 添加によって瘢痕は形態がより厚く,収縮したものとなった。構成コラーゲンの細い線維が増加しており,瘢痕の質的変化に関わる可能性が示唆された。(皮膚の科学,増22: 28-33, 2015)
  • 牧野 雄成, 神人 正寿, 尹 浩信
    2014 年 13 巻 Suppl.22 号 p. 34-38
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル 認証あり
    エンドセリン-1は,血管内皮細胞からおもに産生され,強力な血管収縮作用を有するペプチドであるが,血管収縮以外にも線維化,炎症,癌の進展など様々な機構への関与が報告されている。今回,エンドセリン-1の創傷治癒への関与を検討するため,内皮細胞特異的エンドセリン-1ノックアウトマウスの背部に皮膚全層欠損創を作成し,ワイルドタイプマウスと比較した。結果エンドセリン-1ノックアウトマウスでは,創傷治癒が促進していた。創傷部へ浸潤する炎症細胞数には違いを認めなかったが,エンドセリン-1ノックアウトマウスの創部では,Tumor necrosis factor-α,transforming growth factor-β1,α2 (I) collagen,connective tissue growth factor の mRNA 量が減少していた。本研究結果より,エンドセリン-1の創傷治癒への関与が示唆された。(皮膚の科学,増22: 34-38, 2015)
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