皮膚の科学
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13 巻 , 2 号
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総説
  • 上原 正巳
    2014 年 13 巻 2 号 p. 65-75
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
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    アトピー性皮膚炎患者に主要アレルギー性食物(卵,牛乳など)の経口投与試験をおこなうと,湿疹の悪化が起こる患者は少数(10%以下)であることから,食物は本症の重要な悪化因子ではないと考えられてきた。最近筆者らは従来の研究を補完するつもりで,患者が摂取するすべての食物を研究対象に含めて投与試験をおこなった。その結果,不定期的湿疹悪化を示す成人患者の44%と小児患者の75%,および母乳栄養の乳児患者の73%において,主要アレルギー性食物以外の食物(とくに木の実食品と発酵食品)が湿疹を悪化させていることが判明した。以上から,食物(とくに木の実食品と発酵食品)は本症の重要な悪化因子であると考えられる。(皮膚の科学,13: 65-75, 2014)
症例
  • 服部 佐代子, 小西 啓介
    2014 年 13 巻 2 号 p. 76-78
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル 認証あり
    82歳,女性。左人工股関節全置換術の2週間後に医療用ステープルを抜去した。翌日よりその刺入部に発赤が生じ,さらに2週間後に潰瘍や浸出液を認めた。パッチテストの結果および医療用ステープルの成分の照合から,Cr,Ni による接触皮膚炎と診断した。本症例は刺入部で真皮に接触した医療用ステープルから金属が溶出したため,真皮を主たる場として皮膚炎が惹起され治癒が遷延した可能性がある。そのような病態は真皮型接触皮膚炎に相当すると考えられるので文献的考察を加え報告した。本邦での医療用ステープルによる接触皮膚炎の報告は2例のみで,見逃されていたり,消毒液などの接触皮膚炎と誤診されている可能性がある。(皮膚の科学,13: 76-78, 2014)
  • 羽田 孝司, 夏秋 優, 谷口 怜子, 山西 清文, 齋藤 正紀
    2014 年 13 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
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    57歳,男性。慢性C型肝炎に対してペグインターフェロン α-2b,リバビリン,テラプレビルの3剤併用療法を開始し,約7週間後から全身にそう痒を伴う浸潤性紅斑が出現した。皮疹部の生検所見は多形滲出性紅斑型の組織像であった。被疑薬を中止した上で,ステロイド薬全身投与を行い,皮疹は軽快した。リバビリン,テラプレビルおよびオキシプリノールによるパッチテスト,リンパ球刺激試験はいずれも陰性であった。テラプレビルを除いた2剤で治療を再開したが,軽度の紅斑が出現したのみで,外用ステロイドでコントロール可能であった。このことから,本症例において,テラプレビルの併用が薬疹の重症化に関与したと考えた。(皮膚の科学,13: 79-83, 2014)
  • 山田 貴彦, 町田 裕子, 比留間 翠, 貞政 裕子, 舟串 直子, 比留間 政太郎, 池田 志斈
    2014 年 13 巻 2 号 p. 84-88
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル 認証あり
    48歳,女性。半年前に右乳癌で切除術を受けた。右下腹部に母指頭大の硬い皮下結節に気付いた。病理組織学的所見は,皮下脂肪織の脂肪壊死と組織球,好酸球,リンパ球が密に浸潤した肉芽腫であった。乳癌切除後,同部位に乳癌術後内分泌療法で酢酸リュープロレリン皮下注射を4回施行されていた。病歴と病理所見より,同剤の皮下注射により生じた脂肪壊死を伴った肉芽腫と診断した。本邦においては50例の報告があり,同剤による肉芽腫の報告は増加しており,皮膚科医として肉芽腫形成がみられることを認知しておく必要がある。(皮膚の科学,13: 84-88, 2014)
  • 丸山 彩乃, 早石 佳奈, 水野 麻衣, 吉良 正浩
    2014 年 13 巻 2 号 p. 89-92
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
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    56歳,男性。2009年に混合型濾胞性リンパ腫を発症し,化学療法により寛解状態であった。2012年3月中旬より前胸部に丘疹が出現し軽快しなかったため,皮疹出現から23日後に当科を受診した。初診時,体幹に紅色丘疹を数個認めた。皮疹出現から27日後,小水疱・紅色丘疹が全身に散在していたため,水疱部より Tzanck 試験を施行し巨細胞を認めた。初診時に生検した紅色丘疹の病理組織像からも水疱内に核内封入体を伴う多核巨細胞が確認された。水痘・帯状疱疹ウイルス特異的抗体価 IgM および IgG の上昇も確認された。以上の所見よりリンパ腫の既往がある成人に発症した水痘と診断した。アシクロビルの投与を開始したところ,治療開始14日後に軽快した。自験例は,皮疹出現から全身散布までに長期を要し,経過中に発熱・倦怠感等の全身症状を認めないなど極めて非典型的な臨床経過を呈した。(皮膚の科学,13: 89-92, 2014)
  • 濱井 公平, 高岡 佑三子, 小嶌 綾子, 野村 尚志, 松井 美萌
    2014 年 13 巻 2 号 p. 93-96
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル 認証あり
    患者1:73歳,男性。当科初診の数日前に臀部に有痛性の紅斑,水疱を自覚し,その後皮疹が全身性に広がるとともに尿閉,排便困難をきたした。膀胱直腸障害を伴う汎発型帯状疱疹の診断にて,入院下にアシクロビル 750mg/日で7日間点滴投与した。便秘症状は緩下剤内服にて間もなく改善した。排尿障害に対しては,尿道バルーンカテーテル留置下に臭酸ジスチグミン 15mg/日の内服で加療を開始した。皮疹が改善したために退院したが,退院後も自己導尿法にての排尿管理を継続し,その抜去に1ヶ月を要した。患者2:75歳,女性。当科初診の数日前に臀部に有痛性の紅斑,水疱を自覚し,排尿困難感も出現した。膀胱直腸障害を伴う帯状疱疹の診断のもと,泌尿器科対診にて排尿障害に伴う膀胱炎の併発と診断された。入院してそれぞれ7日間,アシクロビル 750mg/日の点滴および塩酸セフカペンピボキシル 300mg/日,臭酸ジスチグミン 15mg/日を内服して加療し,皮疹,排尿排便障害ともに改善したために退院した。今回,膀胱直腸障害をともなう帯状疱疹の2例を経験したが,どちらもステロイド全身投与することなしに排尿排便障害は改善した。運動麻痺を伴う帯状疱疹に対するステロイド全身投与に関して,ハント症候群ではその適応となるが,膀胱直腸障害を伴うものに関しての有効性はまだ確立されていない。今後さらに症例を蓄積し,有効性を検討する必要がある。(皮膚の科学,13: 93-96, 2014)
  • 清水 博子, 黒川 晃夫, 森脇 真一, 辻 求
    2014 年 13 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル 認証あり
    70歳,男性。20年前より顔面に多発する隆起性皮疹に気づき,それらが徐々に増大してきた。初診時,左鼻唇溝上に径 26×12mm 大の有茎性結節が,それに近接して 10mm 大までの小結節が存在し,いずれも暗赤色で一部黒色を呈していた。また,左右の鼻背外側,鼻翼部周囲,一部頬部に 10mm 大までの常色から黒色の丘疹もしくは結節が多発しており,それらは一部融合していた。皮膚生検にて左鼻唇溝の結節は basal cell carcinoma,また周囲の多発性丘疹もしくは結節は trichoblastoma と診断し,腫瘍の全切除術を施行した。両者はいずれも胎生期毛芽由来の腫瘍とされ,疾患関連性が高い。今回我々は basal cell carcinoma を併存した多発性 trichoblastoma の1例を経験した。両者は同一スペクトラム上の疾患であると報告されており,我々もそれらの病因に関して偶然の併発というよりは同じ発症因子,転換や移行の可能性を考えた。(皮膚の科学,13: 97-102, 2014)
  • 奥村 恵子, 鈴木 悠花, 松澤 有希, 大歳 晋平, 中田 土起丈
    2014 年 13 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル 認証あり
    14歳,女児。9年前に左下腿に皮疹が出現し,成長に伴い増大した。左下腿屈側に 100×74mm の暗紅色から暗紫紅色の紅斑局面を認めた。病理組織学的には真皮上中層に小型の lymphoid cell の帯状浸潤を呈し,浸潤細胞には核が不整で大型の異型細胞が混在していた。浸潤細胞の大部分はTリンパ球で CD4+ と CD8+ が混在し, PCR 法で単クローン性増殖は認められなかった。Acral pseudolymphomatous angiokeratoma of children や pagetoid reticulosis と鑑別して偽リンパ腫と診断し,ステロイド外用および PUVA 療法を開始したが,今後も慎重な経過観察が必要と考えられる。(皮膚の科学,13: 103-107, 2014)
  • 椿本 和加, 加藤 晴久, 山本 恭子
    2014 年 13 巻 2 号 p. 108-111
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル 認証あり
    5ヶ月,男児。3日前からの発熱を主訴に近医を受診し,川崎病が疑われ小児科に入院した。発熱後5日目に診断基準を満たし川崎病と診断され,アスピリンの投与と免疫グロブリンの経静脈投与が行われた。発熱後7日目に爪の変形とオレンジ色の色調の変化を認め当科紹介となった。爪の変形と色調から chromonychia を伴う pincer nail deformity と診断した。早期に爪床の血流異常が生じ,病理組織学的検討では,浮腫,血管拡張,細胞浸潤が起こると報告されている。我々の経験した爪病変はこのような血流異常や病理組織学的変化との関連が推測された。Chromonychia と pincer nail deformity はいずれも経過とともに爪は正常化すると報告されている。発熱後2ヶ月目の小児科再診時には,手指の爪は正常化し,足趾の爪は10趾の内4趾にはまだ chromonychia と pincer nail deformity を認めた。これは手指の爪の方が足趾の爪に比べて成長が速いことと関係があると推測された。(皮膚の科学,13: 108-111, 2014)
フォーラム
  • 鶴田 大輔, 中山 秀夫, 大迫 順子, 石井 正光, 後藤 仁志, 兼藤 紀美子, 酒井 文子, 中西 元章
    2014 年 13 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/01
    ジャーナル 認証あり
    金管楽器奏者に金属アレルギーが生じた場合の対処法は金管楽器演奏の世界では知られているものの,皮膚科医に知られているとは言い難い。このため,本フォーラムで金管楽器演奏の世界で知られている対処法,金管楽器マウスピースの選択について詳述した。具体的には,1)マウスピースの材質を変更する,2)マウスピースの口唇,口唇周囲皮膚への接触面であるリムをスクリューチェンジする,3)マウスピースにイオンプレーティングを施すという3つの方法を記載した。また,代表的な2症例を提示した。(皮膚の科学,13: 112-117, 2014)
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