入院中の皮脂欠乏性皮膚炎患者16名を対象に,その痒みの程度と抗アレルギー薬の早期止痒効果をVAS(Visual Analogue Scale)により評価した。痒みの評価は調査期間中,朝食時と夕食時の1日2回患者本人が記入し,それぞれ夜間の痒み(夜から早朝までの痒み),昼間の痒み(朝から夕方までの痒み)とした。また,抗アレルギー薬としては,オキサトミドと塩酸エピナスチンを使用し,クロスオーバー試験を実施し,その早期止痒効果を比較検討した。
薬剤投与前の観察期における皮脂欠乏性皮膚炎の痒みは,昼間の痒み(29.5±6.2)より夜間の痒み(40.6±7.0)の方が高値を示した。薬剤の効果は,オキサトミド投与により,昼間の痒み(27.4±6.8→10.9±5.2),夜間の痒み(44.6±7.2→10.4±3.4)ともに有意に低下した。一方,塩酸エピナスチン投与も,昼間の痒み(34.8±7.0→16.4±6.0)は有意な低下が認められたが,夜間の痒み(34.3±6.2→22.6±7.7)は低下したものの有意差は認められなかった。
以上のことより皮脂欠乏性皮膚炎に対して,オキサトミドは早期より止痒効果が期待できる薬剤と考えられた。
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