悪性グリオーマに対する放射線治療は, 50∿60Gyの外部照射が一般的であるが, これまでの報告では, 生存期間中央値(median survival time ; MST)は12∿14カ月程度であった.照射線量を70∿80Gyまで上げるために, 1日に2∿3回の照射を行う多分割照射が行われたが, その治療成績は通常外照射に勝っていない.悪性グリオーマの治癒を目指して近年, 種々の放射線治療が行われている.ガンマナイフ, リニアック, サイバーナイフの定位的放射線照射は, 外照射と組み合わせて行い, 局所コントロールの改善が報告されている.一方, 粒子線治療は, 高LET放射線であり, 腫瘍細胞を直接に傷害することで治癒が期待される.本邦では, 粒子線治療として, 炭素イオンを用いる重粒子線治療と, 中性子と硼素化合物を用いる中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy ; BNCT)が世界に先駆けて臨床試験が行われている.本稿では, 悪性グリオーマに対する放射線治療の治療成績について, 過去に行われたエビデンスレベルの高い報告を紹介し, 標準的放射線治療について現状を述べる.また, 粒子線治療については臨床治験の治療成績を報告する.
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