化学IIの内容についての問題点のいくつかを挙げたが, 現場で生徒を指導する教師としては, やはり自分が指導する生徒の実態を正確につかみ, それに応じた適切な方途を教科書にとらわれずに実行することが大切であろう。特に学習内容をむやみに多くしたり, 高めすぎることは厳にいましめたい。要は新指導要領のねらいを十分にそしゃくした上, ゆとりのある学習指導を行なうことであろう。それとともに, 教師としては, 現行の化学教科書を発行している教科書会社に対し, 特に化学IIの教科書内容をいま一度検討して, 高校生徒の能力に応じた改訂を早期に実行するよう要望したい。確かに, 内容のむずかしい教科書を使っても, 教師がその内容を取捨して教えればよい。これが原則である。しかし, 大学入試の問題を併せ考えると, 教科書の内容の難易はないがしろにはできない。教科書に記載があるからとて, 高いレベルの入試問題が出題されたならば, 高校の化学教育は大きくゆがめられることになろう。これがき憂であることを望みたい。
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