分子性の金属酸化物クラスターであるヘテロポリ酸塩は非常に古くから知られている無機化合物である。近年の単結晶X線回折装置および構造解析のコンピューターソフトの進歩, 一次元および二次元の^<183>Wや^<51>V NMR, また^<17>O NMRなどの分光学的方法の発達, さらに電気化学的測定法や質量分析法などの新しい分析手法も結びついて, ポリ酸塩の固体状態および溶液中の構造の重要な相互関係が確立されてきた。ポリ酸塩の化学は無機化学, 錯体化学, 有機金属化学, 触媒化学, 材料化学から, 最近は生物化学, 医薬化学, 環境化学の領域にまで及んでいる。ポリ酸塩の多核構造はこの講座(無機化合物の分子模型)にふさわしい対象でもある。
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