洗剤やシャンプーなど, 我々は日常生活で様々な泡をみることができる。液体の薄膜(ラメラと呼ばれる)が気体を仕切ることにより泡ができるが, その薄膜が光を回折し虹色の美しい干渉縞が手軽に観察できることから, シャボン玉などを題材にした科学実験なども頻繁に行われている。科学技術館の実験工房にお目見えした巨大シャボン玉などもその一例で, まるで生き物のように揺れ動く魅力に, 子供のみならず大人も引き込まれるものがある。こうした身近にある泡膜ではあるが, 実は非常に多くの自然界の力のバランスを学ぶ良き材料でもある。一見単純に見える泡も, それを形造るラメラを安定に維持するために様々な物理的な力が働いている。本稿では, こうした現象を直接観察しながら理解するための一つの事例を紹介したい。
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