急速な情報科学および理論化学の発展を背景に,今やコンピュータケミストリーは現代化学において欠かせないものとなっています。対象分子系の電子状態計算を基に分子構造や化学反応の解析を行う「分子軌道法」,小分子系からタンパク質のような大きな生体分子までさまざまな分子構造を理論的に決定できる「分子力学法」,さらには分子系のエネルギーおよびその構造の時々刻々の変化を追跡する「分子動力学法」は,汎用性が高く使い勝手のよいプログラムの普及とともに,たくさんの実験系化学者に利用されるに至っています。また最近では,化学実験の中に,「計算化学・理論化学実験」として,必修科目として設置する大学が増えてきています。ここでは,コンピュータケミストリーにおけるそれらの方法の簡単な概要を紹介し,現状と今後の展望について解説します。
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