中学校第2・3学年の生徒48名を対象に,「食塩が溶けている水と溶けていない水を区別する」という課題を通して水溶液を調べる実験を行った。オンライン授業でも可能なように,あえて,家庭にある材料や容器だけで実験ができるように工夫した。
現行の「科学と人間生活」の教科書にはアルコール発酵の原理が掲載されている。本稿では,コロナ禍のなかでも,各家庭の保護者の管理下で実施可能な「小型のパン作りを題材としたアルコール発酵の実験方法」を紹介する。ここでは,マイクロスケール法(通常の約1/10スケール)でパン生地の形成を行うことで,実験に要する時間を短くしている。
小学校,中学校で水溶液の性質を調べる際,理科室の実験ではリトマス試験紙やBTB溶液*1を使用することが多いが,身の回りの材料で指示薬をつくることができることは,興味関心を高めたり,理解を深めたりするうえで有意義である。ここではムラサキキャベツを用いた指示薬づくりに取り組み,色の変化に注目させたい。
学校の教育現場において身近なものとしてチョークと,ホームセンターで多量に安価で購入できるカサ袋を用いた実験を2つ紹介する。1つ目は,化学基礎で「化学変化の量的関係」として一般的な実験である炭酸カルシウムと塩酸を用いた実験である。2つ目は,二酸化炭素の分子量測定である。いずれも精密な実験というよりは,概念の理解に重点を置くため,実験操作を単純かつ簡単にした。その後の授業に活かせる実験を紹介する。
生徒にとって身近なプラスチックである飲料用ペットボトルを利用した2種類の実験を紹介する。1つ目は,ボトル本体を利用した合成樹脂や合成繊維に関する実験である。2つ目は,ボトルラベルを利用したものづくりの実験である。私たちの暮らしに定着しているプラスチックの技術を体験するとともに,生徒が興味関心を高めることのできる実験を紹介する。
電気分解を利用して,寒天層表面の指示薬の色を変化させ絵や文字を描かせる実験を紹介する。寒天にフェノールフタレイン指示薬を溶かし,陰極となる鉛筆を触れさせて電気を通じると,その部分が塩基性となって赤色を呈する。幅広く色が広がるのでペンというよりスタンプを押したような効果が期待できる。また,背景にあらかじめデザインを描いた紙を配置しておくと,色変化をより楽しむことができる。安価な素材で操作も安全・容易であり,手応え感のある実験となっている。
最も基本的な分析機器が紫外可視分光光度計と赤外分光光度計である。大学の自然科学系の研究室で必ず使われていると言っても過言ではない。紫外線,可視光線あるいは赤外線を試料にあてて,分子が吸収するかどうかを調べる。その結果,どのような分子がどのような状態で,どのくらい存在するのかを分析できる。ここでは,これらの分光光度計の基本的な原理と装置の概略を紹介する。
紫外・可視吸光光度法は,測定の原理・装置共に比較的理解しやすく,機器分析法の基本を身につけるための初歩的教材として取り入れやすいものと思われる。その一方で,受講者数の多い実験クラスでの実施のために十分な台数の装置を用意することは難しい。本稿では,吸光光度法による定量の原理を概説した上,教材としての活用が期待される安価かつ容易に作製できる簡易光度計の例として,光源・検出器共に発光ダイオード(LED)を用いた簡易光度計の事例について紹介し,試作による知見を踏まえてその作製・使用のポイントについて述べる。