地球規模の環境問題として国際的に取り上げられている酸性雨であるが, 我が国においてはヨーロッパ, 北アメリカで起こっているような広域的な森林の枯死, 湖水の酸性化, 建造物の損傷は認められていない。これを我が国の公害対策の成果と自画自賛していてよいものであろうか。酸性雨を化学組成の面から解析すると, 酸性物質が硫酸, 硝酸ばかりでなく, 塩化水素, 有機酸である可能性も浮上してくる。雨の中の酸の一部はアンモニア, カルシウムによって中和されているが, これらの塩基の発生源はどこか。酸性雨に関しては解明されていない問題が多く残されている。最近の酸性雨研究の進展について解説する。
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