持続可能社会の実現に向けて,化石資源に頼らないクリーンエネルギーシステムの構築が不可欠である。太陽光エネルギーはクリーンエネルギーの筆頭で,太陽光を利用して水から水素を製造するための実用技術の開発が求められている。光触媒は光エネルギーを利用して水を分解して水素と酸素を製造することができる機能性材料である。まだ効率は低いものの,最近の水分解光触媒の発展は目覚ましく,今後の飛躍的な発展が予想される。本稿では,光触媒による水分解の概要について解説する。
アンモニア合成の工業化が成功して以来,アンモニアは肥料をはじめとする化学原料として100年以上も重要な役割を果たしてきた。近年,アンモニアの役割が肥料だけでなく燃料としても注目され,ガスタービン発電燃料としての実証も成功しているとともに,アンモニア合成過程におけるCO2排出量の大幅削減を達成する新たなアンモニア合成技術開発も注目されることになった。本稿では,再生可能エネルギー由来の水素を原料に用いるグリーンアンモニア合成について解説する。
二酸化炭素削減にむけて電気自動車や自然エネルギーの導入が必須となっている。ここでは蓄電池の特性とその役割について述べる。また,より高性能な電池開発を目指した革新的な蓄電池の紹介とそれらの研究開発状況について紹介する。
太陽光エネルギーを化学エネルギーとして貯蔵する方法の一つとして,太陽電池を用いた水分解による水素製造がある。社会活動の基盤エネルギーとして水素利用を普及拡大させるためには,低コストで水素製造システムを構築する必要があり,中核をなす太陽電池のコスト低減が欠かせない。そこで,低コスト発電が期待できるCuInSe2系化合物半導体太陽電池を分かりやすく解説する。
現在,抗生物質の普及によって人類は多くの感染症から身を守ることができている。病原性細菌を狙い撃ちにする「魔法の弾丸」が次々に開発され,私たちは,まさに「抗生物質の時代」に生きていると言える。抗生物質の代表格は,何と言っても20世紀中ごろから世紀を超えて今日まで広く使われているβ-ラクタム系抗生物質である。β-ラクタム系抗生物質はペニシリンの発見と製品化によって開拓された医薬品である。人類を細菌感染症の威嚇から解放したペニシリンの発見は,医薬品開発の中ではセレンディピティーとして取り扱われることが多いようである。しかし,ペニシリンが医薬品として開発される過程には,シードを発見した研究者の鋭い観察力と忍耐力ならびに医薬品開発に使命感をもった企業とその研究者たちの高い志が垣間見られる。今回は,ペニシリンの発見からノーベル賞受賞に至るまでの過程とその後の抗生物質開発に及ぼした影響について概説したい。
葉酸の合成を阻害することによって抗菌活性を示すサルファ剤に続いて,β-ラクタム系抗生物質のペニシリンが発見され,細菌による脅威から人類を守る手段が獲得され始めた。既存抗菌薬が無効な菌に対処するため,作用メカニズムの異なる抗菌薬を見出す努力を続ける中で,我々が新たに手にした新規抗菌薬の1つがキノロン系合成抗菌薬である。風邪を引いたときに,細菌による感染が疑われる場合,主として処方されるマクロライド系抗生物質およびセフェム系抗生物質と並ぶ,主要な経口抗菌薬の1つである。
紀元前からある砂糖は,料理やお菓子などに用いられており,人々の生活には必須の存在である。サトウキビやテンサイを原料として砂糖はつくられる。様々な種類の砂糖があるのは日本特有であり,それぞれの特性を活かして様々な料理やスイーツに用いられている。また,砂糖には親水性など様々な機能があり,甘みを出すためだけでなく,防腐目的や口当たりを良くするためにも砂糖は用いられている。
濃硫酸をシリカゲルに含浸させた試薬(硫酸シリカゲル)を用いてセルロースの加水分解を行い,フェーリング液の還元によって生成する酸化銅(Ⅰ)の量から反応の進行を確認する実験を検討した。また本法を用いて,加水分解されやすさによる綿とレーヨン,およびデンプンとセルロースの比較実験を検討した。