水和物結晶のメカノケミカル脱水の例として,摩砕によるMg(OH)
2結晶の徴細化および構造変化過程ecついて換討した。とくにシリカとの反応をさけるため,メノウ乳バチのかわりlcWC-Co系超硬合金乳バチを用いて摩砕を行なった。
Mg(OH)2を空気中で摩砕するとすみやかにX線的に無定形化するが,大気中のH
2O,CO
2の影響によりいちtるしく増量する。そのDTA曲線は4MgCO
2,Mg(OH)
2,4H
2Oの組成として報ぜられている塩基性炭酸マグネシウムのそれとよく類似している。空気中よりH
2O,CO
2をとりのぞいて摩砕を行なっても無定形化するが,その重量変化からはメカノケミカル脱水は認められない。そのDTA曲線における特徴は,Mg(OH)
2の分解後引きつづいて起こるMgOの再結晶に基づく発熱ピークである。いずれの場合も比表面籏は最大値(60m2/9)に達するが,24時間以後は2次粒子の生成によりその値はしだいに低下する。,
10-2mmHg程度の真空中で摩砕すると,Mg(OH)
2のすみやかな無定形化とともにメカノケミカル脱水の結果として24時間後には,はっきりとMgO結晶が認められ,70時間後には,その量は55%iこ達する。綱分化Pt瞬界に近づくとともに不整化,膨張化したMgO結晶(格子定数4,2368A,結晶子の大きさ100A)は無定形Mg(OH)
2とメカノケミカル平衡に達する。この場合,空気中摩砕物とくらべ比表面積はいちじるしく増大する(70時間後には200m
2/g)。摩砕物の表面活性を塩基性点の数から討議した。
抄録全体を表示